ネズミ駆除と聞くと、物理的にネズミを捕らえるトラップや化学物質を使用した対策グッズが思い浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。
安全かつ手軽な方法でネズミ駆除をしたいという方には、ハーブを利用した方法がおすすめです。
当記事では、ハーブでネズミ対策ができるメカニズムや方法、ハーブを利用するうえでの注意点を解説します。
心地よい香りとともに、ネズミ被害のない快適な空間を取り戻しましょう。
1. ハーブやハッカ油はネズミ対策に一定の効果がある

ネズミ対策として、ハーブやハッカ油はある程度効果的です。
ネズミの嗅覚は非常に敏感で、強い香りを避ける傾向にあります。
ミント・ハッカなどは人間にとっては清涼感があってよい香りですが、ネズミは苦手なニオイです。
よって、ハーブやハッカ油の香りがするところには近寄ろうとせず、忌避効果が見込めます。
ネズミが嫌がるニオイは、スーッとしたりツーンとしたりするような強いニオイです。
具体的には、次のようなニオイを嫌います。
- ミント・ハッカ
- タイムやローズマリーなどのハーブ類
- 琉球ハーブ
- ユーカリ
- ヒノキ
- わさび など
ネズミによってはハーブ類の香りに耐性のある個体がいたり、対策をする環境によって効果に差が出たりする場合があります。
しかし、ハーブは人間への害が少なく入手もしやすいため、手軽に試せる点が大きな魅力でしょう。
2. ハーブやハッカ油によるネズミ対策の方法

屋外ではハーブを栽培するだけで忌避効果が期待できますが、屋内でのハーブによるネズミ対策にはハーブやミントを使ったスプレーの使用がおすすめです。
本章では、ネズミ対策用ハーブスプレーの使用方法をご紹介します。
2-1. スプレーを作成する
まずはスプレーを作るところから始めましょう。
使用する材料は、以下の通りです。
- ハーブ(ペパーミント、ローズマリー、タイム、レモングラス)
- ハッカ油
- 食品成分由来のアルコール
- 水
- 1リットル容量のボトル
- スプレーボトル
〜スプレーの作り方〜
- 適量のハーブを十分に洗い、水気がある状態で細かく刻む
- 刻んだハーブを1リットル容量のボトルに入れる
- ハッカ油を10〜20滴加える
- アルコールを約1カップ(約200cc)加える
- 水を加える
- 容器をよく振って混ぜ合わせる
- 1〜2日間寝かせた後、スプレーボトルに注ぐ
スプレーを作成する際は、混ぜる順番を守るようにしましょう。
ハッカ油と水を先に混ぜても混ざりませんので、ハッカ油とアルコールを混ぜて水と混ざりやすくしてから、水を加えてください。
また、スプレーボトルはポリスチレン(PS)製を選ばないよう注意が必要です。
ハッカ油はポリスチレンを溶かす作用があるため、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・ガラス製のボトルを選びましょう。
2-2. ネズミの通り道に散布する
作ったスプレーは、ネズミが出現しそうな場所にまんべんなく散布するだけです。
散布するところは巣の近くや通り道、フンのある場所が狙い目となりますが、ラットサインがある場所も欠かさずに散布しておきましょう。
ラットサインとは、ネズミの侵入口や通り道、巣の目安となるものです。
黒っぽい汚れやかじり跡、足跡などが代表例です。
侵入口となり得る場所やラットサインについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
3. ハーブやハッカ油を使う際の注意点とリスク

