「家にネズミがいるかも知れない」と不安になっていませんか。
ネズミは家だけでなく、居住する人やペットにまで被害を及ぼす可能性があります。
ネズミの存在を確かめるためには、ラットサインの調査がおすすめです。
当記事では、ラットサインの概要やラットサインの見つけ方、ラットサインがあった場合に注意すべき被害などについて解説します。
ネズミが残していく証拠を元に、ネズミの被害を解決しましょう。
1. ラットサインはネズミが残す手がかり

ラットサインとは、ネズミが通った場所に残る痕跡のことです。
ラットサインがあればネズミが出現していることを裏付ける証拠となり、ネズミが活動している場所やネズミが侵入してきた場所も分かります。
代表的なラットサインは、次の4つです。
- 黒いこすり跡
- 足跡
- 糞・尿の跡
- 木材、ダンボール、電線をかじった跡
1-1. 黒いこすり跡
ネズミには、壁際や狭い隙間を通る習性があります。
そのうえネズミの体の表面には油や汚れが付着しているため、何度もネズミが通過したところには黒いこすり跡がつきます。
具体的に、黒いこすり跡がつきやすい場所は次の通りです。
- 壁
- 床
- 柱
- 天井 など
1度ネズミが通ったくらいでは、うっすらと小さな灰色の汚れがつく程度です。
しかし、ネズミには同じ場所を何度も通る傾向があるため、ネズミが通過する回数を重ねるうち、次第に黒ずんでいきます。
1-2. 足跡
ネズミの体に汚れがついているということは、当然足にも汚れが付着しています。
汚れた足で動き回るため、次のようなネズミの通り道には足跡が残っている可能性があります。
- 壁
- 床
- 天井裏・屋根裏
- 家具の上・家具の隙間
- 屋外につながる隙間(通気口や室外機の周辺) など
ネズミの足跡の特徴は、小さな足跡の間に線のような跡が残されるというところです。
尻尾を引きずるように移動するため、足跡の間には尻尾の跡がつきます。
ただし、ネズミの足跡は1.5〜2cmほどと小さく、見つけにくいです。
足跡があるかどうか分からない場合は、後述するラットサインを見つけやすくする方法を試してみてください。
1-3. 糞・尿の跡
ネズミは移動をしながら排泄する性質があるため、ネズミの通り道には糞や尿の跡があります。
1cm前後の黒い塊があったり、ネズミが好みそうな環境からアンモニア臭がしたりすれば、ネズミの糞尿である可能性が高いです。
また、糞や尿の跡が多数見られる箇所があるのであれば、ネズミが棲み着いてしまっているサインとも言えます。
糞尿は次のところに見られやすいでしょう。
- 床
- 天井裏・屋根裏
- 家具の上
- 倉庫・物置 など
見た目やニオイからすぐに片付けたくなるかもしれませんが、ネズミの糞尿には病原菌が含まれている恐れがあります。
掃除の際には素手で触らずにマスクや手袋をして、消毒を徹底しましょう。
なお、ネズミの糞の特徴から、侵入しているネズミの種類をある程度判別できます。
ネズミの糞についての詳しい説明は以下の記事でもご紹介していますので、ご参考にしてください。
1-4. 木材、ダンボール、電線をかじった跡
ネズミの前歯は、生涯伸び続けます。
前歯が伸びすぎてしまうと食事を摂りにくくなってしまうため、ネズミは常に何かをかじって前歯を研がなければなりません。
家屋に侵入してきたネズミは、以下の箇所や物品をかじる傾向があります。
- 壁
- 柱
- 家具
- 電線(配線・コード類)
- 食品 など
電線にかじり跡を見つけた場合は、直ちに該当する家電の使用を中止してください。
漏電・ショートにより、小火(ボヤ)や火災を引き起こす可能性があります。
ネズミが電線をかじる理由や被害については、以下の記事で詳しく解説しています。
2.ラットサインを見つけやすくする方法

