シロアリ対策は新築でも必要?新築だからこそできる予防法と点検のタイミングを解説

害獣・害虫別

シロアリとは、建物の建材など木材を食べる害虫です。

なかには「シロアリは築年数の経過した古い木造住宅に発生するもの」というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、実際は新築でも鉄筋コンクリート造の築年数が浅い家でも被害が発生する可能性があります。

この記事では、シロアリ対策として新築だからこそできる予防法や、点検のタイミングについて詳しくご紹介します。

大切な家を守り・長く住むためにも、本記事を参考にできる限りのシロアリ対策を実施してみましょう。

新築におけるシロアリ対策の基礎知識

新築でもシロアリは発生するの?

残念ながら、新築でもシロアリが発生する可能性はあります。

木造住宅や築年数が経った建物ほど被害に遭う恐れは高まりますが、それは「シロアリが発生しやすい条件が整いやすいから」であり、条件さえ整っていれば築年数に限らずシロアリが寄ってくる可能性があるのです。

なお、シロアリが発生しやすい条件というのは、なにも家の中だけの話ではなく「家を建てた土地がもともと田んぼや湿地だった場合」や「周囲よりも土地が低く湿気が溜まりやすい場所」なども条件に当てはまります。

室内の温度を一定に保つ「基礎断熱工法」を利用している場合も、シロアリが侵入すると基礎断熱に使う断熱材が被害に合うかもしれません。

また、床を鉄筋コンクリートで覆う「ベタ基礎」は、湿気がたまりにくくシロアリ対策に向いているものの、基礎部分に隙間ができていればそこからシロアリが侵入してくる可能性もあるでしょう。

そもそも防蟻措置は法律で義務付けられている

そもそも、建築基準法にてシロアリの被害を防ぐための防蟻と防腐への対応が定められており、家を建てる際も防蟻措置を施すのが一般的です。

建築基準法には「木造建築の地面から1m以内の部分(柱や筋交い・土台など)には、必要に応じて防蟻処理をおこなうこと」と明記されています。

ただし、すべての住宅で措置が取られているとは限らないため注意が必要です。

メーカーや工務店の多くは、新築時に害虫駆除業者による防蟻措置を実施しますが、なかには間違った知識のもとに現場処理がおこなわれないケースもあります。

具体的な措置に関しては、事前に依頼するメーカーや工務店に確認を取っておくのもよいでしょう。

防蟻措置の効果は永久に続くわけではない

防蟻措置の効果は5年ほどといわれており、対策してもその効果が永久に続くわけではありません。
(以前は10年以上効果が継続するものもあったが、現在は健康・安全・環境面などの観点から5年程度に定められている)

また、効果は5年ほど続くといっても、その効果は散布した直後から徐々に弱まっていきます(光・熱・水分などによって地面や木材で分解される)。

防蟻措置の再施工の目安は5年程度ではありますが、シロアリ被害の発生など状況に応じて処置のタイミングを早める必要がある点を留意しておきましょう。

新築時のシロアリ対策は必須?実施すべき予防について

シロアリの被害を防ぐうえで、新築時からの予防は非常に重要です。

新築時だからこそできる予防法もたくさんあるため、本章新築時の具体的な予防をご紹介します。

対処法①:点検しやすいつくりにする

シロアリの被害は、木材の中など人が確認しづらい部分から始まるため、あらかじめ家の中を点検しやすい作りにすることをおすすめします。

特にシロアリの被害は床下に発生しやすく、床下に点検口を設けておくのが重要です。

他にも「家の基礎を布基礎にする」「床下の構造が複雑に造られている」など、床下に入れない(入りづらい)家づくりは回避したほうが賢明です。

新築を建てる際は、外観や内装にこだわることはあっても、外から見えない床下や屋根裏はさほど考えずに設計することが多いため、注意しておきましょう。

対処法②:侵入経路に対策を施す

シロアリの侵入経路は主に4箇所あり、それぞれの対処法は以下の通りです。

  • 基礎の立ち上がり:蟻道を確認しやすくする
  • 配管貫通部   :薬剤入りのウレタン・シーリングで隙間を塞ぐ
  • 基礎の打ち継ぎ部:基礎止水プレートなどで継ぎ目を塞ぐ
  • 玄関ポーチ   :土台や玄関ドアを支える柱の下にもコンクリートを入れ、さらに防蟻剤入りのウレタン・シーリングで隙間を塞ぐ

