【徹底解説!】アライグマの被害に遭ったら何をする?アライグマの生態や駆除の方法について調べてみた

都道府県

みなさんはアライグマについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

器用に手洗いをしたり、つぶらな瞳が可愛らしいというイメージでしょうか。もしくは、動物園で見たりアニメを観たりして、親しみを持っている方もいるかもしれません。

しかし、アライグマは日本に住み着いて野生化してから、私たちにさまざまな被害を及ぼしてきました

このページを開いている人の中には実際に被害を受けしまって、アライグマの駆除に関する情報を集めている方もいると思います。

そこで、今回は

  • アライグマはどうして害獣なのか
  • アライグマの被害に遭ったら何をすべきか

について調べてみました!

この記事を読んで、参考になることが見つかれば幸いです。

アライグマってどんな生き物?

アライグマという名前や見た目は知っていても、その生態について詳しく知っている人はあまりいないのではないでしょうか。あまり知らないがゆえに、被害の犯人がアライグマと言われてもピンと来ない人もいると思います。

そこで、アライグマの駆除の方法を解説する前に、アライグマの生態について紹介します。

生態を把握しておくと、アライグマによる被害を防止しやすくなるのでぜひ一読してみてください。

アライグマの見た目

アライグマは、しっぽを含めると1mにもなる中型動物です。

全体的に白または灰色がかった体毛をしており、特徴的なしましまのしっぽを持っています。また、黒いアイマスクをしているような顔をしています。

ところでアライグマは、在来生物のタヌキととてもよく似ています。

みなさんは、どちらがアライグマで、どちらがタヌキかわかりますか?

正解は、左がアライグマで、右がタヌキです。

実はアライグマとタヌキは、ひげの色や手の形から見分けることができます。

アライグマのひげは白く、長く伸びています。一方でタヌキのひげは、アライグマと比べてあまり目立ちません。

また、アライグマは5本指で一本一本の指が長く、人間の手のような足跡を残します。しかしタヌキの指は4本で、犬のような足跡をしています。

被害に遭った場所にある足跡からどんな動物なのか識別することができるので、見つけた時は注意深く観察してみてください。

アライグマの生息地

実はアライグマは、元々北アメリカ原産の動物です。カナダから中米まで広範囲に生息していました。

すなわち、現在日本に生息しているアライグマは、外来生物ということになります。アライグマが日本で個体数を増やした背景にはさまざまな説があります。しかしその原因のほとんどは、動物園の展示やペットのために原産地から輸入されてきたアライグマが、逃げ出したり捨てられたりしたという点にあります。現在では、全ての都道府県でアライグマの目撃情報が報告されています。

日本でよく目撃される場所は、林や里山、農地、住宅地などです。その中でも屋根裏や床下、人気のない倉庫、神社仏閣などの建物は、住処として狙われやすく被害に遭いやすいです。

また、水辺も好み、河川の近くや用水路、側溝などにいるところを目撃されることもあります。

アライグマの習性

アライグマは夜行性です。また、基本的に群れを作らず単独で行動します。しかし、子どもや繁殖期のペアなどは群れを形成して生活します。なお、アライグマは冬眠はしませんが、冬は活動量が低下します。

また、アライグマは雑食です。環境の変化に応じて食べるものを変えることができます。木の実などの植物や昆虫、カエル、ほ乳類だけではなく、時には自分より大きい動物も食べてしまいます。ほ乳類の死骸を食べたという報告もあります。

アライグマには、フンを基本的に同じ場所にする習性があります。フンの大きさは、直径が2~3㎝、長さは5~15㎝と言われますが、実際は食べたものによってその形状は異なります。咀嚼せずに丸のみすることもあるからです。また、雑食であるアライグマのフンには動物の骨や虫の羽などが含まれている場合があり、とても匂います。そしてアライグマのフンには、人体に多大な疾患をもたらす寄生虫も存在することがあります。詳しくは、記事後半の「アライグマによる被害」のところで解説しています。

繁殖についてです。時期はズレるときもありますが、基本的には1~3月に交尾して4~6月に出産を迎えます。普段は単独行動ですが、繁殖期はペアを形成します。アライグマの繁殖能力は高く、メスは生後1年が経過すれば出産できるようになります。2歳以降の妊娠率は、なんと100%に近いです。一度の妊娠で、1~6匹を出産することができます。

