ゴキブリなどの害虫は、排水口など水回り箇所から侵入するケースが多いとされています。
排水菅周りはその構造上さまざまな場所に隙間ができ、ここから害虫が侵入するケースが考えられるでしょう。
この侵入を防ぐには、隙間を補修する粘土タイプのパテなどを使う必要があります。
本記事では、害虫対策の一つとして、パテの正しい使い方や注意点についてご紹介します。
目次
排水口・排水管の基礎知識
まずは、害虫の侵入経路となりやすい排水口・排水管の基礎知識をご紹介します。
なぜ排水管から害虫が入り込むのか?隙間ができやすい箇所はどこか?なども解説しておりますので、理解を深め適切な対処をおこなえるようにしましょう。
排水口・排水管ってどこを指している?
「排水口」とは、キッチンや洗面台など、家内部の水回り部分に設置される排水の穴のことです。
日常生活で使用される水を効率的に排出することで、水回りの衛生状態を保ち・生活の快適さを維持するために重要な役割を果たします。
そして「排水管」は、排水口から排出される下水を、公共下水道まで流す管のことを指しています。
キッチンや洗面台などの下にある棚を開けると、排水口と床をつなぐ管が見えますが、これが排水管です。
もう一つ「排水溝」というのがありますが、これは主に屋外に設置される排水用の溝のことをいいます。
雨水や生活排水を効果的に排出し、水害や衛生問題の発生を防ぐために設計されています。
生活のなかで使用した下水は、排水口→排水管→排水溝を通って、公共下水道へと流れていくのです。
なぜ排水管から害虫が侵入してくるの?
排水管や排水口からゴキブリなどの害虫が侵入してくる理由は、下水道とつながっているからです。
下水道にはネズミやゴキブリといった害獣・害虫が潜んでいますが、排水溝を通して家屋に侵入してくることがあります。
本来、排水溝からつながる管には「トラップ」という仕組みがあり、排水管からの害虫の侵入や異臭を防ぐ役割があります。
(トラップの種類として、S字菅・P字菅・U字菅などの形状がある)
しかし、排水管が劣化していたり、管と穴の間に隙間が空いていると、そこが侵入経路なってしまうのです。
害虫はぬめりや湿気の多いところを好むため、水回り箇所には出没しやすく徹底した対策をおこなう必要があるでしょう。
排水菅の隙間ができやすい箇所はどこ?
水回り箇所で、特に隙間ができやすいのは以下が挙げられます。
- 排水トラップ・排水ホースの繋ぎ目
- 排水トラップ・排水ホースの破損箇所
- 排水ホースが、底板に入り込んでいるところ
- 排水ホースが、床下で排水管に繋がっているところ
排水トラップとは、シンクの排水口からゴミ受け・防臭ワン・封水の水を溜めているところまでの部分のことです。
各繋ぎ目は、水漏れや悪臭といったトラブルにならないよう処理されていますが、劣化によって隙間ができることがあります。
また、シンク下に荷物を大量に入れ・押し込んだりすることで、排水トラップやホースがズレて隙間ができることもあるでしょう。
こういった隙間を、パテに埋めることで水回りのトラブルを軽減することができるのです。
排水菅周りの隙間を埋める方法
本章では、排水管周りの隙間を埋める方法についてご紹介します。
市販のアイテムを購入すれば誰にでもおこなえる作業のため、水回り箇所をチェックし隙間があれば、すぐに塞いでしまいましょう。
粘土タイプなど専用のパテを利用しよう
排水管周りの隙間は、パテを使って埋めるのが一般的です。
(パテは、エアコンのドレンホースの取り付け時にできた隙間を埋める際にも利用される)
ホームセンターやネット通販などで、水回りの隙間補修のための便利な素材が数多く販売されており、種類によって若干使い方が異なります。
- 水濡れしているところでも使えるもの
- 時間を置くと固まるもの
- 粘土状や充填して使うもの
- あとで剥がせるもの・剥がせないもの など
もし、パテを使った作業に慣れていない人は「固まらないタイプ」(あとで剥がせるタイプ)を使うとよいでしょう。
固まるタイプを使用して隙間を埋めてしまうと、排水管のトラブルでパテをはがす際に手間がかかり、かつ床材なども剥がれて汚くなってしまう恐れがあります。
排水管のつまりは比較的起こりやすく、万が一の際に排水管を取り外すこともあるため、固まらないタイプのパテを使うことをおすすめします。
パテで隙間を埋める際のポイント
粘土タイプのパテで隙間を埋める場合は「きれいにしてから、盛るように詰める」ことが重要です。
最初に汚れを雑巾などでしっかり取り除き、その後しっかりと乾燥させてから使用してください(なかには濡れていても詰められるタイプもある)。
特に、油汚れがついているとパテがうまく固定しなくなるため注意しておきましょう。
