埼玉県に生息する害獣の種類や駆除方法は?生態の特徴や効果的な対処法を解説!

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害獣の被害は、日本全国のどこに住んでいても遭遇する可能性があります。

ただし、地域によって気候や環境が異なるため、日本全国に生息する動物もいれば、特定地域にしか生息しない動物もいるため注意が必要です。

野生鳥獣による被害でもっとも深刻なものは農作物への食害ですが、近年では市街地に出没し人身被害をもたらす動物や家屋に棲みついて害獣被害を発生させる類も存在しています。

埼玉県にもさまざまな野生鳥獣が生息していますが、どのような野生鳥獣が出没しやすく、どういった被害をもたらしているのでしょうか?

本記事では、埼玉県の地域において出没しやすい害獣の種類や特徴をご紹介します。

害獣の具体的な防除法についても解説しておりますので、害獣の被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

埼玉県の地域の特徴について

埼玉県は日本の関東地方に位置する県であり、県庁所在地はさいたま市です。

都心に近く交通網も充実、さらに自然が豊かという特徴、現在のライフスタイルを大きく変えることなく日々に少しずつ潤いを足していくことができます。

本章では、埼玉県の地域性(土地環境や気候)や特産物、生息する野生鳥獣について詳しくご紹介していきます。

埼玉県の気候や土地環境

埼玉県は関東地方に位置しており、群馬・栃木・茨城・千葉・東京・山梨・長野に隣接する県です。

また、首都圏に近いことから、昼間の人口流出が全国1位であり、県南東部を中心に東京のベッドタウンとしての性質が強いといえるでしょう。

埼玉県の気候は、秩父地方が中央高地式気候、それ以外の地域は太平洋気候に属しています(内陸県のため内陸性の気候も見られる)。

そのため、冬季は全体的に冷え込みが厳しく、東京特別区・横浜市・千葉市などとは異なり毎日のように氷点下を記録する地域が多いとされています(秩父地方は特に冷え込みが厳しく、厳冬期は-10℃近くまで冷え込むこともある)。

一方、夏季は他県と比較しても全体的に暑さが厳しく、県内のほぼ全域で猛暑日となることが多いようです。

熊谷・越谷・鳩山町などは日本国内でも屈指の酷暑であり、40℃を超える気温も観測されています。

降水量は全般的に少ないが、特に冬季の降水量が非常に少ないといえるでしょう。

なお、同じ埼玉県でも地域によって以下のように特性が異なります。

【南部】

  • 冬の北西の季節風は比較的弱いが、日本海を発達した低気圧が通るときに南の風が強まる
  • 朝の冷え込みは比較的弱く、冬でも県内では暖かい地域といえる(霜の降りる期間も短い)
  • 南の地域ほど海の影響を受けやすく、台風が発生すると塩害を受けることもある
  • 山沿いでは冬の夜間の冷え込みが強く最低気温が-10℃ぐらいに下がることもある

【北部】

  • 夏と冬の気温が県内で高い地域にあり、夏の日最高気温は熊谷で41.1℃を記録している
  • 雷雨が多く突風が吹きやすく、また降雹の多い地域でもある
  • 雨量は県内でも比較的少ないほうだが、冬の季節風が強まると県内でもっとも風の強い地域となる
  • 山沿いでは夜間の冷え込みが強く晩霜の害を受けやすい

【秩父地方】

  • 県内では気温が低い地域かつ霜や氷の期間が比較的長い、また気温の日較差が大きい
  • 盆地では冬期に夜間の冷え込みが強く、秩父における1月の平均最低気温は-3.8℃であり、最低記録としては-15.8℃を記録している
  • 風は比較的弱いが、台風時には瞬間的に強い風が吹くことがある
  • 雨量は9月にもっとも多く・県内では雨の多い地域となっており、放射霧による濃霧の発生も多い。

