自然界に生息する虫は、ふとしたきっかけで家屋に入り込みさまざまな害虫被害を引き起こします。
その侵入経路は多様であり、市販の害虫対策グッズを使っても侵入されることがあるでしょう。
この記事では、害虫対策として屋外の害虫を家屋に浸入させない方法や、効率的な防除法をご紹介します。
屋外から侵入する害虫の侵入経路はどこ?
害虫の屋内への侵入経路は多岐に渡り、害虫の種類によっても侵入経路が異なるケースがあります。
本章にて、いくつかの害虫の種類をピックアップし、その侵入経路となる場所をご紹介しましょう。
蚊やハエなどの飛行する虫
蚊・ハエ・カメムシなどの飛行する虫は、その飛行能力を有して、玄関・窓・換気扇・排気口などさまざまな箇所から侵入してきます。
仮に窓を閉め切っていたとしても部屋に侵入しているケースもあるため、注意が必要です。
なお「網戸を閉めていても虫が入り込んでくる」という場合は、窓のフレームに問題があるのかもしれません。
- 網戸の縦框(たてがまち)が劣化していて、その隙間から侵入している
- 窓を半開きにすることで網戸と窓のフレーム間に少しの隙間が生じ、そこから侵入している
上記のような可能性が考えられます。
換気目的で窓を開けているご家庭も多いかと思いますが、窓の半開き状態には注意しておきましょう。
また、洗濯物についているカメムシに気付かずに、室内へ取り込んでしまう点にも注意が必要です。
カメムシは主にスギ・ヒノキなどの果実に卵を産み付けるため、春先にこれらの花粉が大量に飛散することで球果量が増え、カメムシが大量発生するといわれています。
特に5~8月はカメムシの産卵期となり、バルコニーに置かれたガーデニングの草木や受け皿の水たまりなどを求めて飛来する恐れがあります。
ゴキブリやムカデなどの地を這う虫
ゴキブリなムカデなどの地を這う虫も、さまざまな経路を通して屋内へ侵入してきます。
侵入経路として特に多いのは、以下です。
- 玄関ドア下の隙間
- 窓や窓サッシの水切り穴
- 台所シンク下の排水管と床板との隙間
- エアコンのドレン配管と外壁との隙間
- 台所レンジフードファンの排気口の隙間 など
ほんの数ミリ程度の隙間があればどんな場所からでも侵入できるため、侵入経路を完璧に封鎖するのはほぼ不可能といえます。
なお、地を這うタイプの虫であっても、建物の2階以上に浸入する可能性はあるため、マンションの上層階に住んでいても対策はしておくべきです。
たとえば、ゴキブリは足から粘着質の液体が分泌されており、高いところも難なく上ってきます。
マンションの場合、住戸内の給排水管やバルコニーの排水管を伝って上ってくることが多いでしょう。
長い触角を使って水やエサがある場所を探しており、部屋のなかが不衛生であるほど上層階でも侵入される可能性は高まります。
ムカデは湿気の多いところを好み、水を感知する能力にも優れているため、バルコニーやベランダに雨水が溜まっていると、誘引され登ってくることがあります。
特に、植木鉢の水受け皿はムカデにとって良環境なため、地面から離すなどして接触を防ぐことが重要です。
どのような家であっても数多の害虫に侵入される可能性は考えられるため、害虫を見たくない!という方は徹底的に対策を講じるべきといえるでしょう。
ダニ・ノミなどの非常に小さな虫
ダニやノミといった、目視で確認できないほど小さな虫の侵入経路は、主に以下が挙げられます。
- 外出先で服や荷物などに付着する
- 小さな虫や動物が持ってくる(鳥やネズミなど)
- ホコリや落ち葉などにくっついて運ばれる
ペットと一緒にお住いの場合、ペットに付着して入り込んでくる可能性もあり、ペットにも害虫被害がおよぶため注意が必要です。
ただし、庭などほんの少し外に出ただけでも付着し家屋内に入り込む恐れがあるため、ダニやノミの侵入を完璧に防ぐことは不可能といえます。
ダニやノミに関しては「侵入させない」ではなく「増やさない」ための対策が必要といえるでしょう。
家の周り(屋外)の害虫対策法
自然界からやってくる害虫の侵入を防ぐには、屋内だけでなく屋外の侵入対策もしっかりとおこなうべきです。
本章では、家の周り(屋外)の害虫対策法をご紹介します。
