ヤマネやシマリスといったげっ歯目は、冬眠をして冬を越します。
そのため、人によってはネズミも冬眠するイメージがあるという方もいらっしゃるでしょう。
また、家に棲み着いていたネズミが冬になって静かになったと感じている方もいるかもしれません。
本記事では、ネズミの冬眠の有無や冬にするべきネズミ対策について解説します。
ネズミの活動が少なくなった冬のうちに、徹底的な駆除を始めましょう。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

1. ネズミは冬眠する?冬になるといなくなる?

ネズミの種類によって、冬眠するかしないかが異なります。
本来ネズミは体が小さく脂肪を蓄えられないため、寒さが厳しい状況下での活動は向いていません。
つまり、冬を越せる環境を拠点にするネズミだけが冬眠せずにいられるのです。
1-1. 家ネズミは冬眠しないのが一般的
山林を拠点にするアカネズミ・ヒメネズミ・ハタネズミなどの野ネズミは冬眠しますが、家屋に侵入してくるネズミ、いわゆる家ネズミは冬眠しません。
家ネズミとは、クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミの3種類を指します。
家ネズミは季節を問わず過ごしやすい環境で生活できるため、冬眠をする必要がありません。
逆に言えば、冬は家ネズミがエサのある暖かい場所を求めて家屋に侵入してきやすくなります。
1-2. 冬に気配がなくなる理由
冬を迎える前にネズミが棲み着いていた場合、冬になったら静かになったというケースは少なくありません。
冬にネズミの気配がなくなる理由は、次の3つが挙げられます。
- 気温が下がると活動量が減る
- 暖を取りにきた他の害獣に食べられてしまう
- エサを確保するエネルギーがなく餓死してしまう
元々寒さに弱いネズミは、気温が下がるとエネルギー温存のために活動量を減らします。
ネズミは1日あたり体重の約4分の1〜3分の1の食料を必要としますが、食べ物を探して走り回るうちにエネルギー切れを起こして餓死してしまうこともあるのです。
また、ネズミと同じように、他の害獣も暖かさを求めて家屋に侵入しやすくなります。
冬が来るまではすばしっこかったネズミも動きが鈍くなっているため、侵入してきた害獣に捕食されるケースもあります。
気配がなくなったからと言って、ネズミが活動を止めたわけではありません。
むしろ、ネズミにも他の害獣にも侵入されやすい時期であり、冬こそ入念な対策が必要です。
2. 冬はネズミ駆除に適した季節

冬はネズミの動きが鈍くなることで、被害が落ち着いたと錯覚しやすいでしょう。
しかし、ネズミ被害をそのままにして暖かい時期を迎えてしまうと、被害をさらに深刻化させてしまう可能性があります。
ネズミが大人しくしている冬だからこそ、ネズミ駆除に適している時期なのです。
その理由には、次の2つがあります。
- 死骸が腐りにくく処理しやすい
- 春の繁殖シーズン前に対策できる
それぞれの理由の背景について解説します。
2-1. 死骸が腐りにくく処理しやすい
ネズミをご自身で駆除する際には、粘着シートやトラップ、毒餌を使用することがあるでしょう。
暖かい時期にこれらを使用してネズミを捕獲・殺処分した後には、すぐに死骸を処理しなくてはなりません。
死骸を放置しておくと死骸が腐敗し、ノミやダニ、害虫、病原菌の温床となるリスクがあるためです。
対して、冬は死骸の腐敗が遅く、多少時間が経過していても大きな被害には及びにくいです。
とはいえ、時間の経過とともに施しておいたネズミ対策への意識は薄れかねませんので、死骸に気づき次第直ちに処理をしましょう。
2-2. 春の繁殖シーズン前に対策できる
ネズミは春(3〜5月)と秋(10〜11月)に繁殖期のピークを迎えます。
寒さと飢えをしのぐために家屋へ侵入するため、冬に棲み着いたネズミは春に向けて子育ての準備を整えているとも言えます。
ネズミは繁殖力が高く、1回に出産する子ネズミの数は6〜7匹です。
さらに、メスは生後3ヶ月で妊娠・出産ができるようになるとされています。
秋に産まれた複数の子ネズミが春先に大量に出産すると、相当数の個体が棲み着いてしまうでしょう。
よって、春の繁殖シーズン前にネズミを駆除できれば、ネズミの大量繁殖と被害の悪化を防げます。
3. 冬にやるべき自分でもできるネズミ対策