なお、埼玉県は、(地域によって多少の差異はあるものの)地震や台風などの自然災害が比較的少ない地域として知られています。

さらに近年の災害の激甚化・頻発化を踏まえ、流域治水の推進や 防災に取り組みやすい社会づくりを進めており、災害リスクが少ない地域ともいえるでしょう。

埼玉県の産業・特産物

都市部に近い地域であるものの埼玉県は自然が豊かなかつ面積に占める河川の割合が多い地域としても知られており、特に北部は近郊農業が盛んな地域でもあります。

ネギ・ホウレンソウ・里芋・小松菜・カブといった産出額が全国3位以内に入る農作物もあり、農業産出額の約半分が野菜、次いで畜産・米となっています。

伝統野菜としては「青ナス」、秩父の「しゃくし菜・のらぼう菜」、川越周辺の「サツマイモ」などが挙げられるでしょう。

また、狭山市・川越市・入間市・所沢市などの南西部の台地では、チャノキの生産が盛んで狭山茶が有名です。

水田は県内各地にあり、(うどん文化もあることから)北部地域で麦類と米との二毛作で栽培されています。

林業は、県西部の山岳地帯を中心におこなわれており、主力樹種はスギとヒノキです(12万haの森林面積の8割が私有林である)。

奥秩父の高山にはモミ属やツガ属の原生林も残り、場所によってはアラカシなどの南方系樹種も混じっています。

埼玉県に生息する野生動物の種類

自然が豊かな埼玉県の地域では、さまざまな野生鳥獣が生息しています。

獣類としては、日本人とも馴染みが深いサルやシカ、外来種であるハクビシンやアライグマ、人身被害などに注意が必要なイノシシなどが挙げられます。

鳥類としては、カラス・ヒヨドリ・ムクドリ・スズメ・カモなどが挙げられるでしょう。

近年は日本の各地で野生動物の生息数・生息域が拡大しており、エサや棲み処を求めて人里までやってくるものも増えています。

それらが害獣被害として人の生活を脅かしており、その被害を軽減するための対策が県・地域単位で実施されています。

埼玉県の野生鳥獣による害獣被害について

自然の中で暮らす野生動物は、時に人々の生活圏に入り込み、さまざまな悪影響をもたらします。

農作物への食害はもちろん、近年は家屋に棲みついて害獣被害をもたらす動物も増加しており、埼玉県でも被害を軽減できるようさまざまな対策が講じられています。

本章では、埼玉県の令和5年度の農作物への被害状況や、埼玉県が実施している農作物の鳥獣被害防止対策事業についてご紹介します。

令和5年度の森林への被害状況

野生鳥獣による農作物への被害は日本各地で増加しており、埼玉県でも深刻な問題として取り上げられています。

野生鳥獣の生息域が拡大していることに伴い、近年の被害金額は1億円規模で推移しているようです。

埼玉県のホームページ「鳥獣害対策-野生鳥獣による農作物の被害状況について」にて、被害の大きな鳥獣の種類と被害額が公表されており、平成30年~令和5年は以下の通りです。

【獣類】(単位:万円)

獣類平成30年度令和1年度令和2年度令和3年度令和4年度令和5年度
イノシシ2,8303,7761,6891,5621,0961,164
シカ1,6001,3441,0761,4221,7321,457
サル1,2031,3448271,1091,1741,462
ハクビシン1,1101,050517673953621
アライグマ1,6352,1362,6032,3471,9172,261
その他478246232285151225
8,8569,8966,9437,3997,0247,189

参考:埼玉県 鳥獣害対策-野生鳥獣による農作物の被害状況について

令和5年だけで見ると獣類のなかではアライグマによる被害金額がもっとも多く、次いでシカ・サル・イノシシ・ハクビシンの順で、この5種が県全体の約86%を占めています。

シカは秩父地域からその外縁の丘陵地域に被害が拡大しており、アライグマやハクビシンは県内全域に被害が広がっています。

【鳥類】(単位:万円)

鳥類平成30年度令和1年度令和2年度令和3年度令和4年度令和5年度
カラス460625631515492505
ヒヨドリ151300156260140266
ムクドリ22925458465051
スズメ1302171672025780
カモ391420662921
その他19512091945963
1,0291,4611,2411,283828987

参考:埼玉県 鳥獣害対策-野生鳥獣による農作物の被害状況について

鳥類の被害は獣類に比べれば被害額が低めではありますが、それでも軽視できるような金額ではありません。

特に、カラスの被害は農作物だけでなく地域住民にとっても迷惑なものであり、今後も継続的な対策が必要です。

鳥獣被害は、農業者の経済的損失だけでなく、営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、被害額以上の影響を地域に及ぼしてしまいます。

依然として深刻な状況が続いていることから、今後も継続的な対策が必要となるでしょう。

埼玉県の鳥獣被害対策に関する補助事業について

野生鳥獣の被害を少しでも軽減するため、埼玉県では鳥獣害防除担当がさまざまな業務を担当しています。

【鳥獣害防除担当の業務】

  • 野生動物モニタリング調査
  • 野生鳥獣による被害防止技術に関する研究
  • 野生動物管理に関する研究
  • 被害防止のための啓発・指導 など

また地域によっては、有害鳥獣への被害防止のための補助金が活用できるケースもあります。

利用できるパターンや対象となる有害鳥獣などは自治体によって異なるため、詳細はお住いの自治体のホームページなどで確認を取ってみましょう。

農作物への被害で特に注意すべき鳥獣とは?

