家に動物がいると、何かの拍子に噛まれてしまうことは珍しくないでしょう。
ペットからの甘咬みは可愛らしいものですが、家に棲み着くネズミに噛まれると感染症やアレルギーなどのリスクがあり大変危険です。
本記事では、ネズミに噛まれたときの対処法や注意すべき病気などについて解説します。
ネズミによる被害は一刻を争いますので、事態が深刻化する前に適切な対処を把握しておきましょう。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

1. ネズミに噛まれたときの正しい対処法

ネズミは頑丈な前歯を上下に4本持ち、木材やプラスチックなど何でもかじる習性があります。
よって、ネズミに噛まれると相当な痛みを伴ったり、深い咬傷(こうしょう)ができたりします。
もしもネズミに噛まれてしまったら、まずは落ち着いて適切な処置を行ってください。
大まかな処置の流れは、以下の通りです。
- 噛まれた箇所を洗う
- 消毒する
- 受診する
各段階における詳細をご説明します。
1-1. 噛まれた箇所を洗う
ネズミに噛まれたら、傷の大小に関わらずすぐに傷口を洗い流しましょう。
流水だけでなく、石鹸などを使用して丁寧に洗浄します。
また、噛まれた箇所以外にもネズミに触れた可能性のある箇所があれば、併せてよく洗ってください。
1-2. 消毒する
ネズミは、体や口内にあらゆる感染症の原因となる病原菌を保有しています。
そのため、傷口を洗った後は医療用のエタノールや消毒液による消毒が不可欠です。
噛まれた箇所に出血がある場合は、清潔なガーゼや絆創膏などで傷口を止血・保護しましょう。
1-3. 受診する
洗浄・消毒を終えたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
「傷が小さい」「症状がない」「止血できた」などの理由で自己判断することは、非常に危険です。
受診する際は、以下の診療科が適しています。
- 皮膚科
- 外科
- 内科
緊急性が高い場合や夜間、休日は救急外来を受診してください。
2. ネズミに噛まれた際に注意すべき感染症と症状

ネズミは様々な病原菌を保持しており、噛まれただけでも命を脅かすような健康被害を受ける可能性があります。
ネズミに噛まれたときに起こり得る代表的な病気や症状は、次の2つです。
- 鼠咬症(そこうしょう)
- アナフィラキシーショック
それぞれの感染症と症状について、詳しくご紹介します。
2-1. 鼠咬症(そこうしょう)
読んで字のごとく、ネズミによって噛まれたり唾液に接触したりして引き起こされる感染症です。
ネズミの唾液に含まれる病原菌が人間の体内に入り込むと、1週間程度の潜伏期間を経て次のような症状が起こります。
| 段階 | 発現する症状 |
|---|---|
| 初期 | 傷口の赤み・腫れ |
| 中期 | リンパ節の腫れ、頭痛、発熱、嘔吐、筋肉痛、関節痛 |
| 重症化 | 皮膚や粘膜における出血・潰瘍、心臓・肺・肝臓などの臓器への障害 |
発熱があった際には、消長を繰り返すのが鼠咬症の特徴とされています。
抗生物質での治療が可能ですが、重症化すると死亡率が高まる危険な病気です。
早期発見が重要なため、ネズミに噛まれたら直ちに医療機関へ受診してください。
2-2. アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックは、アレルゲンによって引き起こされる非常に危険度の高いアレルギー反応です。
一般的には飲食物やハチ・ムカデに複数回刺されることがきっかけとなるイメージがありますが、ネズミが媒介する感染症や唾液・体毛に含まれるアレルゲンによっても引き起こされることがあります。
特に、アレルギー体質の方や過去にネズミに噛まれた経験のある方は要注意です。
症状の多くは、皮膚の発赤・かゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状から始まります。
その後は息切れ、喉の腫れ、血圧の急激な低下が現れますが、これらの症状は急速に進行し、呼吸困難や意識障害などといった命を脅かすリスクも考えられます。
緊急性の高い症状であるため、アナフィラキシーショックが疑われる場合は決して自己判断や放置・様子見をせず、速やかに救急車を呼びましょう。
3. ネズミを放置すると発生する被害

