アライグマは、北アメリカ原産地の野生動物(外来種)であり、1970年代後半に日本に輸入されるようになった動物です。
その愛らしい見た目から人気はあったものの、攻撃的な性格をしているため放棄する方が増え、結果として日本でも繁殖・今では「害獣」として認知されています。
- アライグマがもたらす被害はなにが挙げられるのか?
- 被害はどうすれば防げるのか?
本記事では、アライグマの生態とともに、その被害や対処法についてご紹介します。
目次
アライグマの生態について
本章では、アライグマの生態についてご紹介します。
見た目の可愛らしさ、アニメやイラストなどのイメージから人懐っこいイメージを持たれる方もいますが、実際のアライグマは狂暴な性格をしています。
人間に危害を加えることもある「害獣」のため、不用意な接触は避けるようにしましょう。
外見
アライグマの体長は約130cm前後(胴体:60~100cm、しっぽ:20~40cmほど)をしており、個体によっては140cmを超える大型もいます。
身体の特徴としては、以下が挙げられます。
- 目の周り・鼻筋が黒い
- ひげは白い
- 耳に白い縁取りがある
- 鋭い牙が持つ
- 手足は5本指で、指が長く鋭い爪を持つ
- 指先以外は白っぽい色をしている
- しっぽにリング状の網模様がある
なお、見た目がタヌキと似ており見分けがつきにくいといわれていますが、タヌキは顔の黒模様が左右でつながっておらず、尾に網模様がありません。
いずれにせよ、人間にとってはどちらも「人々の生活を脅かす可能性がある害獣」のため、存在を感知したら早めに対策を講じるとよいでしょう。
鳴き声
通常時は「クルルル」「クックックッ」「キュッキュッ」といった小刻みに鳴き、威嚇の際は「ギューッギューッ」「シャーッ」と口を大きく開け、歯をむき出しにします。
ただし、アライグマは頻繁に鳴く動物ではなく、鳴くときはなんらかの意味があります。
たとえば、12~3月の交尾期・子どもが親を呼ぶとき・身の危険を感じたときに鳴くなどです。
あまり感情を出さない動物のため、嬉しいときや楽しいときに鳴くことはほとんどありません。
食性
アライグマは雑食性であり、植物・爬虫類・昆虫類、果ては生ごみまで好き嫌いすることなく食べます。
とくに甘いものを好む習性があり、田畑に植えてある野菜や果物も好んで捕食します。
生活スタイル
夜行性であるアライグマは、基本的には夕方~明け方にかけて活動することが多いとされています(日中に活動することもある)。
日中は建物の天井裏などに作った巣の中におり、日が落ちてきたタイミングでエサなどを求めて動き回ります。
もし夜中に天井裏で足音がする場合は、アライグマなどの害獣に棲みつかれている可能性があるため、注意が必要です。
また、複数のねぐらを持っていることも特徴に挙げられ、侵入経路も豊富に存在します。
なお、行動範囲は「エサの量」で決まり、エサが豊富にあるほど行動範囲は狭くなる傾向にあります。
木登りや泳ぎが得意なだけでなく、前足で物をつかんだり扉を開けることもできるため、他の害獣よりも厄介な存在といえるでしょう。
繁殖と寿命
繁殖能力に優れており、メスは生後1年ほど経過すれば出産できるようになります。
繁殖時期は3月前後であり、1~2月ごろに交尾をし、3~4月ごろに出産するのが基本です。
妊娠期間は約2ヵ月ほどで、1回の出産で1~6匹生まれます。
また、野生のアライグマの寿命はおおよそ5年ほどといわれており、死ぬまで子どもを産み続けます。
そのため、放置すればするほどアライグマはどんどん繁殖し、お住いの住人や建物に甚大な被害をもたらすことになるでしょう。
アライグマによる人的被害とは?
