ムクドリはなぜ大群で押し寄せる?群れを成す理由や効果的な対策法を解説します!

害獣・害虫別

ムクドリによる騒音・糞尿被害は、近年都市部でも増加傾向にあります。

ムクドリは、なぜ大群で飛び回り大声で鳴き続けているのでしょうか。

また、ムクドリによる被害を具体的に改善する方法としてはなにが挙げられるのでしょうか。

本記事では、大群で押し寄せるムクドリへの効果的な対処法についてご紹介します。

なぜムクドリは群れを成すのか?

本章では、ムクドリが群れを成して行動する理由ついてご紹介します。

群れで行動することにも意味があるため、習性を理解し対策を立てることが重要です。

群れを成す理由

夕暮れどきになると、空が真っ黒になるほどムクドリの大群が市街地に押し寄せることがあります。

ふと空を見上げた際に、電線に大量のムクドリが止まっているのを目にすることもあるでしょう。

お互いの身を守るために群れで行動することによって、天敵から逃れやすくなります。

また、ムクドリを街から追い出すことに成功しても、移動した先で新しい住処を探そうとします。

その際に追い出されたムクドリたちが新たな群れを作るため、この繰り返しで群れの数が増加しているともいわれています。

鳴く理由

ムクドリによる被害の一つとして「鳴き声による騒音被害」が挙げられます。

ムクドリは「キュル」「ギュ」「ジャー」「ビャー」など、さまざまな鳴き声を発する鳥です。

甲高い鳴き声が耳に付く人もいるでしょうが、一羽だけであればそこまで騒音に感じることはありません。

問題なのは「群れを成してムクドリが一斉に鳴きだすこと」です。

大群で鳴くため相当なボリュームとなり、夜に鳴くことも多いため睡眠被害に発展するケースもあります。

ムクドリが鳴く理由は、群れを成す鳥とのコミュニケーションを取ることだけでなく、コミュニケーションを取ることで外敵から群れを守るための防衛本能ともいわれています。

「天敵などを近づかせないように、仲間を外敵から守るために懸命に鳴いている…」と聞くと、ムクドリが鳴くことはなにも間違ったことではありませんが、市街地で鳴かれるとやはり人間にとっては迷惑極まりないでしょう。

年中群れで行動しているわけではない

ムクドリは、年中群れで行動しているわけではありません。

年に1・2回、3月から7月に繁殖期を迎え、一夫一婦制であるムクドリは繁殖期は個々で行動します。

3月~7月の間に群れを見ることは少なく「ムクドリが来なくなった…?」と勘違いする方もいますが、繁殖期が終わる8月ごろから再び群れを成して行動し始めるため、急に大量発生しているように感じるのです。

とくに11月頃の秋~冬にかけて群れが大きくなっていき、冬には南部に移動するものもいます。

なお、ムクドリは孵化~巣立ちまでの期間が短く、繁殖回数が多いことが特徴に挙げられます。
(卵の孵化までに約12日、孵化してから約23日で巣立つ準備をし、巣立ってから約1ヵ月を親鳥とともに行動し、次第に自立していく)

なぜ市街地に集まるのか?

本章では、ムクドリが市街地に集まる理由についてご紹介します。

ムクドリは日本全国に分布し、近年は都市部でも被害が増加しているため注意が必要です。

ムクドリは日本全国に分布している

ムクドリは、基本的に「留鳥」または「漂鳥」とされており、平地から山地、田園地帯や林、市街地などさまざまな場所で目にすることがあります。

  • 留鳥:年間を通して同じ場所にいる移動をしない鳥
  • 漂鳥:夏に山地で繁殖し、寒い時期には平地に移動して越冬する鳥

※沖縄では「冬鳥」:日本で越冬し北国で繁殖をする渡り鳥とされている

近年では都市部でも見かけることが多く、街路樹・電線・ビルやマンションなどの建物をねぐらにすることが増えています。

市街地をねぐらにする理由

ムクドリの天敵とされる動物はカラス・フクロウ・鷹といった猛禽類やヘビなどが挙げられます。

しかし、現在の市街地ではカラスが減少傾向にあり、もともと市街地にはカラス以外の猛禽類も少ないことから、ムクドリにとって暮らしやすい(外敵に襲われる心配が少ない)環境になってきました。

また、土地開発によって、本来の生息環境から追われたことも都市部に棲みつくケースが増加要因ともなっているでしょう。

日中はそれぞれエサを求めて動き回り、夕暮れになると市街地をねぐらとするため群れとなって集まります。

ムクドリによる人々への被害とは?