エアコン周りの隙間を埋める
屋外からの害虫の侵入経路となりやすい場所として、配管を通す壁穴の隙間やドレンホースといったエアコン周りが挙げられます。
- 配管を通す壁穴の隙間をパテで埋める
- ドレンホースには防虫キャップをつけておく
パテや防虫キャップは、ホームセンターやドラッグストアなどで簡単に入手できます。
なお、パテを使用する際は、壁の色に合ったものを使うと目立ちにくくなるためおすすめです。
家の周囲に粉剤やスプレーを撒く害虫対策
ホームセンターやドラッグストアでは、害虫を寄せ付けないための忌避剤(紛剤やスプレーなど)が販売されており、これを家の周囲に撒いておくのも非常に効果的です。
紛剤は雨に強い商品が多く、長期間の害虫の侵入を予防できるため、屋外では紛剤を利用するのがおすすめです。
紛剤が撒きにくいところなどを、スプレーで補強しておくとよいでしょう。
また、害虫の侵入口となりやすい網戸や窓ガラスにも、専用の予防スプレーを吹きかけておきましょう。
市販の予防グッズは数が多いため、以下ポイントを購入の参考にしてください。
- 予防期間の長さ(長いほど手間がかからない)
- 対応害虫の種類が多い
- 雨に強い
- ニオイがない など
網戸・窓ガラスの場合は、網戸・窓ガラスの両方に対応している、処理できる網戸の枚数が多いといった点もチェックしておきましょう。
庭の雑草を取り除く
庭に雑草が生い茂っていると、そこが虫の棲み処となり、家の中に浸入する可能性も高まってしまいます。
そのため、適度に庭の雑草を取り除くとよいでしょう。
雑草は害獣が家屋への浸入の際に隠れ蓑として利用することもあるため、害虫だけでなく害獣対策としても役立てることができます。
もし草むしりが面倒だと感じる方は、除草剤を使って一気に枯らすのもおすすめです。
ただし、庭で家庭菜園などをしている場合は作物にも影響をおよぼす可能性があるため、使用の際はご注意ください。
家の周りにある水たまりを無くす
家の周りにある水たまりは、害虫を寄せ付ける原因となるため極力なくしましょう。
たとえば、蚊はバケツ・植木鉢の受け皿・古いタイヤなどに溜まった水へ卵を産み付けます。
孵化すれば多くの蚊が発生する原因となるため、注意が必要です。
ムカデやゴキブリなど他の害虫も水に引き寄せられる習性があるため、水たまりはもちろん、水たまりができそうなものもできる限り排除しておくとよいでしょう。
ハチの巣予防のスプレーを吹きかける
ハチも害虫の一種であり、家屋周辺に巣を作られると住人に多大な被害をおよぼします。
そのため、ハチの巣が作られやすい場所には、事前に蜂の巣予防のスプレーを吹きかけておきましょう。
蜂の巣が作られやすい場所としては、以下が挙げられます。
- 屋根裏や天井裏
- 雨戸や窓の下
- 軒下やテラス
- 室外機や通気口周辺
- 床下
- 物置
- 庭の樹木や生垣 など
一戸建てだけでなく、アパートやマンションなどの集合住宅でも巣を作られる可能性はあるため、周囲でハチを見かけた場合は事前に予防しておくことをおすすめします。
家の中でできる害虫対策法
次に、屋内でできる害虫対策法についてご紹介します。
網戸の位置に注意する
屋内の害虫対策法として特に重要なのが「網戸の位置」と「網戸とサッシの隙間」です。
網戸の位置とは「網戸が左側にある状態で、窓を半開きにしない」(網戸に近い外側の窓を半開きにしない)ということです。
網戸に近い外側の窓を半開きにしてしまうと、窓と網戸の間に隙間ができてしまい、害虫が家の中に浸入してくる可能性があります。
もし網戸を左側にする際は、網戸に近い窓を全開にすること。こうすれば隙間がなくなり害虫が侵入できなくなります。
窓を半開きにする場合は、網戸を右側に移動し、内側の窓を開けましょう。
また網戸は、長年使用していると「モヘア」と呼ばれる害虫の侵入を予防するための部材が劣化し、短くなってしまいます。
このモヘアが劣化した部分(網戸とサッシの間にある隙間)から害虫が侵入してくるため、市販のモヘアシールを使って補修しましょう。
モヘアを選ぶ際は網戸とサッシの隙間を測り、毛の高さを確認して近いサイズのものを購入してください。
