コウモリ被害はアパートでも起こる!?対処法やよくあるトラブルの解決法を解説

害獣・害虫別

近年、市街地でもコウモリの被害が増加傾向にあります。

コウモリは戸建ての住宅だけでなく、アパートやマンションなどにも入り込むことがあり、入り込んだまま放置してしまうとさまざまな害獣被害を受ける可能性があるでしょう。

本記事では、アパートにコウモリが棲みついた際の対処法についてご紹介します。

賃貸ならではのコウモリトラブルや解決法もご紹介しておりますので、アパートにお住いの方かつコウモリの被害を危惧される方は、本記事を参考に対処してみてください。

人家に侵入し害獣被害を与えるコウモリとは?

洞窟やトンネルなど、暗くジメジメした場所に生息するイメージのあるコウモリですが、実は戸建て住宅・アパート・マンションなどに棲みつくこともあります。

人家に侵入し害獣被害を与えるコウモリの代表的なのは「アブラコウモリ」であり、放置するとさまざまな害獣被害をもたらす恐れがあるでしょう。

本章では、アブラコウモリの特徴や棲みついた場合の害獣被害についてご紹介します。

アブラコウモリの特徴

コウモリは、空を飛ぶ哺乳類です。

日本に古くから生息しているコウモリの数は30種類を超えますが、そのなかでもアブラコウモリは都市部にも多く生息しています。

アブラコウモリの特徴は、主に以下の通りです。

  • 大きさ :体長4~6cmほど、体重5~10kg程度
  • 食性  :小型の昆虫類を主食とする(蚊やゴキブリなど)
  • 活動時間:夜行性で夜間に活発に動き回る
  • 寿命  :約15~20年ほど
  • 棲み処 :人家の場合、屋根の瓦の下・天井裏・換気口に巣を作ることが多い(高架下・橋の下・大型倉庫の建物の中なども住処にする)

アブラコウモリは、左右に広がる翼が体に対して大きく、体は非常に小さく感じられます(羽をたたむと手のひらに収まるほど小さい)。

一見すると骨が浮き出ており体が硬そうなイメージがありますが、2㎝程度の隙間であれば体を器用に折りたたんで侵入してきます。

そのため、コウモリの侵入を防ぐには、コウモリが侵入できる隙間を無くすことが重要です。

なお、アブラコウモリは春から秋にかけて活発に活動する傾向にあり、真夏に繁殖をおこない一度に2・3匹ほど出産します。

その後、11月中ごろから冬眠に入り、3月の下旬ごろに活動を再開するようです(気に入った場所にコロニーを作り、冬を越す)。

ただし、冬眠中であっても気温が比較的高い日は飛び回ることもあり、特に都市部では冬眠をしないアブラコウモリも確認されています。

アブラコウモリが引き起こす害獣被害

コウモリが家屋に棲みついてしまうと、以下のような被害をもたらす恐れがあります。

  • 鳴き声や羽音による騒音
  • フンによる健康被害や建物の腐食被害
  • 感染症やアレルギーの発症
  • 他の害虫・害獣の発生 など

いずれもお住いの住人に甚大な被害をもたらしますが、そのなかでも特にフンによる被害は注意が必要です。

天井からフンが染み出してくる・乾燥したフンは空気中に飛散する・フンにはさまざまな感染症の原因となるカビやウイルスが含まれている…など、コウモリのフンは人にとって害でしかなく、処理する際も間違っても素手で触ってはいけません。

下手をすれば、エボラ出血熱をはじめ、SARSウイルス・狂犬病ウイルスを媒介するといわれており、非常に危険です。

また、コウモリは飛行するため感染症を拡大させる可能性が極めて高く、哺乳類であるために人獣共通の感染症を引き起こすウイルスを保有している可能性も高いといわれています。
(コウモリが多く住みついている洞窟に人間が入るときは、酸素マスクをしなければいけない理由はこのためである)

コウモリが触れたものを間接的に触ってしまった場合も、感染症を引き起こしてしまう可能性があるため、総じて注意が必要です。

アパートにおけるコウモリの好む場所はどこ?

