お住いの建物に甚大な被害をもたらす恐れがあるシロアリは、発見次第早急に駆除する必要があります。
シロアリは年中出没する可能性のある害虫ですが、「存在を把握しやすい時期」というものが存在することをご存じでしょうか。
この記事では、シロアリの存在を確認しやすい時期や兆候、シロアリ発見時の具体的な対策方法について解説します。
シロアリの被害に悩まされている方、被害を危惧される方は、本記事を参考に具体的な対処を講じてみてください。
目次
シロアリ駆除に適した時期はあるの?
シロアリの駆除をおこなうにあたって、適した時期があるのでしょうか。
この章にて、適切な時期やシロアリの特徴についてご紹介します。
結論:シロアリ駆除に時期は関係ない
シロアリは一年中活動し一年中卵を産む昆虫のため、駆除に適した時期というものは存在せず、兆候や被害を発見次第すぐに対処をおこなうべきでしょう。
シロアリは寒さに弱く、冬になると活動が鈍くなるものの冬眠はしません。
冬の人家は暖房で暖かく・加湿器で湿度も保たれていることが多いため、冬でも活発に活動を続けることもあります。
ただし、土や建材の中に潜んでいるシロアリを人が目にする機会は少なく、目にしやすいのは「春から夏頃にかけてが多い」といわれています。
春から夏にかけてシロアリを発見しやすい理由
春から夏にかけて発見しやすい理由は、羽アリが群れになって飛び出す「群飛」がこの時期におこなわれるからです。
シロアリはコロニー(巣)のなかで集団を形成し生活していますが、個体数が増えて巣が狭くなると、一部の個体が羽アリとなって新たな住処を探して飛び立ちます。
羽アリの翅は非常に落ちやすいため、もし建物周辺にシロアリが棲みついていた場合、春から夏にかけて羽アリそのものや翅が大量に落ちていることを確認できるのです。
なお、日本で被害を出しているシロアリは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種が主であり、それぞれで群飛の時期が若干異なります。
以下それぞれの特徴も含めご紹介しましょう。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは日本での生息数が多く、日本のシロアリ被害の9割以上を占めているといわれています。
ヤマトシロアリの羽アリの体長は約7.5mm、頭部や翅の色は黒色をしています。
群飛は4~5月ごろで、特に雨が降ったあとの天気の良い日の午前中に見られることが多いでしょう(飛行距離は100mほど)。
特定の巣を作らず・食害した場所を拠点とし、移動しながら被害を広げていくため注意が必要です。
イエシロアリ
イエシロアリは、ここでご紹介する3種のなかでも特に家への被害が拡大しやすいといわれています。
その理由は、巣内の個体数が他よりも圧倒的に多く、食害のスピードが早いためです。
イエシロアリの羽アリの体長は約14mmで、頭部が茶色・羽が黄色っぽい茶色をしています。
群飛の時期は6~7月ごろで、他2種と異なり夕方から夜にかけておこなわれるため。この時間帯に飛んでいる羽アリを見かけたらイエシロアリの可能性が非常に高いといえるでしょう。
普段は地中に大規模な巣を作って生活しており、なかなか目にする機会はありません。
しかし、被害が進むスピードが早く、気づいたときには被害が拡大している可能性もあるため、定期点検はもちろん見かけた場合は早急に対処を講じたほうがよいでしょう。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリはその名の通りアメリカ原産の外来種ですが、近年は日本でもその被害が報告される地域が増加しています。
たとえば、海外からの輸入製品に潜んで建物に運び込まれ、そこから建物内にある木材を食し被害を広げていく…といった具合です。
高温多湿の環境を好む上記2種に対し、湿気の少ない場所を好み・地中ではなく乾いた木材に生息するという特徴もあります。
アメリカカンザイシロアリの羽アリの体長は約7mmで、頭部は赤っぽく・羽は黒っぽい色をしています。
群飛の時期は6~9月ごろの昼間が多いものの、なかには11月ごろまで活動するケースもあるようです。
シロアリ発生の兆候とは?
シロアリが潜んでいる建物には、ある兆候が見られます。
本章でご紹介する内容を確認し、もし当てはまるものがあれば、被害を抑えるためにもできるだけ早くプロの業者に対処を依頼することをおすすめします。
室内や建物周辺で羽アリを見つけた
もし室内や建物周辺で羽アリが飛んでいるもしくは翅が大量に落ちているという場合は、すぐに業者に連絡をして点検・駆除をお願いしましょう。
これらは、お住いの建物の周辺にシロアリが生息していることの証明となります。
上述の通り、羽アリは春~夏にかけて出没しやすいため、この時期は特に注意して確認するとよいでしょう。
蟻道が見つかった
蟻道とは、シロアリの通り道のことです。
シロアリは空気の流れや光を嫌うため地表を移動することはほぼなく、地中の暗闇の中を移動します。
住宅に到達したシロアリは、建材などの木材を目指して地中から地表に上がってきますが、この際にトンネルの道路(蟻道)を作るのです。
コンクリート部分に土を盛ったような状態が確認できたり、砂の線ができていたりすると、シロアリが通った可能性が疑われるでしょう。
床や壁から空洞音が聞こえる
「床や壁を軽く叩いたら空洞音が聞こえる」「床を歩いた際にフカフカするような違和感を感じる」という場合、すでにシロアリによる被害を受けている可能性があるでしょう。
空洞音が聞こえるということは、内部がシロアリに食べられてスカスカになっている状態です。
また、床板を支えている根太や大引といった部材にも被害をおよぼすため、床板の支えである柱が傷つくと、その上を歩行した際にフカフカするような違和感が現れることもあります。
