唐辛子でネズミ対策ができると聞いたことはありませんか。
ご家庭に既に常備されていたり、入手も簡単だったり、事実であれば非常に便利です。
では、唐辛子はネズミ対策として本当に効果があるのでしょうか?
結論、唐辛子に含まれるカプサイシンの刺激臭をネズミが嫌がるため、一定の効果が期待できます。
本記事では、手軽に入手できる唐辛子を使ったネズミ対策の方法、効果的な設置場所、そのメリットについて詳しく解説します。
ネズミが侵入する前、被害が拡大する前に、手軽にできる対策から始めてましょう。
1. 唐辛子によるネズミ対策は本当に有効?

唐辛子はネズミ対策として、有効な手段です。
人間の3倍ともいわれる鋭い嗅覚を持つネズミは、唐辛子に含まれるカプサイシンの刺激臭を嫌います。
カプサイシンとは、ヒリヒリと焼け付くような辛味を感じさせる成分です。
哺乳類の体内にある「TRPV1(トリップブイワン)受容体」と呼ばれる痛覚センサーを刺激します。
あまりにも辛いものを食べると「痛い」と感じるのは、痛覚センサーが刺激されているからです。
基本的には直接粘膜に触れたり、経口摂取したりすることで辛さを感じますが、嗅覚の鋭いネズミはカプサイシンの刺激臭を感知して避けることがあります。
したがって、唐辛子にはネズミを寄せ付けないための忌避剤として効果が見込めます。
ただし、ネズミには個体差があるものです。
カプサイシンに慣れたり、刺激臭が効かなかったりする個体もいますので、確実で万能な対策ではありません。
2. 唐辛子を使ったネズミ対策の方法

唐辛子によるネズミ対策は、たった2ステップで完了します。
用意するものは、唐辛子とお茶のパックや排水溝ネットだけです。
- 乾燥もしくは輪切りにした唐辛子をお茶のパックや排水溝ネットなどに入れる
- 唐辛子を設置する
そのまま設置しても効果は変わりませんが、お茶のパックや排水溝ネットに入れて使用しましょう。
廃棄がしやすく、お子様の誤飲を防止できます。
3. ネズミ対策に効果的な設置場所

ただ闇雲に唐辛子を設置するだけでは、思ったような効果は得られません。
目的に合わせた場所に設置することで、より効果的にネズミを追い払えます。
追い出しに使用するならネズミの通り道になりそうな場所に、ネズミ除けとして使用するなら侵入口となりそうな場所を見極めて設置しましょう。
3-1. ネズミを追い出したい場合
ネズミを追い出したいときは、ネズミが住んだり移動したりする可能性のある場所に設置しましょう。
具体的な場所の一例は以下の通りです。
- 天井裏(屋根裏)
- 床下
- シンク下
- 倉庫・物置 など
ネズミが居住・往来する場所には、黒っぽい汚れや糞尿汚れ、かじり痕などのラットサインが見られます。
ラットサインの詳細については、以下の記事の中でもご紹介しています。
3-2. ネズミを忌避したい場合
家からネズミを遠ざけたいときは、ネズミが入り込めそうな場所に設置します。
以下の場所から侵入されることが多いとされています。
- 壁にできた穴・隙間
- 床下の通気口
- 家の基礎部分の隙間
- 換気扇
- 屋根の隙間
- エアコン導入部
- 戸袋 など
体の小さいネズミは、2.5cmほど(500円玉くらいの大きさ)のわずかな隙間からでも侵入できます。
人目につかないところや高所は見落としがちになりますので、侵入口ができていないかこまめにチェックしてみましょう。
4. 唐辛子以外のネズミが嫌がるニオイ