コウモリは、戸建ての住宅に限らず、アパートやマンションなどの賃貸物件にも侵入します。

本章では、アパートにおけるコウモリの侵入口や好む場所についてご紹介します。

換気扇

  • 換気扇の中は暗く・静かで、夜行性のコウモリが昼間に休息するのに適した環境
  • 天敵となる動物や人間の目に付きにくい場所(コウモリにとって安全な隠れ家となる) など

コウモリが換気扇に入り込むと、物音が聞こえたり・鳴き声を発することがあり、ネズミやゴキブリが侵入したのだと思う方もいます。

この状態を放置していても、害獣・害虫が自然に去っていくことはなく、被害が拡大する一方です。

いずれにせよ害獣・害虫の被害が発生する可能性があるため、早急に適切な対策を講じることが望ましいといえるでしょう。

エアコン

エアコンの場合は、エアコンの中に直接住みつくケースと、エアコンから侵入して天井裏などへ入ってくるケースが考えられます。

外へと伸びる配管がなんらかの原因でずれ、そのできた隙間から侵入し、エアコンの裏に直接棲みつくかもしれません。

加えて、エアコンを設置する際は配管のために配管口を作りますが、配管口は大きめに作り余裕を持たせることがあります。

この大きめに開けた配管口の隙間をしっかり塞いでおかないと、その隙間からアパートの中へコウモリが入ってくることもあるでしょう。

雨戸の戸袋

外壁の少し出っ張っている窓の部分は、比較的光が届きにくく・狭くて落ち着く空間のため、コウモリが身を隠せる場所として最適です。

もしも長期間雨戸を開閉していない場合は、外敵から身を守ることができる絶好の空間となり、コウモリにとって快適な居住スペースとなってしまいます。

アパートによくあるコウモリトラブルとは?

戸建てと異なり、アパートには上下左右に複数の住人が住んでおり、なかには「顔を見たことも言葉を交わしたこともない」という住人もいるでしょう。

顔見知りなら一声かけることもできますが、そうでなければ声をかけることも難しく、だからといって放置しているとコウモリの被害が拡大してしまう恐れもあります。

実際、意図せずコウモリがアパートに侵入し近隣住民とトラブルになって、損害賠償を請求されたケースもあるようです。

こういった場合は、自身で近隣住民に声をかけるのではなく、まずは大家さんや管理会社に問い合わせをしてみるとよいでしょう。

事情を丁寧に説明すれば、大家や管理会社から対象となる部屋の住民に連絡をしてもらえるはずです。

無理に自身で対処しようとせず、大家や管理会社から間接的に伝えてもらうほうが穏便に済ませることができるでしょう。

アパートでコウモリを見かけた場合はどうしたらよい?

本章では、アパートでコウモリを見かけた場合にすべき対応についてご紹介します。

アパートに入り込んだコウモリ駆除にかかる費用は、大家や管理会社などの貸主に負担してもらえるケースがあります。

貸主に駆除費用を負担してもらえるケースや、費用負担してもらうために借主がすべきことについても解説していきましょう。

どんな状況でもまずは大家や管理会社に報告しよう

貸主と借主のどちらが駆除費用を負担するかは、後述の通り状況によって異なります。

しかし、貸主側に費用を負担してもらえるケースであっても、事後報告になった場合は、後から費用負担を請求しても受け付けてもらえない可能性があります。

なかには、管理会社と契約指定業者があるかもしれず、借主の判断でそれ以外の業者に対応してもらったことで、費用負担を拒否されたり・一部しか負担してもらえないケースもあるかもしれません。

また、コウモリ駆除のために壁や天井に穴を開けたり、侵入経路を塞ぐために壁を修繕したりといった作業をおこなうケースもありますが、こういった処置を貸主側に連絡せず無断でおこなってしまうとトラブルの原因にもなり得ます。

