香川県民が悩まされている害獣とは?害獣の種類や特徴、具体的な駆除・対処方法について徹底リサーチ!

都道府県

近年、全国各地で急増している害獣被害。畑を荒らすアライグマやイノシシ、住まいを荒らすネズミなど、家屋や農作物にダメージを与える害獣に加え、人間がイノシシやクマに襲われる被害も相次いでいます。

害獣の被害は、特別な地域だけの話ではなく、全国各地、どの都道府県においても起こり得ることです。穏やかな瀬戸内海に面した香川県にしても例外ではありません。

本記事では、香川県民が頭を抱えている、香川県に出没しやすい害獣の種類や特徴をご紹介します。また、害獣被害に遭わないための対策や、もしも害獣に出会ってしまった場合の対処方法についても解説しますので、参考にしてください。

香川県とはどんなところ?

四国地方の北東部に位置する香川県。日本の47都道府県の中で、最も面積が小さい県です。

まずは、香川県の基本情報と野生鳥獣の生息や被害と密接に関係している同県の気候や地形、土地環境について紹介します。

香川県の基本情報

■県庁所在地:高松市

■面積:1,876.86平方km(日本最小)

■人口:919,513人(2024年4月)

香川県は「讃岐うどん」の本場で、県内には数多くのうどん店があり、「うどん県」として有名です。また、直島や豊島、小豆島など、瀬戸内海に浮かぶ美しい島々でアートや自然が楽しめます。

さらに、全国から参拝客が訪れる神社「金比羅宮」や国の特別名勝に指定されている「栗林公園」など観光名所も数多くあり、コンパクトながら、グルメ、自然、歴史、文化等が凝縮された魅力あふれる県です。

香川県の気候や地形、土地環境

そうした魅力的な面をたくさん持っている香川県ですが、ご多分に漏れず、害獣被害と無縁ではありません。

香川県の地形は半月型で、南部には讃岐山脈が連なり、北部には讃岐平野が広がります。北部は風光明媚な瀬戸内海に面し、年間を通じて温暖で降水量が少ない地域です。

これによって農業が盛んですが、水資源が限られているため、県内の各地でため池が多く作られています。ちなみに、県内には約1万4000ものため池が点在しており、ため池の数は日本一となっています。

香川県の中心部に広がる讃岐平野では農地が多く形成されており、害獣による農作物の被害が多数報告されています。

県の南部には讃岐山脈や広陵地帯が広がっており、山間部は害獣の生息地となっています。瀬戸内海は「多島美」と称されるように、多くの島々がありますが、これらの島々でも害獣が発生しています。

香川県に生息する鳥獣による被害について

海やため池、平野や山脈、島々と多様な自然に恵まれている香川県には、多くの野生鳥獣が生息しています。その中でもどのような野生鳥獣が「害獣」となり、人間生活にどのような被害をもたらせているのでしょうか。

イノシシ

讃岐山脈周辺や平野部で生息しているとされるイノシシ。農作物への被害が深刻ですが、近年では市街地での出没も珍しくなく、人身被害も多発しています。

香川県野生鳥獣対策システムが発表している市街地でのイノシシ出没状況を見ると、2024年4月は5件、5月は11件、6月は26件、7月は27件、8月は41件、9月は31件、10月は69件となっています。※2024年10月31日現在

四国の玄関とも言われている高松駅周辺や観光地など人の多く集まるところでの目撃情報もあります。また、瀬戸内海を泳いで島から香川県の本土にたどりつくイノシシも多く、海岸沿いも含め、香川県内のいたるところでイノシシへの注意が呼びかけられています。

ニホンザル

香川県では、ニホンザルの中でも「ハナレザル」と呼ばれるサルの目撃情報や被害が増加しています。

ニホンザルは本来、山間部に群れを作って生息しますが、中には集団生活に馴染めなかったり、新しい群れを作ろうとして群れを離れたりする雄のサルがいます。理由はともあれ、群れから離れたサルを「ハナレザル」と呼びます。