換気扇にフィルターをつける
換気扇には「プロペラタイプ」と「レンジフードタイプ」の2種類があり、前者は回っていないときの隙間から、後者は外の換気フードから吸い込まれて害虫が入り込んでくる可能性があります。
換気扇のタイプにあった専用のフィルターが販売されているため、それを使って害虫の侵入を予防しておきましょう。
排水管と床の隙間を埋める
ゴキブリなどの害虫は、排水管を通って侵入してくることが多いでしょう。
キッチンや洗面所下部にある扉棚を開けると排水管を確認できるため、もし排水管と床の間に隙間があれば、パテで埋めると侵入防止に役立ちます。
排水管周りを覆うようにパテを取り付け、隙間を埋めましょう。
害虫駆除剤などの罠を設置する
害虫ごとに適した害虫駆除剤や罠が販売されているため、それらを使って室内への侵入を予防しましょう。
たとえばゴキブリであれば、バルサン・ゴキブリホイホイ・毒餌・スプレータイプの予防剤などが存在し、併用して使うことでより高い効果を期待できます。
ゴキブリは特にキッチンから入り込むことが多いため、キッチン周りの以下箇所を中心に罠を設置するとよいでしょう。
- 食洗機の下
- ガスコンロの下
- シンク周り
- 冷蔵庫周り
- 電子レンジの下や裏 など
罠を設置する際は、できるだけ予防期間が長いものを選びましょう。
また、バルサンを使用する際は煙が室内に充満するため、火災報知器や食器・テレビなどの機器をゴミ袋やビニール袋などで覆って使用してください。
常日頃からできる害虫対策法
害虫対策グッズの使用や侵入経路の封鎖以外にも、常日頃からできる害虫対策は存在します。
本章にて、その方法をご紹介します。
戸建て・賃貸に関係なくできるため、普段から対策を徹底し害虫にとって居心地の悪い環境を維持しましょう。
こまめな掃除で清潔な環境を保つ
害虫は、エサのニオイに釣られて室内に入り込むことが多いとされています。
エサを置いているつもりがなくても、生活していれば自ずと発生するものもたくさんあるため、こまめに掃除し清潔な環境を保ちましょう。
【放置厳禁なものと対処法】
- 生ゴミ :ゴミ袋を二重にする・フタつきのごみ箱などで保管し、できるだけ早く処分する
- ホコリ・アカ・フケ :適度に掃除機をかける(できれば週2回以上が好ましい)
- お酒やビールの残り :缶などは洗ってからゴミ袋にいれる
- 常温保存されている野菜や果物:出しっぱなしにせず、冷蔵庫で保管する
布団は天日干しにする
晴れている日は、布団を天日干ししてダニの繁殖を抑えましょう。
天日干しだけでダニを完璧に駆除することはできませんが、布団を乾燥させることで繁殖を大幅に抑えることができます。
ただし、布団を取り込む際は、布団に虫が付いていないかを確認したうえで取り込んでください。
湿気を防ぐ
ジメジメとした湿気の多い場所には害虫が集まってきやすいため、こまめに換気をするなどして、日ごろから除湿を意識しておきましょう(換気の際は、網戸と窓の位置に注意)。
また、水たまりの発生にも注意が必要です。
特に、庭やベランダなどで花や作物を育てている方は、植木鉢の水受け皿などに水が溜まっていないか適度にチェックしておきましょう。
洗濯物を取り込む際はよく確認する
洗濯物を取り込む際は、虫が付いていないかを確認してから取り込みましょう。
特に注意すべきなのが、カメムシとハチです。
カメムシは暖かい場所を好むことから、干している洗濯物に寄ってくることがあります。
ハチは。洗剤や柔軟剤の匂いに反応して洗濯物に紛れ込んでしまうことがあるようです。
確認せずに洗濯物を取り込むと、家の中に害虫を立ち入らせる原因となるため、注意しておきましょう。
ダンボールは早めに処理する
ダンボールは、暖かく人目につきづらいという特徴から、害虫にとって快適な住処となり得ます。
また、ダンボールにはたくさんの隙間が空いており、ここに幼虫や卵が産みつけられてしまう可能性もあるでしょう。
放置するほどに害虫を呼び込み・大量発生の原因となってしまうため、ストックせずに早めに処分することをおすすめします。
害虫が発生しにくい家の特徴とは?
