アライグマを媒介とする感染症や病気とは?種類や対処法を解説

害獣・害虫別

見た目こそ可愛らしいアライグマですが、野生のアライグマはその身体にさまざまな病原菌や寄生虫を有しています。

感染すると非常に危険なウィルスもあるため、万が一家屋に浸入した際は慎重に対応すべきといえるでしょう。

本記事では、アライグマを媒介とする感染症や病気についてご紹介します。

症状の特徴や対処法についても解説しておりますので、アライグマによる健康被害を危惧されている方は参考にしてください。

アライグマを媒介とする感染症とは?

本章では、アライグマを媒介とする感染症の種類・特徴についてご紹介します。

アライグマによる被害はさまざま挙げられますが、そのなかでも人間の健康を脅かすのが「病気の媒介」です。

野生のアライグマにはさまざまな病原菌や寄生虫が棲みついているため、絶対に不用意に近づかないようご注意ください。

狂犬病

発症すると、以下のような症状が発症する恐れがあります。

  • 強い不安感
  • 一時的な錯乱
  • 恐水症(水を見ると首の筋肉が痙攣する)
  • 恐風症(風により首の筋肉が痙攣する)
  • 高熱
  • 麻痺
  • 運動失調
  • 全身の痙攣 など

その後、呼吸障害などの症状を示し、命を落としてしまいます。

狂犬病は、感染すると100%死に至る病気です。

しかし、アライグマは狂犬病に感染しても他の哺乳類より長く生き続けるため、その分だけ周囲に媒介して回る恐れがあります。

日本ではアライグマによる狂犬病の発症は報告されていませんが、原産地である北米では2010年にアライグマから媒介された狂犬病が発見されました。

発症した場合の致死率は100%という恐ろしい病気のため、十分な警戒が必要です。

レプトスピラ症

レプトスピラ症とは、病原性レプトスピラ感染に起因する動物由来感染症のことです。

レプトスピラ症に感染している野生動物などの尿との直接的な接触、もしくは尿で汚染された水や土壌が体の傷や粘膜に接触するor汚染された水や食べ物を摂取したことにより感染する恐れがあります。

レプトスピラ症は、多様な症状を示す急性熱性疾患です。

感染後、3日から14日の潜伏期間があり、以下のような症状が出現します。

  • 頭痛
  • 発熱
  • 吐き気
  • 悪寒
  • 筋肉痛
  • 下痢
  • 腹痛 など

軽症で済む場合もありますが、なかには黄疸・出血・腎機能障害をともなう重症なケースに発展することもあります。

アライグマは警戒心が少なく、人の住む環境にも平気で居座る可能性があります。

野生のアライグマは、レプトスピラを保菌している可能性があるため、不用意な接触は絶対に避けてください。

アライグマ回虫症

アライグマ回虫性は「アライグマ回虫」による病気のことです。

幼児の場合は致死的な中枢神経系感染症を引き起こす可能性があり、大人では視力障害が引き起こされます。

感染は、通常アライグマの糞で汚染された土・物から発生します。

なお、治療には感染後1日~3日以内に抗線虫薬を服用する必要があります(薬によって中枢神経へ遷移する前に駆除することで治療できる可能性がある)。

ただし、感染後の自覚症状がない場合が多く、なかには神経に侵入された後に重症化してから発見されるというケースもあります。

人に感染するケースは稀ではあるもののゼロではないため、感染しないよう注意すべきといえるでしょう。

ダニ・ノミの寄生

野生のアライグマには、大量のダニ・ノミが付着しています。

野生のアライグマに不用意に接触すると、人間やペットにもダニ・ノミが寄生する恐れがあるため注意が必要です。

屋根裏に棲みつかれている場合は天井から降ってくる可能性もありますし、家屋内をウロウロされるとそこら中にダニ・ノミが付着する恐れもあるでしょう。

また、日本に生息するアライグマの10匹に1匹が「マダニ」を抱えているといわれており、そのマダニに噛まれることで「SFTSウィルス」というウィルスに感染してしまいます。

もしマダニに噛まれた場合は、6日~2週間ほどの潜伏状態を経て、発熱や消化器官に悪影響がおよびます。

その後、6~30%の確率で死亡に至る可能性がある危険なウィルスのため、十分な警戒が必要といえるでしょう。

疥癬(かいせん)

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニが皮膚の最外層である角質層に寄生し、人から人へ感染する疾患のことです。

人間の場合は「全身に丘疹や小水疱ができる」可能性があり、病態が進行すると角質が増殖し病変部が白色になり、非常に激しいかゆみをともなう恐れがあります(掻いたあとの傷口から細菌などの二次感染を受けるケースもある)。

ヒゼンダニは乾燥に弱く、人の皮膚から離れると2~3時間で死んでしまいます。

ただし、ダニの寄生部位を特定することは難しいため、感染しないよう注意が必要です。

食中毒

アライグマによって、以下「菌」による食中毒を発症するケースもあります。

  • サルモネラ菌食中毒:胃腸炎が多く、6~72時間の潜伏期間を経て突然、腹痛・嘔吐を発症する。その後、発熱や下痢が見られるケースがある
  • カンピロバクター食中毒:2~6日の潜伏期間があり、全身の倦怠感+頭痛・腹痛・発熱を引き起こし、2~3日遅れて下痢や嘔吐が見られる

どちらも、汚染された水や食料から感染する可能性があります(カンピロバクター食中毒の場合、保菌動物との接触でも感染する恐れがある)。

エキノコックス症

エキノコックス症とは、エキノコックス属条虫の幼虫(包虫)に起因する疾患のことです。

人体の各臓器…とくに「肝臓・肺臓・腎臓・脳」などで包虫が発育し、諸症状を引き起こす恐れがあります。

感染源は、主に以下が挙げられます。

  • 糞便と一緒に排出され、手や食品についた虫卵を口に入れる
  • 虫卵で汚染された沢水を飲む など

厄介なのは、感染してから数年から数十年かかって自覚症状が現れるケースがあることです。

症状としては、上腹部の不快感や膨張感、進行すると肝機能障害が出るなどが挙げられます。

掻傷・咬傷の被害を受けた場合はどうしたらいい?

