自身が住まう家にネズミが出た場合、住人のためにも建物のためにも早急にネズミ駆除をおこなう必要があります。
しかし、そう何度も遭遇する事態ではないため、いざ駆除をおこなうにしてもどう対応していいのかが分からないという方も多くいるのが現状です。
本章では、ネズミ駆除を業者に依頼する場合に発生する費用や業者選びの注意点、自身でできる対策方法などをご紹介します。
目次
ネズミ駆除に必要な費用は「2万円~30万円」と幅広い
ネズミ駆除業者に駆除を依頼する場合、業者によって費用が異なることはもちろん「被害状況」や「建物の広さ」によっても金額が異なります。
大まかな費用相場、以下の通りです。
一戸建て | 2万~30万円 |
マンション | 5万~15万円 |
店舗 | 10万~50万円 |
一戸建てやマンション(アパート)だと、被害が小さい場合は2万円~5万円で済むケースもありますが、被害が大きくなるにつれて数十万円と膨れ上がっていく可能性があります。
店舗の場合は「被害が拡大しやすい+施工面積が広い」という理由もあって、より高額になる可能性が高いでしょう。
また、マンションやアパートなどの賃貸の場合、一つの建築物のなかに複数の住人が住んでいるため、被害を抑えるために建物全体の駆除・修繕が必要となるケースもあります。
マンションやアパートだと大規模な駆除・修繕が必要となる可能性もあるため、業者に依頼する前に、大家・管理人・不動産会社などに連絡をすることをおすすめします。
ネズミ駆除の業者に依頼するメリットはなにか?
本章では、業者にネズミ駆除を依頼するメリットについてご紹介します。
ネズミの駆除および対策はある程度住人自身がおこなうことができるものの、日々の生活のなかでネズミの侵入や繁殖を逐一チェックすることは難しいでしょう。
費用こそかかるものの「日々の生活を、不安を感じることなく快適に過ごしたい」という方は、業者に依頼することを検討してみましょう。
そもそも「ネズミ」はどのような弊害をもたらすのか?
日本には、10種類以上のネズミが生息するといわれており、「大量の病原菌を持っている」「雑食でなんでも食べる」「凄まじい繁殖力を持っている」「夜行性(人がいないと平気で日中も活動する)」といった特徴があります。
住居にネズミが住み着いた場合の弊害は、主に以下が挙げられます。
- 健康被害:大量の病原菌を持っているため、感染症などを引き起こす可能性がある
- 住宅被害:食材や家電製品のコードだけでなく、住宅部材の破損にもつながる
- 火災・停電発生の可能性:ネズミは鋭い前歯を持ち、電線ケーブルやガス管をかじり、停電や火災・爆発事故を引き起こす可能性がある
一見すると可愛らしい容姿をしているものの、住民にとっても住まいにとっても害にしかならないため、存在を確認or感知した場合は、早急に駆除などの対策を施した方がいいといえるでしょう。
徹底した駆除や消毒作業を任せられる
野生の生き物であるネズミは、その体・糞・尿などには多数の病原体を持っています。
住民自身がネズミの駆除をおこなうことも可能ではありますが、その取扱いには十分な注意が必要となります。
知識がない状態で下手に対処すると感染症などに感染する可能性があるため、確かな知識と経験を兼ね備えている作業員にお任せした方が安全に対処できるといえるでしょう。
駆除の際には業者でしか入手できない薬剤を使用するため高い駆除効果も期待でき、個人では対処しづらい死骸の処理や、屋根裏などの糞尿の掃除・消毒まできちんと対応してくれます。
ネズミの再発予防も任せられる
ネズミ駆除において重要となるのが「防鼠(ぼうそ)=ネズミの侵入口をふさぐ」ことです。
侵入口をふさいでおかないと、仮に住居内のネズミを完全に駆除しても再発してしまう可能性があります。
ネズミの住居への侵入経路は、以下のように多岐に渡ります。
- 基礎と土台の隙間
- 外壁のひび割れや穴
- 配管と外壁の隙間
- 換気扇
- 通風口(屋根や床下)
- エアコンの室外機(ホース)
- 下水管 など
すべての侵入口を徹底的にふさぐのは素人には難しい(実質不可能)ため、徹底した防鼠施工はプロの業者にお任せした方がいいといえます。
プロの業者による具体的な作業手順について
ネズミ駆除の専門業者に依頼した経験がないと、業者が具体的にどのような手順でネズミ駆除をおこなうのか想像しづらいでしょう。
本章では、ネズミ駆除専門業者の具体的な作業手順についてご紹介します。
現地調査
お客様からの依頼(相談)があった際、業者はいきなり駆除作業に入るのではなく、まず「現地調査」をおこないます。
