イタチとハクビシンの違いはなに?それぞれの特徴や防除法を解説

害獣・害虫別

害獣の類に分類される動物は複数存在し、いずれも人々の生活に大きな影響を与えています。

そのなかでも「イタチ」と「ハクビシン」は似た生き物であり、家屋に棲みつくと真夜中に天井裏などをドタドタと走り回る可能性があるでしょう。

「得体の知れない動物が潜んでいる」と不安がるよりも「イタチorハクビシンが棲みついている」と特定できたほうが、対処も取りやすいはずです。

本記事では、イタチとハクビシンの違いやそれぞれの特徴、防除法をについて解説します。

害獣の被害に遭っている方は、本章を参考に適切な対処を講じていきましょう。

イタチとハクビシンの違いについて

イタチとハクビシンは生息地や食性など共通点もありますが、その姿には大きな違いがあります。

本章では、両者の違いを詳しく解説しましょう。

見た目(大きさ・体系)

それぞれの外見上の違いは、以下の通りです。

【イタチ】

  • 体色:山吹色~茶褐色、顔の中央が暗褐色
  • 体長:25cm~40cm
  • 体重:2kg以下
  • 尻尾の長さ:7~15cmほど

【ハクビシン】

  • 体色:灰褐色、鼻筋に白い縦線模様
  • 体長:50cm~70cm
  • 体重:3~4kgほど
  • 尻尾の長さ:胴体と同じくらい

イタチは体が細長く、ハクビシンに比べ小柄な体系をしています。

全体的に明るい茶色をしており、目周りは黒・口の周りは白になっているのが特徴です。

なお、毛色は季節で変化することはなく、一年を通して同じ色をしています。

対してハクビシンは、イタチより一回りほど大きく・イタチとは毛色がまったく異なることから、その違いは一目瞭然です(暗めで灰色と茶色が混じったような毛色をしている)。

また、名前の通り「鼻に白い一本の線が入っている」のが特徴に挙げられるでしょう。

見た目(とくに体色)が大きく異なることから、違いを判別しやすい動物といえます。

鳴き声

両者の鳴き声は、若干似ており判別がしづらいといわれています。

【イタチ】

  • 通常時:キーキー、キッキッキー、クククク
  • 威嚇時:ガーッ、キッキッキー
  • 子ども:キーキー、クククク

【ハクビシン】

  • 通常時:キューキュー、キーキー
  • 威嚇時:ガァー、シャー
  • 子ども:クルルル、キューキュー、ピーピー

イタチの鳴き声は、甲高い声が特徴です。

めったに鳴かないものの、威嚇時・求愛行動時に鳴くことが多いとされています。

イタチの繁殖期は3~5月であり、春先に鳴き声が頻繁に聞こえる場合、繁殖の危険性があるため注意が必要といえるでしょう。

対してハクビシンは、猫っぽい鳴き声が特徴といえます。

音量が大きく・猫の鳴き声に近いことから「近所で猫がけんかしているような声を聞いた」ということも多く、業者が確認したところハクビシンのフンがたくさん落ちていた…という例もあります。

