日本にはさまざまな野生鳥獣が生息しており、そのなかには人の生活に悪影響をおよぼす害獣も存在します。
害獣の被害は、日本全国のどこに住んでいても遭遇する可能性がありますが、気候や環境が地域によって異なるため、地域ごとに被害内容は異なります。
熊本県であれば、どのような害獣が出没しやすく、どのような被害をもたらすのでしょうか?
本記事では、熊本県において出没しやすい野生鳥獣の種類や被害内容についてご紹介します。
害獣の具体的な防除法についても解説しておりますので、害獣の被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
熊本県という地域について
九州のほぼ中央に位置する熊本県は、古くから九州の行政・文化・交通・経済の拠点として発展してきた地域です。
自然が豊富で観光地としても有名な熊本県ですが、本章にてその気候や土地環境、生息する野生動物について詳しくご紹介します。
熊本県の気候や土地環境
熊本県は九州本島の中央部に位置する県であり、福岡県・大分県・宮崎県・鹿児島県、そして有明海を隔て長崎県とも接しています(隣接している県は、九州地方最多)。
東部の阿蘇地方に日本第2位の阿蘇カルデラを持つ「阿蘇山」や九州山地の山々がそびえ立ち、西部は熊本平野が有明海に、八代平野・芦北地方のリアス式海岸が不知火海に面しています。
阿蘇があることから「火の国」、恵まれた水資源の宝庫から「水の国」とも呼ばれており、熊本県は非常に雄大な自然と清流に恵まれた土地といえるでしょう。
気候は県内全域が太平洋側気候に属しているため温暖で、熊本市の年平均気温は17.2℃です。
ただし、冬と夏で寒暑の差が激しく、冬の気温は緯度の割には寒冷といわれています。
熊本県は「熊本地方」「阿蘇地方」「天草・芦北地方」「球磨地方」の4つに大別されることが多く、それぞれで気候や降水量に違いが見られます。
【熊本地方】
- 5月から10月にかけての長い期間で真夏日を記録する
- 夕刻には「肥後の夕凪」と呼ばれる無風状態となるために非常に蒸し暑い
- 冬は降雪や積雪こそ少ないものの、朝方の冷え込みが厳しい
- 年平均降水量は約2,000mmであり、その約40%が梅雨期の6・7月に集中する
【阿蘇地方】
- 九州の寒冷地であり、冬場は阿蘇山周辺の山間部で雪が降ることがある(阿蘇市や近隣町村など麓の平地でも、寒波が流れ込んだ際は積雪する)
- 真冬の最低気温は氷点下まで下がる日もあり、1月の平均最低気温は-2.7℃
- 夏場は九州地方においては冷涼で阿蘇山上は気温が30℃に達することはない(麓では、気象条件によっては30℃を超えることもある)
- 年平均降水量は約3,000mmで、他地域に比べてもっとも多雨といえる
【天草・芦北地方】
- 海洋性気候で、寒暖の差は小さい
- 年平均気温は16・17℃ほどで、真冬でも平均最低気温が2~5℃前後と暖かい
- 年平均降水量は約2,000mm
【球磨地方】
- 人吉盆地を中心とした内陸気候と山地型の気候であり、寒暖の差が激しい
- 夏は猛暑日になることが多く、冬は最低気温が氷点下まで下がることも多い
- 年平均降水量は約2,400mmと多い
熊本県の産業・特産物について
熊本県では、その豊かな自然を活かして農業・畜産・水産が盛んにおこなわれています。
農業であれば、デコポンや夏みかんが名産であり、他にもい草・トマト・スイカ・栗・茄子・生姜・オリーブ・イチゴなどの生産量が非常に多いことが特徴に挙げられます(い草は、熊本県以外ではほとんど生産されていない)。
また、熊本県は日本でも有数のお茶どころとして知られており、山間部を中心に高品質なものが作られています。
おだやかな気候を生かして、菊・バラ・カーネーション・カスミソウなど花の栽培も盛んであることも特徴に挙げられるでしょう。
畜産は菊池や阿蘇地域で盛んにおこなわれており、熊本独特の肉牛として名高い肥後の赤ウシは、最近では「肥後ビーフ」の商品名で人気があります(夏の間は赤牛は山野に放牧されている)。
有明海や天草沿岸では、車海老・タイ・のり・あさり・真珠などの養殖漁業も盛んで、いずれも日本で有数の生産高を誇っています。
他にも、イワシ・アジ・サバといった天然ものの漁獲量も多く、アワビやワカメなど新鮮なものがいつでも手に入るところです。
このように、熊本県は自然を活用した第一次産業が非常に活発な地域ということがわかります。
熊本県に生息する野生動物の特徴
広大な自然が広がる熊本県には、さまざまな野生動物が生息しています。
