室内に不意に現れるコバエやゴキブリなどの害虫…。
市販のグッズを使用して対処してはいるものの「なかなか数が減らない」と頭を抱える方もいるかと思います。
また、小さなお子さんやペットと一緒にお住いの場合は「薬剤を使わずに、自然由来のものでなんとかしたい」と考える方も多いでしょう。
虫除け対策には、ハーブが有効なケースがあります。
この記事では、虫除け効果が高いハーブやその使い方、室内での活用法をご紹介します。
「害虫を見たくない!」「害虫の被害をできるだけ減らしたい」という方は、ぜひ本記事を参考に対策してください。
目次
ハーブの虫除け効果について
「本当にハーブに虫除け効果はあるの?」と疑問を感じる方も多いかもしれません。
ハーブのなかには虫が嫌がる成分や香りが含まれているものがあり、害虫に対して忌避効果があるハーブを育てたり、ドライハーブにして室内に飾ることで虫を寄せ付けなくする効果が期待できます。
ただし、ハーブの効果は「虫除け」であり、殺虫効果はありません。
また、すべての害虫を完璧に寄せ付けなくすることは難しいため、あくまでも「害虫を寄せ付けなくするための手段の一つ」として活用しましょう。
万が一害虫の被害が発生した場合は、別途市販の対策グッズを活用したり、害虫駆除業者に相談してみるとよいでしょう。
虫除け効果を期待できるハーブとは?
この章では、具体的に虫除け効果を期待できるハーブをいくつかご紹介します。
それぞれ含まれている成分が異なり、防虫効果が期待される害虫も対象が異なるケースがあるため、用途に応じて使い分けていきましょう。
「ラベンダー」
ラベンダーには「リナロール」という成分が多く含まれており、蚊・ハエ・蛾・ダニ・ノミなどのさまざまな害虫に効果があるといわれています。
防虫効果がとても高く、市販されている防虫グッズにもラベンダーから抽出された成分が配合されているほどです。
加えて、虫刺され後のかゆみを和らげる働きもあり、鎮静作用が高いことも特徴に挙げられます。
人間にとっては香りがよい+リラックス効果もあるため、ベッドルームで活用すれば心地よい眠りへ誘うプラスαの効果も期待できるでしょう。
「どのハーブを使えばいいかわからない」と迷われる方は、ラベンダーから利用してみるのがおすすめです。
「ゼラニウム」
ゼラニウムには「テルピネオール」「シトロネロール」といった防虫作用のある成分が多く含まれており、蚊・ハエなどに効果があるといわれています。
(アメリカでは「モスキートプラント」とも呼ばれており、蚊除け効果のあるハーブとして知られている)
ゼラニウムには、以下のようにいくつかの種類があります。
- レモンゼラニウム
- ローズゼラニウム
- ペパーミントゼラニウム など
香りがよい+花も鮮やかでとても綺麗なため、防虫対策としてだけでなくインテリアとしても役立てることができるでしょう。
注意点としては、ゼラニウムは育つ環境・季節などによって固有成分の濃度に差が出てしまい、防虫効果を感じにくくなるケースもあるというのが挙げられます。
もし一定の効果を求める場合は、市販のゼラニウム(精油)とうまく使い合わせていくのがおすすめです。
「シトロネラ」
シトロネラとは、スリランカが原産のイネ科の植物です。
「シトラール」や「シトロネラール」といった防虫作用がある成分が多く含まれており、蚊・ゴキブリ・ダニといった害虫に効果を発揮します。
なお、シトロネラは古くから虫除けとして利用されており、古くから蚊帳に編み込まれたり・蚊取り用のロウソクに用いられたりと広く活用されています。
レモンのような爽やかな香りを持つ+デオドラント作用もあることから、消臭にも役立てることができるでしょう。
「蚊連草」
蚊連草とは、上記でご紹介したゼラニウム・シトロネラが合わさってできたハーブです。
名称に「蚊」と記載されていることから蚊に対して効果的、かつゼラニウムとシトロネラ両方の成分が含まれていることから、蚊以外にもハエ・ダニ・ゴキブリなどさまざまな害虫に対して防虫効果が期待できるでしょう。
蚊連草は栽培しやすく、ハーブやガーデニング初心者の方にもおすすめできます(基本的には、日の当たる場所において一週間に一回ほど水やりをするだけでよい)。
多湿を嫌うハーブのため、水やりも控えめにするのがポイントです。
「レモングラス」
レモングラスはシトロネラと同じイネ科の植物であり、インドが原産国です。
シトロネラと同じ「シトラール」「シトロネラール」といった成分が含まれており、蚊・ゴキブリ・ダニといった害虫に効果を発揮します。
名称にもある通りレモンのような香りがし、気分がスッキリできるため、リフレッシュしたいときにもおすすめといえるでしょう。
また、根が張ってからはさほど手間がかからず、育てやすいハーブでもあります。
「ペパーミント」
ミントには「メントール」という爽快な香り成分が含まれており、これが虫にとって苦手なものだといわれています。
とくに効果がある虫は、蚊・アリ・ダニなどが挙げられます。