この章では、埼玉県において農作物への被害が多い鳥獣の特徴や被害額の詳細について解説します。

被害額などの詳細は、埼玉県のホームページで公表されている「鳥獣害対策」を参考にしております。

警戒すべき獣類

まずは獣類からのご紹介です。

ここでは計5種類の野生動物をご紹介しており、ハクビシンやアライグマなどの中・小型の動物は、家屋に棲みつきさまざまな被害をもたらす厄介な害獣としても知られています。

野生動物の被害は農作物だけにとどまらず、人々の生活に甚大な悪影響をおよぼす恐れがあることを理解しておきましょう。

イノシシ

イノシシ(ニホンイノシシ)は、西日本を中心に、本州・四国・九州と幅広く分布しています。

全国的にイノシシの生息数や生息域は拡大しており、埼玉県でも目撃されるケースが増えているといわれています。
(埼玉県では、主に東部・西部・北部・秩父地域でイノシシの出没が確認されている)

事実、イノシシによる農作物への被害は大きく、平成30年~令和5年の農作物への被害は以下の通りです。

  • 平成30年度:2,830(万円)
  • 令和1年度:3,776(万円)
  • 令和2年度:1,689(万円)
  • 令和3年度:1,562(万円)
  • 令和4年度:1,096(万円)
  • 令和5年度:1,164(万円)

イノシシは雑食性であり、水稲・いも類・野菜・果樹などさまざまな作物を食害します。

また、イノシシは市街地に出没するケースも増えており、人身被害にも注意が必要です。

埼玉県では、令和6年9月2日、小鹿野町下小鹿野でイノシシに噛まれる人身被害が発生しており、今後も注意すべき害獣の一種といえるでしょう。

イノシシは警戒心が強く臆病な性格をしているため、”興奮状態でなければ”遭遇してもイノシシから去っていくことも多いでしょう。

そのため、遭遇時に大声を出す・犬をけしかける・物を投げる・棒で追い立てる・走って逃げるといった行為でイノシシを刺激してしまうと、イノシシが興奮して襲い掛かってくる可能性が高まります。

繁殖期や分娩期といった時期(特に冬から春先にかけて)は興奮状態であるイノシシも多いため、この際は襲い掛かってくる確率が高まるため注意しておきましょう。

イノシシは興奮していると、牙を鳴らして音を出す・毛を逆立てる・地面をひっかくなどの動作をします。

逃げる際は、イノシシに背を向けると襲い掛かってくる可能性があるため、背を向けずにゆっくり後ずさりし高いところや見えないところに逃げてください。

イノシシは時速45~50kmで走ることができるため、人間が走って逃げることは不可能です。

なお、イノシシの子ども(うり坊)に遭遇した際も、母イノシシが近くにいる可能性が高いため、絶対に近づかないようにしましょう。

シカ

地球温暖化によって暖冬となるケースが多いこと・高齢化によるハンター人口の減少などを理由に、近年は日本各地でシカの目撃情報が増加しています。

埼玉県でもシカの目撃情報が寄せられており、加えて農業被害なども確認されています。

平成30年~令和5年のシカによる農作物への被害は以下のように公表されています。

  • 平成30年度:1,600(万円)
  • 令和1年度:1,344(万円)
  • 令和2年度:1,076(万円)
  • 令和3年度:1,422(万円)
  • 令和4年度:1,732(万円)
  • 令和5年度:1,457(万円)