また、もったないからといってパテを薄く引き伸ばして使用すると、時間が経った際に破れや剥がれを引き起こす原因になります。
パテを使用する際は、惜しまず・盛るように詰めて隙間を埋めましょう。
排水菅周りを埋める際の注意点
パテを使って排水管周りの隙間を自分で埋める際に、注意すべきポイントがいくつかあります。
本章にて、その注意点をご紹介します。
紙粘土や油粘土は使用しない
「粘土タイプのパテがあるなら、紙粘土や油粘度で代用できないか?」と考える方もいるかもしれませんが、代用にはおすすめできません。
- 紙粘土:水に弱いため、使用するうちに剥がれたり・床材と一緒に剥がれる恐れがある
- 油粘度:パテに比べて固く・力が必要となるため、隙間を埋めるのに適していない
パテに似ているといっても、粘土はパテとは異なる性質を持っています。
仮に紙粘土を補修に利用し、床材などが剥がれた場合、賃貸物件だと引っ越しの際に回復費用が発生する恐れもあります。
改善したつもりが前より状況が悪化した…とならないよう、きちんと補修用のパテを使うことをおすすめします。
100円ショップの粘土は使用に注意
100円ショップでは、隙間を埋めることが可能な粘土が販売されています。
低コストで利用できるというメリットはあるものの、時間経過で固まるタイプは剥がすときに非常に苦労します。
排水管周りは水漏れなどでパテを剥がす機会があるため、一度施工して終わりとは限りません。
ホームセンターなどでパテを購入しても、数千円程度で購入できます。
固まるタイプは剥がす際に床材などを傷つける恐れがあるため、できれば市販の固まらないタイプのパテを利用するのがおすすめです。
賃貸物件の場合は管理会社に連絡する
マンションやアパートなど賃貸物件にお住いの方は、パテで補修する前に管理会社に確認と許可の連絡を入れておきましょう。
また、パテを使用する際は、固まらないタイプのものを使用してください。
この理由は、万が一物件を傷つけてしまった場合、引っ越し時に原状回復費用が発生する恐れがあるからです。
害虫が隙間から上がってくる・悪臭がひどいといった場合、その理由を説明すれば管理会社側が対応してくれることもあるでしょう。
賃貸物件は、あくまで「部屋を借りているだけ」のため、独断で動かずに、事前に管理会社へ連絡することが大切です。
補修と同時に使用方法の改善も検討する
パテを使って隙間を埋めたとしても、それだけが被害の原因ではない可能性もあるでしょう。
そのため、補修と同時に使用方法の見直しや改善もおこなっておくことをおすすめします。
- 荷物を詰め込みすぎなど、シンク下収納の使用方法が問題の場合は改善する
- 排水ホースに熱いものを流さない
- ゴミを流さないようゴミ受けにネットを被せる
- 排水口から害虫に侵入されないようフタをする など
衛生面をしっかり管理できていれば、害虫や悪臭の被害をある程度防げることでしょう。
隙間を埋めても改善しないときの対処法
もし、パテなどで補修しても問題が改善されない場合は、別の箇所に原因があるかもしれません。
本章にて、隙間以外で発生しやすい問題点をご紹介しますので、合わせて確認をしてみましょう。
封水が切れている
「封水」とは、悪臭や害虫の侵入を防ぐための水溜まりのことです。
封水は、排水トラップ(椀トラップ)と呼ばれる部品が配管に被さることでできますが、この排水トラップが壊れるとなくなってしまうことがあります。
また、椀トラップの中が汚れており、髪の毛や繊維状のごみを伝って封水が流れてしまう可能性もあるでしょう。
まずは、排水口の汚れを掃除し、椀トラップに破損がないか確認してみましょう。
椀トラップはホームセンターなどで購入できるため、破損していた場合は交換してください。
排水管や排水溝が詰まっている
悪臭は、排水管や排水溝内の詰まりが原因で発生します。
ラバーカップ・液体パイプクリーナー・ワイヤーブラシなど、詰まりを直す手段は複数あるため、まずはそれらで対応してみましょう。
もしそれでも詰まりや流れの悪さが改善しない場合は、手の届かない部分が詰まっているかもしれません。
この場合は、プロの業者に相談して改善を目指しましょう。
防臭キャップの部品が破損している
- 床下の排水管と繋がっている部分の防臭キャップ
- 底板に置いている排水プレート
- 各繋ぎ目のゴムパッキン など
使用されている部品の劣化や破損が原因で、被害が発生している可能性もあります。
これら部品はホームセンターやネット通販などで簡単に購入できるため、必要に応じて部品交換してみましょう。
水回りや害虫に関するよくある質問
本章では、キッチンや洗面台など水回りや害虫に関するよくある質問をご紹介します。
排水管などに隙間ができるとどうなるの?
