ネズミが家に棲み着くと、様々な被害を受けることがあります。
代表的なものには、騒音被害や家具・配線をかじられてしまう被害が挙げられますが、併せて注意したいのが病気にかかる身体的な被害です。
最悪の場合、命にかかわることもあり注意が必要です。
本記事では、ネズミが原因でかかる病気やアレルギー、侵入を放置したことによる病気以外のリスクについて解説します。
安心安全に暮らせる住まいを取り戻せるよう、ぜひ最後までご覧ください。
1. ネズミが原因で病気になる可能性はある

下水道や床下などの不衛生な場所を徘徊するネズミは、様々な病原菌を媒介します。
そのため、ネズミに噛まれたり棲み着かれたりすると、人間があらゆる病気にかかる危険性があるのです。
ネズミによってかかるかもしれない病気は、大まかに分けて次の2つの種類があります。
- ネズミに噛まれることでかかる病気
- ネズミの排泄物が原因の病気
それぞれの病気について、病名や病原菌、症状などを詳しくご紹介します。
1-1. ネズミに噛まれることでかかる病気
ネズミに噛まれると、鼠咬症(そこうしょう)にかかる可能性があります。
鼠咬症は、噛まれた傷口からネズミの保有する菌が入り込んで感染する病気です。
細菌の種類はレンサ桿菌とらせん菌の2種類があり、どちらの菌に感染したかによって症状も異なります。
細菌の種類 | 症状 |
---|---|
レンサ桿菌 | 発熱・発疹・関節痛・嘔吐・頭痛・悪寒など |
らせん菌 | 発熱・発疹・リンパ節の腫れ・患部の炎症など |
いずれの場合も治療を受けずに放置すると、数カ月に渡って発熱や発疹、関節痛を繰り返すことがあります。
心臓や脳にまで感染が広がれば、命に危険が及ぶこともあるため、早急な治療が必要です。
なお、日本を含むアジアでの罹患率が高いのは、らせん菌型の鼠咬症と言われています。
また、アナフィラキシーショックも起こるリスクがあります。
アナフィラキシーショックとは、アレルゲンが体内に入ったときに全身で複数の症状が出る重度のアレルギー反応です。
飲食物のアレルギーやハチに刺されることで発症するイメージが強いですが、ネズミに噛まれることでも発症しかねません。
アナフィラキシーショックでは、ネズミに噛まれてすぐに次のような症状が出ます。
- 発疹
- 嘔吐・吐き気
- 全身の腫れ
- 血圧の低下
- 頻脈(脈拍の上昇)
- 呼吸困難
- 意識障害 など
アナフィラキシーショックは急速に症状が深刻化し死に至る恐れがあるため、迅速かつ適切な対処が欠かせません。
1-2. ネズミの排泄物が原因の病気
ネズミの排泄物には多数の病原菌が含まれており、これが原因で引き起こされる主な病気として、次の3つが挙げられます。
病名 | 症状 |
---|---|
サルモネラ症 | 腹痛・下痢・嘔吐・発熱 |
レプトスピラ症 | 初期症状:発熱・頭痛・悪寒・筋肉痛 重症化した症状(ワイル病):黄疸・出血・腎不全 |
ハンタウイルス肺症候群 | 初期症状:発熱・筋肉痛・頭痛・腹痛・嘔吐 重症化した症状:ショック症状・尿量の増減・腎機能障害・急性呼吸窮迫症候群 |
サルモネラ症は、ネズミの糞尿で汚染された食品や水を経口摂取することで起こる食中毒です。
症状が軽度であれば1週間程度で自然に治りますが、重症化すると命が危険に晒される場合もあります。
特に小さな子どもや高齢者は重症化しやすく、注意が必要です。
初期症状が風邪に似ているレプトスピラ症は、ドブネズミの尿で汚染された水や土壌に触れる経皮・経口感染が原因で起こります。
重症化すると、ワイル病とも呼ばれる病気です。
特徴的な症状がなく初期での診断は難しいとされていますが、早い段階で治療が受けられなければ20〜30%の確率で死に至ります。
ペットに感染することもあるため、ドブネズミの侵入には注意しましょう。
また、ネズミの糞尿にはハンタウイルス肺症候群の原因となる、ハンタウイルスも含まれています。
糞尿への接触や糞尿で汚染されたホコリの吸入、ネズミに噛まれるなどをきっかけとして感染し、初期症状が出てから急速に呼吸困難や肺水腫(肺に水が溜まること)へ進行します。
重症化した症状は命を脅かす危険性が非常に高いため、一刻も早い対応が不可欠です。
なお、ネズミの糞尿や体表には、寄生虫も多く付着しています。
ネズミが媒介する寄生虫については、以下の記事から詳しくご覧いただけます。
2. ネズミの持ち込むダニでアレルギーが出ることも