シカの農業被害は、食性の広さからあらゆる農作物が対象となります。

収穫直前の農作物や発芽直後の芽や生育中の葉など農作物の全生育ステージが食害を受けることから、被害が大きくなりやすいといえるでしょう。

苗木・樹齢の高い木の樹皮や形成層を食べる、オスが角をこする際に樹皮を剥がすといった行為によって、森林(林業)への被害も甚大です。

シカは臆病な動物であり、追いかけたり・刺激を与えたりすると道路などに飛び出し、交通事故を引き起こす危険性もあります。

シカは夜行性の動物のため、特に日没や夜明けの前後は注意が必要です。

サル

近年、サルの目撃情報も増加傾向にあります。

サルは農作物を荒らすだけでなく、人を威嚇し噛むといった人的被害をもたらす恐れもあるため要注意です。

まず、平成30年~令和5年のサルによる農作物への被害は以下のように公表されています。

平成30年度:1,203(万円)
令和1年度:1,344(万円)
令和2年度:827(万円)
令和3年度:1,109(万円)
令和4年度:1,174(万円)
令和5年度:1,462(万円)

令和5年であれば、アライグマに次いで被害額が大きく、シカとほぼ同じくらい農作物への被害が発生していることになります。

さらに、サルは人の生活圏内に出没するケースも増加しており、一般の方でも注意が必要です。

市内に出没したサルなどの野生動物は移動中の場合が多く、人がかまわなければ数時間でどこかへ行ってしまいます。

その一方で、至近距離で出会う・逃げ道がないといった場面では、人のちょっとした動きに過剰に反応することがあるため、できるだけかまわず、見過ごすようにしましょう。

もしもサルと遭遇した場合は、以下のポイントに注意してください。

  • 近寄らない
  • 目を合わせない
  • 大きな声を出さない
  • エサを与えない・エサを見せない
  • 戸締りを徹底する

サルは人にとって馴染み深い動物であり、見かけた際に近寄ったりエサをあげようとする方もいるかもしれません。

しかし、人からエサをもらったサルは人慣れしてしまい、警戒心を緩め集団で市街地に出没しやすくなり、家屋への侵入や人間に対する威嚇といった生活被害や人身被害が発生しやすくなります。

どれだけ地域単位で対策を講じても、エサを与える人がいてはサルの被害を無くすことはできないため、人慣れを防ぐこと・サルのエサとなるものを残さないことが重要といえるでしょう。

ハクビシン

ハクビシンは海外から持ち込まれた外来種であり、今や日本の各地に生息に迷惑行為を繰り返しています。

雑食性で甘い物を好む習性があり、農作物であれば特に果樹や野菜が狙われる可能性が高いでしょう。

平成30年~令和5年のハクビシンによる農作物への被害は以下の通りです。

  • 平成30年度:1,110(万円)
  • 令和1年度:1,050(万円)
  • 令和2年度:517(万円)
  • 令和3年度:673(万円)
  • 令和4年度:953(万円)
  • 令和5年度:621(万円)

また、近年ではハクビシンが家屋に浸入し、糞尿汚染や食害などの問題も引き起こしています。

屋根裏に棲みつくことが多くかつ夜行性のため、夜中にドタドタと走り回ったり、鳴き声を発するといった迷惑行為も引き起こされます。

ハクビシンの侵入を防ぐ方法は、侵入経路の封鎖やエサとなるものを表に出さないことが挙げられます。

たとえば、収穫しなかった農作物や耕作放棄地に実のなっている木を放置しておくと、それをエサとして集まってくるため適切に管理しなければいけません。

なお、ハクビシンを捕獲するには鳥獣保護管理法による許可が必要なため、たとえ被害にあっていても無許可で捕獲や駆除ができない点にも注意しておきましょう。

アライグマ

アライグマもハクビシンと同じく海外から運ばれてきた動物であり、現在は日本の各地で繁殖しています。

生態系や農作物などに被害をおよぼすとして外来生物法の特定外来生物に指定されており、飼育・保管・運搬および輸入などが原則禁止されている動物です。

アライグマの食性はハクビシンと同じ雑食性であり、農作物であれば野菜や果樹が被害にあう可能性が高いでしょう。

平成30年~令和5年のアライグマによる農作物への被害は以下のように公表されています。

  • 平成30年度:1,635(万円)
  • 令和1年度:2,136(万円)
  • 令和2年度:2,603(万円)
  • 令和3年度:2,347(万円)
  • 令和4年度:1,917(万円)
  • 令和5年度:2,261(万円)