万が一、アライグマに引っ掻かれたり・噛まれたりした場合は、怪我の程度に関係なくすぐに病院にいきましょう。

傷口から病原菌が入り込み、さまざまな感染症を引き起こす可能性があるため、自身の判断で治療するのは危険です。

下手をすれば命に関わる危険性すらあるため、医師にアライグマに襲われたことを告げ、適切な処置を受けてください。

アライグマによる感染症を防ぐ方法とは?

アライグマからの病気感染を防ぐ方法は「アライグマを侵入させない」「侵入された場合は即刻追い出す」「アライグマに不用意に接触しない」ことが挙げられます。

本章では、それぞれの特徴をご紹介します。

アライグマを侵入させない

野生のアライグマを完全に根絶することはできませんが「自身が住まう建物にアライグマを侵入させないよう対策する」ことは可能です。

アライグマの家屋への侵入経路は、以下が挙げられます。

  • 屋根周りの隙間や換気口
  • 基礎周りの隙間や増改築部分の継ぎ目
  • 壁に空いた穴
  • 戸袋の内側 など

ちょっとした隙間からでも侵入でき、かつ手先が器用なため多少の障害物は無理やりこじ開けて侵入する可能性もあるでしょう。

こういったアライグマの侵入経路となり得る「隙間」を、たとえば頑丈な金網などで防ぐことで、侵入を防止することができます。

また、アライグマは雑食であり、生ごみを含めなんでも口にする習性があります。

「エサ場と認識した場所に繰り返しやってくる」という習性があるため、エサとなり得るものは極力外に放置しないよう注意しましょう。

家庭菜園をしている場合は、落ちた実を放置せず早めに撤去すること。また、雑草が茂った庭・畑では身を隠しながら移動できるため、雑草などを適度に処理することも大切です。

アライグマにとって住み心地のよい環境とならないよう、住環境を整えましょう。

侵入された場合は即刻追い出す

万が一、家屋内にアライグマが侵入した形跡(鳴き声・足音・溜め糞による悪臭など)があれば、被害が広がる前に追い出しましょう。

アライグマを自力で追い出す方法としては、たとえば「嫌がる匂い」「超音波」「煙」「忌避剤」などが挙げられます。

アライグマに有効な忌避剤は、ホームセンターやネット通販などで簡単に入手できるため、それを利用してみるとよいでしょう。

「侵入を防止するor追い出す」ことが主な対処法となるため、この点には注意しておきましょう。

不用意に接触しない

ここまでにご紹介した通り、野生のアライグマは身体にさまざまな病原菌や寄生虫を有しているため、不用意に接触すべきではありません。

また、見た目こそ可愛らしいものの「非常に獰猛な性格をしており攻撃的」なため、下手に近づけば掻傷・咬傷の被害を受け、その傷口から感染する可能性もあります。

下手をすれば命に関わる病気に発展する恐れもあるため、仮に自身が住まう住居内でアライグマを発見しても、不用意に近づくべきではないといえるでしょう。

衛生管理を徹底しよう

アライグマの血液・排泄物・死骸などにも触れないようご注意ください。

もしそれらに触れてしまうと、病気の原因となる細菌やウィルスが付着する恐れがあります。

また、近くでアライグマが目撃されている場合は、(アライグマが接触したものを介して)自分でも気づかないうちに手などに細菌・ウィルスが付着してしまう可能性もあるかもしれません。

そのため、徹底した手洗いが重要といえます。

干している洗濯物などにアライグマが接触した場合は、再度洗濯し汚れを落とすこと。そして、洗濯後に煮沸消毒するのが望ましいでしょう。

アライグマの駆除はプロの業者に相談しよう!

被害を未然に防ぐためにも「アライグマなど害獣の被害が心配な方は、早めにプロの業者に相談するべき」といえるでしょう。

「業者に依頼する=費用が割高になる」と懸念する人もいるかもしれませんが、不慣れな人が対応するor被害を放置するほど、被害が悪化し駆除・修繕費用がより高額になってしまいます。

また、プロに依頼すれば、一貫して徹底した作業をおこなってくれるだけでなく、万が一再発した場合にも無料or格安で対応してくれるでしょう。

総じて「長期間害獣の被害に悩まされずに済む」ため、家族や建物を守りたいという人はプロの業者に相談したほうがよいといえます。

ただし、サービス内容や費用は業者によって異なるため、事前のリサーチが重要です。

現地調査や見積もりまでは無料で実施してくれる業者も多いため、それらを活用し、より納得・安心できるところに駆除を依頼するとよいでしょう。

まとめ

野生のアライグマは、その身体に多数の病原菌や寄生虫を有しており、不用意な接触は絶対に避けるべきです。

アライグマの侵入・追い出しはある程度対処できるものの、捕獲・駆除・清掃(除菌)・再発防止は素人では対応しきれないケースが多いため、被害が拡大する前にプロの業者に相談したほうがよいといえます。

被害状況を把握したうえで、予算や希望に合った対策を実践していきましょう。

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