侵入経路を徹底的に封鎖することで、シロアリの侵入を大幅に減らすことができるでしょう。

ただし、侵入経路の封鎖手段も時間とともに劣化していくため、いずれは再施工を施す必要がある点にも注意しておきましょう。

対処法③:バリア工法を施す

バリア工法とは、住宅の床下に液状の薬剤を散布してシロアリを駆除する工法のことです(剤工法・液剤施工と呼ばれることもある)。

駆除と同時にバリア層を構築し、シロアリを住宅内に入れないよう予防的処理を施すこともできます。

なおバリア工法は、柱や土台にネオニコチノイド系の薬剤を散布する方法が一般的です。

これはリフォーム時などでも散布できるものの、柱や土台の奥などの隅まで散布できるのは家を建てる時だけなので、新築時に利用しておけばシロアリの侵入を防ぐ効果が高まるでしょう。

ただし、効果が続くのは5年程度という点にはご注意ください。

対処法④:基礎断熱工法を採用しない

基礎断熱とは、建物の基礎のコンクリートを断熱材で覆う工法のことです。

比較的新しい断熱工法であり、それまで一般的だった床断熱工法と比べて施工件数はまだまだ少ないものの、今ではリスク回避の知見なども蓄積されてきており、寒冷地を中心に採用されるようになっています。

