野生のアライグマはなにを食べる?食性や食害を防止する方法を解説

害獣・害虫別

アライグマは、どんなものでも口にする雑食性の動物です。

農作物への被害はもちろんのこと、近年では都市部など人々の生活圏にも近づいて食害などさまざまな被害をもたらしています。

この記事では、野生のアライグマが好む食べ物や食性、食害を食い止めるための方法を解説します。

野生のアライグマはなにを食べる?

アライグマが餌とする食べ物や好物には、どのような特徴が見られるのでしょうか。

この章では、アライグマが口にする食べ物や好物について解説します。

雑食性でなんでも口にする

アライグマはもともと外来種ではあるものの、今や日本全国に分布しており、棲みついている環境によって食するものに若干の違いがあります。

たとえば、海岸沿いに生息する場合は、二枚貝(カキやイガイなど)・エビ・カニ・ウニなどを食べますし、テキサス州のメキシコ湾近辺ではシオマネキを主食としているようです。

人間の居住地近くであれば、人間が残した食べ物の残りや食べカス、生ごみを口にするものもいます。

捕食対象となる生き物は非常に幅広く、たとえば以下が挙げられます。

【両生類】

  • サンショウウオ
  • カエル など

【無脊椎動物】(昆虫を含む)

  • 甲虫
  • トンボ(幼虫・成虫どちらも)
  • バッタ
  • アリ
  • ハチ
  • 水生カメムシ類
  • ミミズ
  • カタツムリ など

【魚類】

  • ブラックバス
  • コイ
  • ナマズ
  • ウナギ
  • パイクマス など

なお、爬虫類はあまり捕食しないとされていますが、まれにヘビやトカゲを食べることもあり、変わったところではウミガメの卵を餌とする事例もあります。

さまざまな環境に適応し、環境に応じた獲物を口にすることから、日本でも食害は甚大なものとなっています。

アライグマの好物について

なんでも口にするアライグマですが、そのなかでも甘い果実を好物としています。

そのため、農作物への被害(食い荒らし)が問題視されており、その被害額は年々増加しています。

また、水生生物のなかでは、とくにザリガニ類を好む傾向にあるようです。

食べ方の特徴について

アライグマは前足がとても起用で、その食べ方に大きな特徴があります。

たとえば、スイカは丸い穴を開けて中身をくり抜いて食べますし、トウモロコシは皮をむいて実の部分のみを食べるといった具合です。

これは他の動物(害獣)ではなかなか見られない傾向のため、害獣の判別時に役立てることができるでしょう。

アライグマの食性

アライグマ 害獣

アライグマの食性(食に関する特徴)としては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 美味しい時期に美味しいものを食べる
  • 季節に合わせて食べるものを変える
  • 高カロリーなものを好んで口にする

それぞれ、順に補足を加えていきましょう。

食性①:美味しい時期に美味しいものを食べる

たとえば、熟した果実などを好んで食べるアライグマですが、熟していないものは「熟すのを待ってから食べる」という賢さを持っているといわれています。

なんでも口にする動物ではありますが、その実なかなかのグルメであるといえるかもしれません。

食性②:季節に合わせて食べるものを変える

棲みついている環境によって食べるものに違いはあるものの、アライグマは「口にする食べ物に季節感がある」といわれています。

たとえば、春にはタンパク質が豊富な昆虫・カエル・ザリガニ・小動物・鳥などを食べる傾向にあり、秋であればエネルギーが豊富な果実や植物の種子などを食べます。

美味しい時期を判別できるだけでなく、季節に応じて必要な栄養素を摂取することができる知能を有しているといえるでしょう。

食性③:高カロリーなものを好んで口にする

アライグマは、自然界に生息する動植物だけでなく、人々が口にする食べ物まで食す傾向があります。

たとえば、砂糖・チョコレート・バター・チーズ・ナッツなど、高カロリーなものを好んで食べることもあるほどです。

また、アライグマを罠で捕獲する際の誘引餌に、スナック菓子(とくに甘いもの)やマヨネーズ・揚げパンなどを用いるケースがありますが、そういった人間が食する食べ物を器用な前足で持ち去っていくこともあるとされています。