なお、子どもが鳴くとき=親を呼ぶとき・ご飯が欲しいときであり、これは両者とも共通しています。

生息域

どちらも、都心部~山間部など幅広い場所に生息していますが、両者には以下のように若干の違いが見られます。

  • イタチ:平野部の草地・水辺・田畑・人家周辺
  • ハクビシン:雑木林・餌場付近・人家周辺 など

イタチは水辺や産地のような自然の多い場所に生息することが多く、ハクビシンは餌場の近くや雑木林を好む傾向にあります。

ただし、自然が激減している昨今では住処や餌を求めて都心部まで侵入し、住宅への侵入や生ゴミ荒らしが問題となっています。

性格

性格は、両者で大きな違いが見られます。

イタチの場合、その可愛らしい見た目に反して性格は非常に「獰猛」です。

自分より大きな動物にも威嚇し襲い掛かってくることがあるため、不用意に近づくのは避けるべきといえるでしょう。

また、動きが素早い・垂直な壁を登る・泳ぐのが得意といった特徴もあります。

小柄で細いことから、わずか3cmほどの隙間を通り抜けて家屋に浸入・棲みつくケースもあるため、注意が必要です。

対してハクビシンは、基本的に「臆病」な性格をしています。

ただし、危機を察知すると反撃してくることもあるため、やはり不用意な接触は避けるべきといえるでしょう。

身体能力が優れている・木登りが得意といった特徴があり、1mの高さをジャンプしたり、電線を器用に歩く姿が目撃される例もあります。

また、イタチに比べれば大柄ではありますが、頭さえ入れば小さな隙間でも通り抜けることができます。

足跡

両者とも5本指であり、しっかりと足を地面につけて歩きます。

ただし、足跡の特徴はそれぞれで異なります。

【イタチ】

  • 大きさ:2~3cmほど
  • 指と掌球が離れている

【ハクビシン】

  • 大きさ:5~6cmほど(後ろ足のほうが長い)
  • 後ろ足が縦長をしている

足跡だけで判別することは難しいものの、自宅付近で発見した際はよく観察してみるのもよいでしょう。

ただし、近くにイタチやハクビシンが潜んでいる可能性もあるため、注意は必要です。

食べ物

どちらも雑食でありなんでも口にしますが、それぞれ好みは異なります。

イタチは肉類がとくに好みであり、泳ぐのが得意(潜水も可能)なことから、ネズミ・小鳥の卵や雛・カエル・ザリガニ・魚類などを捕食する傾向にあります。

対してハクビシンは甘い果実が好物+木登りが得意なため、各種果物はもちろん、モモ・ブドウ・サクランボなど高い位置になる果物も登って食べることがあるでしょう。

フン

フンに関しては、両者で大きな違いが確認できます。

【イタチ】

  • 細長い
  • 6mmほど(1cm以下)
  • 臭いが強い
  • 水分が多く湿っている

【ハクビシン】

  • 丸い
  • 5cm以上と大きい
  • 糞に果実や木の実の種が含まれている

イタチは肉類をよく食すため匂いが強烈で、ときおり動物の体毛が含まれていることもあります。

ハクビシンは果物を食すことが多いため、果実や木の実の種が含まれていることがあります(フンの臭いはイタチほど強烈ではありませんが、尿は鼻につくような臭いをしている)。

共通していえることは、糞尿には多数の菌が付着しており、放置すれば寄生虫や害虫などを引き寄せる可能性があるということです。

人々への健康被害はもちろん、腐食などで建物の劣化を早める原因にもなるため、早急な対処(清掃・消毒)が必要といえるでしょう。

イタチとハクビシンに共通する特徴

本章では、イタチとハクビシンに共通する点をご紹介します。

どちらも「害獣」として認識されており、人々の生活に大きな影響を与える可能性があります。

放置するほど被害は甚大なものとなるため、なるべく早く対処を講じましょう。

むやみに接触しない

野生動物である両者は、その身体にさまざまな病原菌や寄生虫を有しています。

下手に接触すれば、さまざまな病気を発病する恐れがあるため、不用意な接触は絶対に避けるべきです。

また、イタチは攻撃性が高く、ハクビシンは臆病な性格をしているとはいえ危機を察知すると攻撃してくることがあります。

噛みつき・引っ掻きなどで怪我を負うと、その傷口から病原菌などが入り込み病気にかかる恐れもあるでしょう。

致死率100%の狂犬病など命に関わる病気にかかる危険性もあるため、注意が必要です。

人々に影響する被害

イタチ・ハクビシンともに人々が住まう建物に侵入し、屋根裏・天井裏などを住処にするケースが増加しています。

両者による人々への被害は、主に以下が挙げられます。

  • 屋根裏をドタドタと歩き回る「騒音被害」(夜行性のため夜中に動き回ることが多い)
  • 接触or糞尿の悪臭による「健康被害」
  • 糞尿により建物が劣化する「腐食被害」
  • 断熱材を巣にして営巣する・断熱材を噛みちぎるなどの「断熱材の損傷」 など

一度棲みつかれるとなかなか離れることがなく、かつどちらも繁殖力が高いため、放置するほど被害は拡大・悪化していきます。

侵入を許してしまうと素人では対処がしきれないため、早めに専門業者に相談したほうがよいでしょう。

農作物への被害

両者ともに、農作物への被害も多数報告されています。

ハクビシンは甘い果物や野菜が好物であり、畑・果樹園などに侵入して作物を食い荒らしてしまいます。

イタチは木登りだけでなく穴掘りも得意なため、地中で育つサツマイモなどの根菜類を掘り起こして食べる恐れもあるでしょう。

柵やネットでガードしても、高さが足りなかったり・小さな隙間があったりするとあっさり侵入されてしまうため、注意が必要です。

被害を抑えたいという方は、電気柵を導入して畑全体を隙間なく囲うなどの対策をとってみるとよいでしょう。

許可なく捕獲・駆除できない

たとえば、捕獲をする場合は、狩猟免許の一つである「わな猟免許」を取得したうえで、自治体に捕獲許可の申請をおこなわなくてはいけません。

ただし「わな猟免許」でできることは捕獲までであり、駆除することはもちろん、生きたまま運搬することもできません。

この場合は、自治体または専門業者に依頼して処分をお願いすることになるでしょう。

仮にどれだけ被害を受けていても、無免許・無許可で捕獲や駆除ができず、違反すると処罰の対象となるため注意が必要です。

イタチ・ハクビシンの駆除は専門業者に依頼しよう

イタチ・ハクビシンの駆除は、不慣れな方ができることには限界があります。

  • 被害を受けていても、許可なく捕獲・駆除ができない
  • 被害に遭ってから狩猟免許の取得を目指していては間に合わない
  • 健康被害などのリスクをともなう
  • 自身で対処すると、膨大な手間がかかる
  • お金をかけて対処しても、対策が不十分だと被害が再発する恐れがある など