アライグマの子どもは母親と集団で生活するため、複数のアライグマを見かけたら、それは母子のアライグマなのかもしれません。

アライグマによる被害

ここからは、アライグマによる被害について解説していきます。

もし下記にあるような被害を受けているのであれば、それはアライグマが原因かもしれません。

アライグマによる被害を放置しておくと、悪化してより被害が深刻化してしまうこともあるので、早めの対策が重要です。

騒音被害

先ほども触れましたが、アライグマは夜行性です。また、手先が器用で触覚に優れていいます。そのため、アライグマは木登りが得意で建物の壁もスイスイと登ってしまいます。もし夜遅くに天井や外から不審な物音が聞こえるなら、それは屋根裏に侵入してきたアライグマによるものかもしれません。特に人が寝静まっている深夜では、その物音は聞こえやすく騒音被害になります。

アライグマの鳴き声は、「クルルル」と喉を鳴らすような声をしています。独特な鳴き声なので、この声でアライグマが住みついていると気づくこともあるそうです。また、アライグマの足音は「ドンドン」と大きな音で響くため、その音でも何かがいると気づくことができます。

アライグマの鳴き声などが聞こえる場合は、アライグマが住みついている可能性が高いです。その場合、アライグマの侵入口を特定して駆除の対策を立てる必要があります。具体的な対策方法については、後述しているので参考にしてみてください。もし見つけることが難しいときは、駆除業者に相談するといいでしょう。

住宅への被害

家屋の屋根裏や人気のない神社仏閣は、アライグマにとって快適な場所です。雨風をしのぐことができ、断熱材のおかげで冬は暖かく、夏も安定した気温が保たれているからです。見た目はかわいいアライグマですが、アライグマが家屋に住みついてしまうと住宅に被害が及んでしまいます。

住宅の場合、特に糞尿による被害が多いです。アライグマは一か所にフンをするため、その箇所の建材が痛んでしまいます。天井にシミが出来たり、ひどい時には天井に穴が開いてしまいます。また、断熱材にも被害が及ぶと、建て替えなどのリフォームが必要になるケースもあり、お金がかかってしまいます

また、春になると繁殖シーズンを迎えたアライグマが、出産のため住宅に住みつきやすくなります。出産し子育てが始まると、母と子の集団生活になるため被害は深刻化します。

健康被害

多種多様なものを食べるアライグマのフンは、強い悪臭を放ちます。しかし悪臭だけではなく、フンには人体に害を及ぼす寄生虫が紛れ込んでいることがあり、非常に危険です。特に、アライグマの小腸にいる「アライグマ回虫」という寄生虫は、人間の体内に入り込むと、脳神経障害を引き起こしたり失明したりする可能性があります。

アライグマ回虫が引き起こす神経幼虫移行症や、眼幼虫移行症にはまだ特効薬がありません。さらに、治療法も確立されていません。今のところ日本での感染例は報告されていませんが、アメリカでは感染例だけでなく死亡例も報告されています。

もしアライグマのフンを見つけても、決して素手で触らないようにしてください知識のない一般人ではリスクが高いです。ただ、強烈な臭いを放つフンをすぐにでも処理したい場合もあると思います。自分でフンを片付ける場合は、事前にしっかりと準備してから片づけるようにしましょう。

経済的な被害

アライグマは雑食なため、何でも食べることができます。そのため、アライグマによる農作物の被害件数が日々寄せられています。

農林水産省によれば、2021年度の被害総額は4億1400万円に上りました。特に近畿地方や北海道、関東地方での被害が甚大で、被害総額も年々増加傾向にあります。

アライグマは雑食なので、さまざまな作物が被害に遭いやすいです。ですが特に、トウモロコシ、スイカ、メロン、イチゴなどの野菜・果物や、家畜飼料などの被害が多く報告されています。その他にも、ニワトリの捕食や牧草などの畜産業からの被害や、養殖場の魚を狙った漁業被害もあります。

アライグマは手先がとても器用です。メロンやスイカは、小さな穴を開けて中身をくり抜いて食べます。トウモロコシも剥いて食べるなど、特徴的な食べ方をするので、アライグマが原因だと突き止めることはあまり難しくないそうです。

大切に育てた作物や家畜が被害に遭わないようにするためには、アライグマの侵入を防ぐ必要があります。

生態系への被害

日本原産でないアライグマは、環境省によって特定外来生物に指定されています

雑食なアライグマは、特別天然記念物に指定されているサンショウウオや固有種のニホンザリガニなどの希少な生物を捕食してしまいます。また、アライグマの侵入によって、アオサギが集団営巣地を放棄してしまう例も報告されています。

アライグマは、繁殖に優れていて日本では天敵がいません。そのため個体数が爆発的に増加してしまい、環境にも被害を与えてしまうようになりました。

アライグマの駆除方法

さまざまな形で被害をもたらすアライグマですが、アライグマを駆除するにはいくつかのルールがあります。そのルールを知らずに勝手に捕獲すると、法律違反になってしまうので注意が必要です。

アライグマを自分で捕獲したい場合には、特に大事な話になります。

以下に詳しく解説しているので、ぜひ一読してみてください!