現地調査では、建物にどのような被害が出ているのかを具体的に調査します。
建物内外チェックはもちろん、お客様から「どのような被害に合われているのか?」という聞き取り調査もおこないます。
そのうえで、侵入ルートの確認や具体的な駆除方法をプロの目線で検証し、駆除・修繕に必要な費用を「見積もり」としてお客様に提示します。
見積もりの提示
現地調査が済んだら、駆除・修繕の具体的な内容をプランニングし、費用の見積もりを算出します。
ほとんどの業者の場合、現地調査から見積もりを出すまでは無料であることが多いのですが、なかにはこの時点で費用が発生するケースもあります。
現地調査・見積もりを依頼する際は、できるだけ無料で実施してくれる業者を探すのがいいでしょう。
また、この後は具体的な駆除作業に入るため、不明点などがある場合は見積りを提示された際に質問してみましょう。
駆除作業
お客様が提示された見積り内容に納得したら、「正式な依頼」として業者による具体的な駆除作業が開始されます。
薬剤・粘着シートを用いた駆除だけでなく、作業終了後に侵入経路を防いだり、ネズミがいた現場を消毒するなどの予防策もおこないます。
作業期間は、建物の被害状況にもよりますが、ネズミ駆除の場合は間隔を開けて4回ほど繰り返し、1~3か月で終了します。
作業期間についても、見積もり提示時に念のため確認しておくといいでしょう。
ネズミ駆除業者を選ぶ際のポイントとは?
ネズミ駆除業者もさまざまであり、依頼者に寄り添った良心的な業者もあれば、逆に悪質な業者も存在します。
作業内容や費用も業者によって異なるため、依頼者側としても「できるだけ安く・良心的な業者に依頼したい」と考えるでしょう。
本章では、ネズミ駆除業者を選ぶ際のポイントについてご紹介します。
出張エリアに対応しているかを確認しよう
業者に依頼する際にもっとも重要となるのが「出張エリア」(対応エリア)です。
仮にどんなに評価の高い業者・印象の良い業者であっても、対応エリアでなければ意味がありません。
また、できるだけ自宅から距離が近い業者を選んだ方が、対応も早く、依頼した際の出張費用も安く抑えることができるでしょう。
飛び込みで営業してくる業者は極力契約しないこと
業者のなかには、まれに「飛び込み営業」をして、お客様の不安を煽りネズミ駆除の申し込みを強引に迫る業者もいます。
一切のアポイントなく訪問してくる業者は悪徳業者の可能性が高いため、契約はもちろん訪問時に早急に断りを入れた方がいいといえるでしょう。
電話や現地調査時のスタッフの対応をチェックしよう
インターネットの口コミなどで業者の評判を確認することはできます。
しかし、口コミなどの評価が必ずしも正しいとは限らず、いざ依頼してみると「意外と印象・対応がとても良かった」というケースもあります(その逆もあるためご注意ください)。
受け取り方は人それぞれのため、ネットの口コミだけを参考にするのは避けた方がいいといえるでしょう。
気になる業者を見つけたら、見積もりを依頼してみて、電話や現地調査時のスタッフの対応・印象をチェックしてみましょう。
「対応が雑」「質問した内容を曖昧にする」など印象が悪い場合は、自身に合わないと判断し候補から外すことをおすすめします。
安さを強調する業者は選ばないようにしよう
業者によっては、やたらと「安さ」を売りにしていることがあります。
一見すると「安い方がお得!」と感じるかもしれませんが、安さを強調するところは現場の消毒などの必要な作業・アフターサービスが含まれていない可能性があり、作業終了後に追加費用を求められるケースもあります。
料金設定も業者選びの重要なポイントではありますが、追加費用を求められ後でトラブルに発展することがないよう「費用」「サービス内容」「補償内容」「スタッフの対応」など総合的に納得できる業者を選ぶことをおすすめします。
「相見積もり」を取ろう
「相見積もり」とは、複数の業者に見積もりを依頼することを指しています。
不慣れな方は、見積もりを依頼する際に最低でも3~4社から見積もりを依頼し比較した方がいいといえるでしょう。
相見積もりを取ることで、その地域でのネズミ駆除にかかる料金相場を確認することができ、見積もり時にスタッフの対応などをチェックすることも可能です。
一社だけだと比較ができないため、不慣れな人ほど相見積もりを取ることをおすすめします。
なお、業者に質問する際は「同じ質問をする」ことも重要です。
業者によって回答が異なるケースがあるため、より候補を絞り込みやすくなるでしょう。
住居へネズミを侵入させない方法とは?
