アナグマはもともと里山に暮らしていた動物ですが、自然環境の減少によって人間の居住域に出没することが増え、さまざまな害獣被害をもたらしています。
害獣が侵入しているかどうかは足跡で確認ができ、見つけ次第早急に対策を講じる必要があるでしょう。
この足跡を参考に害獣を判別することもできるため、この記事にてアナグマや他の害獣の足跡の特徴について、詳しくご紹介していきます。
足跡以外の判別ポイントについても解説しておりますので、害獣被害を防ぎたいという方はぜひ本記事を参考に対処してみてください。
目次
アナグマの足跡にはどんな特徴がある?
アナグマの足跡の特徴は、主に以下の通りです。
- 大きさは5~7cmほどが多い
- 指が5本ある
- 長い爪痕がつく
- 横に広い足跡をしている
アナグマは、その名の通り穴を掘る習性があるため、足跡には長い爪痕が残ります。
また、ハクビシンなどに比べると横に広い足をしているため、足跡だけでも判別がしやすいといえるでしょう。
アナグマとよく似た害獣の足跡の特徴
アナグマ以外にも、人の生活圏に侵入し害獣被害をもたらす動物はいくつか存在します。
この章では、アナグマとよく似た害獣の足跡の特徴についてご紹介します。
イタチ
イタチの足跡の特徴は、主に以下の通りです。
- 足跡のサイズは2~3cmほど
- 前足・後ろ足の形や大きさはほぼ同じ(後ろ足のほうが若干大きい程度)
- 指は5本あり、小さな爪がついている
- 肉球と指は離れて跡が残る
イタチは体重が軽く(雄:290~650g、雌:115~175gほど)、土の上に足跡が残ることが少ないといわれています。
雪の上や泥跡などきれいに足跡が残る場合は5本の指が確認できることもありますが、乾いている土の上だと3~4本のみなど形がまばらになることもあるでしょう。
アナグマの場合、平均体重は約10~13kg(雄:5.9~13.8kg、雌:5.2~10.5kgほど)とイタチよりも重く、長い爪痕が残るため、違いを判別しやすいといえるでしょう。
ハクビシン
ハクビシンの足跡の特徴は、主に以下の通りです。
- 前足は長さ5cmほど・後足は長さ10cmほどと、後ろ足のほうが長い(足跡の幅は前後とも約4cmほど)
- 前足は大き目の肉球、後ろ足は細長い肉球をしている
- 肉球と指が離れている(足跡には爪跡がつかないこともある)
- 壁・木などに爪跡を残すこともある
ハクビシンは、前足と後ろ足で形が違う・肉球の跡が残る・爪痕はほぼ確認できないといった特徴があり、アナグマの足跡とは大きく異なります。
また、ハクビシンは木登りが得意なため、もし壁や樹木などに爪の跡があれば、ハクビシンの可能性がぐんと高まるでしょう。
アナグマは土を掘ることが得意なため、この点も判別時の大きなポイントとなるはずです。
アライグマ
アライグマの足跡の特徴は、主に以下の通りです。
- 前足:約5cm×6cm・後足:約7cm×6cmほどで、若干後ろ足のほうが大きい
- 人間のようなくっきりとした5本指が残る(前足は人間の子どもの手のひらに似た形をしている)
- 爪が長くかつ鋭いため、特に後ろの足跡に爪痕がくっきりと残る
- 前後の足がほぼ同じ位置に着地するため、足跡が重なって見えることがある
アライグマの足跡は、人の手のひらに似た形をしていることが特徴であり、アナグマの足跡との見分けがつきやすいといえます。
また、前後の足跡が重なって見えることがあるため、この点も判別時のポイントとなり得るでしょう。
タヌキ
タヌキの足跡の特徴、主に以下の通りです。
- 足跡全体の大きさは、3~4cm程度
- 指は全体的に丸い形をしており、犬や猫の足跡にも似ている
- 指は4本で、4つある指球の先端に爪の跡がついている
- 手のひら部分にあたる肉球は小さめで、三角形に近い形をしている
- 高いところに登った形跡がない(タヌキは高い場所へ登るのが得意ではないため)
タヌキの足跡も、アナグマとは大きく異なるため、判別はしやすいといえるでしょう。
ただし、乾いた土などの場合は指球があまり見えないことも多く・爪の跡だけが残っていることもあるため、爪の跡だけでアナグマかタヌキかを判断するのはやめておいたほうがよいといえます。
足跡以外で害獣の判別に役立つ要素はある?