仮に噛まれた後の症状が回復しても、あるいは噛まれていなくても、ネズミの侵入を放置することには様々なリスクを伴います。
ネズミを放置することで発生する被害は、以下の3つです。
- 感染症
- 騒音被害
- 家屋の劣化・汚染
列挙した3つの被害の背景について、解説します。
3-1. 感染症
直接噛まれることだけでなく、ネズミの糞尿を介しても感染症にかかる可能性があり注意が必要です。
糞尿への直接的な接触のほか、糞尿に汚染された飲食物や土壌、水などから経皮または経口感染します。
サルモネラ症やレプトスピラ症、ハンタウイルス肺症候群といった感染症が代表的で、罹患した場合は下記のような症状が現れます。
| 感染症の種類 | 初期症状 |
|---|---|
| サルモネラ症 | 発熱・嘔吐・下痢・腹痛 |
| レプトスピラ症 | 発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛 |
| ハンタウイルス肺症候群 | 発熱・頭痛・嘔吐・腹痛・筋肉痛 |
サルモネラ症は、軽度であれば1週間程度で自然治癒する食中毒です。
ただし、子どもや高齢者などは重症化しやすく、重症化した場合は命に危険が及ぶこともあります。
レプトスピラ症は初期症状が風邪に似ており、初期での診断が難しい人獣共通感染症です。
重症化するとワイル病とも呼ばれ、適切な治療が遅れてしまうと20〜30%の割合で死に至る可能性があります。
原因となるレプトスピラ属の細菌は湿気を好むドブネズミを経由して感染するため、洗面所や浴室、トイレなどでネズミを見かけたら健康管理に注意を払いましょう。
そして、致死率が高いとされるハンタウイルス肺症候群も、ネズミの糞尿から感染するリスクがあります。
初期症状こそ風邪のようですが、症状が出てからは急速に進行し、肺炎から呼吸困難にまで陥ります。
日本での報告例はないものの、ワクチンがないためネズミを家に侵入させないことや触らないことだけが唯一の予防策です。
参考:ハンタウイルス肺症候群|厚生労働省
また、ネズミの体に寄生するノミやダニなどによって、ペストやツツガムシ病といった感染症も媒介されます。
寄生虫による感染症の詳細は、以下の記事からご覧ください。
3-2. 騒音被害
ネズミは夜行性の動物で、人間が寝静まった頃に活発になります。
したがって、夜間は天井・床下・壁の中などから走り回る音や何かをかじる音、鳴き声が聞こえることがあります。
体こそ小さいネズミですが、立てる音や鳴き声は騒音と言えるほどに大きく感じ、睡眠を妨害されかねません。
睡眠不足が続くと睡眠障害やノイローゼに発展する恐れもあり、ネズミによる騒音は住民へのストレス源となりやすいです。
ネズミの鳴き声や床下・天井からの物音に関する情報は、以下の記事からご確認いただけます。
3-3. 家屋の劣化・汚染
ネズミは生涯伸び続ける歯(常生歯)を削るため、または巣材を得るために、侵入した家屋では柱や壁、断熱材などをかじります。
その結果もたらされるのは、家屋の劣化と資産価値の低下です。
また、ネズミが糞尿をあちこちに撒き散らすため、建材の腐食や悪臭、シミなどが発生しやすくなります。
汚染された建材は上記の感染症リスクを高める可能性があり、絶対に放置をしてはいけません。
4. ネズミ駆除はプロの業者に依頼するのがおすすめ

ネズミ駆除は、プロに依頼せず個人で行うことも可能です。
しかし、個人で駆除を行う場合、罠の設置・死骸処理・清掃といった場面で感染リスクを伴います。
そのうえ、ネズミは警戒心が強く学習能力に秀でているため、用意したトラップにかかりにくかったり、忌避剤のニオイに慣れたりして想定していたような効果が得られないかもしれません。
ましてや、繁殖力の強いネズミが個人での対策に手間取っている間にどんどん個体を増やしていくことも容易に考えられるでしょう。
安全かつ確実にネズミを駆除し、再発を徹底的に予防するのであれば、専門的な知識と技術を持つ駆除業者への依頼がおすすめです。
多くの業者では見積もりや現地調査を無料で行っており、被害の状況に応じたプランを提案してもらえます。
医療機関への受診と同様、お早めに駆除業者へご依頼ください。
5. ネズミ被害でお悩みなら協会の無料相談をご活用ください

いざネズミに噛まれてしまったら、感染リスクなどを心配して焦ってしまうかもしれません。
もし、すでにネズミに噛まれてしまったのなら、何よりもまず応急処置と医療機関への受診を急いでください。
まだ被害がネズミの侵入だけに留まっている場合は、事態が深刻化する前にプロへの依頼を検討しましょう。
しかしながら、駆除してもらえるまでの暮らしには不快感やストレスを感じるものでしょう。
一時的でもネズミとひとつ屋根の下で暮らすことに不安を感じたら、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会へご相談ください。
当協会では、ネズミ被害に関するあらゆるお悩みを無料でご相談いただけます。
ネズミ被害への応急措置や優良駆除業者の選び方など、その時の状況に応じたアドバイスをいたします。
事態を悪化させてしまう前に、ぜひご相談ください。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

まとめ
ネズミに噛まれたら、まずは傷口を洗浄・消毒し、直ちに医療機関を受診してください。
傷口の有無・大小に関係なく、ネズミの唾液や体毛に接触するだけでも感染症などのリスクを伴います。
最悪の場合死に至ることもあり、自己判断や放置は非常に危険です。
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