ラットサインは目視でも見つけられるものもあれば、小さかったり、侵入回数が少ないがゆえに痕跡が曖昧だったりして見つけづらいものもあります。
ネズミ侵入の手がかりとなるラットサインが見つからないと、次に取るべき行動にも出られません。
ラットサインを見つけやすくするには、以下の方法を試してみましょう。
- ベビーパウダーを撒く
- 侵入経路にガムテープを貼る
- ブラックライトで尿跡を探す
それぞれの手順や注意点について、解説していきましょう。
2-1. ベビーパウダーを撒く
ネズミが棲み着いていそうな場所やネズミの足音がする場所にベビーパウダーを撒き、数日待ちます。
ネズミが侵入していれば足跡が可視化でき、侵入経路も特定できます。
ベビーパウダーがない場合は、小麦粉や片栗粉などでも代用可能です。
2-2. 侵入経路にガムテープを貼る
侵入経路と思われる場所を軽く塞ぐようにして、ガムテープを貼ります。
ネズミが通り道にしていれば、ガムテープが剥がされていたりかじられたりするはずです。
使用するのはセロハンテープやマスキングテープといった、ガムテープ以外のテープ類でも同様の結果が得られます。
注意するべきは、実行後すぐはネズミが通過しなくなる可能性がある点です。
ネズミは警戒心が強いうえに適応力が高く、普段と違う様子の侵入口には近づきません。
テープを貼ってから数日は様子を見ましょう。
なお、ガムテープで侵入口を塞いだくらいでは、半永久的にネズミの侵入を防ぐには至りません。
ガムテープの貼付は効果が一時的であるからこそ、ネズミの出入りを明確化させるための方法です。
ネズミの侵入が分かったら、すぐに侵入口を塞ぐようにしましょう。
2-3. ブラックライトで尿跡を探す
ブラックライト(紫外線ライト/UVライト)を照らし、ネズミの尿跡を探します。
人間を含む動物の尿の中には、蛍光物質が含まれています。
ブラックライトで照らすと尿跡が光るため、ラットサインの発見に便利です。
また、ブラックライトの光り方によって、いつから残っている尿跡なのかも識別できます。
青白く光っていれば比較的新しい尿跡で、黄色く光っていれば古い尿跡です。
黄色い尿跡も青白い尿跡も残っているようであれば、ネズミが侵入してから一定期間が経過していることになります。
いずれの尿跡も見つかった場合は、早いうちの対処が必要です。
ただし、ブラックライトで光るのは尿跡だけではありません。
液体洗剤や蛍光塗料などにも反応するため、ネズミの侵入を明確にするためには他のラットサインも併せて見つけるのが望ましいでしょう。
3. ラットサインがある場合に気をつけたいネズミ被害