令和5年では、野生鳥獣のなかでアライグマによる被害金額がもっとも多くなっています。

また、ハクビシンと同様に家屋侵入による糞尿汚損被害も引き起こす恐れがあります。

繁殖力が高いことから、屋根裏や床下などに棲みつかれるとどんどん繁殖し、人やペットの健康被害・建物の劣化などさまざまな悪影響をおよぼす恐れがあるため、気付いたとき(もしくは疑わしいとき)は早めに害獣駆除業者へ対処を依頼すべきといえるでしょう。

埼玉県でも近年アライグマが爆発的にその生息数が増加しており「埼玉県アライグマ防除実施計画」を作り、それに基づいて「アライグマ捕獲従事者養成研修」を開催しています。

この研修を修了した方は、市町村で捕獲従事者の登録をおこなうことで、狩猟免許がなくても市町村で実施するアライグマ捕獲に従事することが可能です。

このように、埼玉県でも市町村などと連携しながらアライグマを根絶するための対策が実施されています。

クマにも要注意!

近年クマの出没は全国各地で相次いでおり、クマの目撃情報だけでなく、クマによるとみられる死亡事故も複数発生しています。

クマは冬眠に入る前の10~11月にかけて、餌を求めて人里まで行動圏が拡大するといわれており、林縁地付近のほ場等での農作業においては、特に注意が必要です。

また、秋は紅葉やキノコ狩りを楽しむために山登りをする方も増えますが、この時にクマと遭遇する可能性が高い時期ともいえます。

12~3月ごろは冬眠のために目撃する機会はほとんどありませんが、それ以外の時期だと、目撃情報がある地域に訪れる際はかならず地域のクマ情報をしっかりとチェックしておいたほうがよいでしょう。

万が一遭遇した際のことも考慮して、クマによる被害防止方法を農林水産省や環境省のホームページで確認しておくことも重要です。

警戒すべき鳥類

埼玉県では鳥類による農作物への被害も大きく、特に大きな被害を出しているのはカラス・ヒヨドリ・ムクドリ・スズメ・カモが挙げられます。

カラス以外の鳥類は、一般の方からすると害鳥という印象を受けないかもしれませんが、農家の方からすれば「農作物を食い荒らす」ことから警戒すべき存在です。

以下、群馬県で警戒すべき3種の鳥類の特徴をご紹介します。

カラス

カラスによる被害は全国的に問題視されており、各地域単位でさまざまな対策が実施されています。

カラスによる被害は、農作物だけでなく地域住民にも甚大な被害が発生してしまいます。

まず、埼玉県では鳥類のなかでもっとも農作物への被害額が大きく、平成30年~令和5年の農作物への被害は以下のように公表されています。

  • 平成30年度:460(万円)
  • 令和1年度:625(万円)
  • 令和2年度:631(万円)
  • 令和3年度:515(万円)
  • 令和4年度:492(万円)
  • 令和5年度:505(万円)

また、ごみを漁ったり・巣を作ったり・大量に集まって大声で鳴いたり…と、市街地での迷惑行為にも注意が必要です。

カラスの巣やヒナを見かけたら、被害に遭わないよう注意してください。ほとんどの場合、ヒナが巣立てば被害はなくなります(巣作りから巣立ちまでの期間は約2ヶ月ほど)。

カラスによる被害を未然に防ぐ方法としては、以下が挙げられます。

  • カラスの巣を見かけたら、なるべく巣を避けて迂回する
  • やむを得ず巣の近くを通行する場合は、帽子や傘で防ぐ
  • カラスが人を襲う前に出すサイン(鳴きながら周りを飛ぶ、木の葉を散らす)に気づく
  • ごみは収集時間に合わせて出す
  • ビニール袋で出す場合は、口をきちんと閉じる
  • カラスは目が良いため、生ごみは見えないように袋の奥に入れるなどの工夫をする
  • ネットはごみがはみ出さないようにしっかり覆って掛ける

人に迷惑をかけるカラスといえど「野生鳥獣」であり、狩猟または鳥獣保護管理法による捕獲許可がある場合を除き、捕獲することは禁止されています。

そのため、一般の方はまずカラスが集まる原因(多くは生ごみ)を取り除くことを検討してください。

そうしないと仮に捕獲しても、また別のカラスがやってきて被害が続くことになるでしょう。

ヒヨドリ

ヒヨドリは人々の生活圏でもよく目にする身近な鳥であり、「ヒヨドリが自宅に巣を作ると縁起がよい」といわれることもある鳥です。

日本の周辺にしか生息していないため、海外のバードウォッチャーには人気が高く、一見すると害がなさそうに感じるかもしれません。

問題なのは農作物を食害することで、主に果実や野菜を食べる・花や蜜など甘いものを好む傾向にあります。

鳥類のなかではカラスに次いで被害額が大きく、平成30年~令和5年の農作物への被害は以下のように公表されています。

  • 平成30年度:151(万円)
  • 令和1年度:300(万円)
  • 令和2年度:156(万円)
  • 令和3年度:260(万円)
  • 令和4年度:140(万円)
  • 令和5年度:266(万円)