陸生の哺乳類だけでみても7目19科49種が生息しており、一例を挙げると以下の通りです。
- ネズミ類
- リス類
- ウサギ類
- コウモリ類
- イタチ類
- ニホンザル
- ニホンモモンガ
- ニホンカモシカ
- ニホンジカ
- ニホンテン
- アライグマ
- ムササビ
- イノシシ
- アナグマ など
とくにニホンカモシカは、日本特有の動物として極めて重要であるとされ、文化財保護法で国の特別天然記念物に指定されています(熊本県指定希少野生動物にも指定されている)。
故意にケガを負わせたり・死亡させた場合は文化財保護法違反となるため注意が必要です。
熊本県内のカモシカの推定頭数は約40頭とされており遭遇する機会は極めて少ないといわれていますが、万が一発見した場合は、発見した地域の市町村教育委員会へ連絡しましょう。
また、野生動物のなかには、畑を荒らしたり家屋に棲みついたりなどして人々の生活に甚大な影響をおよぼすものも存在します。
野生動物にとってもエサや棲み処を求めての行動で悪意を持ってやっているわけではありませんが、その被害には十分な注意が必要といえるでしょう。
熊本県の野生鳥獣による農作物への被害について
自然の中で暮らす野生動物は、時に人の生活圏に浸入し害獣被害をもたらすことがあります。
とくに農作物への影響は大きく、熊本県でも被害を軽減できるようさまざまな対策を講じています。
本章では、熊本県の野生鳥獣による農作物への被害や、とくに注意すべき野生鳥獣についてご紹介します。
令和4年度の農作物への被害状況
熊本県が公表している「令和4年度農作物被害調査結果について」によると、令和4年度の野生鳥獣による農作物の被害額は5億9,678万円で、前年度より約5,900万円増加しています。
前年度と比べるとカモ類を除く他の鳥獣種すべてで被害額が増加しており、とくにイノシシによる被害額は約8,000万円(+40%)、シカ・ヒヨドリによる被害額は約1,600万円(+97%)と大幅に増えています。
また、被害額が大きいのはイノシシ・カモ類・シカの3種であり、被害が問題視されている野生鳥獣と被害額を表にまとめると以下の通りです。
鳥獣種 | 被害額 | 前年度比 | 前年度からの増減額 |
全体 | 5億9,678万円 | 111% | 約5,900万円増加 |
イノシシ | 2億8,523万円 | 140% | 約8,000万円増加 |
カモ類 | 9,828万円 | 54% | 約8,200万円減少 |
シカ | 6,729万円 | 132% | 約1,600万円増加 |
カラス | 5,608万円 | 121% | 約900万円増加 |
ヒヨドリ | 3,341万円 | 197% | 約1,600万円増加 |
サル | 1,064万円 | 101% | 約100万円増加 |
その他獣類(タヌキなど) | 3,924万円 | 157% | 約1,400万円増加 |
その他鳥類(スズメなど) | 662万円 | 236% | 約300万円増加 |
また、熊本県の平成30年度~令和4年度までの被害合計額を獣類・鳥類に分けると以下のようになります。
【獣類】
- 平成30年度:305,591(千円)
- 令和1年度:295,607(千円)
- 令和2年度:347,887(千円)
- 令和3年度:291,020(千円)
- 令和4年度:402,395(千円)
【鳥類】
- 平成30年度:135,365(千円)
- 令和1年度:234,044(千円)
- 令和2年度:199,933(千円)
- 令和3年度:246,585(千円)
- 令和4年度:194,388(千円)
作物別で見た場合は、果樹の被害額が全体の約39%・野菜が約32%で、前年度に比べ果樹の被害額が増加しています。
さらに、地域別で見た場合は、八代地域の被害額が県全体の約16%を占めており、次いで芦北地域が約13%、宇城・熊本・菊池・玉名地域が約10%を占めています。
前年度と比較して、八代・宇城・熊本・玉名地域の4地域は被害額が減少しているものの、芦北・菊池・阿蘇・球磨・天草・上益城・鹿本地域の7地域では被害額が増加しているようです。
八代・玉名地域はカモ類の被害額が大幅に減少しており、逆に芦北地域ではイノシシ・シカ・ヒヨドリの被害額が増加、菊池地域ではイノシシの被害額が大幅に増加しています。
また、熊本地域を除く10地域でイノシシの被害額が増加しており、今後も野生鳥獣による被害対策を徹底して講じていく必要があるといえるでしょう。
農作物への被害で特に注意すべき鳥獣とは?
