近年市街地などに出没する「ムクドリ」の騒音・糞尿などによる人々への被害は増加傾向にあります。
しかし、よく見かける鳥が「ムクドリ」でなく「ヒヨドリ」である可能性もあり、それぞれ特徴はもちろん、対処法にも違いが生じます。
本記事では「ムクドリ」と「ヒヨドリ」の見分け方や、それぞれの特徴をご紹介します。
「鳥」による被害に悩まされている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
ムクドリとヒヨドリの違いについて
本章では、ムクドリとヒヨドリの違い(それぞれの特徴)についてご紹介します。
どちらも目にする機会が多い身近な存在であり混同されることもありますが、よく観察すると両者には大きな違いがあります。
それぞれの特徴を理解し、適切な対策を施せるようにしておきましょう。
「分類」について
どちらも「スズメ」の仲間であり、生物分類学だとスズメ目に属しています。
ただし、ムクドリ=ムクドリ科(ムクドリ属)であり、ヒヨドリ=ヒヨドリ科(ヒヨドリ属)に分類されるため、正確には両者は異なる生き物です。
見た目や大きな分類こそ似ているものの、ヒトとチンパンジーが違うようにさまざまな違いが生じることを理解しておきましょう。
「見た目」の違い
見た目が似ているといっても、よく見ると両者には大きな違いがあります。
それぞれの外見を記載すると、以下の通りです。
【ムクドリ】
- 全長25cm前後
- クチバシと足が黄色である
- ムクドリの方がやや黒っぽい外見をしている
- 頬が白い
- ムクドリの尻尾は(ヒヨドリに比べて)短い
【ヒヨドリ】
- 全長27.5cmほど
- クチバシと足は黒い色をしている
- 外見は(ムクドリに比べ)茶色っぽい
- 頬が赤褐色色をしている
- ヒヨドリの尻尾は(ムクドリに比べて)長い
一見すると判別がつきづらいものの、よく見ると両者には大きな違いがあることがわかります。
また、それぞれ歩き方にも違いがあります。
ムクドリは足を交互に出して歩を進めますが、ヒヨドリはぴょんぴょんと跳ねて移動します。
「鳴き声」の違い
ムクドリは「キュル・キュル・キュル」「ギャー・ギャー・ギャー」「ミチ・ミチ」といった少々濁った声で鳴きます。
夕暮れ時になると大きな群れが一斉に市街地に集まり上記のような鳴き声を発するため、騒音レベルのかなり騒がしいものとなります。
対してヒヨドリは「ヒーヨ・ヒーヨ」「ピー・ピー・ピー」「ピヨ・ピヨ・ピヨ」という可愛らしい鳴き声をしています。
ヒヨドリは単体で移動することが多く・おっとりした鳴き声を発するため、ムクドリに比べると騒音の被害は抑えめといえるでしょう。
とはいえ、気になる方にはどちらも騒音であることに違いはありません。
「食べ物」の違い
どちらも主食は「木の実」「果実」「昆虫」などを食べる傾向にありますが、ヒヨドリは上記に加え「花の蜜」を食べる習性もあります。
ヒヨドリが果物などの農作物を荒らす理由はここにあり、ムクドリに比べて甘いものを好む傾向にあるといえるでしょう。
「繁殖」および「群れ」の違い
両者の決定的な違いは「繁殖」および「群れ」にあります。
それぞれの繁殖時期は、主に以下の通りです。
- ムクドリ:春~夏が多い(おおよそ3月~7月の間)
- ヒヨドリ:初夏~秋が多い(おおよそ5月~9月ごろ)
それぞれが産む卵にも違いがあり、ムクドリは「4~7個」の卵を産み、色は薄い青緑をしています。
対してヒヨドリは「3~5個」の卵を産み、赤っぽい斑点があります。
また、ムクドリは群れを作り多いときは1,000羽以上の群れを作ることもありますが、ヒヨドリは群れを作らず単体で空を飛ぶことが基本となります。
「巣」を作る場所
両者は、巣を作る場所にも違いがあります。
ムクドリは木にできた空洞・建物の雨戸や屋根の隙間などに巣を作ることが多いとされていますが、ヒヨドリは木の枝に巣を作ります。
ムクドリは都市部にも生息する傾向がありますが、その場合は人家に巣を作ることが多いとされています。
ムクドリとヒヨドリを見分けるポイントは?
よく観察するとそれぞれの違いは判別できるものの、一般的には両者の違いを瞬時に判別することは難しいといえます。
実際「ムクドリの被害で悩んでいる」という方に詳細を伺い専門業者が調査した結果、実は「ヒヨドリだった」ということはあります。
判別がつきやすい点としては「群れを成すかどうか」と「繁殖する時期」ではないでしょうか。
ムクドリは、群れを成して行動することが多く、春~夏にかけて繁殖する傾向にあります。
対してヒヨドリは、群れを作らず単体で飛行することが基本であり、初夏~秋にかけて繁殖する傾向にあるといえます。
とはいえ、一般の方が両者の違いを判別することは難しいため「鳥による被害に悩まされている」という方は、早めに専門業者に相談した方がよいといえるでしょう。
ムクドリとヒヨドリの共通点とは?
