野生のアライグマは、その身体にいくつもの「菌」や「寄生虫」を所有しており、安易に接触すべきではありません。
本記事では、アライグマを介した感染症・病気のなかでも、発症すれば致死率100%といわれる「狂犬病」についてご紹介します。
アライグマが付近で発見された場合や、家屋内に住み着いた場合の対処法なども解説しておりますので、被害を心配される方はぜひ本記事を参考に対処してください。
目次
アライグマによる狂犬病の脅威とは?
本章では、動物からうつる病気のなかでも特別恐ろしい感染症である「狂犬病」についてご紹介します。
日本ではまだアライグマによる狂犬病の発症は報告されていませんが、海外ではその発症がいくつか報告されています。
命に関わる危険なもののため、アライグマを含む野生動物には不用意に近づかないようご注意ください。
「狂犬病」とはどのような病気か?
狂犬病とは、人間を含むすべての哺乳類に感染する可能性がある恐ろしい病気です。
狂犬病ウイルス(Rabies Virus)に感染している生き物に咬まれ、傷口からウィルスが侵入することで感染します。
「発病」した場合の特別な治療法はないこと+「致死率100%」ということから、野生動物には極力近づかない・触れないなど、十分な警戒が必要といえるでしょう。
狂犬病を発病した際の症状について
狂犬病は、発病した際に極度に強力な症状が出ることにも注意が必要です。
人間とその他の動物によって、症状には若干の違いがあります。
「人間」の場合
狂犬病の潜伏期間は1~3ヵ月ほどが一般的であり、初期は「咬まれた傷の痒み」「頭痛」「発熱」など、風邪に似た症状があります。
その後「麻痺」「精神錯乱」「咽頭部痙攣」「恐水・恐風症」などの神経症状が現れ、数日後に呼吸停止を起こし死に至ります。
なお、潜伏期間は1~3ヵ月ほどと記載しましたが、なかには「1年以上の潜伏期間があった」という前例もあるため、謎の多い病気です。
「その他の動物」の場合
動物の場合、はじめのうちは「暗所に隠れる」「食欲不振」「挙動異常」が認められ、その後は症状によって以下二つの型に分類されます。
- 狂操型(80〜85%):興奮し攻撃的になり、よだれや咽頭部痙攣により恐水症状(水を飲むことができない状態)に陥る。その後、脳炎の進行にともない死亡する
- 麻痺型(15〜20%):狂操型のようなはっきりとした興奮期がなく、麻痺症状が続いて死亡する
狂犬病は、一緒に住んでいるペットなどにも十分な警戒が必要といえます。
狂犬病を予防することはできる?
狂犬病は「ワクチン接種」で防げる病気です。
日本の場合は「狂犬病予防法」によって、犬は年1回の予防接種を受けることが義務付けられています。
予防接種は、周囲の人・動物をその脅威から守るだけでなく、万が一狂犬病が日本に侵入してきた際の流行を阻止するためにも重要といえます。
また、もし海外旅行などで狂犬病の発生地域に赴く場合は、人も事前にワクチン接種をおこない、旅行中も不用意に動物に触らないよう注意しておきましょう。
ただし、人やペットなどにワクチンを接種することは可能ですが、野生動物に予防接種を受けさせることはできません。
アライグマは、感染しても他の哺乳類より長く生き続ける傾向にあるため、より周囲に感染を広げる可能性があります。
一目見ただけでその野生動物が狂犬病を発病しているかどうかも判断はできないため「家の付近で野生動物を見かけた」「家屋に浸入され被害を受けている」といった場合でも、素人が不要に近づいたり・対処すべきではないといえます。
アライグマからの感染を防ぐ方法
本章では、アライグマからの感染を防ぐ方法についてご紹介します。
アライグマを介して発症するものは、狂犬病以外にもさまざまに存在します。
症状の程度はそれぞれで異なるものの、仮に軽傷であっても発症しないに越したことはないため、予防法を理解しアライグマの被害を抑えましょう。
予防法①:接触を避けること
アライグマを媒介とする感染症や病気は「アライグマに触れる」「アライグマによる引っ掻きや噛みつきなどで怪我をする」ことをきっかけに発症する可能性が高いとされています。
そのため、仮にお住いの建物が被害に遭っていたとしても、素人がアライグマを見つけ出し捕獲・駆除することはすべきではありません。
そもそも、アライグマは「鳥獣保護法」や「外来生物法」によって管理されているため、無許可で捕獲・駆除をすることもできません。
アライグマは、その見た目に反して、非常に獰猛で攻撃的な性格をしています。
自身より大きな人間であっても臆することなく攻撃してくるため、人間側から不用意に接触を図るべきではありません。
とくに、威嚇モードになっている際は襲われる危険性が高いため、要注意といえるでしょう。
予防法②:衛生管理を徹底すること
めったに触れることはないと思いますが、アライグマの血液・排泄物・死骸などに触れることがないようご注意ください。
下手をすると、上記をきっかけにして病気の原因となる細菌・ウィルスなどが体に付着する可能性もあります。
また、アライグマが触れたものを通して、自身でも気づかないうちに手などに細菌やウィルスが付着する恐れもあるかもしれません。
徹底した手洗いを意識すること。そして、干している洗濯物などにアライグマが接触した形跡がある場合は、再び洗濯し、洗濯後に煮沸消毒をしておくことが望ましいでしょう。
衛生管理を徹底することで、アライグマを介する病気の発症をある程度防ぐことができるはずです。
予防法③:侵入経路を塞ぐこと
アライグマは少しの隙間からでも侵入でき、その侵入経路は「屋根裏」「換気口」「戸袋の内側」など多岐に渡ります。