コウモリの被害に遭遇した場合は、自身で対処する前にかならず大家や管理会社に連絡を取ってください。

共用スペースでコウモリを駆除する場合

階段・踊り場・玄関といった共用スペースにコウモリが棲みついた場合は、管理会社側がコウモリ駆除をおこないます。

共用スペースに棲みつかれると、コウモリが自分の部屋に侵入してくるケースも高くなるため、発見したらすぐに大家や管理会社に報告して対処してもらいましょう。

専有スペースでコウモリを駆除する場合

自室やベランダは、借主の専有スペースとなります。

この専有スペース内にコウモリが棲みついた場合は、住居人が速やかに管理会社に報告したうえで、どのように対処するか確認をしましょう。

  • 貸主と借主のどちらが業者へ依頼するのか
  • どちらがどれだけ費用を負担するのか
  • 依頼する業者・処置内容の確認 など

詳細を確認し、双方の同意を得たうえで対処を進めていきましょう。

また、自身で業者へ依頼・対応してもらう際は、念のため大家や管理会社の担当者に立ち会ってもらうのもよいでしょう。

対処時の情報を、貸主側にも共有しておくことがポイントです。

なお、アパートにおけるコウモリの侵入経路は、ベランダや換気扇などいくつか挙げられます。

もしコウモリが侵入した原因が建物の構造的欠陥や老朽化によるものであれば、駆除・修繕にかかる費用を貸主側が負担してくれるケースは多いでしょう。

しかし、たとえば窓を開けっぱなしにしていたために浸入された…など住居人にも原因があると判断された場合は、借主側にも費用負担が発生する可能性もあります。

いずれにせよ、専有スペースであっても借主の判断で動かず、まずは大家や管理会社に相談してみましょう。

隣室からのコウモリ被害の対処法

自分の部屋ではなく隣室のベランダなどにコウモリが棲みついている、しかし隣人は対応してくれない…。

こういった場合であっても、勝手に手を出してはいけません。

下手をすれば近隣トラブルに発展する恐れもあるため、まずは大家や管理会社に報告して、貸主側から隣人に声をかけてもらいましょう。

被害を放置していると後にトラブルに発展する恐れもある

人によっては、コウモリが棲みついていることを知っていても、大家や管理会社に報告をせず、何も手を打たずに状況を放置してしまうケースもあります。

コウモリを放置することでもっとも厄介なのが、糞尿による被害です。

たとえば、エアコンにコウモリが棲みつき、エアコンの下からコウモリの糞尿が漏れてしまうと、悪臭はもちろん壁や床に汚れやシミがつき放置するほど被害が悪化してしまいます。

糞に引き寄せられてゴキブリなどの害虫が集まってくる原因となりますし、建物の劣化が早まる恐れもあるでしょう。

この状態で退去した場合、退去時に高額の修繕費用を請求されてしまう可能性もあります。
(住居人側にコウモリが侵入した原因の責任がなかったとしても、善管注意義務という状況を報告しなかった義務違反を理由に、費用請求されることは十分考えられる)

思わぬトラブルを避けるためにも、コウモリの駆除は賃貸であっても事前にしっかりと確認することが重要です。

自身でできるコウモリ対策とは?

「コウモリの侵入を防ぎたい」「明確な危険はないけど心配だから予防したい」という場合、以下のように自身で対処することも可能です。

  • 忌避剤や忌避スプレーを使用する
  • 苦手なニオイが含まれたジェルを容器に入れて置いておく
  • 蚊取り線香の煙を利用する(あくまで一時的な対策となる)
  • ベランダにCDやアルミホイルを吊り下げておく
  • べランダにネットを張って侵入を防止する など

コウモリへの対策グッズは、ホームセンターやネット通販などで簡単に購入できるため、利用を検討してみるとよいでしょう。

自身の判断できることは、あくまで予防程度であると理解しておきましょう。

コウモリに関するよくある質問

本章では、コウモリに関するよくある質問をご紹介します。

コウモリは縁起がよいって本当?

