「夜中に、床下から動物の鳴き声のような音が聞こえる…」
「畑や庭のあちこちに掘り返されたような跡がある…」
こういった現象は、もしかするとアナグマによるものかもしれません。
アナグマも害獣の一種であり、家屋に棲みつかれるとさまざまな害獣被害をもたらす恐れがあるため注意が必要です。
この記事では、アナグマや家屋に棲みつきやすい害獣の鳴き声の特徴をご紹介します。
害獣への侵入防止対策なども合わせて解説しておりますので、害獣被害を危惧される方はぜひ本記事を参考に対処を講じてみてください。
目次
アナグマの鳴き声について
本章では、まずアナグマの鳴き声についてご紹介します。
アナグマの鳴き声・鳴くタイミング・大人な子どもでの鳴き声の違いなどを、詳しく解説していきます。
アナグマの主な鳴き声
アナグマの鳴き声は「ブゥーブゥー」や「コッコッコッ」という低い音を特徴としています。
イタチやハクビシンに比べて音が低く、ある程度の判別はしやすいものの、アナグマ自体は鳴く機会が少ないため素人が鳴き声だけで判断するのは難しいかもしれません。
また、威嚇時は「ガッ!」という大きな声をあげ、襲い掛かってくることもあるため注意が必要です。
アナグマが鳴くタイミング
アナグマはイタチ科に属している、古くから日本に生息する在来種です。
イタチは非常に獰猛な性格をしており、人間を相手にしても怯むことなく襲い掛かってくることがありますが、アナグマは他のイタチ科の動物と比べて温厚かつ落ち着いた性格をしています(他の動物と争わずにうまく共存することが多いとされている)。
そのため、アナグマは鳴く機会が他の動物に比べても少なく、エサを欲しているときであってもあまり大きな声で鳴くことがありません。
なお、アナグマは攻撃的な性質は持ち合わせていないものの、威嚇時は大きな声をあげて襲い掛かることもあります。
おとなしいアナグマが大きな声を出すことは、かなり気が立って威嚇していることの証明となるため、不用意に手を出さないよう注意しておきましょう。
大人と子ども鳴き声の違い
大人のアナグマの鳴き声は低い音が特徴的であるのに対し、子どものアナグマは大人よりも少し声が高いことが特徴に挙げられます。
また、親を呼ぶ際などに「キュルキュル」と鳴くなど、大人と子どもでは同じアナグマでも鳴き声に違いが見られることがわかります。
アナグマとよく似た害獣の鳴き声について
アナグマ以外にも、家屋に棲みつき害獣被害をもたらす動物は複数います。
本章では、アナグマとよく似た害獣の鳴き声についてご紹介します。
イタチ
アナグマと同じイタチ科に属するイタチは、「キュッ」「ピュー」といった短く甲高い鳴き声を発します。
(子どものときは「キーキー」「ククク」と小さな声で鳴き、親を呼ぶ)
とくに繁殖期や威嚇時は大きな声で鳴くことが多く、また短く切れる鳴き声・連続して繰り返されることが少ないといった点も特徴に挙げられるでしょう。
なお、イタチは通常時はさほど鳴き声を発することがなく、頻繁に鳴くのは「繁殖期」「警戒時」「コミュニケーション時」が主となります。
イタチは非常に獰猛な生き物であり、繁殖期はより攻撃性が高くなって甲高い声で鳴くため、このようなときは特に近づかないよう注意しておきましょう。
イタチの鳴き声は、アナグマよりハクビシンやアライグマと似ているといわれており、以下を参考に各動物の鳴き声も把握しておくとよいでしょう。
ハクビシン
ハクビシンは、通常時は「キューキュー」「キーキー」など甲高い大きな声で鳴き、威嚇時は「ガァー!」という大きな声や「グルルルル…」といった唸り声に近い声を出して相手をけん制します。
また、ハクビシンが別の動物と喧嘩をするときは、猫が喧嘩をするときに発する「シャー!」といった鳴き声をあげます。
大人のハクビシンが鳴き声を発するのは相手を威嚇するときが多く、特に興奮状態や怒っているときは非常に大きな鳴き声をあげるため、人間であっても恐怖を感じることがあるでしょう。
イタチと同じく獰猛な性格をしており、繁殖期はさらに気が立っていることが多いため、より注意が必要です。
対して、子どものときは、甲高い「キュー」といった可愛らしい声で鳴きます。
その見た目や鳴き声から愛らしさを感じる人もいますが、子どもであっても害獣であることに変わりはなく、周囲に親(大人)のハクビシンがいることの証明にもなるため、早めの対処が求められます。
アライグマ
アライグマも普段はあまり鳴かない動物であり、鳴く際は「クックッ」「キュッキュッ」と小刻みに鳴くのが特徴です(「クルルッ」「キュー」と聞こえることもある)。
威嚇・喧嘩時は、歯を剥き出しにしながら「ギューッギューッ」「シャーッ」と唸り声を発します。
身の危険を感じたときや、繁殖期のオスのアライグマが出すことが多い鳴き声です。
アライグマも、その可愛らしい見た目に反して気性が荒く攻撃的、とくに繁殖期はより気が立っていて危険といわれています。
なお、子どものアライグマは大人よりも高く「クルクル」と鳥の鳴き声のように聞こえるのが特徴です(親を探しているときや、空腹を知らせるときなどに鳴くことが多い)。
タヌキ
タヌキは、たとえるなら小型犬が発するような「ヴーーー」「ウワーーン」「ウユーーン」といった甲高い声で鳴きます。
タヌキが鳴くときは相手を威嚇するときや喧嘩をするときであり、逆に嬉しいときや楽しいときは鳴くことがありません。
(タヌキ怒り時や警戒時以外は感情を表に出さない生き物であり、声だけでなく表情や身体のどこかが変化することもない)
ただし、子どものときは母タヌキに空腹を知らせるために、お腹が空くと子犬のように「キュンキュン」と鳴きます。
これは、生きるために本能で鳴いているというイメージに近いでしょう。
アナグマの被害を放置しておくとどうなる?