アライグマは好きな食べ物に対して強い依存性を持つとされており、一度食べるとやめられなくなることがあります。

被害を未然に防ぐためにも、食べ物のニオイを出さないよう密封保管することが大切といえるでしょう。

深刻な農作物への被害

アライグマの食害のなかでも、とくに農作物への被害は深刻な問題となっています。

被害を防ぐにはアライグマを駆除することが最たる方法ではありますが、法律(鳥獣保護管理法や外来生物法)によって管理されているため、無許可で勝手に捕獲・駆除することもできません。

そのため、アライグマを敷地内や家屋内に浸入させないor侵入したアライグマを追い出すことが、許可なくしてできる最善の対処法といえるでしょう。

野生のアライグマの食害を防ぐ方法とは?

アライグマによる食害は放置するほどに甚大となるため、侵入させない・追い出すための工夫が必要といえます。

この章では、野生のアライグマの食害を防ぐ方法を具体的に解説していきましょう。

侵入させない(ねぐらを作らせない)

家屋や畑などの人々が住まう生活圏内に侵入し「安全かつエサにも困らない場所」と認識されると、アライグマはその付近にねぐらを作り棲みつくようにします。

アライグマは行動範囲内に複数のねぐらを持ち、これを転々としながら生活しています。

被害が多発する場所の近くには、かならずねぐらがあるでしょう。

とくに建物のなかに作ることが多く、天井裏・床下・壁の隙間など狭いところを好む傾向にあります。

「ねぐら=エサ場への前線基地」となるため、ねぐらを見つけて排除すればある程度の被害を食い止めることができるかもしれません。

アライグマを侵入させない方法としては、以下が挙げられます。

  • 忌避剤や木酢液などを設置する(アライグマが苦手とする臭いを発するもの)
  • 青色LEDライトなどを設置する(アライグマが苦手とする強い光を発するもの)
  • 侵入経路となる隙間を封鎖する(金網やパンチングメタルなどの頑丈なアイテムを使うこと)
  • 超音波装置を設置する
  • 電気柵や防護ネットを張る
  • 雑草を適度に処理する(隠れ蓑となる箇所をなくす)
  • 敷地内の木を剪定する(侵入手段を減らす) など

これらの対策は、どれか一つではなく、複数(できればすべて)の手段を併用したほうが効果があります。

ホームセンターやネット通販などで、市販の対策グッズが多数販売されているため、それらの利用を検討するのもよいでしょう。

エサとなるものを出しっぱなしにしない

アライグマは、嗅覚が優れているため、食べ物や好物の匂いに敏感です。

農作物はもちろん、ペットフードや人間が捨てた生ごみのにおいにも反応し、庭や家のなかに浸入してきます。

アライグマに食べ物や好物を与えないよう、エサとなり得るものを出しっぱなしにせず、きちんと整理・清掃することが被害を防ぐ重要なポイントとなるでしょう。

具体的には、以下のポイントを意識してみるとよいでしょう。

  • 生ごみは庭に埋めず、密閉した容器に入れロックする
  • ごみは溜め込まずに早めに捨てる
  • ごみは夜間に出さず、朝に出す
  • 廃棄する農作物はそのままにせず、処分する
  • 庭木の果実は熟す前に収穫する
  • ペットフードの残りはすぐに片付ける など

当然「アライグマを見つけてもエサを与えない」ことも重要です。

アライグマは気性が荒く攻撃的+身体に多数の病原菌が付着していることから、下手に接触すると攻撃され、さまざまな感染症を発病する恐れがあります。

アライグマの駆除は専門業者に依頼しよう!

