アライグマとタヌキってなにが違うの?それぞれの特徴を画像付きで解説!

アライグマ

はじめに…

近年日本で繁殖し、様々な害獣被害をもたらしている外来生物「アライグマ
その厄介さから多方面で問題視されているアライグマですが、日本在来の哺乳類「タヌキ」と外見が似ており、一般の方には見分けが付きにくい存在です。
しかし、アライグマとタヌキでは駆除や捕獲に係る規制が異なるため、害獣対策を進める上で両者を区別することは欠かせません。
そこで今回は、アライグマとタヌキの特徴や見分け方を詳しく解説して参ります。

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最近、自宅近くで動物を見かける事があるんだけど何の動物か分からないのよ…。
アライグマかタヌキだと思うし、イタチとかアナグマじゃないのは確かなんだけどね。
アライグマは特に凶暴っていうし、見分ける方法はないかしら?

特徴

アライグマ

日本においてアライグマは特定外来生物として知られ、環境や生態系への影響が懸念されている動物です。
1980年代頃にペットとして流行しはじめましたが、ケージを開けて逃げ出すほど手先が非常に器用だったため、すぐに野生化する個体が増加しました。
2018年の時点で秋田県、高知県、沖縄県を除くほぼ全ての都道府県で生息が確認されており、在来種との競合や農業被害といった問題を引き起こしています。
そんなアライグマ(学名:Procyon lotor)の形態や生態について詳しく見ていきましょう。

形態

  • 大きさ:鼻先から尾の付け根までの体の長さは41~60cm、尾の長さは20~41cm、足先から肩までの高さは23~30cmです。
  • 体重:一般的に4~10kgで、稀に20kgに達する個体も存在します。通常オスははメスよりやや大きいです。
  • 毛色:灰色から明るい赤褐色で、尾には5~10本の黒い縞模様があります。
  • 顔の特徴:灰白色の顔にアイマスクのように両眼を覆う黒い帯があります。

生態

  • 生息環境:北アメリカ原産で、水辺の森林地帯を好みますが、適応力が高いため都市部から森林・湿地帯まで幅広い環境で生存できます。
  • 食性:雑食性で、果実、野菜、穀類、小哺乳類、鳥類、両生爬虫類、魚類、昆虫など多岐にわたる食物をエサとします。
  • 天敵:原産地の北アメリカではオオカミ、ボブキャット、ピューマ、アメリカワシミミズク、ワニなどが天敵に当たりますが、日本においては天敵が存在しないとされています。
  • 活動時間帯:夜行性で夜間に活動します。
  • 鳴き声:「クックッ」「キュッキュッ」といった13種類の鳴き声が識別されており、母親は子どもと連絡を取るために様々な声を出します。しかし、基本的にアライグマは鳴き声を上げることが少ない傾向にあります。
  • 生殖行動:交尾は12月から8月にかけて行われ、繁殖期のピークは2月から3月です。出産は春に行われ、一度に3~6頭の子供を産みます。

タヌキ

タヌキは言わずと知れた日本の在来哺乳類であり、本州・四国・九州に生息するニホンタヌキ(ホンドタヌキ)と、北海道に生息するエゾタヌキの2種類が存在します。
縄張りは持たず、平地から亜高山帯(標高2000m以上の山地)にまで生息し、単独または家族単位で行動します。
そんなタヌキ(学名:Nyctereutes procyonoides)の形態や生態について詳しく見ていきましょう(以下はホンドタヌキについての情報です)

形態

  • 大きさ:鼻先から尾の付け根までの体の長さは50~68cm、尾の長さは12.5~25cmです。
  • 体重:一般的に4~6kgですが、エサが豊富な秋には体重が6~10kgに達することもあります。
  • 毛色:全体的には灰褐色あるいは茶褐色ですが、目の周りや足先、耳の縁が黒く、部分的に白い毛が交じる個体もいます。ただし個体差が大きく、白変種や全身真っ黒の個体も存在します。

生態

  • 生息環境:主な生息地は都市郊外から里山・低山にかけての、ある程度人の手の加わった地域で、緑地が連続している里山の林縁部を好みます。
  • 食性:アライグマ同様に雑食性で、果実や昆虫などの無脊椎動物を主食とします。地域によっては魚や甲殻類、小型哺乳類、大型獣の死骸、残飯や生ゴミも食べます。
  • 繁殖:2~4月にかけての交尾後、約2ヶ月の妊娠期間を経て一度に約4~6頭の子を出産し、オスメス共同で子育てを行います。
  • 社会性:基本的に一夫一妻で、ペアは一年を通じて行動をともにします。また、他個体への排他性が低く、他個体と生息エリアが被っていても争いに発展することはありません。

害獣被害

アライグマとタヌキはそれぞれ害獣として知られており、外見や生態にも一致する点が多いもの同士ですが、その害獣被害には異なる特徴が存在します。

アライグマによる害獣被害

アライグマはスイートコーンやスイカなどの甘い穀物や野菜・果物などの農作物全般への食害をはじめ、文化財を含む建造物への侵入・損壊や病原体の媒介といった問題を引き起こします。
家畜のニワトリやペットの犬・猫にも被害を与え、家屋に侵入して屋根裏などに住み着くこともあります。
2019年には一年間に捕獲されたアライグマの数が約6万6000頭にも上っており、誰が被害に遭ってもおかしくない状況です。

感染症

アライグマはアライグマ回虫やレプトスピラ症といった人畜共通感染症を媒介する可能性のある動物です。
特にアライグマ回虫に感染した場合、最悪死亡するリスクがあり、実際にアメリカでは子供が感染して死亡した例があります。
現時点ではアライグマ回虫が寄生した野生アライグマは確認されておらず、日本では感染例もありませんが、動物園で飼育されている個体に限っては約40%に寄生していたという調査結果が存在します。