足跡だけでも、アナグマか別の害獣かをある程度判別することはできますが、より確実性を持たせるためにも他の要素も加味するべきといえます。
この章では、足跡以外で害獣の判別に役立つ要素をいくつかご紹介します。
判別に役立つ要素①:見た目
害獣の判別にもっとも役立つのは、見た目です。
アナグマ・イタチ・ハクビシン・アライグマ・タヌキ、それぞれ外見に特徴があるため「遭遇できれば」特定の参考になるでしょう。
ただし、注意点が2つあります。
一つは、害獣のほとんどは夜行性のため、日中に目にする機会はほとんどないという点です。
日中にまったく目にしないわけではありませんが、やはり夜間のほうが遭遇率は高いでしょう。
しかし、夜間の視界が悪い状態で遭遇しても、パッと見ただけではどの動物かがわからないことも多々あります。
もう一つは、遭遇した際に襲われるリスクがあるという点です。
イタチ・ハクビシン・アライグマは獰猛な性格をしており、不用意に接触すると襲い掛かってくる可能性があります。
アナグマやタヌキは他の動物に比べ比較的温厚ではあるものの、絶対に襲い掛かってこないとも断言できません。
野生動物は、その体に多数の病原菌や寄生虫を有しているため、もし攻撃されて怪我を負ってしまうと感染症などの病気を発症する恐れがあるため注意が必要です。
判別に役立つ要素②:被害状況
アナグマには、特有の「穴を掘る習性」があるため、庭などに無数の穴が確認できた場合はアナグマの存在を疑ってみるのもよいでしょう。
なお、家屋の床下などにアナグマが棲みついた場合、家屋下の地面を掘っていき地盤が緩む恐れがあります。
地盤が不安定な状態でもし地震が発生した場合、建物が倒壊する危険性すらあるため非常に危険です。
判別に役立つ要素③:鳴き声やフン
鳴き声やフンも害獣それぞれで若干の違いが見られるため、各害獣の特徴を理解しておけば特定の材料となり得るかもしれません。
ただし、素人が鳴き声やフンだけで害獣を特定することは難しく、特定するだけでも多大な手間が生じます。
痕跡の存在は、付近に害獣が潜んでいることの証明となるため、自身で対処するよりも害獣駆除業者へ相談したほうがよいといえるでしょう。
害獣の特定・防除はプロの業者へ依頼するのがおすすめ!
痕跡を用いて害獣を判別することは不可能ではありませんが、特定するにも多大な手間とリスクがかかります。
また、痕跡は付近に害獣が潜んでいる証拠となり、早急に対策を講じなくてはいけません。
しかし、日本には「鳥獣保護管理法」という法律が存在し、害獣の多くもこの法律によって保護・管理されています。
アナグマも本法律の対象であり、仮にアナグマによる害獣被害を受けていたとしても、許可なく捕獲・駆除することができません(無許可で捕獲・駆除すれば刑罰の対象となる)。
害獣駆除に慣れていない人ほど、すべての作業に膨大な手間がかかるため、被害を危惧される方は害獣駆除業者へ対処を依頼するのが得策といえるでしょう。
プロの業者へ依頼すれば、手間もリスクもかけずに、安全かつ中長期的にアナグマなど害獣被害に悩まされる可能性が激減します。
ただし、業者によって防除にかかる費用やサービス内容は異なるため、複数社に見積もりを依頼してから、より自身が安心・納得できる業者へ防除を依頼することをおすすめします。
アナグマに関するよくある質問
本章では、アナグマ被害に関するよくある質問をご紹介します。
アナグマを放置しておくとどうなる?
家屋に浸入・棲みついたアナグマを放置していると、そこに住まう住人や家屋に甚大な害獣被害をもたらします。
【アナグマによる主な害獣被害】
- 食害 :人が口にする食べ物や育てている作物、廃棄予定の生ごみなどを食い荒らされる
- 健康被害:騒音による睡眠障害やノイローゼ、アナグマを媒介とした感染症の発症など
- 建物被害:排泄物による悪臭・腐食など建物の劣化、穴を掘り地盤が緩むことによる倒壊の危険性 など
いずれも深刻な問題であり、放置すればするほど被害は拡大し続けていきます。
被害が拡大してから業者へアナグマの駆除や建物の修繕を依頼した場合、高額な費用が発生する可能性も高まるため、被害が発生する前の予防もしくは被害が軽微なうちにプロへ相談することをおすすめします。
アナグマの侵入を防ぐ方法は?