唐辛子以外にも、ネズミが苦手とする匂いがあります。
以下の3つは、害虫対策としても広く知られています。
- ハッカ
- 木酢液
- ミント
それぞれに特徴や注意点がありますので、唐辛子やその他の対策グッズと比較して選びましょう。
4-1. ハッカ
後述するミントと似ているハッカですが、ハッカは主に和ハッカを指します。
ミントよりもメントールの含有量が高く、強い清涼感があるのが特徴です。
ハッカから精製するハッカ油は100円ショップでも購入できる身近なものですが、忌避剤として使用するのであれば香料を使用していない天然のものを選ぶとよいです。
4-2. 木酢液
木酢液とは、木炭を作る際に発生する煙を冷却して液体にした水溶液です。
焦げ臭い匂いがするため、火を嫌うネズミは木酢液の匂いも嫌がります。
木酢液も入手しやすく使用方法も容器に入れて設置するだけと簡単ですが、木酢液も純度に注意しましょう。
pH3前後で澄んだ色のものを選ぶと、充分な忌避効果が期待できます。
なお、pH(ペーハー)とは水素イオン濃度のことで、中間値7に対し数値が小さければ酸性、数値が大きければアルカリ性になります。
木酢液は強い酸性のため、取り扱いや保管に注意してください。
4-3. ミント
「ミント」とは、シソ科ハッカ属の総称です。
ハッカもミントの一種に含まれますが、ミントの種類として代表的なスペアミントはハッカに比べ、穏やかな清涼感があります。
紅茶や料理などに使われることが多く、自宅で栽培すればネズミ除けにもなって一石二鳥です。
ただし、ミントは繁殖力が強いため鉢植えでの栽培をおすすめします。
5. 唐辛子を使ったネズミ対策のメリット

ネズミ対策に唐辛子を使うメリットには、次の3つがあります。
- 死骸処理が不要
- 人体に優しい
- お手軽に試せる
ネズミ用の毒餌(殺鼠剤)や粘着トラップなどの方法では得られない3つのメリットについて、詳しく解説します。
5-1. 死骸処理が不要
1つ目のメリットは、ネズミの死骸処理をせずに済む点が挙げられます。
ネズミに対する唐辛子の効果は、カプサイシンの匂いによる追放・侵入防止です。
駆除を目的とした方法ではないため、唐辛子の設置によって死骸が出ることはありません。
死骸の処理が必要になれば、ネズミそのものや死骸に群がる害虫を目にする場合があります。
また、死骸の匂いや感触を感じながら処理をすることにもなります。
死骸の処理は心理的にも負担がかかりやすいため、唐辛子は死骸の処理をしたくない方にとってベターな方法といえます。
5-2. 人体に優しい
2つ目は、人体に優しいという点です。
当然ながら、唐辛子は食品としても利用されます。
ネズミ対策として設置するだけでは、人体への影響はほとんどありません。
毒餌やくん煙剤といったネズミ対策は薬品であり、誤って小さなお子様や高齢者が誤飲・吸入してしまうと大変危険です。
対して、唐辛子は辛味による苦痛は与えられる可能性がありますが、食べてしまっても問題はありません。
人体に無害で使用する量や場所を問わず設置できるため、安全性も高いネズミ対策といえます。
5-3. お手軽に試せる
3つ目のメリットは、手軽で試しやすいことです。
唐辛子は、スーパーやドラッグストアなどで広く取り扱われています。
購入するために何軒もお店をはしごしたり、送料をかけてネットで購入したりする必要はありません。
加えて、ネズミ対策専用のグッズとは異なり、商品を比較・検討する手間も不要です。
価格も良心的なうえ、ネズミ対策として使わなくなっても料理に活用できることを考慮すれば、手軽で試しやすくネズミ対策の第一歩として実践しやすいでしょう。
6. 唐辛子での対策を行う際の注意点