コウモリは、古来より縁起がよい動物とされています。

由来の期限は中国であり、以下がその理由とされています。

  • コウモリの漢字は「蝙蝠」であり、中国語では「蝠」の読みが「福」と同じ音となる
  • 「五福」という五匹のコウモリを描いた図は、「長生き・富貴・健康・子孫・繁栄」の象徴とされている など

※あくまで一説であり、参考程度に捉えてください

コウモリが一晩で食べる虫の数は約500匹といわれており、昔は「蚊喰い鳥」などの別名で呼ばれることもあったほどです。

現在でも、農家にとっての害虫を食べてくれる・人家に棲みついたゴキブリを食べてくれるなど、私たち人間へ恩恵を与えてくれる面もあるといわれます。

ただし、上記のように益虫としての顔もある反面、人々に害を成す害獣であることも否定はできません。

人家に浸入・棲みついたコウモリは、放置するほど被害が増していきます。

コウモリの糞や死骸は、ダニ・ゴキブリ・ネズミといった別の害虫・害獣を呼び寄せることもあるため、早め早めに対処を講じたほうがよいといえるでしょう。

コウモリはなぜ人家に棲みつくの?

コウモリが人家に棲みつく理由として、快適に過ごせる環境が整っていることが挙げられます。

  • 雨風をしのげる場所である
  • 夏も冬も、生活するためにちょうど良い温度が保たれている
  • フクロウなどの天敵に狙われる心配がない(人目につかない場所が多く、人間も頻繁に入ってこない)
  • 食料が豊富にある(エサとなり得る虫が自分から入り込んでくる) など

コウモリは、繁殖力が高く・寿命も15~20年と長いため、放置しているとその数はどんどん増加していきます。

コウモリの数が増えるほど害獣被害は甚大なものとなっていくため、できるだけ被害が軽微なうちに対処を実施すべきといえるでしょう。

コウモリは自身で駆除できる?

コウモリは鳥獣保護管理法という法律によって保護・管理されている生き物のため、仮にどれだけ被害にあっていても、無許可で駆除することはできません。

また、素人がコウモリを駆除しようとすれば、多大な手間とリスクが発生するため、対処はもちろん接触することも危険といえます。

お住いのアパートにてコウモリを見かけた場合は、自身で対処しようとせず、まずは大家さんや管理会社に相談してみましょう。

コウモリの防除はプロの業者に依頼しよう!

プロに依頼すれば、棲みついているコウモリの徹底駆除はもちろん、侵入経路の封鎖や再発時の迅速な対応など、中・長期的にも安心できるでしょう。

業者にコウモリの防除を依頼する際の費用相場は、1万円~1.5万円ほどとなります。
(この料金の中には、燻煙剤によるコウモリの追い出し、糞や死骸などの清掃、殺菌・消毒、侵入防止対策としての金網の設置などが含まれているケースが多い)

ただし、依頼する業者・お住いの地域・被害箇所・サービス(保証)内容など、状況に応じて防除費用は変動します。

アパートにお住いの方がプロに相談する場合は、まずは大家や管理会社に連絡を取ってみましょう。

その後、もし自身で害獣駆除業者を探すとなった場合は、3~4社ほどから見積もりを依頼し、複数社を比較したうえで納得のいく業者に依頼するとよいでしょう。

まとめ

アパートなどの賃貸物件にもコウモリは侵入し、さまざまな害獣被害をもたらす恐れがあります。

放置していると自身への被害だけでなく近隣トラブルなどに発展する可能性もあるため、コウモリの存在を感知したら、まずは大家や管理会社に相談しましょう。

後回しにすると被害が拡大するだけでなく、費用負担も増加してしまうため、異変を感じたら速やかに行動することをおすすめします。

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