ネズミはエサを求めて家屋に侵入し、空腹が続けば当然餓死します。
餓死したネズミによる直接的な被害はなくなるため、ネズミが餓死するまで放置という手段を考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ネズミの出入りを見過ごしたり、いつ餓死したか分からないネズミの死骸を放置したりしていると、新たな被害を引き起こす恐れがあります。
当記事では、ネズミの餓死までの期間や食品がなくても生きていける理由などについて解説します。
実際はネズミを餓死させるのは難しいということを、事前に把握しておきましょう。
1. ネズミを放置すれば本当に餓死するのか?

言わずもがな、ネズミは食料を何日も食べなければ餓死します。
ネズミが家屋に侵入するのは、食料を探すためです。
求めていた食料が長期間見つけられなければ、家屋の中で息絶えてしまうこともあるでしょう。
1-1. ネズミが餓死するまでの日数
ネズミが餓死するまでの期間は、温かいときには4〜5日、寒いときには約1日です。
小さな体で活発に動き回ってエネルギーの消費が激しいため、短期間で餓死するとされています。
また、家に侵入する種類のネズミは冬眠をせず、脂肪を蓄える習性がありません。
そもそも小動物では蓄えられる脂肪の量が少ないため、すぐにエネルギー切れになってしまいます。
1-2. ネズミが生きるために必要な食事量
ネズミは1日あたり体重の約4分の1〜3分の1の食料が必要です。
しかし、ネズミの種類によって体重が異なるため、種類ごとに必要とする食事の量も変わってきます。
家に侵入してくるネズミは、主にドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種類です。
以下の表のように、それぞれの体重に応じて必要な食事量が変動します。
ドブネズミ | クマネズミ | ハツカネズミ | |
---|---|---|---|
体重 | 200〜500g | 120〜250g | 10〜30g |
必要な食事量 | 50〜125g | 30〜62.5g | 2.5〜7.5g |
大した食事量ではないように思えるかもしれませんが、ネズミが食べるものは「食べ物」ばかりではありません。
食料品が食べられない状況にあれば、他に食べられそうなものを探して空腹を満たします。
罠や粘着トラップなどで捕らえていない限り、必ずしも放置していれば餓死するとは言えないでしょう。
2. ネズミが家の中で食べているもの

ネズミは雑食で、何でも食べます。
人間や動物が普段食料としているものはもちろん、エサとはなり得なさそうなものまで、ネズミにとっての食料は多岐にわたります。
本章では、ネズミに食べられてしまう可能性があるものについて解説しましょう。
2-1. 台所の食品・食材
人間の食料は、ネズミにとっても食料になります。
つまり、台所にあるような食品・食材の多くは、ネズミに食べられてしまう可能性があります。
特に、穀物やパン、生ゴミなどはネズミの好物です。
ネズミに食べられてしまわないよう、ふた付きの容器や冷蔵庫、扉付きの戸棚にしまいましょう。
また、調理カスや油汚れ、ペットフードも体の小さなネズミにとっては立派な食料です。
台所が汚れてしまったらすぐに清潔な状態にし、ペットフードもふた付きの容器に保存してください。
ちなみに、台所以外では仏壇のお供え物や家庭菜園の収穫物もターゲットにされやすいです。
こまめに片付けるなどして、被害の拡大を防ぎましょう。
ネズミが好きな食べ物については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
2-2. 食べ物以外にネズミが食べてしまうもの
先述した通り、ネズミは雑食です。
予想だにしないものまでも、ネズミの食料になることがあります。
具体的には、次に列挙するものが該当します。
- 石鹸
- ロウソク
- 線香
- 観葉植物
- 昆虫 など
一度ネズミに棲み着かれた家は、ネズミの被害からはなかなか逃れられません。
というのも、食べ物以外にも食料になるものがたくさん溢れているからです。
日用品までもエサとさせないために、できるだけ容器に保管して使うときだけ取り出すようにしましょう。
さらに、空腹で飢餓状態になったネズミは攻撃性が高くなり、他の小動物をエサとしたり、共食いを始めたりすることもあります。
ネズミの死骸に寄ってきた害虫さえも食べてしまうため、駆除したネズミもすぐに処理しなければなりません。
3. ネズミ対策の基本はエサを与えないこと

空腹を免れるためにネズミは家屋に侵入し、安全で食料が確保できる場所だと分かれば、その場に巣を作って棲み着きます。
よって、ネズミの滞在・侵入を防ぐには、エサとなるものを与えない・置かないことが重要です。
本章では、以下のネズミ対策に欠かせない2つのポイントについて解説します。
- エサになりそうなものは入念に処理する
- 完全な対策には侵入経路の封鎖が必須
3-1. エサになりそうなものは入念に処理する
ネズミに食べられる可能性のあるものは、入念に処理をしましょう。
食べ物は容器に入れ、食べかすや調理かすなどのゴミも都度片付けるのが望ましいです。
また、ロウソクや石鹸などの日用品は、容器に入れて保存するのがよいでしょう。
食べられるものがないと分かれば、ネズミはエサを探しに外へ出ていきます。
そして、学習能力が高いネズミは「ここにはエサがないから不都合だ」と近寄らなくなるのです。
しかし、ネズミには強い帰巣本能も備わっています。
そのため、一度は近寄らなくなっていた家屋にも、エサを探しに戻って来る可能性があるのです。
エサをただなくすだけではネズミ被害の完全解決には至らず、一定期間の忌避に留まるでしょう。
3-2. 完全な対策には侵入経路の封鎖が必須
エサを排除してネズミを追い出した後は、侵入経路の封鎖が必須です。
侵入経路を完全に塞ぐためには、まず侵入口を特定しましょう。
侵入口はラットサインをもとに見つけられます。
以下の記事をご参考にしていただきながら、侵入口を特定してみましょう。
しかしながら、ネズミは適応能力も高く、かつての侵入経路が断たれたとあれば新たな侵入口を探します。
新たな侵入口を見つけて侵入した先というのは、無論、以前侵入したエリアとは異なるでしょう。
一度侵入を許してしまったネズミが、また別のエリアで新たなエサを探すケースも考えられます。
ネズミ被害を根本的に解決するには、全ての侵入経路の封鎖が不可欠です。
4. ネズミを放置すると発生するリスク