残念ながら、どれだけ被害を被っていても、無許可でアライグマを捕獲・駆除することはできません。

その理由は、アライグマが「鳥獣保護管理法」や「外来生物法」といった法律によって管理されているからです。

許可を得るにも、狩猟免許の取得や必要書類を集めて申請するといった手間がかかるため、「目の前の被害を早くなんとかしたい」という方は、早めに害獣駆除の専門業者に相談したほうがよいといえるでしょう。

自身で対処するより費用は高額になりますが、一貫してプロが作業をおこなってくれるため、駆除にかかる手間を大幅に削減できます。

被害が軽微なほど駆除費用は安くなり、逆に被害が甚大なほど駆除や建物の修繕にかかる費用は高額になるため、被害が軽微なうちに早めの対処をお願いすることをおすすめします。

アライグマの駆除に関するよくある質問

この記事の最後に、アライグマの駆除に関するよくある質問をいくつかご紹介します。

自治体に駆除はお願いできないの?

残念ながら、自治体がアライグマの駆除をしてくれることはありません。

ただし、自治体のなかには駆除に関するサポートをしてくれるケースがあります。

たとえば、以下のようなサポートです。

  • 自身でできる侵入防止対策などのアドバイス
  • 専門業者の斡旋
  • 各種書類申請のアドバイス
  • カゴ罠の無料貸し出し(免許所有者のみ) など

サポートの内容や自治体によって異なるため、事前にお住いの市役所で確認しておきましょう。

駆除に使える補助金はある?

害獣のなかには、捕獲・駆除にかかる費用を補助してくれるケースがあります。

アライグマの場合も、資格保有者や農家の方などを対象とした補助金が支給されるケースもありますが、一般の方が利用できる補助金はほぼないと考えておいたほうがよいでしょう。

この詳細も自治体によって異なるため、気になる方は事前に確認をとっておきましょう。

業者に依頼した際の駆除費用の相場は?

業者に依頼した際の駆除にかかる費用は、10~30万円程度が相場といわれています。

ただし、被害の大きさや施工範囲の広さによって金額は大きく異なり、かつ依頼する業者によっても費用は変化するでしょう。

詳細な金額は、業者に現地調査や見積もりを依頼して、実際にその目で確認するしかありません。

被害が拡大するほど費用も割高となるため、被害を気にされる方は、早めに依頼することをおすすめします。

どの業者に依頼したらよい?

業者に駆除を依頼する際は、かならず「相見積もり」をとりましょう。

業者によって費用やサービス内容は大きく変わるため、良し悪しを比較するためにも複数の業者を比較することは非常に重要です。

遠方の業者に依頼すると出張費用などが別途加算されることがあるため、基本はお住いの地域の業者からピックアップするのがおすすめといえます。

その後、3~4社ほどに絞り込み、実際に現地調査・見積もりを依頼しましょう。

業者選びのポイントは、ほかにも以下が挙げられます。

  • 安さだけに目を向けず、サービス内容までしっかり確認する
  • 保証が充実している業者を選ぶ
  • 現地調査時の内容や見積もりなど、詳細をきちんと伝えてくれる業者を選ぶ
  • 不明点があれば徹底的に質問し、疑問をすべて解消してから依頼する など

現地調査や見積もりまでは無料までおこなってくれる業者も多いでしょう。

ただし、なかには現地調査の時点で費用が発生するor現地調査をせずにいきなり見積もりの話に入るといった業者も存在します。

現地調査をしなければ被害内容を確認できないため、少なくとも現地調査を渋る業者は候補から外すことをおすすめします。

業者によって特徴は異なること・決して安い買い物ではないことから、業者選びはしっかりとおこない、自身が納得・安心できる業者に駆除をお願いしましょう。

まとめ

雑食であるアライグマはなんでも捕食し、環境への適応能力も高い動物です。

放置するほど被害は深刻化するため、存在や痕跡を発見したら、早めに対処を講じるべきといえるでしょう。

ただし、攻撃的かつ危険な動物である他、法律の兼ね合いから許可なく駆除することはできません。

不慣れな方が対処するには限界があり・リスクも伴うため、できれば専門業者や自治体に相談することをおすすめします。

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