ネズミ対策は毒餌や粘着シートでの駆除、もしくは忌避剤での追い出しで家からネズミを追い出すのが基本です。
そのうえで、再度侵入されないように侵入経路を封鎖することも重要になります。
放置すると春に繁殖期を迎えるため、冬のうちに対策しておきましょう。
本章で各工程を解説します。
3-1. 毒餌・粘着シートを設置する
毒餌と粘着シートは、自力で行うネズミ駆除における定番の方法です。
ネズミが通過する箇所や侵入口付近に設置すると、効率的に捕獲・殺処分ができます。
通常、ネズミは警戒心が強いために見慣れないエサや装置に近寄らず、思ったほど駆除ができないケースも見られます。
しかし、冬季はエサを欲するあまり、ネズミの警戒心が低下する傾向にあるため、用意したトラップに比較的かかりやすいです。
即効性のある毒餌では数時間、遅効性の毒餌では数日で死に至ります。
また、粘着シートには殺鼠(さっそ)成分は含まれていないものの、動きが取れなくなることで冬季は1日ほどで餓死します。
息絶えたネズミは放置せず、できるだけ早く処理しましょう。
毒餌・粘着シートによる駆除の方法は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
3-2. 忌避剤で追い出す
忌避剤とは、ネズミが苦手とするニオイや成分を拡散する対策グッズです。
ネズミにとって不快な環境を作り、追い出しや侵入予防を目的として使用されます。
忌避剤には主に3つのタイプがあり、それぞれ使い方や作用が異なります。
下表を参考に、ご家庭の状況や使用したいエリアなどに合わせたものを選んで使用しましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
スプレータイプ | ・局所的に噴射でき即効性がある ・使いたいときにサッと使える ・効果が薄まるのが早い |
くん煙タイプ | ・煙がエリア内に充満し隠れているネズミにも有効 ・家具や家電などの養生が必要 ・使用中の部屋への立ち入りはNG |
設置タイプ | ・設置するだけで事前準備が不要 ・効果の持続期間が長い ・ニオイが流れやすい風通しのよい場所には不向き |
3-3. 侵入経路を封鎖する
駆除・追い出しができたら、再侵入を防ぐために侵入経路を封鎖します。
ネズミは2.5cmほどのわずかな隙間からでも侵入できてしまうため、侵入されたエリア付近に侵入口がないか確認しましょう。
ネズミの侵入経路となりやすい場所は、以下の通りです。
- 壁のクラック
- 戸袋の隙間
- 基礎の隙間
- 屋根の隙間
- 換気扇
- エアコンの配管
- 床下の通気口 など
侵入経路を探す際は、ネズミが移動する際に残すラットサインを参考にすると見つけやすいです。
特定できた侵入口には、大きさに合わせてパテや金網、パンチングメタルで封鎖しましょう。
なお、ラットサインの詳細については、以下の記事でご確認いただけます。
4. 個人でネズミ対策を完璧にするのは難しい

冬はネズミ対策に適している季節だとお伝えしてきました。
しかし、実際は自力での完璧な対策は難しく、いなくなったと思っても隠れていたネズミが春先に繁殖して被害を拡大させてしまうことは珍しくありません。
個人でのネズミ対策が難しいとされる根拠には、次の2つがあります。
- 侵入経路を封鎖するのが難しい
- 法令遵守や安全面での配慮が必要
それぞれの根拠について、下記に解説します。
4-1. 侵入経路を封鎖するのが難しい
侵入経路になりやすい場所は非常に多く、そもそも全ての侵入経路を見つけるところが難易度の高いポイントです。
人目につくのを避ける傾向のあるネズミが、人に見つかりそうな侵入経路から入り込むとは限りません。
高所にある侵入経路を見つけるのにも、危険を伴うでしょう。
仮に全ての侵入経路を見つけられたとしても、素人が天井裏や床下などに棲み着いたネズミを徹底的に駆除することは困難です。
駆除に失敗すればネズミの警戒心を強め、対策の効果が得られなくなる可能性があります。
4-2. 法令遵守や安全面での配慮が必要
家ネズミは許可や免許がなくとも捕獲・殺処分ができますが、他の害獣が侵入していた場合は注意が必要です。
イタチやハクビシン、コウモリなどは鳥獣保護管理法で保護されており、無許可での捕獲や駆除が禁止されています。
ネズミを駆除するつもりが他の害獣を駆除してしまったとなると、法律違反となってしまいます。
また、ネズミは不衛生な場所を好む動物です。
体表や糞尿には無数の病原菌や寄生虫がおり、個人で駆除した後は清掃や消毒もしなくてはなりません。
安全かつ確実なネズミ駆除をしたいのであれば、駆除業者への依頼をおすすめします。
5. ネズミ被害でお悩みなら協会の無料相談をご活用ください

ネズミ駆除は、春先の繁殖期を迎える前に終えておくべきです。
しかし、駆除業者の信頼性や依頼したときの費用に不安を感じる方も多いでしょう。
ひいては、個人でなるべく対処したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ネズミ被害に遭ってしまった際には、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の無料窓口へご相談ください。
優良駆除業者の選び方や費用相場、個人での対策の流れなど、どんなお悩みにも対応いたします。
ネズミ被害の根絶にご協力できるよう知識豊富な職員を揃えていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

まとめ
家に出るネズミは、一般的には冬眠しません。
しかし、冬の間はネズミの活動量が減って動きが鈍くなるため、駆除をするのに最適な季節です。
個人でできる対策もありますが、春先での被害の拡大や再発を完全に防ぐためにはプロへの依頼をご検討ください。
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