ここでは、熊本県において農作物への被害が多い鳥獣の特徴や被害額の詳細について解説します。
なお、熊本県が公表している「令和4年度野生鳥獣による農作物被害状況調査結果について」を参考にしております。
イノシシ
イノシシは熊本県以外でも出没する可能性がある野生動物で、とくに山間地や山麗地でのイノシシによる農作物被害が深刻となっています。
イノシシの農作物への被害は農作物を食害するだけでなく、食べずにただ農作物を引っこ抜くだけであったり、畑を踏み荒らしたりといったものも含まれます。
熊本県ではイノシシによる農作物の被害がもっとも多く、平成30年度~令和4年度までの被害額は以下の通りです。
- 平成30年度:221,756(千円)
- 令和1年度:217,645(千円)
- 令和2年度:252,518(千円)
- 令和3年度:204,424(千円)
- 令和4年度:285,227(千円)
熊本県では地域単位で侵入防止柵の整備や捕獲の強化を実施しており、地域によってはイノシシの被害が減少しているところもあります。
たとえば熊本市の場合は平成23年度の被害額は6,860万円ですが、年度ごとに徐々に被害額が減少しており、令和4年度では2,956万円まで下がっています。
しかし、それでも3,000万円弱の被害が発生していること、熊本県全体で被害が拡大していることから、今後もその対策を徹底していく必要があるといえるでしょう。
さらに、近年ではイノシシの生息数の増加や分布域の拡大により、市街地など人の生活圏に浸入するケースも増えています。
実際、熊本県のホームページにある「イノシシの出没情報について」によると、11月だけでも11件の出没情報があり、11月30日にも北区飛田3丁目付近でイノシシ6頭が出没したという情報も掲載されています。
このことから、農業を営んでいない一般の方でも被害に遭う可能性があるため、十分な警戒が必要です。
万が一イノシシと遭遇した際は、静かに通り過ぎるのを待つか、慌てずにゆっくり後ずさりしてください。
もしスーパーの袋や食べ物を狙って近づいてきた場合は、食べ物や袋を体から遠くに放しましょう。
元来イノシシは臆病で非常に警戒心が強い動物のため、人間と出会っても警戒して自分から逃げていきます。
しかし、人間側がびっくりして大声で叫んだり・大慌てで走って逃げ出したりする、逆にイノシシを追いかけたりして刺激するとイノシシがびっくりして興奮状態になり人に襲い掛かってくるのです。
また、イノシシの繁殖期は12月から1月にかけて始まり約3ヶ月ほど続きますが、繁殖期や分娩期は興奮状態で攻撃的になっているイノシシが多いため、この時期はとくに注意しておきましょう。
イノシシを刺激しないようにして、すみやかにその場を立ち去ってください。
イノシシの出没は地域住民に大きな被害を与える可能性があるため、イノシシを目撃した場合は鳥獣対策室もしくは警察に連絡し、情報を共有することも大切です。
カモ類
カモ類は日本全国の河川や湖などで見られ、日本では主にカルガモやオシドリなどが通年生息しています。
カルガモの親子がひょこひょこと道を渡る風景がテレビで話題になるなど、カモは人間にとってなじみのある水鳥であり「人に危害を加えることってあるの?」と疑問を浮かべる方もいるかもしれませんが、農家にとっては農作物を荒らす天敵たる存在です。
事実、熊本県ではイノシシに次ぐ第2位の被害額が発生しており、平成30年度~令和4年度までの被害額は以下のようになっています。
- 平成30年度:47,570(千円)
- 令和1年度:103,674(千円)
- 令和2年度:104,558(千円)
- 令和3年度:180,479(千円)
- 令和4年度: 98,280(千円)
平成30年から令和1年にかけて爆発的に被害が拡大しており、令和3年では1億8千万円という恐ろしい被害額を発生させています。
水田や畑などの農作物に被害を引き起こすのはカルガモ・ヒドリガモ・マガモの3種類が挙げられ、好物は植物食でさまざまな植物の種子や葉を口にします。
