ムクドリは日本全国に分布している鳥であり、人が集まる都会や市街地でも見かけることがあります。
とくに問題視されているのが「ムクドリの群れ」であり、数千羽で群れを作り集団でねぐらを作ることもあるため、鳴き声による騒音や糞による被害が社会問題にも発展しています。
本記事では、ムクドリの特徴をご紹介しつつ、鳴き声による騒音問題へ対処法を解説します。
ムクドリの鳴き声(騒音)に悩まされている方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
目次
「ムクドリ」とはどんな鳥?
本章では、ムクドリの特徴についてご紹介します。
一見すると可愛らしい生き物ではありますが、近年では都市部でも見かけることが多く、人々への被害も深刻化しているため注意しましょう。
ムクドリの特徴
ムクドリは「鳥綱スズメ目ムクドリ科」の鳥であり、全長約25cmほど、おおよそスズメとハトの中間程度の大きさをしています。
椋(むく)の木に集まり・椋の木の実を好んで食べることからムクドリという名前が付いたとされていますが、ムクドリは雑食性のため、木の実だけでなく・種子・果物・虫などいろいろなものを食します。
また、地域によっては「モズ」「ツグミ」「ヤマスズメ」といった名前で呼ばれることもあり、名前を聞いてピンとくる方もいるかもしれません。
その見た目には、主に以下の特徴が挙げられます。
- ずんぐりむっくりとした体型をしている
- 全体的に「黒色」が主であり、腰と顔に「白色」が混ざっている
- くちばしと足「黄色」、くちばしの付け根と口内は「青黒色」をしている など
雄より雌の方が羽の黒味が少ない場合が多いとされており、他にも頭部や羽毛の形状に若干の違いもありますが、ムクドリ自体が個体差の大きな生き物のため、一見しただけでは雄雌の判別をつけることは難しいといえるでしょう。
なお、ムクドリは「ものさし鳥」としても有名な野鳥です。
「ものさし鳥」とは野鳥の大きさを見分ける際の基準となる鳥のことで、野鳥観察の際に役立てることができます。
古くは「益鳥」とされていたこともある
日本全国に生息しているムクドリは、古くは「益鳥」とされていました。
その理由は「農作物につく害虫を食べるため」であり、農薬が発達していなかった時代では「農林鳥」と呼ばれ、田園地帯の象徴のような存在としても知られていたようです。
しかし、農薬が発達してからは果樹への被害が大きな問題となったこと、農村部にしか生息していなかったものの土地開発によって本来の生息環境から追われたムクドリが都市部にも棲みつくようになり被害件数が増加したことから、近年では「害鳥」として扱われるようになっています。
鳴き声について
ムクドリは「キュルキュル」「ジャージャー」「ビャービャー」など、状況によってさまざまな鳴き声を発します。
ムクドリが鳴き続ける理由としては、周囲のムクドリとコミュニケーションを取るためであったり、群れを敵から守るための安全確認(防衛本能)ともいわれています。
スズメなどほかの鳥よりも響く声で鳴くこと、そして群れを成して大勢で一斉に鳴くことから、騒音問題として取り上げられることが多いようです。
ムクドリが住宅街に棲みつく時期はいつ?
ムクドリが集まる時期は、秋から冬にかけてがもっとも多くなるといわれています。
その理由は、繁殖が終わり、巣立ったムクドリたちがたくさん集まり、寒い冬を群れで乗り越えるためです。
逆に春から夏はムクドリにとっての繁殖期であり、群れから離れ人家などに巣を作り「つがい」で活動するため、群れを見ることは少なくなるでしょう。
いずれにせよ、日中はエサを求めて活動することが多く、夕暮れどきに群れとなって集まる習性があるようです。
近年は人が集まる都会でも出没しており、主に街路樹やビルなど、外敵に襲われる危険が少ない場所をねぐらにしています。
ムクドリの天敵とされる動物はカラス・フクロウ・鷹といった猛禽類が挙げられます。
近年の市街地ではカラスが減少傾向にあること+カラス以外の猛禽類も少ないことから、ムクドリにとって暮らしやすい環境となり、それが都市部でムクドリの数が増加している一因とされているようです。
ムクドリによる人への被害とは?