鳥獣保護法とは

鳥獣保護法とは、日本国内に生息している野生動物に対する捕獲や飼育を規制する法律です。また、野生動物の生活環境の保全や個体数の調整、狩猟に関する制度などについても定めています。

「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣」は対象外ですが、基本的には鳥類又は哺乳類に分類される日本国内の野生動物を対象としています。外来生物のアライグマも、この法律によって保護されています

この法律で守られている鳥獣のうち、狩猟が許可されている生物を狩猟鳥獣と言います。しかし、許可されているからと言って、きちんと前もって準備せずに捕獲すると、法律違反になります。

まず、狩猟鳥獣を捕獲するには狩猟免許が必要です。また、住所地の都道府県知事に対して狩猟者登録等を行わないといけません。

狩猟期間も決まっています。地域によって異なりますが、11月15日から翌年の2月15日までとしている自治体が多いです。北海道では、アライグマが繁殖期を迎えて活動が活発になる3月から6月の間の捕獲を推奨しています。

免許を持っていても、狩猟期間中に決まった狩猟場所で捕獲するときにも、前もって手続きを済ませる必要があります。

また、捕獲したアライグマの処理についても、捕獲者が責任を持って処分することが義務付けられています。

もし鳥獣保護法に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられますので、注意してください。

なお、一般的には鳥獣保護法と呼ばれていますが、正式には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」という長い名前です。詳しく知りたい方は、正式名称で調べると勉強になると思います。

外来生物法

こちらの法律も正式には長く「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」というものです。

この法律は、外来生物のうち問題を引き起こしているものを特定外来生物として指定し、その飼育や栽培、保管、運搬、輸入などに際して、取り扱いを規制するものです。このような法律があるのは、生態系や人の生命・身体、農林水産業への被害を防止することが求められるためです。

この法律によって、特定外来生物に指定されている動物は、たとえ鳥獣保護法の対象であっても、国や都道府県が防除を公示することで駆除ができるようになります。

ただし公示されていても、事前に防除の手続きをとらないと法律違反になってしまいます。

もし外来生物法に違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

アライグマに効く駆除方法

アライグマを駆除するには、先に説明したように鳥獣保護法と外来生物法を踏まえた上で実施する必要があります。

しかし以下にまとめた駆除方法のうち、最後の方法以外は簡単に行うことができます!

アライグマの被害に困っている方は、ぜひ読んでみてください。

アライグマの嫌う匂いを撒く

アライグマの駆除グッズとしては、忌避剤木酢液があります。

アライグマは人間が持つ嗅覚の数千倍程度のするどい嗅覚を持っているため、人間がクサイと思わない程度の匂いでも嫌がって近寄ってこなくなります。

忌避剤や木酢液は撒くだけなので簡単に駆除することができますし、ホームセンターなどで手軽に購入することができます。

特におすすめなのが、唐辛子の成分を含んだ忌避剤やハッカ油などの刺激臭のある忌避剤です。また、アライグマの天敵であるオオカミの尿も、忌避剤として使えます。なお、ウルフピーというオオカミの尿を模した対策グッズが売られているので、自分でオオカミの尿を採取する必要はありません。

忌避剤や木酢液を使用するときは、アライグマの出口となる場所は開けておき、その他の場所は密閉することが大切です。

音の出る装置を設置する

また、オオカミの鳴き声が出る装置や野生動物専用の超音波装置も、アライグマの駆除グッズとして有効です。

ただし、装置の出す音自体が騒音被害になることもあるので、扱いには気をつけましょう。

LEDライトで照らす

アライグマは夜行性なため、被害を受けた場所をライトで照らすことでアライグマを近づけさせないようにすることができます。

ただしこちらも、夜間など時間帯によっては人の迷惑になる可能性があるので注意しましょう。

燻煙剤を使用する

アライグマが床下や屋根裏に住み着いてしまったときには、燻煙剤を使うと効果的です。

燻煙剤はアライグマだけではなく虫にも効果があるので、虫が苦手な人にはおすすめです。

こちらも、忌避剤と同じようにアライグマの出口は確保しておき、それ以外の場所は密閉することで効果を発揮します。

アライグマ捕獲機を使用する

今まで紹介したものは、いわゆる「追い出し」という手法です。

追い出しはアライグマを捕獲するわけではないので、自治体の許可が必ずしも必要なわけではなく、手軽に行えます。しかし、思い通りにアライグマを追い出せなかったら災難です。