本章では、両者に共通する点をいくつかご紹介します。
そもそも、比べてみると明確な違いがある両者が、なぜ「ムクドリとヒヨドリの違いとは?」などで検索されることが多いのか。
その詳細に迫っていきます。
人間社会ではどちらも「害鳥」に分類されている
ムクドリ・ヒヨドリともに、現在の人間社会では「害鳥」の扱いに分類されています。
とくに住処を追われたムクドリが都市部に棲みつくケースも増加しており、ムクドリ=群れで行動することが多いため、騒音や糞尿の被害が地域住民の悩みの種となっているようです。
大量に落ちた糞や羽から感染源となるウイルスを吸い込むことで、健康被害が出る可能性もあるため、注意が必要といえるでしょう。
ヒヨドリは、ムクドリに比べて群れを成さないという特徴があるものの「農作物を荒らす害鳥」としての面があります。
どちらの場合も、場所による違いこそあれど「害鳥」の扱いを受けていることは確かといえるでしょう。
どちらも「鳥獣保護法」に分類されている
双方ともに「鳥獣保護法」の対象となっているため、許可なく駆除・捕獲・飼育することは禁じられています。
仮に、もし違反した場合は1年以上の懲役または100万円以下の罰金が科せられるため注意しておきましょう。
万が一、野鳥のムクドリ・ヒヨドリを発見した場合は、速やかに各都道府県に設置された野生鳥獣担当機関に連絡をし、指示を仰ぐようにしましょう。
ムクドリ・ヒヨドリともに野鳥のため許可なく飼うことはできませんが、問題なのは「どちらも人に懐きやすい鳥」ということです。
情が移り無許可で飼育をしてしまうと、後々で問題が生じる可能性があるため、注意しておきましょう。
天敵について
天敵はどちらも共通しており、都市部であれば主に野良猫やカラスなどが該当し、とくに卵やヒナはカラスに狙われやすい傾向にあります。
都市部を離れた山林の場合は、タカやハヤブサなどの猛禽類、蛇などが天敵として挙げられます。
天敵は共通しているものの、単体で行動することが多いヒヨドリよりも、群れを成して行動するムクドリの方が外敵に襲われる可能性は高いといえるでしょう。
ムクドリ・ヒヨドリへの効果的な対策とは?
本章では、ムクドリ・ヒヨドリに対する効果的な対策法をご紹介します。
どちらも市街地に出没するケースが増加傾向にあるため、都市部にお住いの方も十分な警戒と対策が必要です。
できる範囲の対策を施し、被害を最小に抑えるよう工夫してみましょう。
ムクドリへの対策
ムクドリは、夕暮れ時を目安に大群で市街地に出没するため、とくに騒音被害や糞尿被害への対策が必要といえます。
たとえば、お住いのベランダへの侵入を防ぎたい場合は、以下の対策が有効です。
- 忌避剤を設置する
- 防鳥ネットやとげマットを設置する
- ダミー(カカシ)を設置する
- 超音波発生装置を設置する など
また、自身の住居への侵入を防げても、電線や別の建物に居座る場合もあり、騒音被害を防ぎれない可能性もあるでしょう。
その場合は、防音カーテンや二重窓などに交換することで、騒音を多少防ぐことができるかもしれません。
ヒヨドリへの対策
ヒヨドリは「糖分」を好んで果物や花の蜜を食べる傾向にあり、とくに農作物への被害が深刻です。
また、市街地に棲みつく例も増えており、ムクドリと同じく騒音や糞尿被害への対策も講じた方がよいといえるでしょう。
お住いの建物に侵入させない方法は、ムクドリと同じ対策法で問題ありません。
農作物を守るための対策としては「廃棄予定の農作物は早めに処分する」(=餌場だと認識させないようにする)のが効果的です。
また、防鳥ネット・鳥よけテープ・忌避剤やダミーなども合わせて合わせて設置しておくことで、より効果的に侵入を防止できるでしょう。
早めに自治体や管理会社などに相談しよう
空を飛び回り自由に移動できる鳥は、お住いの敷地内だけでなく、公共の場や(マンションやアパートの場合は)別の部屋のベランダなどに棲みつく可能性もあります。
その場合は対処のしようがないため、被害が心配な方は早めに自治体や管理会社などに相談してみるとよいでしょう。
実際に、各自治体ごとに害鳥対策が実施されるケースもあります。
自身だけでできる対策には限界があるため、被害が深刻化する前に相談し、周辺環境の改善に動いてもらいましょう。
害鳥駆除の専門業者に相談しよう!
ムクドリやヒヨドリの被害に悩まされている方・被害が心配な方は、早期に害鳥駆除の専門業者に相談することをおすすめします。
専門業者に依頼すれば、害鳥に関するさまざまな問題に対応してくれますし、保証内容やアフターサービスが充実している業者ならば再発防止にも役立てることができるでしょう。
空を飛び回る鳥に対して、不慣れな方が適切な対処を施すことは難しいため、早々にプロにお任せするのが得策といえます。
全国各地にさまざまな業者が存在するため、依頼する際は相見積もりをしっかりと取り、より信頼できる業者を選択してください。
まとめ
ムクドリとヒヨドリは類似する点もいくつかあるものの、習性や食べ物の好みには若干の違いがあります。
ただし、どちらも人が住む場所に棲みつく可能性があり、騒音や糞尿などの被害によって人々の生活に悪影響をおよぼすため注意が必要です。
自身でできる対策を講じつつ、被害が心配な方は早めに自治体や専門業者などに相談してみるとよいでしょう。
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