本章では、ムクドリによる人間への被害についてご紹介します。
ムクドリは市街地にも出没し、かつ大群で行動するため、人々に深刻な被害を与えています。
とくに、鳴き声による騒音被害と糞尿被害はできるだけ早期に対策を取る必要があるといえるでしょう。
騒音被害
群がるムクドリは何百~何千羽と非常に多く、夕暮れになると空を黒く埋め尽くすほどのムクドリの大集団がやってきます。
そして、駅前の電線・街路樹・建物などに身を置き、それぞれがさまざまな鳴き声を発します。
ムクドリの鳴き声は「約75dB」ほどといわれており、これは掃除機の音と同レベルの音量で、車や雑居ビルから聞こえる音以上に響き渡ります。
夕方~夜間に一斉に鳴きだすことも含め、これらが住民への騒音被害へと発展しているのです。
糞尿被害
ムクドリも生き物である以上「糞」をし、群れを成していることからその糞による被害も甚大なものとなっています。
糞の問題は、見た目の汚さだけでなく「さまざまな病原菌を有している可能性が高い」ことが挙げられます。
悪臭の原因となる+ダニなどが繁殖する可能性があるだけでなく、人家に巣を作るケースや騒音問題にも発展することから、今やムクドリはカラスに並ぶほどの害虫として危険視されています。
万が一お住いのベランダなどにムクドリが棲みついてしまうと「洗濯物が干せない」「周囲の方々にも迷惑になる」として、自他ともにその被害はより甚大なものとなるでしょう。
ムクドリへの対策方法について
本章では、ムクドリからの被害を抑える方法をご紹介します。
ただし、自身でできることには限界があるため「ムクドリの被害に悩まされている」という方は、早めに専門業者に依頼することをおすすめします。
ベランダに余計なものを置かない
お住いのベランダにおいて、ムクドリの侵入を防ぐ(巣を作らせない)ためには「ベランダに余計なものを置かない」こと、そして「定期的にベランダの隅々までこまめに掃除し、清潔を保つこと」が大切です。
つまり「ムクドリにとって棲みつきづらい環境を作ること」が重要といえるでしょう。
ほかにも、以下のような対策を施すことも有効です。
- 忌避剤(鳥の嫌がる薬剤)の設置
- 超音波発生装置の設置
- とげマットの設置
- 防鳥ネットの設置 など
こういった対策を施すことで、自身が住む住居においてムクドリが長くとどまる可能性は低くなるといえます。
「ダミー」を設置する
ムクドリの天敵とされる動物はカラス・フクロウ・鷹といった猛禽類が挙げられます。
そのため、天敵となる動物のダミー(カカシ)を設置することで、ムクドリの侵入を防ぐことができるかもしれません。
ムクドリによる騒音対策法
上記の方法を利用し自身の住居への侵入を防いだとしても、電線・ほかの建物などにムクドリが棲みつく可能性があり、その場合は自身で対処することが難しくなります。
もし鳴き声による騒音が気になる方は以下のような防音対策を講じてみるのもよいでしょう。
- カーテンを防音カーテンに交換する
- 給気口にサイレンサーを設置する
- 窓にインナーサッシ(二重窓)を取り付ける など
自治体・管理組合・管理会社などに相談する
自身でどれだけ対策をしていても、周囲にムクドリが群れを成してしまうと被害を被る可能性もあります。
もしもムクドリの被害を抑えきれない場合は、管理組合・管理会社などに相談し対策を検討してもらうのもよいでしょう。
もし地域全体として継続的な取り組みを必要とする場合は、お住いの自治体に被害相談をするのも有効といえます。
実際に、各自治体でムクドリへの対策は実施されており、街路樹に忌避剤・ネットなどを設置したり、超音波やLEDライトで追い払うなどさまざまな方法が試されています。
ムクドリの被害は広範囲におよぶ可能性があり、いくら自身の住居内で対策を講じても周囲に滞在されると対処しきることは困難です。
自身でできる対策をおこないつつ、できれば早めに自治体・管理組合・管理会社などに相談し、周辺環境に対して対策を講じてもらうことが重要といえます。
ムクドリは許可なく駆除できないことに注意!
仮にムクドリの被害に悩まされている方であっても、許可なくムクドリを駆除することはできません。
なぜなら、ムクドリは「鳥獣保護管理法」によって保護されている動物だからです。
ムクドリは鳥獣保護管理法で「狩猟鳥獣」として定められているため、狩猟免許を所有している方が限られたエリアと期間においてのみ狩猟・飼育が可能となっています。
(都道府県によっては狩猟鳥獣に当てはまっていても、狩猟・飼育が禁止されていることもあるため注意が必要である)
上記のことから、駆除はもちろん「ムクドリを許可なく飼う」ことも禁止されています。
一見すると可愛らしい鳥ではありますが、野鳥を飼うことは危険が伴うため注意しておきましょう。
もしもなんらかの理由でムクドリを保護することがあれば、速やかに各都道府県に設置された野生鳥獣担当機関に連絡をし、指示を仰ぐようにしましょう。
ムクドリの被害は専門業者に依頼するのもよい
ムクドリの被害に悩まされている方は、害獣駆除業者などに相談してみるのもよいでしょう。
対策方法は複数あれど、適切な対処をしないと効果が得られない可能性も高く、そもそも自身が所有する建物以外の場所で発生した被害に対処しきることは困難です。
専門業者に依頼すれば、ムクドリ被害に関するさまざまな事態(騒音や糞尿被害など)に対応してくれるだけでなく、アフターサービスや保証内容が充実していれば再発防止にも貢献してくれることでしょう。
ただし、業者によってサービス内容や費用は異なるため、依頼する際は複数の業者から見積もりを取り、より良い業者を選択することが重要といえます。
まとめ
一見すると可愛らしい容姿をしているムクドリですが、現在は人々の生活を脅かす可能性がある「害虫」といえます。
放置すると被害が広がる可能性があり、騒音や糞尿被害で体調を崩してしまうわけにはいきません。
もしも「ムクドリの被害に悩まれている」という方は、できるだけ早期に対策を講じた方がよいといえるでしょう。
自身でできる対策・自治体や管理組合への相談・害獣駆除業者への依頼など、対策方法は複数存在するため、状況に応じて適切な対処を講じていきましょう。
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