また、種類によって季節ごとに被害状況が変わることも重要なポイントです。
春や秋はカルガモが出没し、春は水田の種もみや苗を食べ・歩き回ることで出芽を阻害する被害が見られ、秋の場合は稲穂を根こそぎ食べられるという被害が発生します。
カルガモ以外のカモは冬に飛来し、農作物への被害が多様化します。
1年をかけて被害に遭う可能性が高いため、全国有数の農業産出県である熊本県では決して軽視できない存在といえるでしょう。
シカ
シカは、おとなしい草食動物ではありますが、農業・林業に関しては甚大な被害をもたらす動物といえます。
まず、熊本県の平成30年度~令和4年度までの被害額は以下の通りです。
- 平成30年度:43,414(千円)
- 令和1年度:39,294(千円)
- 令和2年度:59,568(千円)
- 令和3年度:50,942(千円)
- 令和4年度:67,286(千円)
その被害は徐々に上昇しており、令和4年の被害は前年に比べ約1,600万円(+32%)と大幅に増加しています。
シカは一般的に林縁で生活する動物であり、一部の有毒なものを除き、ほとんどの植物を食べることができます。
とくに人間が育てる農作物は栄養価が高いためシカのターゲットにされやすく、他にもイネ科の草・木の葉・ドングリ・ササなどを好み、好物がなければ周囲にある植物のほとんどを口にします。
加えて、林業用の苗木や樹齢の高い木の樹皮・形成層が食べられたり、オスが角をこする際に樹皮が剥がされるといった、自然や林業への被害にも注意しなければいけません。
近年は、温暖化によって暖冬となるケースが多いこと、高齢化によるハンター人口の減少などもあって、シカの生息数は全国的にも増加傾向にあります。
これ以上被害を増やさないためにも、シカへの対策も徹底しておこなっていかなくてはいけません。
カラス
カラスによる農作物への食害も、農家の方にとって頭を悩ませる問題です。
被害額もイノシシの次に多く、平成30年度~令和4年度までの被害額は以下の通りとなっています。
- 平成30年度:1,707万円
- 令和1年度:1,653万円
- 令和2年度:1,019万円
- 令和3年度:1,011万円
- 令和4年度:1,033万円
ここだけを切り取ってみると令和2年度から被害額が大幅に下がっているように感じます。
ただ、平成25年度までは約1,400万円の被害を出していたのが、平成26年には814万円・平成27年には495万円まで大幅に被害額を減らしており、その翌年の平成28年に1,721万円まで被害額が大幅に増加しています。
その後、平成29年~令和1年までは約1,700万ほどの被害が発生しているため、被害が減ったとしてもまだまだ油断はできないといえるでしょう。
加えて、カラスは市街地にも出没し、ゴミ袋をくちばしで破って中の生ごみを食い荒らす・フンを落とす・鳴き声による騒音などの被害を発生させる厄介な鳥です。
日本各地でカラスの被害は問題視されており、地域ごとにさまざまな対策が実施され少しずつその効果が現れてはきていますが、今後も徹底した対策が求められます。
ヒヨドリ
ヒヨドリは全国に分布する小型の鳥であり、バードウォッチャーの観察対象となるなど人々に人気のある鳥です。
しかし、果樹を食害するため、農家にとっては対処すべき害鳥といえます。
ヒヨドリによる、平成30年度~令和4年度までの被害額は以下の通りです。
- 令和1年度:12,620(千円)
- 令和2年度:63,196(千円)
- 令和3年度:26,613(千円)
- 令和4年度:16,991(千円)
- 令和5年度:33,412(千円)
カモやカラスと同じく害鳥として大きな被害をもたらす鳥であり、令和4年度は前年にかけて約1,600万円(+97%)増加しています。
カモの場合は前年度比が+54%、カラスの場合は前年度比が+21%のため、その被害額の上がり具合はすさまじいものといえるでしょう。