家の中にラットサインが見つかったら、早急な対処が求められます。
見た目こそ可愛らしい小動物にも見えますが、ネズミが及ぼす被害は可愛いものではありません。
場合によっては、重大な事故や疾病の原因となるケースもあります。
ネズミが棲み着いていると、次のような被害が考えられます。
- 経済的な被害
- アレルギーや感染症による被害
- 精神的な被害
それぞれの具体的な被害や背景を解説します。
3-1. 経済的な被害
1つ目に考えられるのは、経済的な被害です。
多くは修繕費や代替費用として、金銭的な負担がかかりやすくなります。
ネズミによって引き起こされる被害を、例に挙げてみましょう。
- 糞尿による家・家具の劣化
- 建具・家具をかじられることによる家・家具の損傷
- 配線をかじられることによる家電等の故障・停電・漏電・火災
- 衣服や食べ物、石鹸等をかじられることによる汚染
上記は一例に過ぎず、なおかつ直接的な被害は氷山の一角とも言えるでしょう。
ネズミが直接的に被害を与えたわけではなくても、間接的にも経済的負担がかかる場合があります。
ネズミを退治・駆除するためにも、ご自身による対策費用や駆除業者への依頼費用が必要です。
また、持ち家の場合はネズミが家屋に損害をもたらすことで、資産価値が下がってしまう恐れがあります。
飲食店では、ネズミ経由で食品が汚染された結果として食中毒事件が起きてしまうと、保健所からの営業停止処分期間や信頼回復までの期間で不利益を被るでしょう。
ラットサインを見つけたら、経済的負担を最小限にするためにも早めの処置が欠かせません。
3-2. アレルギーや感染症による被害
ネズミの体には、あらゆる病原菌や寄生虫が付着しています。
直接体をかじられたりネズミを触ったりする場合はもちろん、ネズミがかじった食品を口にしたり、ネズミの糞尿を清掃したりする場合でも感染症を引き起こしかねません。
ネズミを媒介として罹患する可能性がある、代表的な感染症は以下の通りです。
- 鼠咬症(そこうしょう):ドブネズミが保有する菌に感染すると、咬傷部の腫れ・発熱・発疹などの症状が出る
- サルモネラ症:サルモネラ菌による食中毒で、ネズミの糞尿で汚染された食品を摂取すると起こり得る
- E型肝炎(HEV):ネズミの糞尿に含まれるE型肝炎ウイルスによる感染症で、発熱・倦怠感・食欲不振などの症状が出る
- レプトスピラ症:ネズミの尿で汚染された水や土壌から経口的・経皮的に感染し、発熱・悪寒・出血・腎障害を引き起こす
- ハンタウイルス感染症:ネズミの糞尿が感染源で、発熱・頭痛・めまい・発疹が見られる
また、ネズミに寄生するイエダニやノミによって、かゆみや皮膚炎を引き起こす場合があります。
特にイエダニは、ダニアレルギーを発症させるリスクもあるため注意が必要です。
3-3. 精神的な被害
夜行性のネズミが家の中に侵入すると、鳴き声や足音、何かをかじるような音で睡眠を妨げることがあります。
何日にもわたって騒音が続くものなら、睡眠不足やストレスを生じるでしょう。
そのうえ、「ネズミが棲み着いているかもしれない」という不安や不快感が積み重なれば、不眠症やノイローゼにも転じる恐れがあります。
心理的な負担がかかり続けると、身体的なダメージも負いかねません。
ネズミが家に出入りしていると思われるのであれば、迅速な対処が肝心です。
屋根裏にネズミがいるかどうかを確かめる方法は、以下の記事でもご紹介しています。
4. ラットサインを個人で全て見つけるのは難しい

ラットサインを見つけやすくすることはできます。
しかし、全部のラットサインが見つけられるとは限りません。
専門家でなければ、見落としてしまうラットサインもあります。
ネズミは屋根裏や床下、屋根の隙間などの、ラットサインの確認がしにくいところからも侵入してきます。
また、ネズミは警戒心が強く、学習能力にも長けた動物です。
ラットサインのある侵入口にトラップを仕掛けたとしても、さらに見つかりにくいところに隠れたり、トラップに引っかからないように突破したりすることがあります。
そもそも、ラットサインが残っていない侵入経路が存在するケースもありうるでしょう。
したがって、個人で全ての侵入口を見つけるのは非常に困難です。
ネズミを退治するまでに時間を要すると、その間にもネズミの被害は拡大してしまいます。
ラットサインを少しでも見つけたら、早急にプロへ相談しましょう。
5. ネズミ被害に不安がある方は協会の無料相談をご活用ください

ラットサインは、あくまでネズミが家屋に出入りしていることを示す手がかりでしかありません。
ネズミ駆除には侵入経路の特定が不可欠ですが、全てのラットサインが見つけられなければ、ネズミは「抜け道」からどんどん侵入してくることでしょう。
ラットサインの存在やネズミによる実害に不安がある方は、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の無料相談をご活用ください。
ラットサインかどうか疑わしいといった場合でも、ご相談いただくことにより他の害獣からの被害を食い止められる可能性が大いにあります。
優良な駆除業者もご紹介できますので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
ネズミが活動していた場所に残すラットサインとは、黒いこすり跡や足跡、糞尿の跡、かじった跡などが該当します。
小さなラットサインから及ぼされる被害は甚大で、家屋だけでなく居住者にも悪影響が生じます。
ただし、ご自身で全てのラットサインを見つけ出すことは難しいものです。
そして、ネズミの被害は、退治・駆除しない限りなくなることはありません。
ラットサインと思われるものを見つけた際は、直ちにプロへ相談しましょう。
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