ニホンザルの習性として群れを離れることは特別なことではありませんが、ハナレザルは人里に出没することがあるため、農作物被害や人間との接触、怪我や健康被害が問題になっています。

ニホンジカ

香川県におけるニホンジカ生息の歴史は、絶滅の危機に瀕していたため保護して増えて、増えすぎて農作物や森林被害が発生して困り、今度は被害対策のために捕獲して…といった具合に増えたり減ったりを繰り返しています。

現在は、小豆島や讃岐山脈などの山間部でニホンジカの個体数が増加し、農作物の被害や森林・緑地環境の破壊を引き起こしています。

アライグマ

北アメリカ原産の野生動物で、本来は日本にも香川県にもいないはずのアライグマ。もともとは1970年代にペットとして輸入されたものですが、見た目の可愛らしさとは裏腹、たいへん凶暴で思った以上に懐かなかったことから飼い主に捨てられ、野生化して増えていきました。

アライグマは、果物やスイカ、トウモロコシを中心に畑を荒らします。屋外で飼育されているメダカや金魚等もアライグマの捕獲対象として被害に遭っています。また、空き家に住みついて糞尿による人体への健康被害などが懸念されています。

香川県に限らず全国各地で被害が増加しているアライグマは、国外から持ち込まれた生物の中でも、生態系や農林水産業、人体の命や健康等に重大な被害を及ぼす恐れがあるとして「特定外来生物」に指定されています。

ヌートリア

アライグマと同じく特定外来生物に指定されているヌートリア。香川県中西部に位置する丸亀市に属する島々や小豆島、直島では、岡山県から泳いできたと見られるヌートリアによる野菜や水稲の被害が報告されており、増加傾向にあります。

ヌートリアは、1920年~1930年頃、毛皮として輸入され始めたのですが、毛皮の需要が減少したことから放置されたり逃げ出したりして野生化しました。湖沼や河川などの水辺に住み、非常に繁殖力が強い動物のため、被害の拡大が懸念されています。

ものぐさで、攻撃的な性格ではないため、自分から人を襲ったりすることはありませんが、それでも身の危険を感じたら、噛むことがあるので注意が必要です。

害獣に遭遇してしまったときの対処法

香川県における害獣被害は年々増加しており、一般の人々の暮らしを脅かす存在になりつつあります。もはや農業や森林に関わっていないから無関係とは言っていられない状況です。

もしも、香川県で害獣に遭遇してしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

まずは、害獣に出遭わないように気をつける

害獣とされている野生鳥獣のほとんどが本来は臆病な生き物であり、積極的に人間に近づいてくるわけではありません。

香川県の市街地各所に出没しているイノシシにしても、食べるものを求めてやむなく人里を徘徊するようになりました。

人の気配がすれば逃げていく性質があるので、大声で友だちと話したり、音が鳴るものを身につけたりして、イノシシに存在を知らせることで、イノシシはあえて人間には近づくことはないでしょう。

もしも、イノシシに出遭ってしまったら?

突然大きな音を立てるとイノシシが驚いて追いかけてくることがあるので、静かにその場から離れる、逃げる必要があります。

そして、目を合わせないことです。とはいえ、背を向けて逃げるとイノシシが追いかけてくることがあるので、背を向けずに、ゆっくりと後ずさりしながら電柱や樹木、塀や壁に隠れましょう。もしも身を隠す場所がなかった場合は、傘などの持ち物で壁をつくると効果的とされています。

また、イノシシはジャンプしたり、高いところに登ってまで襲ってくることはほとんどないので、少しでも高いところに逃げるようにしましょう。

それでもイノシシに襲われそうになったら⁉️

突進してきたら、それをまともに受けないように、正面衝突しないように防御の姿勢を取ります。体を屈め、体育座りのようになって急所を守りましょう。

武器があったとしても、反撃はしないことです。イノシシに勝つのは難しいですし、反撃すればイノシシが攻撃を止めません。逃げる、避難する、守るを優先しましょう。

ニホンザルは、放置せずに積極的に追い払う

野生動物は、人間の存在に慣れることで恐怖心が取り除かれて警戒心が薄れ、積極的に人間に近づくようになります。どんな理由にせよ、害獣に餌付けをする行為はもちろんすべきではありません。餌付けをしなくても、放置するべきではない害獣もいます。