アナグマの捕獲・駆除を無許可でおこなうことはできませんが、侵入防止策を講じることは誰にでもできます。
侵入を防止する方法としては、主に以下が挙げられます。
【柵を設置する】
- 地中・地上の両方を封鎖する必要があるため、高さが必要(柵の下部30cmほどを地面に埋め込み、地上の高さは40cm以上が好ましい)
- 高さが足りない場合は、ネットの目合いが4mm以下の防風ネットで囲うと侵入を防ぎやすくなる
- 電気柵を利用すれば、よりアナグマに警戒心を与え、侵入防止効果が高まる
- 柵設置後も、定期的な見回りと点検を欠かさないこと
【エサとなるものを放置しない】
- 収穫予定の作物は早めに収穫する
- 廃棄予定の農作物は早めに回収し、廃棄する
- 生ごみは袋のまま出しっぱなしにせず、フタつきのものでしっかりと密閉し、早めに廃棄する
【アナグマにとって居心地の悪い環境を作る】
- 忌避剤などの害獣対策グッズを設置する
- 除草をおこない、見通しをよくする
アナグマは「しつこい動物」といわれており、一度侵入されると何度もやってきます。
ある程度の侵入防止対策は不慣れな方でもできますが、もし「効果を感じられない」「手に負えない」と感じた場合は、無理をせずプロへ相談するとよいでしょう。
アナグマの天敵はなに?
アナグマの天敵はオオカミであり、犬を飼うとアナグマを追い払える可能性があるといわれています。
しかし、野生のアナグマに付着しているダニやノミなどの寄生虫が愛犬に付着する恐れもあるため、アナグマとの接触は避けるべきです。
アナグマ対策グッズのなかには、天敵であるオオカミや尿を成分とした忌避剤などが販売されているので、これを侵入が気になる場所へ設置しておくとよいでしょう。
ただし、苦手とするニオイであってもいずれは慣れて警戒心を緩める可能性があるため、適度に罠の種類や設置場所を変えてみることをおすすめします。
アナグマ駆除をプロへ依頼した際の費用相場は?
アナグマの駆除や予防にかかる費用の相場は、5万円~10万円ほどといわれています。
ただし、アナグマの防除にかかる費用は、敷地面積の広さ・被害状況・使用する薬剤・作業スタッフの数などさまざまな要因で変化するため、実際に業者へ現地調査・見積もりを依頼してみたいと詳細が判明しません。
業者によっても防除費用やサービス内容が異なるため、業者選びはしっかりとおこなったほうがよいでしょう。
優良な害獣駆除業者を見つける方法は?
優良な害獣駆除業者を見つめる最善の方法は、相見積もりを取る(複数の業者へ見積もりを依頼する)ことです。
複数の業者を比較することで、費用だけでなく業者ごとの特徴なども把握でき、より自身に合った業者へ依頼することができるでしょう。
費用面はもちろん「自身が求めるサービスが実施されるか?」を確認することも重要です。
いくら駆除費用が安くても求めるサービスが実施されなければ意味がありませんし、駆除費用が高くても求めるサービスがかならず実施されるかもわかりません。
また、保証内容にも注目しておきましょう。
害獣駆除の難易度は高く、プロであっても被害が再発してしまう可能性はあります。
再発保証の重要性は非常に高いため、より保証が充実している業者へ依頼するのが安心といえるでしょう。
アナグマの駆除は自治体へ相談できる?
自治体によっては、アナグマなど害獣被害についてサポートをおこなっているところもあります。
サポート内容は、無料相談・業者の斡旋・捕獲機の貸し出し・自治体による駆除などです。
ただし、自治体が害獣を駆除してくれるケースは非常に少なく、他のサービスも自治体によって実施の有無が異なります。
無料相談をおこなっている自治体は比較的多いとされていますが、気になる方は、まず自治体のホームページや問い合わせなどで確認を取ったほうがよいでしょう。
まとめ
アナグマの足跡は、他の害獣と明確な違いがあるため、比較的判別がしやすいといえます。
足跡に加え、食害やフン・穴を掘った形跡があるなど他の要素も加味しながらアナグマかどうかを確認してみると、判別の精度はより上がることでしょう。
いずれにせよ、足跡などの痕跡があることは害獣が潜んでいる可能性が高いことの証明となるため、早急に対策を講じるべきです。
素人でもある程度の対策はできますが、少しでも不安がある方は早め早めにプロの業者へ相談することをおすすめします。
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