本章では、アライグマによる人的被害をご紹介します。
放置するほどに被害は拡大するため、存在が気になる方は早めに対策を講じましょう。
被害①:掻傷・咬傷
アライグマは食肉目に分類されており、生きた動物を捕食するために攻撃力や知能が優れています。
さらに、気性が荒く狂暴な性格をしていることから、危険を感じれば鋭い爪や牙で襲い掛かることもあるでしょう。
自分より何倍も大きな人間であってもひるむことなく威嚇・攻撃するため、不用意に近づいたり手を出すことは危険です。
掻傷・咬傷の危険性があるため、とくに威嚇時は絶対に近づかないようにしましょう。
被害②:感染症
野生動物は身体にさまざまな病原菌や寄生虫を保有しており、アライグマも例外ではありません。
とくに日本で注意が必要とされている感染症は「アライグマ回虫症」「レプトスピラ症」「狂犬病」の3つが挙げられます。
これらは人間だけでなく犬・猫などのペットにも感染するおそれがあるため要注意です。
アライグマに触れることはもちろん、引っ掻きや噛みつきなどの傷口から感染する可能性もあるため、不用意に近づくべきではないでしょう。
被害③:糞尿による悪臭
アライグマの糞の特徴としては、以下が挙げられます。
- 直径5~18㎝程度
- やわらかさや形は食べたもので変わる
- 昆虫の羽・動物の骨・植物の種などが混じっていることがある(あまり咀嚼せずに飲み込むため)
雑食性のため、食べるものによって糞の色や形は異なります。
また、アライグマの厄介なところは「溜め糞」をする習性があることです。
溜め糞とは「決められた場所に糞尿をする(溜めこむ)」ことであり、それが溜まって悪臭の原因となります。
悪臭による健康被害はもちろん、積もり積もった糞尿によって家の柱が痛んだり・床が腐食して抜け落ちるといった建物への被害も受ける可能性があるでしょう。
糞尿にも病原菌が付着しており、他の害虫などを引き寄せる原因にもなり得るため、放置するほど深刻な被害をもたらします。
アライグマの被害を防ぐ方法とは?
アライグマなど害獣による被害は、放置するほど深刻化するため、発見次第早めに対処すべきといえます。
本章では、アライグマの被害を防ぐための方法をご紹介しましょう。
侵入経路を塞ぐ
アライグマの家屋への侵入経路としては以下が挙げられ、この侵入経路を塞ぐことで被害を軽減できるかもしれません。
【アライグマの侵入経路の一例】
- 換気口
- 外壁の穴
- 軒下・戸袋・基礎の隙間 など
アライグマは「直径10cmほどの小さな穴でも通り抜けられる」「手先が器用+力が強く、小さな隙間でもこじ開けて侵入できる」という特徴があります。
穴・隙間は、アライグマだけでなく他の害獣・害虫の侵入経路となる可能性もあるため、確認次第できる限り塞いだ方がよいといえるでしょう。
棲みにくい環境を作る
アライグマにとって「棲みにくい環境を作る」ことで、被害を最小限に抑えることができるかもしれません。
たとえば、以下の方法が挙げられます。
- 市販の忌避剤などを利用し、居心地を悪くする
- 食材などを出しっぱなしにせず、整理整頓する
- 生ごみを置きっぱなしにせず、袋の口をしっかりと閉じてすぐに捨てる
- 庭の除草をおこない、見通しをよくする など
「お住いの環境を清潔に保つ」ことを意識していれば、ある程度の被害は防ぐことができるでしょう。
また、忌避剤などはホームセンターやネット通販などで簡単に入手できるため、それらで対策を講じてみるのも一つの手段です。
アライグマなど害獣の被害に悩まされている方も少なくないため、ネットなどで情報を収集しつつ、自身に合った対策を講じてみるとよいでしょう。
アライグマは許可なく駆除・捕獲ができない
アライグマは「鳥獣保護法」や「外来生物法」によって管理されており、許可なく駆除・捕獲ができない動物です。
そのため、基本的には「侵入を防止するor家屋から追い出す」しかできないため、この点には注意しておきましょう。
アライグマの被害は専門業者に相談するとよい
アライグマに限らず、害獣・害虫の被害は放置するほどに深刻化します。
また、不慣れな方が「害獣・害虫の駆除」「侵入経路の完全封鎖」「再発防止」「清掃・除菌」などをすべて対応しきるのは無理があるため、気になる方は早めに専門業者に相談した方がよいといえます。
自身で対処するよりも費用は割高になる可能性はありますが、その分以下のようなメリットも享受できます。
- 駆除から清掃まで徹底しておこなってくれる
- 被害を最小限に抑え、再発防止まで徹底してくれる
- 万が一再発した場合は、無料or格安で対処してくれる など
総じて「長期間、害獣・害虫の被害に悩まされることがなくなる」ため、安心して日々の生活を送ることができるようになるでしょう。
ただし、業者によって費用・サービス内容が異なるため、依頼する前にかならず「現地調査」と「相見積もり」を取り、複数の業者の良し悪しを確認したうえで信頼できる業者に駆除を依頼してください。
まとめ
アライグマは外来種であり、日本においては「天敵がほぼ存在しない」ため、繁殖がしやすい状況となっています。
都心部でもアライグマによる害獣被害が深刻化しているため、各自治体で盛んに対策・駆除が進められています。
もし「家屋内にアライグマなど害獣が棲みついている(侵入している)」と感じる場合は、被害が深刻化する前に対処を施すべきといえるでしょう。
自身でできることには限界があるため、早めに害獣駆除の専門業者に相談するのもよいでしょう。
害獣・害虫による被害は思っている以上に深刻化するため、早期対策が重要といえます。
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