ムクドリは群れ(何千~何万羽)を成して行動するため、その被害は甚大なものとなります。

とくにお住いのベランダなどに巣を作られてしまうと、騒音・糞尿被害だけでなく、糞尿によってダニを発生させる原因にもなってしまいます。

他の鳥の糞と同様に感染症などのさまざまな病気を引き起こす原因にもなるため、できるだけベランダ等への侵入を事前に防止し、万が一ねぐらにされた場合は早急に駆除を依頼する必要があるといえるでしょう。

また、糞を取り除くために掃除をする際は、健康被害を防ぐ対策をしながらおこないましょう。

ムクドリの被害を未然に防ぐ方法

本章では、ムクドリの被害を未然に防ぐ方法をいくつかご紹介します。

ムクドリは繁殖期が終わる8月ごろから群れを成して行動をし始め、秋から冬にかけて群れが大きくなっていきます。

ムクドリの被害に悩まされている方は、とくに夏~冬にかけて以下で紹介する対策を徹底してみるとよいでしょう。

対策法①:防鳥ネットでガードする

ベランダなどムクドリが出現するところに防鳥ネットを設置することで、ムクドリの家屋への浸入を防止することができるかもしれません。

騒音や糞尿被害・巣作りや感染症の防止など複合的に被害を防止でき、他の鳥に対しても有効となるため、まずは防鳥ネットの設置を検討することから始めてみるとよいでしょう。

ただしムクドリの体長は約24cmと小さいため、ネットの網目が荒かったり・強度が弱かったりすると、ムクドリの侵入を許してしまう(ネットを裂かれてしまう)恐れがあります。