例えば、ハナレザルのニホンザルが住宅地に来てしまった場合、何もせずに放っておくと、「ここにいても大丈夫」と勘違いし、居着いてしまう可能性があります。もしも見かけたら、放置せずに大きな音を立てながら威嚇して追い払うことが大切です。

ただし、追い払おうとしても逆に威嚇してくる場合は、人間に慣れた危険なニホンザルの可能性があるので、それ以上興奮させるようなことはせずに、その場を離れて避難しましょう。

アライグマは、刺激を与えずに静かに離れる

アライグマは、人前に身をさらすことを嫌っているので、側溝や空き家、地下の暗い場所に潜んで暮らしています。

凶暴な面もありますが、こちらから刺激をしたり、攻撃をしたりしなければ、人間に直接危害を加えることはないので、遭遇してしまった場合は、刺激を与えずに静かに、その場を離れるようにしましょう。何もしなければアライグマは立ち去っていきます。

香川県の主な害獣被害防止のための対策は?

香川県では、さまざまな害獣に、さまざまな被害を被っており、農作物や森林、自然、人々の安心・安全な暮らしが脅かされています。

こうした害獣被害を防止するためにはどのような対策が考えられるのでしょうか。

害獣が寄り付かない環境づくりに努める

香川県に生息している害獣の多くの目的は食べ物です。庭先や野外に食べ物を置いておくと、それを取りに野生動物がやってきます。

人間は食べ物だと思っていなくても、ゴミの中の残飯を漁る害獣もいます。ここであげた害獣以外にも、カラスや猫、ネズミ等にゴミ収集所のゴミを荒らされるという被害はあちこちで起こっています。食べ物とゴミをしっかりと管理し、害獣が寄り付かないようにすることがまず大切です。

イノシシ対策

農作物の食害や地面を掘り返すことで環境を破壊しているイノシシ。対策方法としては、電気柵の設置、箱罠やくくり罠による捕獲、雑草を刈り取るなど山際の環境整備が考えられます。

また、自治体においては狩猟期間を延長するなどの対策を講じています。

ニオンザル対策

農作物の食害や住宅への侵入・破損などの被害が増えているニホンザル(ハナレザル)。対策方法としては、農地や果樹園などをネットで囲って侵入を防止したり、光や音で追い払う対策が考えられます。

ハナレザルは加害性が高いので、農作物の被害防止や県民の安全確保のために、自治体において積極的に捕獲・駆除が行われています。

ニホンシカ対策

農作物や森林植生の食害が、香川県だけでなく四国全体として問題視されているニホンシカ。対策方法としては、侵入防止の防護柵の設置や狩猟期間の延長、徳島・愛媛など近隣県との連携による捕獲用囲い罠の開発などの対策が自治体において講じられています。

アライグマ対策

農作物や家畜への被害、住宅への侵入が増えており、全国的にも被害が拡大しているアライグマ。屋根裏や倉庫の隙間に入り込んで棲み着く可能性があるので、侵入口となる隙間を塞いだり、罠を設置して捕獲するなどの対策が考えられます。

また、自治体においては、はこなわによる捕獲技術の向上を図り、外来生物であるアライグマを効果的に地域から排除することを目的に作成した『アライグマ捕獲技術プログラム』を作成するなど対策を講じています。

ヌートリアの対策

水田や畑を荒らす食害のほか、巣穴による水路や堤防の崩壊の被害ももたらせるヌートリア。水辺の草刈りや堤防の点検を行い、巣穴の増加を防ぐ対策や防護ネットの設置、罠により捕獲の対策が考えられます。