もし、排水管周りに隙間があると、以下のようなトラブルが発生する恐れがあります。
- 害虫が下水から室内に侵入してくる
- 下水の悪臭が上がってくる
- 排水ホースのズレにより水漏れが発生する など
いずれも、被害が広がるほどに人々の生活に悪影響をおよぼすため、パテを使ってこの隙間を埋める必要があるのです。
もちろん、隙間を埋めるだけでなく定期的に掃除をおこない衛生管理をすることも大切です。
水回り以外でパテを使う箇所はある?
キッチンや洗面台以外の場所でも、パテを使って隙間を埋めるべき箇所は存在します。
一つは、エアコンの配管を通すスリープ穴の隙間です。
スリーブ穴の隙間はエアコン設置時にパテで埋められますが、処理されていなかったり経年劣化で隙間ができることもあります。
なお、害虫は室外機のドレンホースから侵入してくる可能性もあるため、市販の防虫キャップやネットで合わせて予防しておくとよいでしょう。
もう一つは、壁の割れ目です。
経年劣化や地震などで壁に割れ目ができてしまうことがありますが、害虫はこの隙間からも家屋に浸入してくることがあります。
エアコンの配管を通すスリープ穴の隙間や壁の割れ目もパテを使って補修することができます。
ただし、使用箇所や用途によって適切なパテは異なるため、補修箇所に合ったものを購入して使用しましょう。
害虫を寄せ付けない方法って他にある?
ゴキブリなどの害虫は、水回り以外でもいたる箇所から侵入してくる恐れがあります。
排水管周りだけでなく、その他の部分でもしっかりと対策を施しておきましょう。
【日常的にできる害虫対策】
- 家を清潔に保つ
- 湿気を防ぐ
- ダンボールは放置しない
- 殺虫剤・忌避剤・ハーブを活用する
- 家の隙間を埋めたり防虫ネットをかけたりする
- ベランダを掃除する
- 洗濯物は夜間に干さない など
害虫の発生を100%防ぐことはできませんが、日々の衛生管理をしっかりとおこなっていれば、幾分か被害を軽減することはできるでしょう。
害虫の防除はプロの業者へ依頼するのが確実!
害虫対策は市販の対策グッズを使えば誰にでもおこなえるものの、知識がない方だとできることには限界があります。
害虫の侵入経路も一つだけとは限らず、目に見えないところで大量に繁殖している可能性もあるため、被害を危惧される方はプロの害虫駆除業者へ対処を依頼するのがおすすめです。
プロに依頼すれば、防除はもちろん、被害が再発した際にも迅速かつ安価に対処してもらえます。
ただし、業者によって駆除費用やサービス内容は異なるため、まずは複数社に現地調査・見積もりを依頼し、より納得できる業者を選別してください。
現地調査・見積もりまでは無料でおこなってくれる業者も多いため、うまく活用していくとよいでしょう。
まとめ
キッチンや洗面台などの水回りは、害虫が好む環境かつ下水とつながっているため、害虫が侵入しやすい箇所といえます。
そのため、隙間があればパテで塞ぐ・劣化や破損している部品があれば交換するといったメンテナンスに加え、定期的に清掃し衛生面を管理することが重要です。
ただし、それでも100%害虫の侵入を防げるわけではないため、不安がある方はプロの業者へ相談してみるのもよいでしょう。
選択肢は豊富にあるため、自身に合った方法で対処を試みてください。
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