ハーブやハッカ油は、人体には優しい天然由来の成分です。
しかし、ネズミがニオイを苦手としている点や繁殖力の高さなどから、取り扱いには注意が必要です。
以下のハーブやハッカ油を使う際の注意点・リスクをあらかじめ把握しながら、対策を練りましょう。
- ペットへの影響
- ミントが育ちすぎて近隣に迷惑がかかる(屋外栽培の場合)
- ネズミがニオイに慣れて効果が薄れるケースもある
3-1. ペットへの影響
ネズミが苦手とするハーブやハッカ油は、イタチやハクビシンといった害獣も苦手としています。
つまり、同じ動物である犬や猫などのペットもハーブが苦手です。
特にハムスターやリスなどの小動物は体重が軽いため、少量の成分でも強い影響を及ぼす恐れがあります。
また、エッセンシャルオイル(精油)やアロマオイルは猫にとって有毒であり、大変危険です。
猫がオイルを経口摂取・経皮吸収・吸入してしまうと、猫の体内ではオイルに含まれる成分の代謝が難しく、中毒症状を引き起こしてしまいます。
以上の点から、ペットがいるご家庭ではペットから遠ざけて使用する必要があります。
そして、猫がいるご家庭では、エッセンシャルオイルやアロマオイルを使用せず、他の方法で対策をすべきといえます。
3-2. ミントが育ちすぎて近隣に迷惑がかかる(屋外栽培の場合)
屋外でのネズミ対策はミントを栽培するだけで忌避効果があり、手軽な方法に思えます。
虫除け効果もあり、料理に使いたいときにすぐ採取できる点も魅力です。
しかし、ミントは繁殖力が強い植物です。
地植えをすると周囲へ広がってしまい、近隣の迷惑になる可能性があります。
ミントを栽培する際は鉢植えで管理をするか、植栽の範囲を定めて定期的に除草をするなどして、近隣に支障をきたさないよう配慮しましょう。
3-3. ネズミがニオイに慣れて効果が薄れるケースもある
ハーブによる忌避効果は、ネズミが苦手なニオイによるものです。
しかしながら、ネズミは学習能力が高く、苦手とするニオイでも慣れてしまうことがあります。
ハーブやハッカ油などの忌避剤を仕掛けた初めのうちは効果があるかもしれませんが、ネズミを追い払えたからと長期にわたって同じ忌避剤を使用しているとネズミはそのうちニオイに適応していきます。
ニオイを克服してしまえば、ネズミは家屋に難なく侵入してくるでしょう。
安全面や手軽さなどからハーブでネズミ対策をしたい場合は、定期的にハーブの種類を変えて香りに変化を付ける必要があります。
ハーブの種類を交換する期間は、2週間〜1ヶ月が目安です。
また、同時に複数のハーブを使用することも有効な手段です。
4. ハーブによるネズミ対策だけでは限界がある

ハーブにはネズミを追い払う・近寄らせない効果がある程度ありますが、明確な効果は証明されていないのが現実です。
そのうえ、ハーブには「ネズミを駆除する」効果はありません。
あくまで、忌避ができるだけに限ります。
先述したように、ハーブの香りに慣れてしまう個体もいます。
ハーブによるネズミ対策では限界があり、むやみに継続してもネズミ被害が拡大してしまうかもしれません。
他の方法で忌避効果を試すこともできますが、被害を根絶させるためには駆除もしくはプロによる対策がおすすめです。
ハーブ以外の忌避効果が見込める素材として、正露丸や唐辛子なども挙げられます。
ハーブ同様に確証のある方法ではありませんが、ご自身でできる対策をお探しの方は以下の記事を参考にしてみてください。
5. ネズミを寄せ付けないためには侵入経路の封鎖が必須

ハーブに慣れてしまったネズミをも対策するためには、侵入経路の封鎖が欠かせません。
しかし、ネズミの侵入口は多岐にわたり、高いところからでも屋内に侵入できてしまいます。
具体的なネズミの侵入口は以下の通りです。
- 扉や窓の隙間
- 基礎の隙間
- 戸袋
- 床下の換気口
- 壁の穴や隙間
- エアコン導入部
- 換気扇
- 屋根の隙間 など
上記は一例に過ぎません。
目に見える隙間だけではなく、手の届かない部分や高所にある隙間も入口とされていることがあります。
見落としがちな穴・隙間は、いくつ存在しているのかもわかりにくいでしょう。
ご自身で全ての侵入口を完全に封鎖するのは、非常に困難です。
6. ネズミにお悩みなら協会の無料相談をご活用ください

独自での対策に不安を感じる方は、ぜひ日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の無料相談をご検討ください。
「一刻も早くネズミを追い出したい」「お金をかけずにできるだけ安全な方法でネズミ対策がしたい」とご自身でネズミ対策を講じる方もいらっしゃいますが、かえって費用対効果が低く長期戦になる恐れがあります。
協会の無料相談ではネズミ駆除業者の選び方から費用を安く抑えるコツまで詳細にご案内していますので、被害を拡大させてしまう前に、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
ネズミはハーブのニオイを嫌がり、逃げ出したり近寄らなくなったりすることがあります。
ただし、忌避効果は一時的であり、ニオイに適応して慣れてしまう個体も出てきます。
そもそもネズミを駆除する方法ではないため、根本的な解決には至りません。
ネズミの被害を根絶するならば、プロの手による対策・駆除が必要です。
そして、ネズミは頭のよい動物のため、早期的な対策が求められます。
お早めにプロの手を借りて、ハーブの爽やかな香りで誤魔化されない清潔感のある環境を手に入れましょう。
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