賃貸・戸建てを問わず、同じ家でも害虫が発生しやすい家・しにくい家が存在します。
本章にて、害虫が発生しにくい家の特徴についてご紹介します。
もし引っ越しを検討している方は、以下のポイントも参考にして引っ越し先を選んでみるのもよいでしょう。
特徴①:新築もしくは築浅である
新築もしくは築浅であるほど、給排水管などの汚れが少なく、サッシ・網戸も劣化していないため、外部からの虫の侵入を防ぎやすいといえます。
逆に、築年数が古いほど建物が劣化し、隙間なども発生しやすくなるため、引っ越しの際は築年数もチェックしておくとよいでしょう。
特徴②:「自然」に近接していない
森・池・川などの自然に近い建物は、一見すると緑の景観が美しく住みやすい環境と感じるかもしれません。
しかし、実際は周辺の湿度が高く、害虫が発生しやすくなるため「虫と遭遇したくない」という方ほど、緑や水辺に近い建物は避けたほうがよいでしょう。
また公園も比較的自然が多いため、虫の発生を警戒している方は、公園に近接していない建物のほうが適しているといえます。
特徴③:中・高層階の住戸
飛行できる虫であっても、自力で飛べる高さは10m程度までといわれており、これはマンションの階数だと3階程度の高さに相当します。
ゴキブリやムカデなどの地を這う虫も、わざわざ上階層の部屋を好んで入り込むことはそう多くはありません。
そのため、中・高階層の住戸を選ぶほど、害虫との遭遇率は低くなるでしょう。
ただし、虫の発生を完璧になくすことはできません。あくまで「遭遇率が低くなるだけ」という点を理解しておきましょう。
特徴④:店舗が併設していない
コンビニや飲食店などの店舗が併設されているマンションや家の周囲に飲食店などが立ち並ぶ(隣接している)場所だと、残飯や店舗の排気口の油などを好む害虫(ハエやゴキブリなど)が発生しやすくなります。
この場合、いくら自分の家で防虫対策を徹底しても、他のところで繁殖し侵入してくる可能性が高まるため、自身だけでは対策しきれません。
住まい選びの際は、周辺の建物の衛生環境についても確認しておきましょう。
特徴⑤:管理体制が整っている
アパートやマンションなど賃貸住宅の場合は、管理体制も重要なポイントとなります。
たとえば、共用部のゴミ置き場にも空調が完備されている・管理スタッフが常駐もしくは日勤で清掃業務をおこなっているというマンションであれば、ゴミ置き場は清潔に保たれ、マンション内の害虫の発生も防ぎやすくなるでしょう。
また「ベランダにハチが巣を作っている」など、万が一害虫が発生した際にも、管理会社側が迅速に業者へ依頼し対応してくれるかもしれません。
厄介な害虫はプロの業者へ相談しよう!
害虫の防除は、素人でも市販のアイテムを使って対処できます。
しかし、害虫のなかにはハチのように危険性が高いものも存在しますし、繁殖力の高さから一匹いたら付近に数千・数万匹が潜んでいる…という可能性もあり、対処しきれない・対処してもキリがないというケースもあるでしょう。
もし自身で手に負えないと感じる場合は、無理をせず害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。
プロに防除を依頼すれば、手間やリスクをかけることなく、害虫が発生・侵入しにくい環境を作り出してくれます。
また、保証期間内であれば、被害が再発した際にも安心です。
現地調査・見積もりまでは無料で対応してくれる業者も多いため、まずは気になる業者をピックアップして相談してみましょう。
まとめ
害虫は屋外から、ほんの小さな隙間からでも侵入してくるため、屋内・屋外両方の防除手段を講じなければいけません。
また、どれだけ対策を徹底しても、100%侵入を防ぐことも難しいでしょう。
自身では気づかない場所が侵入経路となっているケースもあるため、もし「どれだけ対策しても害虫が入り込んでくる…」という場合は、プロへ相談するのも一つの手段です。
できる限りの対策を徹底して、害虫に悩まされない生活を送りましょう。
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