※上記すべての野生鳥獣(害獣)の捕獲・駆除には自治体の許可が必要です。

害獣なのに勝手に駆除できない⁉️

人間の暮らしや経済活動に害を与える動物を「害獣」として、私たちは忌み嫌っていますが、野生の鳥獣を勝手に捕獲したり殺処分したりすることは、法律で禁じられています。

ここでは、香川県の害獣としてあげた「イノシシ」「ニホンザル」「ニホンシカ」「アライグマ」「ヌートリア」につてい法規制について説明します。

鳥獣保護管理法について

「イノシシ」「ニホンザル」「ニホンシカ」については、『鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)』という法律が適用されます。

この法律は、野生動物を過剰な捕獲や開発から守り、適切な個体数を維持することで生態系を保護する目的で制定されました。狩猟制度の整備と適切な動物資源の利用がシステム化されたものであり、人間と野生動物の共存を目指すものです。

野生動物が人間の暮らしに大きな害を及ぼす場合には、駆除することで被害を減らすように定められいます。

日本在来のほとんどの野生鳥獣は、この法律に保護されており、駆除する場合は正当な理由とともに自治体に申請し、許可を得る必要があります。駆除する方法等も細かい規定があります。

ただし、ネズミは鳥獣保護管理法で保護されていないため、申請なしで個人で駆除しても問題ありません。

外来生物法について

「アライグマ」「ヌートリア」については、外来生物なので、鳥獣保護管理法とは別の『外来生物法(外来生物の管理に関する法律)』が適用されます。

これは、国外から持ち込まれた外来種の規制や生態系の保護、日本における農林水産業の被害の防止を目的として定められたものです。つまり、日本の人々の暮らしの安全確保のために定められた法律です。

外来生物についても、日本在来の野生動物同様に、捕獲・駆除する場合は自治体への申請が必要です。

勝手に捕獲・駆除するとどうなる⁉️

許可なく野生動物の駆除を行うと罰則の対象となります。

また、野生動物は病原菌を持っている場合があります。動物そのものだけでなく、糞に寄生虫が含まれることもあるので、素人が直接駆除や捕獲を試みるのはたいへんリスクが大きいと言えます。

害獣被害を解決するための近道は?

野生動物の駆除には申請が必要でも、侵入してこないように柵を設置する、侵入口を封鎖するといった対策については個人で自由に行えます。

日本国内だけでなく、海外からも簡単にお取り寄せ、ショッピングできる今の時代、様々な害獣対策グッズが出回っていますので、試してみるのも一つの方法です。

素人・個人での対応には限界がある

しかし、例えば個人での駆除が許されているネズミにしても、素人が駆除するのは至難の業です。

毒餌や粘着シート、トラップが一般的な駆除方法ですが、ペットや子どもへの配慮が必要ですし、ネズミは病原菌やウイルスを媒介することがあるので、駆除後の清掃や消毒を徹底しなければ新たな被害が発生しかねません。

ましてや鳥獣保護管理法や外来生物法で規制が厳しい野生動物となれば、実際のところ、個人での対応には限界があるでしょう。

害獣駆除の専門家や自治体に相談するメリット

野生動物の駆除には複雑な法律や申請許可が伴います。素人にとっては難しく、煩わしい申請手続きや許可の取得も専門家なら慣れたものです。

個人で試みるよりも、専門業者や自治体に依頼することで、法律に即した正しい対処法が約束され、違法のリスクを避けることができます。

何よりも、専門的な知識や経験値により、効果的な駆除方法と成果が期待できます。さらには再発防止策を講じてもらうことができます。

専門の害獣駆除業者に依頼した場合、(あるいは自治体においても)費用はかかりますが、継続的に害獣被害に悩まされることを想定すると、害獣被害を回避するための近道と言えそうです。

まとめ

全国各地で年々増えている害獣被害。ここにあげた害獣以外にも、さまざまな野生動物が香川県民の暮らしを脅かしています。だからといって、野生動物を勝手に駆除することは違法ですのでご注意ください。

害獣被害が拡大する前に、自治体や専門家に依頼することで、法的なリスク回避、効果的な駆除と再発防止が実現します。害獣被害に悩まれている方は、早めに香川県やお住いの市町に相談することをおすすめします。

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