入手もしやすく安全な唐辛子ですが、ネズミ対策として使用するには以下の3つの注意点があります。
- ペットへの影響
- 定期的な交換が必要
- 根本的な対策ではない
ネズミ対策は、ご自宅の状況に合わせた方法で行うことが重要です。
3つの注意点をご確認いただいたうえで、ご家庭のネズミ対策に唐辛子が適切かどうかを見極めてみましょう。
6-1. ペットへの影響
ネズミ対策として唐辛子が有効なのは、ネズミがカプサイシンの匂いを苦手とするからに他なりません。
害虫予防にも唐辛子が利用されるように、動物や虫にとって唐辛子の匂いは強烈です。
特に嗅覚が鋭いとされるネズミが唐辛子を嫌がるのも当然でしょう。
言い換えれば、嗅覚が鋭いペットも唐辛子を嫌がってしまいます。
犬や猫などを飼っているご家庭内で唐辛子を設置すると、不快感を与えたり呼吸器に負担をかけてしまったりする場合があるため要注意です。
ペットがいるご家庭では、ペットが居住するエリアから離れた場所に唐辛子を設置する、もしくは唐辛子以外のネズミ対策を施すようにしましょう。
6-2. 定期的な交換が必要
唐辛子の匂いは、永続的なものではありません。
生の唐辛子であっても乾燥した唐辛子であっても、いずれは匂いが薄まっていきます。
唐辛子をネズミ対策として使い続けていくのなら、定期的な交換が必要です。
生の唐辛子は、一般的に賞味期限が7〜10日とされています。
以降は腐敗が進み、カビや腐敗臭が発生します。
腐った唐辛子を使い続けていくと衛生面へのリスクが高まりますので、定期的に交換をしましょう。
一方、乾燥した唐辛子は腐敗するリスクは低いです。
しかしながら、時間の経過に伴って匂いは薄まっていきます。
匂いが弱まれば忌避効果も弱まりますので、匂いが薄まった頃を目安に新しいものへの交換が欠かせません。
唐辛子を設置したい場所が人目につかないところや高いところだった場合、設置したことを忘れてしまう可能性があります。
交換し忘れた唐辛子を置きっぱなしにしておけば、ネズミ対策としての意味はありません。
目の届かないところへネズミ対策をしたいご家庭では、他の方法も検討することをおすすめします。
6-3. 根本的な対策ではない
そもそも、唐辛子をはじめとする忌避剤は根本的な対策ではありません。
忌避剤が出入りしているネズミを駆除できる方法でもなければ、全てのネズミに万能な方法でもないためです。
ネズミは嗅覚とともに学習能力にも優れています。
最初は忌避剤に警戒していても、いずれ慣れてしまう可能性は否めません。
逆に、最初から忌避剤の効果をものともせず侵入してしまうネズミもいます。
いくら追い出したり、寄せ付けないようにしたりしても、ネズミの出入り口が開いたままだと戻ってくる危険性があります。
7. 再発防止には侵入経路の封鎖が不可欠

入手も設置も交換も手軽な唐辛子ですが、完全なネズミ対策とはいえません。
前述の通り、匂いに慣れたもしくは全く匂いが効かないネズミによって被害の再発が考えられます。
再発防止のためには、全ての侵入口を封鎖する必要があります。
経年劣化で生じた亀裂や穴だけでなく、構造上必要で元々ある穴からもネズミは侵入します。
また、2階以上の高さがあっても侵入できてしまうため、考えられる全ての侵入経路をご自身でカバーするのは非常に困難でしょう。
余すところなく侵入経路を封鎖するのであれば、プロへの相談がおすすめです。
8. ネズミ被害でお困りなら協会の無料相談をご活用ください

ネズミによる被害は、根本的な解決策を取らなければ再発する恐れがあります。
すぐに対策を取りたいから、あまりお金をかけたくないからという理由で唐辛子でのネズミ対策をお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、唐辛子だけではネズミに対応しきれないのが現実です。
ペットへの影響や定期的な交換、購入する頻度などを考慮すれば、かえってお金や時間、手間がかかる場合もあるでしょう。
万全かつ安全で、長期的なネズミ対策をお求めであれば、専門家への依頼が最適です。
日本有害鳥獣駆除・防除管理協会では、ネズミ被害の無料相談を承っております。
個人での対策方法やどの害獣による被害があるのかなど、些細なことについても相談ができますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
費用相場や害獣駆除業者の探し方については、以下の記事でもご紹介しています。
まとめ
ネズミ対策として、唐辛子は有効な手段です。
しかし、唐辛子による効果は忌避効果であり、「ペットへの負担がかかりやすい」「定期的な交換が必要」「根本的解決に至らない」といったデメリットも伴います。
ネズミが一度姿を現した家は、ネズミに選ばれてしまった家です。
唐辛子を使ってその場しのぎで対策ができたとしても、匂いを克服したり、もとより匂いに耐性があったりして、唐辛子をくぐり抜けて侵入するリスクがあります。
ネズミは人の目を盗み見て、いつの間にか侵入・居住します。
ネズミの出入りが不確実で、怪しんでいるという状況でも構いません。
むしろ、早いうちからの措置が効果的です。
被害の根絶を望むのならば、ぜひ専門家へ相談してください。
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