ただし、この基礎断熱工法で使用される断熱材は柔らかい素材でできているためシロアリのエサになりやすく、すぐに建物内に侵食される恐れがあります。

また基礎断熱工法にすると、シロアリが断熱材と基礎の間に蟻道を作るため、蟻道を外から見つけづらくなってしまいます。

基礎断熱工法は快適に過ごせるメリットもありますが、採用する場合は他の方法で防蟻処理をしっかりおこなう必要があるでしょう。

今後技術の進化で防蟻効果も高まっていく可能性もあるため、今後の動向に注目しておくのもよいでしょう。

対処法⑤:構造木材に防蟻薬剤を注入する

構造木材とは、建物の骨組みとなる木材のことであり、構造木材に薬剤を注入することでシロアリの被害を防ぐことができます。

これは新築時のみできる施工であり、加圧注入によって施された効果は半永久的に効果が続くともいわれています。

ただし、この効果が発揮されるのは薬剤を注入した木材のみであり、家全体を守るにはその他の対策も組み合わせる必要があります。

対処法⑥:シロアリ対策に役立つ木材を使用する

杉やケヤキといった、シロアリが嫌がる天然成分が含まれている木材を利用すれば、建材を食べられにくくなるでしょう。

これも、新築時だからこそできることです。

ただし、あくまで「食べられにくい」というだけで「絶対に食べられない」わけではないため、別の対策も同時におこないましょう。

対処法⑦:防蟻シートを床パネル下面に張る

安全性の確認された薬剤や天然成分が注入された防蟻シートを床パネル下面に張ることで、シロアリが寄ってくるのを防ぐことができます。

防蟻シートは、安全管理が行き届いた工場内で加工されたものを使用するため、人体にとって安全で土壌汚染もないといわれています。

シロアリ保証はいつまで?再施工の重要性

新築時にシロアリ対策をおこなった場合、保証期間はいつまでになるでしょうか。

また、再施工はどのくらいのタイミングで実施すべきなのでしょうか。

本章では、シロアリ対策の保証期間と再施工の重要性についてご紹介します。

新築時のシロアリ保証は通常5年間

これは上述でもご紹介した通り、薬剤の効果が5年ほどで切れてしまう(薬剤の効果は5年間と定められている)ためです。

なかには新築時から10年保証を出すケースもありますが、これは10年間効果のある薬剤を使用しているわけではありません。

薬剤の効果がある5年間にプラスして、工務店やハウスメーカー側がもう5年間の保証を出しているだけで、いずれにせよ薬剤の効果は5年ほどで切れてしまいます。

そのため、この保証期間の間(およそ5年を目安)に再施工を実施すべきといえるでしょう。

保証内に再施工を実施すべき4つの理由

シロアリ対策は、保証が切れる前に再施工を依頼すべきです。

その理由を、以下にてご紹介します。

保証期間中に被害が発生した際は格安で対応してもらえる

保証には「施工保証」と「建物修復費用の補償」の2種類があり、期間内にシロアリの被害が発生した際に、無料もしくは格安で対処してもらえます。

一見するとなんの被害もないように見えても、業者が点検することでシロアリが発生しているケースもあるため、再施工は保証期間内におこなったほうが安心といえるでしょう。

保証期間は5年で設定されていることが多いものの、業者によっては5年未満となっている可能性もあるため注意しておきましょう。

シロアリ被害のリスクを減らせる

シロアリは北海道の一部を除いて全国どこにでも存在し、好物となる木材がないところにも生息しています。

木材だけでなく、ダンボール・断熱材・新聞などもシロアリの食害に遭う可能性があるため、たとえどれだけ対策を施しても100%シロアリ被害を防げる保証はありません。

薬剤の効果は徐々に薄まっていき、時間が経つほどに被害が発生する可能性が高いため、適度に対策をおこなうことで被害リスクを軽減できるでしょう。

シロアリの被害を放置していると、最悪の場合は建物の倒壊につながる恐れもあるため、注意が必要です。

新築住宅10年保証の条件担保にできる

つまり、住宅・建物の新築後10年以内に見つかった欠陥は、建築会社や施工会社もしくは売主に補償を求められるということです。

しかし、この10年保証は建物を適切に管理していることが前提となることが多く、そのなかにはシロアリの点検や予防対策も含まれます。

「適切な管理ができていなかったために、保証を受けられない」といった事態を避けるためにも、住宅の保証内容をしっかりと確認し、必要に応じてシロアリ対策をおこなうことが重要です。

家の寿命を延ばすことができる

シロアリ対策の再施工には、当然費用がかかります。

しかし、再施工を定期的に繰り返していればシロアリの被害を未然に防ぐことができ、家の寿命を延ばし・家の価値を保つことができます。

もしシロアリの被害が発生してから駆除や建物の修繕を依頼すると、被害状況に応じて数万~数十万単位の金額が必要となるでしょう。

長期的に考えた場合、予防処置を定期的に繰り返したほうが安く済むため、シロアリ対策は将来設計も考えながら実施の有無を検討すべき重要なメンテナンスの一つといえるでしょう。

シロアリを寄せ付けない!普段から意識すべきこと

シロアリ対策は、薬剤などを使って専門的におこなうだけではありません。

本章では、自分でもできるシロアリ対策として、普段から気を付けておくとよいことをご紹介します。

家の周りに木材や段ボールを放置しない

特に、地面に直接置くと木材やダンボールに湿気が移り、シロアリを誘発する原因となってしまうでしょう。

不要な場合は処分し、使用する場合は風通しのよい乾燥した場所で保管しましょう。

通気口の前に物を置かない

湿気を逃がすための通気口が塞がっていると、床下の湿度が上昇してシロアリが発生しやすくなります。

床下は湿気がこもりやすいため、通気口の換気が妨げられると、よりシロアリが生活しやすい環境になってしまいます。

そのため、通気口の前には物を置かないようにしましょう。

どうしても物を置きたい場合は、できる限り通気口を塞がないよう隙間を開けて設置するとよいでしょう。

また、通気口に周りに生えた雑草やゴミを適度に掃除しておくのもシロアリ対策として効果的です。

排水管の水漏れに注意する

排水管の水漏れを長期間放置してしまうと、水が床下や建物の壁などに浸透し、シロアリが好む環境となってしまいます。

もし、床上の排水管が水漏れした場合は、パッキンの劣化やナットの緩みがないか確認しましょう。

床下にある排水管は、水道を使っていないのに水道検針メーターが微妙に動いている・床下点検口の蓋を開けた際に異臭がする、などが水漏れを確認するポイントです。

排水管のつまりや破損も水漏れの原因になるため、なにか違和感を感じたら早めに業者に点検や修理を依頼することをおすすめします。

シロアリ対策はプロの業者へ依頼しよう!

新築時はもちろん再施工をおこなう際も、シロアリ対策はプロの害虫駆除業者へ依頼することが重要です。

プロだからこそできる対策があり、定期的に対策を依頼すれば家の寿命を大きく伸ばすことができるでしょう。

新築時の防蟻措置は法律で義務付けられているものの、メーカーや工務店のなかには間違った知識のもとに防蟻処置が施されないケースもあります。

心配な方は、事前に確認を取っておくことをおすすめします。

また、再施工時は自身で業者に依頼する必要がありますが、保証期間内に対応してもらうことが重要です。

もし以前対応してもらった業者と連絡がつかない場合は新しい業者を探す必要がありますが、業者によって費用やサービス内容が異なるため、複数社に見積もりを依頼してより自身に合った業者を選ぶようにしましょう。

まとめ

シロアリは日本全国ほとんどの場所に生息しており、たとえ新築であってもシロアリが発生する可能性は否定できません。

新築だからこそできる対策法も存在するため、工務店・メーカー・害虫駆除業者の方としっかり相談したうえで、どのような施工を依頼するかを決定してください。

また、薬剤の効果は徐々に薄まるため、5年ほどを目安に再施工を依頼しましょう。

対策をしっかりおこなうほど、家の寿命は確実に伸びていくことでしょう。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP
CLOSE