ミントの品種の一つに「ハッカ」が挙げられますが、ハッカは日本薬局方に収載されている+用途に「虫除け」が明記されていることから、その効果は確かなものといえるでしょう。
また、清涼感ある香りは気分をスッキリさせたいときにも役立ちますし、体感温度を下げる作用も期待できます。
虫除けを含め、夏場に活躍するハーブの一つといえるでしょう。
「ユーカリ」
ユーカリの代表的な種類としては、オーストラリアが原産の「ユーカリ・グロブルス」が挙げられます。
防虫効果のある「1,8シネオール」という成分が豊富に含まれており、これには蚊・ハエなどの害虫を寄せ付けない効果に加えて、抗菌作用もあるとされています。
また、シャープで清涼感ある香りが特徴であり、鼻づまりの解消や集中力を高めたいときにアロマオイルをかいでみるのもよいでしょう。
加えて、防虫作用のあるユーカリの種類として「レモンユーカリ」(ユーカリ・シトリオドラ)もあります。
シトロネラやレモングラスと同じ「シトロネラール」が含まれており、蚊やゴキブリなどの防虫対策に役立てることができます。
爽やかな香り+鎮静作用があるため、キッチン・リビング・寝室など、場所を選ばずに使うことができるでしょう。
「ローズマリー」
ローズマリーは料理・お茶・化粧品などさまざまな場面で活用されており、耳にしたことがある方も多いでしょう。
防虫作用がある「カンファー」という成分が含まれており、蚊などの害虫にも効果があるとされています。
「カンファ―」という成分は、古くから日本で洋服の防虫剤として使われてきた樟脳と同じ成分です。
また、クリアでシャープな香りは、心身のリフレッシュにも効果的です。
比較的栽培がしやすく、初心者の方にもおすすめといえるでしょう。
「クローブ」
クローブに含まれている「オイゲノール」という成分には、防虫・抗菌作用があるといわれています。
この成分を活用して、蚊を寄せ付けなくしたり、ペストのような伝染病の予防にも使用されてきました。
「ポマンダー」というクローブをオレンジに差し込んだものを虫除けとして活用したり、スパイシー+甘い香りを利用してカレーやお菓子などさまざまな料理にも使用されています。
ただしクローブのオイル・スプレーは皮膚への刺激が強いため、直接塗布しないよう注意しておきましょう。
「タイム」
タイムは殺菌と防腐作用があり、料理にも利用されることが多いハーブです。
「チモール」という成分が含まれており、蚊・ハエ・ゴキブリ・ナメクジなどの害虫を寄せ付けない効果が期待できます。
なお、タイムは品種の多いハーブではありますが、育て方に大きな違いはありません。
丈夫かつ寒さにも強いため冬越ししやすく、鉢植えや地植えでも比較的簡単に育てられるでしょう。
「ティーツリー」
ティーツリー(ティートリー・ティートゥリーとも呼ばれる)は、オーストラリア原産のハーブです。
「テルピネオール」という防虫作用のある成分やカビを抑制する作用(抗真菌作用)に加え、強い殺菌力も有しており、虫刺され後の発疹・かゆみなどをやわらげる効果も期待できます。
ライムを思わせる清涼感ある香りは、とくに夏場に重宝するハーブの一つといえるでしょう。
「バジル」
イタリアンなどの料理にも活躍するバジルは、蚊よけのハーブとしても役立てることができます。
バジルに含まれる「シネオール」が蚊にとっての嫌なにおいの原因であり、鉢ごと置いておくだけでも虫除けの効果が期待できるでしょう。
日当たりのよいキッチン(日が差し込むキッチンの窓辺など)に置いておけば、料理と虫除けの両方に役立てられます。
背丈が20cmほどになったら一番上の部分を摘心(てきしん)し、わき芽を成長させましょう。
摘心を繰り返せば、たくさんの葉っぱがつきます。
ハーブを使った虫除けの方法について
ここからは、ハーブを使った虫除けの方法について解説します。
なお、ハーブは基本的に刺激が強い香りを放つことが多いため、多量に使い過ぎないようご注意ください。
また香りにも相性があることから、もしも香りが苦手だと感じた場合は、心身のストレスを避けるために使用を中止し、別のハーブに変更してみましょう。
鉢植えやプランターで「苗」から育ててみよう
ハーブは種から育てることも可能ですが、手軽に楽しみたい方は苗から育ててみるのがおすすめです(種から育てるよりも失敗が少なく、生長させる時間を短縮できるため)。
初めての方は、まず一種類のハーブを害虫が気になる場所に置き、育ててみましょう。
育てやすいハーブとしては、たとえば以下が挙げられます。
- ラベンダー
- ペパーミント
- ローズマリー
- タイム など
虫除けだけでなく、毎日の成長やお世話を楽しむ・料理やお菓子作りに活用するといった別の楽しみ方もできます。
慣れてきたら、寄せ植えを楽しんでみるのもよいでしょう(寄せ植え=品種の性質が似たもの同士で組み合わせること)。
ドライハーブを飾ってみよう
「ドライハーブ=ハーブを乾燥させたもの」であり、束にして部屋に飾ったり、サシェにしてクローゼットなどに置くことができます。
部屋の雰囲気を壊すことなく虫除けできるのがメリットといえるでしょう。