また、手先が器用なため「前足でドアを開く」といったこともでき、多少の障害物は無理やりこじ開けて侵入する恐れもあるでしょう。
アライグマの被害を防ぐ最善の方法は「アライグマの侵入を防ぐ」ことです。
- 侵入経路となり得る隙間を頑丈な金網などで防ぐ
- アライグマの餌となり得るものを放置しない
- 家庭菜園をしている場合は、落ちた実を放置せず早めに撤去する
- 庭の雑草などを適度に処理する など
アライグマにとって「棲みにくい環境にする」ことで、侵入を防ぐ=被害を抑えることができるでしょう。
予防法④:侵入の形跡があった場合はすぐに追い出すこと
アライグマの侵入経路は多岐に渡るため、侵入経路の封鎖を徹底していても100%侵入を防ぐことは難しいといえるでしょう。
もし、以下のような「アライグマが侵入した形跡」を発見した場合は、被害が広がる前に家屋から追い出すようにしましょう。
- 動物の鳴き声が聞こえる
- 屋根裏などでドタドタと足音が聞こえる
- 屋根裏に(糞尿による)シミが確認できる
- (糞尿による)悪臭がする など
自身でできる対策としては「忌避剤」や「超音波発生装置」が有効です。
アライグマが嫌がる匂い・音などを発することで、居心地を悪くし、追い出し効果が期待できます。
ただし、生き物は「環境に慣れる」という特性があるため、同じ罠を設置し続けているといずれ被害は再発するかもしれません。
また、アライグマは法律によって管理されていることから許可なく駆除できないため、素人が対処するには限界があります。
一時しのぎとしてある程度の対策を施したあとは、害獣駆除の専門業者に相談し、徹底駆除・再発防止を依頼した方が安心といえるでしょう。
アライグマの攻撃で傷を負った場合の対処法
本章では、アライグマの攻撃で傷を負った場合の対処法について解説します。
どれだけ対策・警戒していても、野生のアライグマと絶対に遭遇しないとは限りません。
万が一、不幸にもアライグマに引っ掻かれたり・噛まれたりした場合は、以下の対処を施し、すぐに病院にいくことを強くおすすめします。
対処法①:傷口を洗い流す
野生のアライグマは身体にさまざまな病原菌や寄生虫を有しているため、傷口にも菌・ウィルス・不衛生なものが付着している可能性があります。
迅速な処置が求められるため、まずは傷口を清潔な水で丁寧に洗い流し、アルコールなどで殺菌すべきといえるでしょう。
対処法②:ガーゼで傷口を抑える
傷口を丁寧に洗浄しアルコールなどで殺菌したあとは、ガーゼで傷口を抑えましょう。
傷口をガーゼなどで抑制することで、菌の侵入をある程度防ぐことができるはずです。
ここまでの行為は、傷を負ってから素早く対応することが重要です。
素早く対応できるほど、感染リスクを低減させることができるでしょう。
対処法③:病院に受診し医師の診断を受ける
上記の応急処置が済んだあとは、速やかに医療機関に受診し、医師による診断を受けるべきです。
「アライグマに襲われて傷を負った」という旨を明確に伝え、医師の指示に従って経過を見るようにしましょう。
事情を適切に説明できれば、医師は適切な抗生物質を処方し、感染のリスクを最小限に抑えるよう対処できるはずです。
対処法④:症状の経過を観察する
医師による診断・応急処置を受けたあとは、傷口が治癒するまでしばらく様子を見ることとなるでしょう。
この経過観察の段階で、傷口の腫れや痛みが強くなる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
もし異常が見られた場合はどうしたらいい?
もしも「腫れや痛みが強くなる」もしくは「他の異常が見られる」といった場合は、迅速に病院を受診しましょう。
アライグマなど野生動物による傷害は感染症のリスクが高まるため、早期の医療対応が重要といえます。
放置するほど命に関わる危険性があるため、安全確保のために迅速な行動と適切な医療対応が求められるでしょう。
アライグマの対処はプロにお任せください!
アライグマは、感染症・病気の予防や法律の関係上、素人が対処するには限界があります。
そのため、もしも「自身が住まう建物に棲みつかれた」「被害が気になる」という方は、被害が広がる前にプロの業者に相談すべきといえるでしょう。
「業者に駆除をすると費用が高額になる」と危惧する方もいるかもしれませんが、駆除から再発防止まで一貫して徹底した作業をおこなってくれるため、長期的に「害獣の被害に悩まされずに済む」ようになります。
(アフターフォローが充実していれば、万が一の被害にも安心できる)
害獣駆除業者は全国各地さまざまに存在する+それぞれでサービス内容や費用が異なるため、現地調査・見積もりをしっかりとお願いし、複数の業者を比較したうえで納得できるところに依頼しましょう。
まとめ
野生のアライグマは、その身体にさまざまな病原菌や寄生虫を有しています。
「狂犬病に発症する=対処法がなく、致死率100%」であること、他にもさまざまな感染症や病気の可能性があることから、絶対に接触を避けるべきといえるでしょう。
もしアライグマなど野生動物と遭遇し、掻傷・咬傷の被害を受けた場合は、応急処置を施したうえですぐに医師の診断を受けてください。
害獣の被害を未然に防ぐためにも、早めにプロの業者に相談することも大切です。
できる限りの手を尽くして、アライグマなど害獣の被害を防げるよう工夫してみましょう。
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