病気ではないものの、ネズミに寄生する吸血性の「イエダニ」によってアレルギー症状が出る場合もあります。
ダニというと、刺されることで起きる強いかゆみや発疹、水ぶくれなどの皮膚症状が一般的ですが、イエダニのフンや死骸を吸い込むと以下のようなアレルギー症状をも引き起こす可能性があります。
- くしゃみ
- 鼻水・鼻詰まり
- 咳
- 喘息
- 目のかゆみ など
1匹のネズミが持ち込むダニの数は数十〜数百とも言われているため、ダニを長く家に居座らせないよう市販の忌避剤などで早めに対処しておきましょう。
ネズミが持ち込むダニによる被害の詳細は、以下の記事でご確認ください。
3. ネズミを放置すると病気以外のリスクもある

ネズミによる被害は、身体的なものだけではありません。
侵入したネズミを放置していると、次のような被害を受けるリスクがあります。
- 家屋の老朽化
- コード類の断線
- フン・尿による汚染
それぞれのリスクの背景についてご紹介します。
3-1. 家屋の老朽化
ネズミは一生涯伸び続ける「常生歯」という歯を持っています。
伸ばしたままにしておくと上手く食事が摂れないため、様々なものをかじって歯を削る必要があるのです。
そのため、家屋に棲み着いたネズミは柱や壁、断熱材などをかじることがあります。
放置していると次第に家屋が老朽化し、屋根の崩落や家屋の倒壊、資産価値の低下を招く事態になるかもしれません。
3-2. コード類の断線
先述したように、家屋に侵入したネズミは何でもかじる習性があります。
特にある程度の硬さがある木材やプラスチック、ゴムなどが好まれるため、人目につきにくい屋根裏や家具家電の裏にあるコード類はかじる対象としてターゲットにされやすいです。
コード類が断線すれば、家電の故障や停電・漏電、ショートが起こり得ます。
加えて、ショートによって散った火花がホコリやネズミに点火し、火災を招く可能性もあるでしょう。
ネズミがコードをかじったときの被害や対策については、以下の記事で詳細にご紹介しています。
3-3. フン・尿による汚染
ネズミは、フンや尿を撒き散らしながら移動をする習性があります。
度重なる排泄は不快なニオイの原因にもなりますが、天井にシミを作ったり、建材を腐敗させたりすることもあります。
フンや尿の放置は病原菌や寄生虫を繁殖させることにも繋がるため、見つけたら至急清掃・消毒を行いましょう。
4. ネズミ対策はプロに任せるのがおすすめ

ご自身でもできるネズミ対策ですが、確実性や安全性を考慮するとプロに一任するのがベストです。
本章では、個人での対策をおすすめしない理由をご説明します。
4-1. 自力でも応急処置は可能だが完全解決は難しい
市販の忌避剤や捕獲用のトラップなどを使用すれば、ある程度の追い出しや駆除は可能です。
しかし、ネズミは警戒心が強く学習能力にも長けており、忌避剤のニオイに慣れたり、突然設置されたトラップに近づかなかったりして、思ったほど対策の効果は得られないでしょう。
また、対策の効果が得られない間にも、繁殖力の高いネズミはどんどん数を増やしていきます。
そのうえ新たなネズミの侵入も防ぐために侵入経路の封鎖も不可欠ですが、侵入経路になりやすい場所は無数にあるのが現実です。
全ての侵入経路を見つけて封鎖するのは難しく、新たなネズミの侵入と繁殖が進んで自力では手に負えなくなる可能性もあるため、早めにプロへ依頼して解決するのが望ましいでしょう。
4-2. 健康リスクを減らすためにも個人での対策は非推奨
個人でネズミを駆除した場合、死骸や糞尿を自分で処理しなければなりません。
処理の際には感染リスクが伴うため、防護や清掃・消毒を徹底する必要があります。
一方、プロに依頼してしまえば、徹底的な安全対策をしたうえで駆除・清掃・消毒を行ってもらえます。
健康リスクを最小限に抑えるためには、専門駆除業者への依頼がおすすめです。
5. ネズミ被害でお悩みなら協会の無料相談をご活用ください

ネズミの被害に初めて遭うと、まずどういった行動を取るべきか迷ってしまうでしょう。
間違った対処をしてしまえばネズミの警戒心を強めてしまうため、早めに駆除業者へ依頼することが最適です。
とはいえ、「適正価格が分からない」「悪徳業者の餌食になりたくない」という思いから、駆除業者への相談をもためらってしまうこともあるかもしれません。
ネズミ被害を受けた際は、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会へご相談ください。
当協会では、ネズミ被害に関するあらゆるお悩みを無料でご相談いただけます。
被害に遭ったときにするべき対策や駆除業者へ依頼した際の費用相場、優良業者のご紹介など、ネズミ駆除のために役に立つアドバイスをお伝えします。
ネズミ対策は確実性と安全性も肝心ですが、即時性も重要です。
ネズミの侵入に気づき次第、お早めにご相談ください。
まとめ
不衛生な環境を徘徊するネズミは、様々な病原菌を保有しています。
したがって、ネズミに噛まれたり糞尿に汚染されたものを口にしたりすると、感染症にかかる可能性があります。
重症化すると命を脅かす感染症もあるため、少しでもネズミの侵入が疑われる場合は駆除業者へご依頼ください。
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