ネズミ駆除業者に依頼するには、大なり小なりの費用がかかるため、できれば自力でネズミが住居に侵入しないための対策を講じておきたいところです。
本章では、住居へネズミを侵入させない方法についてご紹介します。
市販の粘着シートや捕獲かごを利用する
もっとも確実に駆除する方法は、粘着シートや捕獲かごを使用して物理的につかまえる方法です。
毒や薬剤を使用しないため、お子さんやペットがいる家庭でも比較的安心して使えるでしょう。
ただし「設置場所には注意する」こと、そして「捕獲したネズミを自身で処理する必要がある」という点には注意しておきましょう。
とくにペットを飼っているご家庭では、ペットが粘着シートや捕獲かごなどに引っかからないように注意しなければいけません。
また、捕獲したネズミを処理する場合は、感染症などを防ぐためにもマスクと手袋を着用したうえでごみ袋に入れて可燃ごみとして処分してください(少し酷な表現ではありますが)。
捕獲時点でネズミが死亡していた場合は、周りに雑菌や害虫が集まっている可能性があるため、死骸の周辺に次亜塩素酸系の消毒液をかけたうえで処理しましょう。
殺鼠剤(毒エサ)を食べさせる
ネズミの餌となるものに「殺鼠剤」(毒エサ)を含ませて設置し、ネズミが食べに来るのを待つ方法です。
自身でできる対処法のなかでは、もっとも簡単+効率のいい駆除方法といえるでしょう。
ただし、注意点もいくつかあります。
- 毒エサを食べたネズミを自身で処理しなければならない
- ネズミが「警戒して食べない」ケースもある
- 殺鼠剤には「蓄積毒剤」と「急性毒剤」の2種類がある
- 殺鼠剤は「毒物」のため、お子様やペットがいる場合は細心の注意が必要
殺鼠剤単体で使うよりも「ネズミの食害にあっている食べ物に混ぜて利用する」「粘着シートや捕獲かごなどと併用する」などの一工夫が必要です。
また「蓄積毒剤」と「急性毒剤」では毒の効き目に違いがあるため、購入時は注意しておきましょう。
忌避剤(駆除剤)で追い払う
「忌避剤」とはネズミが嫌いな成分が入ったアイテムのことであり、おもに「スプレータイプ」「設置タイプ」「くん煙タイプ」の3つに大別できます。
それぞれで特徴が異なるため、状況に応じて使い分けることが重要です。
とくに「くん煙タイプ」(ゴキブリ対策で使用されるバルサンのようなもの)は、即効性こそ高いものの「火災報知器や家電を保護する必要がある」「燻煙剤の使用中は人・ペットは出入りできない」といった使用上の注意点もあります。
超音波・電磁波で追い払う
超音波・電磁波など、ネズミが嫌がる音を使用して「ネズミが過ごしにくい環境を作り、侵入させないor追い出す」方法です。
薬剤などを使用しないため、小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して利用できるのがメリットです。
(超音波・電磁波の音がペットに影響を与えることがあるため、注意は必要といえる)
超音波・電磁波と忌避剤や殺鼠剤と組み合わせることで、より早く効果が表れ、ネズミを長期的に駆除することも可能といえるでしょう。
侵入経路を防ぐ
ネズミの侵入経路は、以下のようにさまざまです。
- 床下や屋根の通風口
- 家の周囲にある排水溝
- 雨戸の戸袋
- エアコンの配管穴
- 建物の劣化による隙間や穴、ヒビ など
穴が開いている箇所を徹底的にふさぐことで、侵入を防止することができます。
侵入経路をふさぐ手段は「防鼠パテ」「防鼠板」「防鼠金網」「忌避テープ」など複数あるため、これらを活用して対策を施しましょう。
ただし、ねずみは「頭さえ入れば小さな穴でも通り抜けることができる」ため、プロでもない限りすべての侵入経路ふさぐことは難しいといえるでしょう。
自身で対処しきれない場合は業者に依頼しよう
ネズミは、警戒心が強く「薬剤への耐性がついたり、捕獲の仕掛けを学習してしまう」ことから、自身で対策するには限界があります。
定期的に住居内を確認する必要もあるため、相応の手間もかかるでしょう。
費用こそかかるものの、確実に処理してくれる+再発防止対策も実施してくれるため、ネズミの存在に悩まされている方はネズミ駆除業者に早めに依頼するのがいいといえるでしょう。
ネズミ駆除に関するよくある質問
本章では、ネズミ駆除に関するよくある質問をご紹介します。
自治体に相談することは可能?