タヌキによる害獣被害

一方、日本の在来種であるタヌキは主に森林地域で生活していますが、稀に人間の生活圏にも現れることがあり、アライグマ同様、糖度の高いトウモロコシやサツマイモなどの農作物を食い荒らすことで知られています。
また、タヌキは「ため糞」という、決まった場所に糞を堆積させる習性を持っており、民家に棲みついた場合悪臭や病原菌の拡散などの被害が発生することがあります。

感染症

人家の周辺に出没したタヌキが飼い犬・猫などのペットと接触することでイヌジステンパーウイルスに感染する可能性があり、致死率が高いため重症化した場合は多くの個体が数週間程度で衰弱死します。
また、ヒゼンダニ属のダニ等の寄生により疥癬(かいせん)に感染するリスクも考えられ、重症化した場合は毛が抜け落ちてハイエナのような外見となってしまいます。
ヒゼンダニは人間にも寄生する可能性があり、疥癬による痒みはあらゆる皮膚病の中でも最も強い部類に入ります。

相違点

  • 生態:タヌキは木登りのせず地上で活動する一方、アライグマは手先が器用で木登りが得意なため、民家を屋根伝いに移動したり屋根裏から屋内に侵入したりします。
  • 被害の範囲:タヌキによる害獣被害は食害や糞尿がメインですが、アライグマは家畜を含むより広範な動物・農作物に被害を与える傾向があります。
  • 性格:アライグマはタヌキに比べて気性が荒く、非常に獰猛な性格をしており、特に大型の個体には注意が必要です。

以上のような相違点を理解することは適切な対策を講じる上で欠かせません。
例えば、タヌキに対しては電気柵や金網フェンスを設置することで侵入を防ぐことができますが、木登りが得意なアライグマに対しては金網柵などの物理的な障壁があまり効果的でないことが知られています。
これらの情報をもとに、それぞれの動物に適した対策を行うことが重要です。

見分け方

アライグマとタヌキを見分ける方法にはいくつかのポイントがあります。以下に主な特徴をまとめました。

アライグマ

  • 外見:灰色と黒のしま模様があり、たぬきよりも長く大きい形をしています。眉間から鼻までが黒く、耳の縁とひげが白色です。
  • 足跡:クマなどと同じくかかとをつける蹠行性(しょこうせい)という歩き方をするため、足跡は人の子供の手のような長い5本の指がくっきりと付きます。5本指は一本一本が長く、人間や猿の手のような足跡が特徴です。
  • 行動パターン:夜行性で単独行動が多く、なわばりを作りません。
  • 頻出エリア:川や湿地帯などの水源がある場所の近くを好みます。

タヌキ

  • 尻尾:茶褐色1色で、丸みを帯びた短い形をしています。目の周りから首までが黒く、耳のふちの色とひげの色は黒いのが特徴です。
  • 足跡:4本指で、犬によく似た足跡です。
  • 行動パターン:夜行性で3〜5頭ほどの集団で行動する事が多いです。
  • 頻出エリア:人里から遠くない森林や草地に多く生息しており、薮や広葉樹の下などの身を隠せる場所も好みます。

駆除は専門業者に

アライグマやタヌキは深刻な害獣被害をもたらす厄介な存在ですが、気軽に駆除できる…という訳ではありません。
アライグマもタヌキも共に鳥獣保護管理法の対象動物に指定されており、駆除を行う際には厳格なルールに従わなければなりません。
鳥獣保護管理法に基づく対象動物の駆除手順は、具体的に以下のようになります。

1.許可の取得

鳥獣保護管理法によって獣類または鳥類の卵の捕獲、殺傷、採取が原則として禁止されています。
ただし、生態系や農林水産業への被害がある場合や学術研究上の必要性が認められる場合には、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて駆除を行うことができます。
詳しい許可の申請書類や手続きは、各都道府県の環境局や農林水産局で確認しましょう。

2.駆除の実施

許可を得た後、指定された方法で駆除を行いますが、駆除の方法は対象動物や被害の状況に応じて異なります。
いずれにせよ駆除には専門的な技術が必要であり、動物愛護法にも則って行わなければなりません。
また、特定外来生物に指定されたアライグマに関しては駆除に伴う保管・運搬についても規制が存在しますので、別途注意が必要になります。

3.報告と記録

駆除を行った後は、環境大臣又は都道府県知事に報告を行います。
駆除の詳細や捕獲数、使用した方法などを正確に記録しておく必要があります。

まとめ

以上のような煩わしい手順を経て、はじめて駆除を行う事ができます。
詳しくはご紹介しませんでしたが、狩猟を行う際には「網猟免許」や「わな猟免許」といった各種免許も必要になり、手間や時間的なコストが嵩むだけでなく、怪我や感染症の危険性も伴います。
したがって、一般の方がアライグマやタヌキの駆除を行うのは現実的ありません。
お住まいの自治体や専門業者に相談されることをお勧めします。

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アライグマとタヌキの違いがよく分かったわ!ありがとう!
ウチの近くに居たのは多分アライグマだと思うから、すぐにでも対策を取らないといけないわね。

あとがき

如何でしたでしょうか。
一見すると見分けがつかないアライグマとタヌキにも、異なる点が沢山あることをお分かり頂けましたか?
害獣被害に悩まれている方は是非とも今回学んだ知識を活かして、駆除・防除にお役立てください!
当サイトの豊富なコラムラインナップの中でアライグマの駆除に必要な情報を多数解説しておりますので、そちらの記事も併せてご覧ください。

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