ヒヨドリは果樹を好んで口にするため、デコポンや夏みかんなどの柑橘類を名産とする熊本県では、ヒヨドリの被害は死活問題です。
(ムクドリと異なり「ショ糖」を消化できることから、柑橘類に被害を出す代表的な鳥として知られている)
なお、ヒヨドリはかつては渡り鳥でしたが、現在は日本の各環境に適応し留鳥として日本全国に一年中生息しています。
被害額を減らすためにも、早期かつ適切な対策を講じるべき鳥といえるでしょう。
サル
山奥に生息するサルも、エサを求めて人里へ下りてくるケースがあり、今では市街地に出没し畑や街を荒らすなど人間への被害が増加しています。
熊本県での平成30年度~令和4年度までの被害額は以下の通りです。
- 平成30年度:7,107(千円)
- 令和1年度:9,996(千円)
- 令和2年度:10,285(千円)
- 令和3年度:10,583(千円)
- 令和4年度:10,642(千円)
被害は、ここまでにご紹介した他の野生鳥獣に比べて低めではあるものの、それでも一千万円ほどの経済被害が発生しているため軽視できるものではありません。
なお、街中での目撃情報も増加しており、万が一サルと遭遇してしまった場合は、以下の点に注意しておきましょう。
- 近寄らない:野生のサルは人慣れしていないため、むやみに近づくと襲われることがある
- 目線を合わせない:サルに目線を合わせると威嚇されたと思い、襲ってくることがある
- 刺激しない:大声を出す・物を投げる・棒で追い立てるなどサルを刺激する行為は、興奮して襲ってくることがあり要注意
- エサを見せない・与えない・放置しない:エサを与えた人を怖がらなくなる(人慣れする)と、サルが居ついたり人家に侵入する可能性が高まり、地域全体に被害を及ぼす原因となる
もしもサルを見かけた場合は、慌てず静かにその場を去り、お住いの自治体へ目撃した旨を伝えましょう。
サルは非常に頭がよく、熊本には「阿蘇お猿の里 猿まわし劇場」という、さまざまな芸を披露するエンターテインメントパークがあります。
こういった場所で生活しているサルは人間によって躾けられており、野生のサルとは少し異なる存在です。
街中で遭遇するサルは襲い掛かってくる危険もあるため、絶対に不用意に近づかないようご注意ください。
家屋に棲みつく野生動物にも要注意!
ネズミ・アライグマ・ハクビシン・イタチ・コウモリなど、野生動物のなかには家の屋根裏や床下などに棲みつき、さまざまな被害をもたらす害獣の類も存在します。
主な被害は、健康被害や感染症の発病・建物の腐食被害が挙げられ、放置するほどにその被害は甚大なものとなっていきます。
ネズミを除く野生動物は「鳥獣保護管理法」(外来種であれば外来生物法)によって保護・管理されているため、無許可で捕獲や駆除することが禁じられているため、もし家の中や周辺で害獣・痕跡を発見した場合はプロの業者へ駆除を依頼することが重要です。
素人ができることは市販の対策グッズを使って侵入を防止するか追い出すことくらいしかできず、その作業にも多大な手間とリスクが発生します。
プロの業者に依頼するほうが防除費用は高くなるものの、駆除・侵入経路の封鎖・清掃や消毒など防除にかかる作業のすべてを徹底しておこなってくれ、万が一被害が再発した際にも迅速かつ格安で対応してもらえます。
「中・長期的に害獣の被害に悩まされたくない」と考える方は、プロの業者へ依頼したほうが総合的にお得といえるでしょう。
もし「いきなり業者へ相談するのは不安…」と感じる場合は、お住いの自治体に相談してみるのもよいでしょう。
自治体によっては、害獣被害の相談に乗ってくれたり、業者の斡旋をしてくれるケースもあります。
ただし、自治体によってサポート内容には違いがあるため、事前にお住いの自治体のホームページを確認しておくことが重要です。
【熊本県】野生鳥獣に関するよくある質問
本章では、熊本県における野生鳥獣に関するよくある質問をご紹介します。
もし野生動物を目撃したらどうしたよい?