家屋に棲みついたアナグマの存在を放置しておくと、さまざまな害獣被害をもたらす恐れがあります。
本章にて、その主な被害をご紹介します。
鳴き声や活動音による騒音被害
家屋に潜むアナグマを放置することで、鳴き声や活動音による騒音被害をもたらす恐れがあります。
ただし、アナグマは他の害獣に比べておとなしくほとんど鳴き声を発することがないため、鳴き声による騒音被害の報告はさほど多くありません。
注意すべきなのは、アナグマが穴を掘る音のほうです。
名称の通り、アナグマは穴を掘る習性があり、この穴を掘る音が人間にとって聞きなれない音となります。
鋭い爪を用いて一心不乱に穴を掘っていくため「家にいても土をかき分ける音が聞こえてきて落ち着かない…」という声も実際にあるようです。
また、足音も含め、床下(地面)から謎の物音が聞こえてくるほど不安が増大し、睡眠障害やノイローゼなど健康に害をおよぼす恐れもあるでしょう。
建物への被害
アナグマは穴を掘る習性があるため、家屋の床下へ穴を掘って侵入すると、美観を損ねるだけでなく地盤へも大きな影響を与えてしまいます。
地盤が緩めば緩むほど家屋の倒壊につながる恐れがあるため、注意が必要といえるでしょう。
また、病原菌や寄生虫などによる衛生面の被害、排泄物の臭いなど、日常生活に直接的な被害がもたらす事例も少なくありません。
食害
アナグマは、イタチやハクビシンなど他の害獣と同様に雑食性であり、人が廃棄する生ごみですら口にします。
また、アナグマはイチゴ・柿・スイカ・ブドウといった甘い果実を好む傾向にあり、畑や家庭菜園で育てている農作物も被害に遭う可能性が高いといわれています。
穴掘りが得意で、一度侵入した場所にはしつこく入り込んでくるため、食害にも注意が必要です。
アナグマの侵入を防止する方法とは?
アナグマによる害獣被害を防止するには、そもそもアナグマを侵入させない工夫が必要です。
本章にて、アナグマの侵入を防止する方法をご紹介します。
「柵」を設置する
アナグマの侵入を防止する最善の方法は、柵を設置することです。
ただし、アナグマは穴掘りが得意なため、中途半端な柵を設置するだけだと簡単に突破されてしまいます。
おすすめは、電気柵を使った防除です。
アナグマの場合、鼻先に電気ショックを与えるために、地面から10cm間隔の2~3段張りが一般的といわれています。
また、以下の方法も侵入対策として有効といえるでしょう。
- ワイヤーメッシュを使用する(7.5cm四方以下のものが好ましい)
- 金網やネットを使用する(目合いが4mm以下が好ましい
- トタン板を用いて視界を遮る など
柵以外にできる侵入防止対策
柵の設置以外でできるアナグマの侵入防止対策としては、主に以下が挙げられます。
- 生ごみや廃棄予定の作物は早めに取り除く
- 熟した作物は早めに収穫する
- 除草をおこない、見通しをよくする
- 侵入経路を封鎖する など
とくに、侵入経路の封鎖は非常に重要です。
アナグマは「しつこい動物」といわれており、一度侵入した場所には何度もやってくる傾向があります。
侵入経路となり得る場所を事前に封鎖できれば侵入を予防できますし、侵入したアナグマを追い出した後にすぐ侵入経路を封鎖すれば再被害を防ぐことができるでしょう。
普段からの清掃なども含め、できることを積み重ねアナグマなど害獣の侵入を可能な限り未然に防ぐことが重要です。
気になる方は早めにプロの業者へ相談しよう!
アナグマは「鳥獣保護管理法」という法律によって保護・管理されているため、仮に被害に遭っていても自治体の許可なく捕獲・駆除ができません。
また、自然界からやってくるアナグマの侵入を完璧に防ぐことは難しく、素人が対処するには多大な手間・時間・リスクがかかるでしょう。
そのため「アナグマの被害を未然に防ぎたい」「アナグマによる害獣被害の再発を防ぎたい」「手間をかけずに安全にアナグマを駆除したい」という方は、プロの害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。
プロへ依頼すれば、アナグマの防除はもちろん、他の害獣・害虫の対処や再発防止まで徹底的に対応してもらえます。
ただし、業者によって防除費用やサービス内容は異なるため、複数社を比較したうえでより自身に合った業者を選ぶことが重要です。
まとめ
アナグマの鳴き声は、家屋に棲みつく可能性がある他の害獣と比べて、比較的判別がしやすいといえます。
しかし、素人が鳴き声だけで害獣を判別することは難しく、さらに「鳴き声が聞こえる時点で害獣が潜んでいる証明となる」ため、不用意に対処すれば手間だけでなくリスクも生じる恐れがあるでしょう。
被害を危惧される方は、自身で無理に対処しようとせず、プロの業者へ依頼するのが賢明です。
被害が広がるほど防除や修繕にかかる費用が高額になるため、被害が軽微なうちに相談することをおすすめします。
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