このドライハーブは花屋や雑貨屋などでも販売されていますが、栽培しているハーブから簡単に手作りすることも可能です。
手作りする方法は「好きなハーブを適量摘み、電子レンジで加熱する」だけです(自然乾燥でも可)。
この際、キッチンペーパーの上にハーブを並べ、500Wで約1〜2分など様子を見ながら加熱するとよいでしょう。
サシェや虫除けスプレーを手作りしてみよう
サシェとは、フランス語で「香り袋」を意味しています。
その名の通り、布の袋の中にドライフラワーやハーブなどを入れたものであり、ほのかな香りを長く楽しめるフレグランスアイテムや虫除け手段として利用されます。
作り方も非常に簡単で、お茶パックに入れ巾着やハンカチで包むだけです。
お部屋に置くことはもちろん、衣替えのシーズンなどに作成し衣類タンスに忍ばせておくのもよいでしょう。
また、ハーブをご自身で栽培している方は虫除けスプレーを自作することも可能です。
あらかじめ「チンキ剤」(ハーブの成分をアルコールで浸出したもの)を作っておき、水で割って作成します。
【ドライハーブを使った虫除けスプレーの作り方】
- ドライハーブを空き瓶一杯に入れ、無水エタノールもしくはウォッカをひたひたに入れる
- ときどき瓶をゆすって2週間ほど置き、ハーブを濾してチンキ剤を作る
- 「チンキ剤:1」に対して「水:4」ほどの割合でスプレー容器に入れ、よく振って完成
どちらも簡単にできるため、作成にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
アロマオイルやキャンドルを焚いてみよう
アロマオイルやアロマキャンドルを焚くことで、虫除けだけでなく、気分を変えたり・部屋をお気に入りの香りにするといった効果も期待できます。
アロマオイルの場合は、ボトルのふたを開けてそのまま香りを楽しむのもよいですし、アロマディフューザー・アロマランプなどを使って香りを部屋に拡散するのもいでしょう。
ただし、刺激が強い香りが多いため、まずは少量から始めていき、垂らし過ぎにはご注意ください。
アロマキャンドルの場合は、キャンドルに精油を垂らだけで部屋に香りを拡散させることができます。
癒し効果も抜群で、アウトドアにも活用できるでしょう。
ただし、精油は引火性のため、火が着いた状態で精油を垂らさないこと。また、火が燃え移らないように注意しておきましょう。
ハーブ利用時の注意点
ここ章では、ハーブを利用する際の注意点についてご紹介します。
虫除け・栽培する楽しみ・リラックス効果・料理などさまざまな活用法があるハーブですが、「虫除け」という面だけでみるとかならずしも万能とはいえません。
もしも害虫の被害を気にされている方であれば、注意点を理解し、別途適切な対策を講じていきましょう。
ハーブに殺虫効果はない
ハーブはあくまで「虫除け」のために活用できるものであり「殺虫」効果はありません。
また、ハーブを設置したからといって100%害虫を寄せ付けないわけでもありません。
「害虫の被害に遭っている方」「害虫の被害だけを危惧している方」の場合は、市販の対策グッズや害虫駆除業者への相談など、別の手段も考慮してみましょう。
市販の対策グッズと併用する
上記の通り、ハーブは虫除けに役立つもののため、ハーブだけで害虫の侵入を100%防ぐことはできません。
そのため、被害を危惧される方は、市販されている他の対策グッズも併せて使用してみましょう。
小さなお子さんやペットと一緒にお住いの場合は、市販の対策グッズに含まれる薬剤などを確認したうえで、ご家庭に合ったものを購入してください。
衛生面をしっかり管理しよう
いくらハーブや害虫対策グッズを利用して防除しても、家の中が不衛生では害虫が侵入する原因となるでしょう。
衛生面もしっかりと管理しつつハーブや害虫対策グッズを併用すれば、より防虫効果が高まるはずです。
被害が多発している場合は駆除業者に相談しよう
害虫の侵入経路は豊富に存在し、気づかぬ間に家屋内に巣を作って繁殖している可能性もあります。
害虫をよく目にする・巣を作られている・被害が多発しているといった場合は、ハーブや市販のグッズだけでは対策しきれないため、被害が拡大する前に害虫駆除業者に相談したほうがよいといえるでしょう。
被害が軽微であるほど業者依頼時の駆除費用は安く済むため、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
まとめ
ハーブに含まれる成分には虫が嫌うにおいが含まれており、防虫に役立てることができます。
また、栽培する楽しみやリラックス効果・料理など多彩な楽しみ方もできるため、趣味の一環としてハーブを育ててみるのもよいでしょう。
ハーブやドライハーブは花屋さんなどで購入することもできますので「忙しくて栽培している余裕がない」という方は、購入を検討してみるのもおすすめです。
虫除け効果や香りの好みはさまざまなため、実際に試してより自分に合ったものを見つけてみましょう。
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