もし、野生動物を街中などで見かけた場合は、お住いの自治体へ連絡しましょう。
野生動物は、イノシシのように見るからに危険度の高い動物以外も警戒しなければいけないものばかりです。
一見すると可愛らしく見える動物でも、不用意に近づくと驚いて襲い掛かってくることがあります。
また、野生動物はその体に多数の病原菌や寄生虫を有しているため、怪我をすればそこから菌が入り込みますし、触れただけでも感染病を発病する危険もあるでしょう。
無許可で捕獲・殺傷することは法律で禁じられており、放置しておけば地域全体で被害が拡大する恐れもあるため、他人事と考えず地域単位で情報を共有することが大切です。
傷ついた野生鳥獣を見つけた場合はどうすべき?
傷ついた野生鳥獣を見かけても、何もせずそっとしておくようにしましょう。
傷ついて弱っている動物を見て「かわいそう…」となんとかしたくなる気持ちも十分に理解できますが、人間がむやみに保護してしまうと野生に戻れなくなる可能性があります。
かといって、法律の関係から自己の判断で勝手に飼うこともできません。
また、傷ついた野生動物でも不用意に近づけば襲われる危険もあり、助けようとした結果大怪我を負ってしまったということにもなりかねません。
野生動物には治癒能力があり、ある程度の傷なら時間とともに治っていきます。
仮に命を落とすことになったとしても、それが食物連鎖としての重要なサイクルの一つとなるため、ここに人間が介在するべきでもありません。
何もせずにそっとしておき、念のためお住いの自治体や熊本県鳥獣保護センターに目撃情報を連絡しておきましょう。
熊本に「クマ」は出ないの?
熊本といえば「クマモン」というマスコットキャラクターがおり、クマが生息しているとイメージする方も多いかもしれません。
しかし、九州地方にクマは生息しておらず、2012年に環境省から絶滅宣言も出ています。
一説によると「九州の山は人工林が非常に多く、人工林にはクマが冬眠をする際のエネルギー源になる「どんぐり」が実らない。冬眠をする場合のエネルギー源がないということで、クマが生きていけないのではないか」と考えられてるようです。
他にも「九州の山はそれぞれが分断されているため、広い面積を生息地とするクマが生きにくいことも関係がある」といわれています。
ただし、古くは九州地方にもクマが生息していたことはり、今後クマの生息域が拡大する可能性もゼロではありません。
実際、別の地域ではクマの生息数が増加・生息圏が拡大しており、クマによる被害も甚大なものとなっています。
クマの目撃情報があればメディアで取り上げられる可能性は高いでしょうから、自然の多い場所にお住いの方は、念のために情報収集をしておいても無駄になることはないでしょう。
まとめ
熊本県は広大な自然が広がる地域であり、第一次産業も活発におこなわれている地域です。
それだけに野生鳥獣による農作物への被害を無視することはできず、柵や捕獲機などさまざまな対策が実施されています。
また、近年は野生動物が市街地などに出没するケースも増加しているため、より一層地域単位で協力して対策を講じていく必要があるといえるでしょう。
もし家の中に害獣が棲みついていると感じる場合は、自身で無理に対処しようとせず、プロの業者や自治体へ相談することをおすすめします。
然るべき対策をおこない、害獣による被害をできだけなくせるよう工夫してみましょう。
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