建物内部に大量のシロアリが潜んでいる恐れがあるため、早急にプロの業者へ対処を依頼すべきといえるでしょう。
漏水・浸水などが起きた
住宅の水回りの配管から床下にかけて水漏れが発生した場合や、大雨などの影響で床下に水が侵入してしまった場合は、シロアリ被害に注意しておきましょう。
床下に湿気が溜まり、水が引けてから被害に遭う可能性が高まります。
シロアリは住宅の中でも、特に湿気の多い玄関や浴室に発生することが多く、この2ヵ所に被害が発生すると、玄関の框と呼ばれる部材や浴室の入口木枠に兆候が現われることが多いでしょう。
また、水害により河川の水が床下に流れ込んだ場合は雑菌の繁殖や感染症の危険も高くなるため、シロアリ駆除・予防に加え、雑菌消毒もおこなっておくと安心です。
近所でシロアリの被害が報告された
もし近所でシロアリの被害が報告された場合は、シロアリが自身の住まう家にもやってくる可能性があります。
シロアリの繁殖力はすさまじく、被害が発生してからだと駆除や建物の修繕費用が高額となってしまいます。
もしもの時に備えて、点検・予防作業を自身でおこなう、もしくはプロの業者に依頼しておくとよいでしょう。
シロアリ定期点検の頻度は?業者依頼時の注意点
シロアリの被害を防ぐ・軽減する方法の一つは、プロの害虫駆除業者へ定期点検を依頼することです。
本章では、シロアリ定期点検の頻度や業者依頼時の注意点をご紹介します。
定期点検は5年ほどを目安に依頼しよう
現在の防蟻薬剤の効果は約5年ほどで切れるため、薬剤の効果が切れるタイミングで、定期点検・防蟻措置の再施工を依頼すべきといえるでしょう。新築の家であっても、建築基準法によって防蟻措置が義務付けられていることがあります。
ただし、薬剤は散布した瞬間から効果が薄まっていき、5年未満であってもシロアリが侵入してくる可能性は考えられます。
薬剤を散布しているからといって100%被害を防げるわけではないため、気になることがあれば早めに業者へ相談しましょう。
羽アリの発生時期より前に依頼するのがおすすめ
業者へ点検・予防を依頼する際は、羽アリの発生時期より前に依頼することをおすすめします。
その理由は、4~7月ごろの羽アリ発生時期は、業者が繁忙期を迎え予約が取りにくくなるからです。
費用も他の月に比べて高額になるケースもあるため、羽アリの発生時期(繁忙期)を避けて依頼しましょう。
特に、12月~2月ごろの冬場は閑散期といえるため、予約が取りやすく費用も安く抑えられるかもしれません。
業者に依頼する際は相見積もりを取ろう
害虫駆除業者によって、費用やサービス内容・質は異なります。
「費用をできる限り安く抑えつつ、サービスの質が高い業者に依頼したい」という方は、複数社に見積もりを依頼することが重要です。
一社からしか見積もりを依頼しないと、適正価格かどうかやサービスの良し悪しも判断できず、後になって後悔する恐れもあります。
3~4社ほどから相見積もりを取れば、より自身に合った業者を選定しやすいといえるでしょう。
普段からできるシロアリ予防対策とは?
日々の生活のなかでも、ほんの少し対策を講じるだけでシロアリの侵入を軽減できる可能性があります。
本章にて、普段からできるシロアリ予防対策をいくつかご紹介します。
木材・ダンボール・新聞紙などを放置しない
木材・ダンボール・新聞紙など、シロアリのエサとなるものは放置しないことが重要です。
特に外に出しっぱなしにしているとシロアリを引き寄せる原因となり、そこから室内に侵入されるかもしれません。
不要なものは早めに処分し、残しておく場合は風通しのよい乾燥した場所で保管しましょう。
「シロアリのエサとなるものを庭からなくす」これがシロアリ対策の第一歩となります。
基礎通気孔を塞がない
基礎通気孔の前に、物置や鉢などの荷物を置かないようにしましょう。
通気孔を塞いでしまうと床下の換気が滞り、床下の環境がシロアリの好む高湿度な状態となってしまいます。
仮に物を置いたとしても、通気孔を塞がないように隙間を開けて設置するのがおすすめです。
切り株や枯れた樹木に要注意
庭の木を伐採することになった場合、大きな樹木だと切り株が残ってしまいます。
しかし、シロアリは樹木もエサとするため、切り株などはシロアリの巣を巨大化させる要因となるでしょう。
業者に依頼して、切り株は抜いて処分することが重要です。
また、通気孔周りも含め、庭の雑草やゴミを適度に掃除しておくのもシロアリ対策として効果的です。
浴室は常に換気する
カビが生えない状態を維持することは乾燥がしっかりされている証明となり、シロアリ対策の一つの指標として役立ちます。
浴室の換気扇を適切に使うことは、快適なバスタイムと健康的な環境を保つために重要であり、同時にカビ対策もおこなえます。
また、換気扇のフィルターは定期的に掃除する・ほこりフィルターなどを使うなどして、換気効率を下げないようにすることも重要です。
押入れの襖は開けて換気する
1階の押入れは湿気がこもりやすく、シロアリが好む環境になりがちです。
可能な範囲で、襖を開けて換気を意識してみましょう。
押入れなど普段は閉めておく必要がある場合でも、定期的に開放して風を通すことが重要です。
まとめ
シロアリ対策に適した時期はなく、兆候や痕跡などを見つけたら早急に対処を講じましょう。
また、普段人の目の届かない場所で生息し食害を引き起こす恐れもあるため、特に目立った被害などがなかったとしても、家の寿命を延ばすために定期的に予防することをおすすめします。
シロアリ対策は素人でも市販のアイテムを使えば実施できますが、安心・安全・迅速に対策をしたいという場合は、プロの業者へ依頼しましょう。
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