そこで、手先が器用で賢いアライグマ向けに開発された捕獲機の出番です。アライグマを捕獲さえできれば、被害をなくしたり減らしたりすることができるでしょう。

自分でアライグマを捕獲する際には、まず都道府県または市町村の保健所、都庁や県庁、市役所、農業振興センターなどの担当部署に「有害鳥獣駆除の申請」を行う必要があります。理由はアライグマが鳥獣保護法と外来生物法の対象だからです。

なお、自治体よってはアライグマ用の捕獲機を貸し出していたり、駆除に対する報奨金制度を設けていたりします。自分で捕獲する場合には積極的に活用しましょう。

貸し出しがない場合には、アライグマ専用捕獲機を自分で購入することになります。しかし、アライグマ捕獲機は数万円するため簡単に買えるものではありません。

また、捕まえた後の処理も自分で行う必要があります。そのため、アライグマの捕獲をしたことがない人には難易度の高い方法です。

被害を未然に防ぐ方法

実は、アライグマの被害に遭いやすい条件というのがあります。

自分は被害に遭わないだろうと油断していると、アライグマの侵入を許してしまって後悔することになるかもしれません。そうならないためにも、あらかじめアライグマの被害を未然に防ぐ対策を講じることが大切です。

屋外にアライグマのえさを放置しない

なんでも食べてしまうアライグマは、人間が放置したペットのえさや取り残した野菜や果物に引き寄せられてきます。放置したえさがアライグマを呼び寄せることで、農地や家庭菜園に実っている作物や家畜が被害に遭いやすくなります。そのため、極力屋外にはアライグマのえさとなるようなものを放置しないようにしましょう。

池の魚の保護グッズを設置する

池もしくは屋外にある水槽などで魚を飼育している場合、アライグマが魚を狙って近づいてきやすくなります。もし何も対策せずに放置してしまえば、簡単にアライグマに捕食されてしまうでしょう。そうならないためにも、アライグマが魚を触れないようにしっかりと金網などを設置して対策しましょう。

アライグマに餌付けしない

アライグマがかわいいからと言って、えさをあげたり近寄ったりしてはいけません。人間の食べ物の味をアライグマが覚えてしまうと、頻繁に人里に出入りするようになってしまいます。人間を恐れなくなったアライグマは、農作物を荒らしたり住居に住みついたりと問題行動を繰り返すようになります。

また、アライグマにとっても人間からえさをもらうことにはリスクがあります。人間の食べ物はとても栄養価が高く作られています。そのため、栄養の取りすぎによる病気を発症したり過剰な繁殖によって数が増えてしまいます。

人間とアライグマ双方のために、野生のアライグマにはえさをあげないようにしましょう

アライグマを見つけたら

アライグマを頻繁に見かける時は、周辺で被害が起きている可能性があります。まずは被害がないか確認し、被害を受けていたら然るべきところに相談しましょう。

相談先は、各自治体などの相談窓口や害獣駆除の業者がおすすめです。どちらも被害状況に応じたアドバイスをしてくれます。

自治体によっては捕獲用のワナの貸し出しや補助金制度を設けているところもあるので、自分で駆除したい場合には自治体に相談するのが良いと思います。

しかし、自分で駆除するとなると、アライグマ回虫などの健康被害のリスクが問題になります。アライグマが狂犬病を発症していたら怪我をするおそれもあります。また、捕獲できたとしても、アライグマは手先が器用なので檻から逃げ出してしまうこともあります。そして、駆除の準備にも手間がかかりますが、捕獲した後の処理についても適切に行うには知識が必要です。

そのため、アライグマの駆除は業者に任せるのが無難です。業者でしたら経験豊富ですし、素早く対応してくれるところもあります。

アライグマを駆除するのはかわいそう?

冒頭で話したように、元々アライグマは人間の勝手な都合で日本に連れてこられました。その後放棄されるなどして野生化してしまったアライグマを、人間の都合で駆除することはかわいそうな気もしますね。しかし、野生のアライグマを野放しにしてしまったら被害は拡大する一方です。被害が深刻化すれば、その分負担は重くなります

その負担を減らすためにも、アライグマの駆除業者に相談して手っ取り早く問題解決してみてはいかがでしょうか?

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