ただ放置するだけでは、ネズミを餓死させるには至りません。
ネズミを退治・駆除せずに放置していると、3つの恐ろしいリスクがあります。
- 配線をかじられて火災・漏電のリスク
- ノミ・ダニの発生とアレルギー被害
- 感染症や病原体の媒介リスク
それぞれのリスクについて、詳細に解説していきましょう。
4-1. 配線をかじられて火災・漏電のリスク
ネズミは、一生涯伸び続ける前歯を研ぐために配線をかじることがあります。
したがって、食いちぎられた配線から漏電やショートが起こり、火災につながるリスクが高まるのです。
国内では過去に、耐火造9階建ての複合ビル地下1階にあった飲食店内の分電盤から出火し、分電盤内の配線が焼損する事例が起こっています。
参考:消防防災博物館「動物が原因で出火した火災事例について」
https://www.bousaihaku.com/foffer/7299/
ネズミは繁殖力が強く、複数で侵入してきたり家屋の中で繁殖したりすることも考えられます。
個体が多ければ多いほど、配線をかじられるリスクも火災のリスクも上がるものです。
配線をかじられないようにする対策については、以下の記事でもご紹介していますので参考にしてください。
4-2. ノミ・ダニの発生とアレルギー被害
ネズミの体表には、イエダニやノミが寄生しています。
イエダニやノミに刺される(噛まれる)と、かゆみや皮膚炎が引き起こされます。
当然、被害を被るのは住民である人間だけではありません。
ペットも同様に、かゆみや皮膚炎を引き起こす場合があります。
特にイエダニはダニアレルギーを誘発させる恐れもあり、注意が必要です。
4-3. 感染症や病原体の媒介リスク
ネズミは、不衛生な場所を好んで徘徊する動物です。
そのため、ネズミの体表には寄生虫だけでなく、様々な病原菌も付着しています。
ネズミが家屋にいる状態で生活していると、いつの間にかネズミを介して病原体が体内を侵し、感染症にかかる可能性があります。
ネズミを媒介とした感染症にかかるきっかけの一例は、以下の通りです。
- ネズミに直接触る・体をかじられる
- ネズミがかじった食品を口にする
- ネズミの糞尿を直接手で触る
- ネズミの糞尿で汚染された水や土壌、ホコリを触れる・飲む・吸入する
ネズミの被害にあった食品は全て破棄し、ネズミが棲み着いている場所の清掃をする際はマスクや手袋、ゴーグルなどを用いましょう。
また、餓死などで死骸となったネズミを放置しないことも大切です。
死骸を放置すると、腐臭や雑菌・害虫の繁殖の原因になります。
特に、害虫はネズミのエサにもなり得ますので、再被害のきっかけを与えかねません。
ネズミの生息が疑われる場合は、食料品への対策とともに、家の中や周辺の衛生環境をチェックしてみましょう。
5. ネズミ被害の相談は協会の無料窓口へ

ネズミ被害を解決するときは、専門家によるサポートが必要です。
ご自身の対策法では限界があり、被害の拡大や再被害のリスクがあります。
ネズミに侵入されない家とは、エサがなくそもそも侵入できない家です。
ネズミのエサになるものはたくさんあり、1つ1つ対処していくのは骨が折れるでしょう。
また、侵入口となる隙間や穴を塞いでしまえばネズミは侵入できませんが、考えられる全ての侵入口を塞ぐのも大変な作業です。
なぜなら、ネズミは「人目につかないように行動」しており、侵入するのも「人目のつかない場所」であるからです。
玄関扉や窓だけでなく、基礎・屋根の隙間、エアコン導入部などからもネズミは侵入してきます。
これらの隙間や穴を初心者が塞ぐのは、困難を伴うでしょう。
だからといって、いきなり害獣駆除業者へ依頼をするのは気が引ける方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の無料窓口へご相談ください。
被害の即時的な対策や駆除業者の選び方など、どんなご不明点にもアドバイスさせていただきます。
ネズミ被害は時間とともに拡大していきますので、お早めにご相談ください。
まとめ
ネズミはエネルギー消費が激しいため、エサがなければ数日で餓死に至ります。
しかし、雑食であるネズミが食べるのは食品だけではなく、生ゴミや石鹸、昆虫までも食べて生き延びようとします。
ネズミを侵入・居住させないためには、エサも侵入する隙も与えないことが重要です。
ネズミの被害にあった食品や配線はすぐに破棄・交換をし、侵入口は徹底的に塞ぎましょう。
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