これらのことから、害獣の被害に遭われている方・被害を危惧されている方は、害獣駆除の専門業者に相談したほうがよいといえるでしょう。

プロが一貫して作業をおこなってくれるため、再発を含め被害に悩まされることはほぼなくなるはずです。

費用こそ割高になるかもしれませんが、諸々の手間を考えると、総合的なコストパフォーマンスに優れています。

さまざまな業者が存在するため、相見積もりをとって比較し、より自身が納得して依頼できる業者を探してみましょう。

イタチ・ハクビシンの駆除に関するよくある質問

本章では、イタチ・ハクビシンの駆除に関するよくある質問をいくつかご紹介します。

イタチとハクビシンの見分け方のポイントは?

イタチとハクビシンは、体の大きさ・顔つき・体色など外見上に大きな違いがみられるため、遭遇した場合はすぐに違いを把握できるでしょう。

ただし、遭遇してもむやみな接触は絶対に避けてください。

痕跡から違いを見つける場合は、足跡や糞が参考になるはずです。

それぞれ特徴が異なるため、観察すればその違いを見分けられるようにもなるでしょう。

とはいえ、素人がその違いを判別するのは難しく、そもそも足跡や糞をすぐに見つけることもできないため、害獣の存在が気になる方は早めに専門業者に相談した方がよいといえます。

自身でできる対処法はある?

誰にでもできる対処法としては、以下が挙げられます。

  • 忌避剤を設置する(木酢液・ハッカ油・クレゾール石鹸液などでも代用可)
  • 侵入経路を封鎖する
  • 家の周りを掃除する
  • エサとなるものを出しっぱなしにしない など

普段から衛生面に気を配ることが重要といえるでしょう。

なお、すでに害獣が家屋内に浸入している形跡がある場合は、家屋内に害獣を閉じこめてしまうため「追い出してから侵入経路を塞ぐ」ようにしましょう。

追い出した後は、害獣が潜んでいたと思われる場所を清掃・消毒することもお忘れなく。

侵入経路を塞ぐ方法は「金網や害獣侵入防止用ネットを取り付ける」「壁の穴やひび割れを補修用パテで塞ぐ」「雨どいのパイプに有刺鉄線を巻く」といった方法が効果的です。

ただし、これらを徹底しておこなう場合は相当な手間がかかるため、気になる方は早めに専門業者に相談したほうがよいといえるでしょう。

自治体に相談できる?

自治体によっては、害獣被害の相談を受け付けているところもあります。

ただし、すべての自治体が対応しているわけではないため、事前にお住いの自治体の公式ホームページを確認したり、電話などで直接問い合わせてみるとよいでしょう。

補助金などは活用できる?

害獣被害に対して補助金を出している自治体もありますが、対象となるのは農家や有資格者であることが多く、一般の方を対象とした補助金はほぼないと考えておきましょう。

また、害獣被害の相談に乗ってくれる自治体であっても「害獣駆除の専門業者を斡旋してくれる」「罠を無料で貸し出してくれる」といったサポートが基本となります。

これらの詳細も、自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

業者に依頼した際の費用相場は?

イタチ・ハクビシンの駆除を業者に依頼する場合の費用相場は「数万円~数十万円(5~30万円など)」と、金額の幅が非常に広いとされています。

この理由は、被害の大きさや敷地面積の広さによって依頼ごとに詳細が異なるからです。

被害が大きくなるほど防除・修繕費用が高額になるため、早めに業者したほうがよいといえるでしょう。

また、業者によっても費用やサービス内容には大きな違いがあります。

業者に依頼する際は、相見積もりをとって複数社を比較し、より自身が安心・納得できる業者に依頼しましょう。

まとめ

イタチ・ハクビシンは、それぞれで生態や特徴に違いがあります。

しかし、害獣による「人や家屋に甚大な被害をもたらす」という点は共通しており、被害は放置するほど拡大していきます。

害獣の種類を見分けることができたら、早急に適切な対処を施しましょう。

また、害獣の捕獲・駆除には免許・許可が必要であり、許可が出たとしても相当な手間とリスクが発生します。

不慣れな方ができることには限界があるため、被害を危惧される方は、早めに自治体や専門業者に相談してみるとよいでしょう。

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