防鳥ネットを設置する際は、できるだけ細かく・頑丈なものを選ぶことをおすすめします。

対策法②:バードスパイクや電気ショックなどを仕掛ける

「バードスパイク」とは、ベランダの手すりや室外機などに取り付けるトゲトゲのシートを指しています。

安定して止まれる場所がなくなる=居心地が悪く・飛来しにくくなるというメリットがあります。

なお、剣山部分は柔らかい素材でできているため、トゲ部分に止まったからといって苦痛を与えることはありません。

そして「電気ショック」は、屋根やベランダに微量の電気が流れる設備を仕掛け、ムクドリに警戒心を与える装置のことです。

電気ショックは鳥に警戒心を与えるためのものであり、もちろん高圧電流が流れるような危険性はありません。

たとえ微量な電流であっても、ムクドリにとっては「得体のしれない感覚」であり、警戒心を与え近づかせない効果を得られます。

大幅な施行を必要とせずに、電極・ソーラーパネル・ソーラーバッテリーなどを導入すれば簡単に設置できる商品も販売されているため、導入しやすい対策法といえるでしょう。

対策法③:忌避グッズを利用する

上述でもご紹介した通り、ムクドリの天敵となる生き物はカラス・フクロウ・鷹などの猛禽類です。

そのため、これらを模したいわゆる「かかし」を設置することで、ムクドリが警戒して近寄らなくなる可能性があります。

実際に、こうした「かかし」や天敵となる生き物の鳴き声を発するスピーカーなどが販売されているため、それらを設置してみるのもよいといえるでしょう。

ただし、ムクドリは頭のよい生き物であるため、ただ適当に設置しただけではいずれ「自身に危害を加えることはない(ダミーだ)」と警戒心を解いてしまう可能性があります。

とくにフクロウを模したかかしは、本来フクロウが活動する時間帯以外に設置し続けると見破られる可能性もあります。

置き場所や設置時間などを適度に変えるなど、さまざまな工夫が必要となるケースはあるでしょう。

対策法④:光で驚かす

ムクドリだけでなく、野生動物の多くは自然界で遭遇する機会がない「光の乱反射」を嫌う傾向にあります。

カラス撃退時に「ベランダなどにCDをぶら下げることが効果的」ということを聞いたことはないでしょうか。

これと同じように、ムクドリにも光の乱反射を有効活用できるケースがあります。

実際に、各自治体でも「CDの裏面をぶら下げる」や「LED電飾を取り付ける」といった対策が実施されることがあるため、試してみる価値はあるといえるでしょう。

対策法⑤:超音波発生装置を設置する

「超音波発生装置」とは、対象となる生き物が聴き取れる超音波を発し、不快にさせる(居心地を悪くさせる)装置のことです。

これは、ネズミやコウモリなど他の害獣対策でも利用されるケースがあります。

ただし、鳥の可聴領域は人間よりも狭いため、超音波発生装置を設置することで住居にお住いの方やペットなどにも影響をおよぼす可能性があるといえます。

鳥に限定した超音波発生装置はあまり効果がないともいわれているため、ムクドリ対策のためだけに超音波発生装置を利用するのは避けた方がよいといえるかもしれません。

徐々に「効果が薄まる」点に要注意!

人間を含め、どんな生き物でもいずれは「慣れ」が生じてしまうため、本章でご紹介した内容を繰り返しているといずれムクドリが慣れてしまう可能性があります。

ムクドリにとって「敵意がない」「この装置(罠)が自身に牙を剝くことはない」と判断されると、警戒していたムクドリが再び家屋内に棲みつくケースもあるでしょう。

上記でご紹介した点は、あくまで「一過性のものに過ぎない」という点を理解し、状況に応じてお住いの自治体や駆除業者に相談してみることをおすすめします。

被害にお悩みの方は「自治体」や「専門業者」に相談しよう!

ムクドリの人的被害は、お住いの建物だけに影響するものではありません。

お住いのベランダなどの家屋はもちろん、街路樹・電線・公共施設などに棲みつく可能性もあるため、そうなると自身ができる対処には限界があるといえるでしょう。

もしも「ムクドリの各種被害に悩まされている」という方は、お住いの自治体や害鳥駆除業者に相談してみることをおすすめします。

実際に、お住いの自治体単位で(地域全体としての)継続的なムクドリ対策を実施していることもあります。

また害鳥駆除業者に依頼すれば、目の前の害鳥に対する駆除はもちろん、長期的な駆除・再発防止を保証をしてくれるケースもあるため、長期的に害鳥対策を講じてくれる可能性もあるといえるでしょう。

ムクドリは群れで行動する可能性が高い+繁殖力も高いため、その被害は広範囲におよびがちです。

お住いの建物だけで解決する問題でないケースも多いため、自治体単位で対策を講じてもらうのがよいといえるでしょう。

ムクドリは自身の判断で駆除できない

ムクドリは「鳥獣保護法」で保護されている生き物のため、許可なく勝手に駆除することはできません。

法律で「狩猟鳥獣」として定められていることから、許可のない駆除はもちろん許可なく飼育することも禁止されています。
(狩猟免許を持っている方が限られたエリアと期間においてのみ狩猟または飼育が可能となる)

また、都道府県によっては狩猟鳥獣に当てはまっていても、狩猟・飼育が禁止されていることもあるため、気になる方はお住いの自治体のホームページを確認してみるとよいでしょう。

もしも怪我をしたムクドリなどを保護した場合は、自身の判断で対応せずに「野生鳥獣担当機関に連絡をする」ことおすすめします。

まとめ

ムクドリは一見すると可愛らしい鳥ではありますが、人的被害や鳥獣保護法の観点からむやみやたらに保護・飼育することは危険といえます。

昔は「益鳥」と呼ばれることもあったものの、現代からすると「害鳥」であり、許可なく保護・飼育すれば処罰を受ける可能性もあるため注意が必要です。

自身がお住いの住居に棲みつかれると多大な被害をおよぼす可能性があるため、できるだけ事前に対処を施した方がよいといえるでしょう。

また、ムクドリの被害は広範囲におよぶため、自身だけで対処がし切れない場合は、お住いの自治体や害鳥駆除の専門業者に早期に相談した方がよいといえます。

被害が深刻化する前に、できる限りの対処を施せるよう意識しておきましょう。

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