近年、自治体(保健所)へのネズミ駆除の相談件数は増えているようですが、自治体ではネズミ駆除の実施や助成金などは出ていません。
一部の自治体では、商店街単位など団体向けの助成金を提供しているケースもありますが、個人向けの助成金を用意している自治体はほぼないといえるでしょう。
市役所や保健所は行政を司る公的機関であり、ネズミ駆除に関して一定の品質やサービスを保証することができません。
そのため、ネズミ駆除に関する予算を組むことも、行政サービスとしてネズミ駆除を提供することもできないのです。
ただし、ネズミ駆除に関する相談やアドバイスの実施、捕獲機などネズミ駆除に必要な道具の貸し出しをしている自治体もあります。
「ネズミ駆除業者に依頼するのは不安……」という方は、先にお住いの自治体に相談してみるのもいいかもしれません。
賃貸物件でのネズミ駆除はどう対応したらいい?
マンションやアパートなどの賃貸物件にお住まいの場合、自身がどれだけ対策を施していても周囲の住民が対策をおろそかしているとネズミが住み着いてしまう可能性があります。
ネズミは驚くべきスピードで繁殖するため、仮に一匹でもネズミを見かけたら早急に駆除しなければいけません。
賃貸物件の場合は個人で完全に駆除することが難しいため、ネズミの存在を感知したら、早急に大家・管理人・不動産会社に相談してみましょう。
駆除をするとしても規模が大きくなるため、個人で対応しきることはほぼ不可能だからです。
(ネズミは一部屋に留まるのではなく建物全体を行き来している可能性が高い)
建物の規模が大きくなるほど駆除費用も高額になるため、業者に相談するよりも先に賃貸物件の所有者に相談してみましょう。
賃貸物件の場合、費用負担は誰がするの?
業者に駆除を依頼すると費用が高額になる+対象となる建物の規模が大きくなるほど費用が高額になるため、入居者の立場からすると「駆除・修繕費用は所有者(大家・管理人・不動産会社)に負担してほしい!」と感じるでしょう。
建物の所有者は「住人が平穏に暮らせる環境を提供しなければならない=使用収益させる義務がある」のですが、ネズミの侵入・繁殖は「入居者の生活の仕方が原因となる」ケースも多いため、必ずしも所有者側が費用を負担しなければいけないとも限りません。
実際に「ネズミの侵入・繁殖は入居者が部屋を使用して発生するものであるため、大家に駆除や費用を支払う責任はない」という判例もあります。
良心的な大家さんであれば駆除・修繕費用を(一部)負担してくれるケースもありますが、必ずしもこのケースに当てはまらない可能性もあるため、業者に依頼する前に管理会社に確認を取ってみるのが最良といえるでしょう。
また、ごみを放置しているなど「入居者の生活に問題がある場合には、駆除・修繕費用を入居者に請求することも可能である」ため、管理会社等から指摘されないためにもネズミが繁殖しづらい環境を意識しておくことが重要といえます。
ネズミ駆除アイテムを効果的に使うコツってある?
ネズミは警戒心が強く賢い生き物のため、駆除アイテムを利用する際は一工夫が必要です。
注意すべき点としては、以下が挙げられます。
- ラットサインがある場所にアイテムを仕掛ける
- 設置してしばらくは動かさない
- 複数のアイテムを併用する
- 秋から冬にかけて対策をおこなう
「ラットサイン」とは、尿・糞・足跡などのネズミが残した痕跡のことを指しています。
ネズミがまったく通らない場所に駆除アイテムを仕掛けても効果がないため、このラットサインを目印に活動範囲に目星をつけ、適切な場所に設置する必要があるでしょう。
ネズミは警戒心が強いことから、罠を置いても足を踏み入れず、見慣れない餌を置いてもすぐに食べることはありません。
罠を設置したあとはしばらく動かさずに様子を見て、何週間経っても罠に引っかからない場合に設置場所を変えるようにしましょう。
加えて、粘着シートの近くに殺鼠剤(毒エサ)を置くなど、複数の駆除アイテムを併用することでも効果アップが期待できます。
ただし「ネズミを追い払うアイテム」と「ネズミを引き寄せて捕獲するアイテム」を同時に使うと、効果がバッティングして意味がないため注意しておきましょう。
まとめ
ネズミの侵入対策や駆除は、住民自身がある程度おこなうことが可能です。
しかし、中途半端な知識で対策しても駆除できない可能性が高く、仮に一時的に防ぐことができても再発してしまう可能性があります。
ネズミの存在に悩まされている方や不安を感じる方は、気づいたときに早めにネズミ駆除業者に依頼するのがいいといえるでしょう。
費用・サービス内容・保証内容・対応エリアなどは業者によって異なるため、相見積もりを取りながら自分に合った業者を選択しましょう。
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