他の鳥があまり食べない木の実もよく食べるため、植物の種子を遠くに運ぶのに貢献しているという利点もあるものの、その食性から農作物が被害に逢いやすく注意が必要です。

ヒヨドリは食物繊維を自力で分解してエネルギー変換できる力を有しているため、冬場など食すべき食べものがなくなってくると、野菜に手を出し始めます。

時期を問わず被害が発生する可能性があるため、農家にとっては警戒すべき存在といえるでしょう。

ムクドリ

ムクドリは、農作物に付着する虫を食べてくれる益鳥として重宝されている時期もありましたが、近年では果樹を食べることが問題視されています。

埼玉県でも農作物への被害が拡大傾向にあり、平成30年~令和5年の農作物への被害は以下のように公表されています。

  • 平成30年度:229(万円)
  • 令和1年度:254(万円)
  • 令和2年度:58(万円)
  • 令和3年度:46(万円)
  • 令和4年度:50(万円)
  • 令和5年度:51(万円)

令和2年に被害額が大きく減少し、その後はほぼ横ばいとなっています。

地域住民にも、鳴き声による騒音やフンを落とす被害といったさまざまなトラブルが引き起こされており、今後も注意が必要な害鳥の一種といえるでしょう。

スズメやカモによる被害にも注意が必要

被害額はカラス・ヒヨドリ・ムクドリに比べて少なめではありますが、スズメやカモによる農作物への被害にも注意が必要です。

スズメは、人間が管理する田んぼの畦の植物や稲を食べることから農家にとっては天敵とされています(稲作の天敵である害虫を食べてくれることから益鳥と見られる面もある)。

日本に生息するカモは「カルガモ・ヒドリガモ・マガモ」の3種であり、いずれも野菜への被害が多いとされています。

種類によって季節ごとに被害状況が変わる(春や秋はカルガモが出没し、カルガモ以外のカモは冬に飛来し農作物への被害が多様化する)ことから、1年をかけて被害に遭う可能性が高いようです。

スズメもカモも目にする機会が多く、一見すると害がないように感じるかもしれません。

しかし、農家にとっては警戒すべき天敵ともいえ、今後も被害を出さないための徹底した対策が必要となるでしょう。

野生鳥獣による被害は自治体かプロの業者へ相談しよう!

野生鳥獣によって何らかの被害が生じている場合、まずはお住いの自治体へ相談してみるのがよいでしょう。

畑などの経済的に深刻な被害・地域単位で警戒が必要な鳥獣であれば、自治体が対処に動いてくれたり、補助金などを活用して対策できる可能性があります。

ただし、家屋に棲みつく害獣の駆除の場合、自治体が駆除に動いてもらえないケースがほとんどです(自治体によっては害獣被害の相談や業者の斡旋などのサポートをしてくれるケースはある)。

防除にかかる費用は数万円~と高くなりますが、手間もリスクもかけずに、中・長期的に安心できる住まい環境を提供してもらえるでしょう。

ただし、業者によって防除費用やサービス内容は異なるため、複数社に現地調査や見積もりを依頼し比較したうえで、より自身が安心・納得できる業者へ依頼してください。

まとめ

野生鳥獣による被害は全国各地でさまざまに発生しており、地域ごとに然るべき対策が講じられています。

埼玉県でもさまざまな策が実施されているものの、自然回からやってくる野生鳥獣による被害をゼロにすることはできません。

そのため、人間と野生鳥獣がどのように共生していくかが今後の大きな課題となるでしょう。

また、農作物への被害はもちろん、家屋に棲みつく害獣にも注意が必要です。

一般の方が害獣対策をすることには限界があり、かつ多大な手間をリスクを伴うため、もし実際に被害に遭っている・害獣や痕跡を目撃した場合は、被害が大きくなる前にプロの業者へ対処を依頼することをおすすめします。

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