「またアナグマに畑を荒らされた」とお困りではないですか?
アナグマはその名の通り、土の中に穴を掘ることができる害獣です。
食べ物に対する執着心が強いので、一度でも農作物などを食べられて「この場所においしいものがある」と知られてしまうと、あの手この手で敷地内に侵入しようとしてきます。
アナグマ駆除の方法は、「追い出し・防護・捕獲」の3ステップです。
自分でできる方法は、高い効果を得ようとすればそれだけ時間と手間がかかります。
それでも、やり方が間違っていなければ一定の効果は見込めますので、まずは正しい情報を知ることから始めましょう。
「自分にはちょっと無理そう」「自信がない」と感じたら、アナグマ駆除の実績がある害獣駆除業者に相談するのも手です。
この記事では、【自分でできる】追い出し・防護・捕獲の方法と、アナグマに狙われやすい場所の条件をご紹介します。
目次
【自分でできる】アナグマの追い出し方法
まずは、敷地内や近くにいるアナグマを追い出しましょう。
忌避剤で追い出す方法と、音や光で追い出す方法があります。
忌避剤とは、害獣が苦手なにおいを利用して寄せ付けないようにするための薬剤のことです。
アナグマは、木酢液、硫黄、ミント、ハッカなどのにおいが苦手です。
忌避剤は、ホームセンターや通販サイトでも様々な種類が販売されており、手軽に入手することができます。
手作りできるものもありますが、自然由来のものでも取り扱いに注意が必要な場合があります。
音や光で追い出す方法は、動物の姿形を真似て作られた装置などが通販サイトなどで数多く販売されています。
木酢液(もくさくえき)で追い出す
木酢液は、アナグマが苦手とするにおいで、炭を作るときに発生する煙からとれる天然の樹木成分です。
木酢液を害獣の忌避目的で使う場合は、原液を水で2~5倍に薄めてから使います。
布や新聞紙にしみこませてトレイに入れて置いたり、直接蒔いたりすることで、アナグマを寄せ付けなくする効果があります。
かなり濃いめの希釈のため、土壌や植物にかかると枯れたり変色したりする可能性があります。
木酢液は、焦げ臭いような酸っぱいにおいがします。
においが苦手な人もいるため、周囲にも気を配りましょう。
木酢液を一から手作りすることもできますが、時間と手間がかかり一般家庭で作るのは難しいです。
【木酢液を一から作る方法】
ブナ、ナラ、カシなど広葉樹の木を釜(またはドラム缶)で焼いて、煙が通る煙突を冷却して水蒸気をガラス容器に溜めます。
できた液体を、半年以上静かに保管すると、木タール、粗木酢液、軽質油分の3層に分解されます。
この中の粗木酢液から、有害物質(メタノール、ホルムアルデヒド、黒いタール)を除去するために蒸留精製を繰り返すと、きれいな赤褐色の木酢液ができあがります。
有害物質を土壌に捨てるのは厳禁で、処分については自治体への相談が必要です。
引火性もあるため、火の近くでは扱わないようにしましょう。
すぐに使いたい場合や、作り方や処分方法に不安を感じる場合は、市販の木酢液を利用するのがおすすめです。
硫黄で追い出す
アナグマは、硫黄のにおいも苦手です。
サルファ(硫黄)の成分でできた忌避剤が、使いやすい粒状で市販されています。
99.9%など純度の濃いものが効果が高いです。
使い方は、硫黄の粒を10粒ほどネットに入れて、地面から高さ1m以内に園芸支柱などで吊り下げます。
畑から2m以内にいくつか設置して畑を囲むと、においに敏感なアナグマが反応して寄りつかなくなります。
雨に濡れると粒が溶けて小さくなりますが、効果は1年ほど持続します。
注意点として、硫黄は引火すると有毒な二酸化硫黄が発生し、吸い込むと呼吸困難になることがあります。
小さな子供やペットが誤って吸い込んだり、口にしないように注意しましょう。
ミントやハッカで追い出す
ミントやハッカもアナグマが苦手とするにおいです。
アナグマに来てほしくない場所に散布すると効果があります。
ハッカ、ペパーミント、スペアミントなどをひっくるめた総称がミントで、シソ科ハッカ属のハーブです。
ミントやハッカは、においの持続時間が短い上、雨などで流れてしまうと効果が弱まります。
定期的な散布で、効果が持続するようにしましょう。
また、ミントやハッカは、木酢液や硫黄などと比べるとにおいが弱いです。
ミントやハッカだけでアナグマを追い出すのは現実的ではないため、他の忌避剤と併用する必要があります。
忌避効果を感じないときは、別の方法に切り替えましょう。
音や光で追い出す
野生の動物は、音や光で敵の存在や危険を認識するため、音や光で追い払うのも効果的です。
「害獣撃退器」「防獣撃退器」「防獣ライト、アラーム」「爆音器」など呼び方は異なりますが、さまざまな動物撃退装置が販売されています。
オオカミやフクロウ、犬などの姿形に似せて作られているものもあります。
毎回同じ音や光しか発しない装置の場合、害獣が慣れてこわがらなくなってしまう可能性が高いです。
動物の威嚇する鳴き声や銃声、車の音など、複数の音を発する機器がおすすめです。
店舗でも販売されていますが、通販サイトのほうが種類が充実しているため、用途に合ったものを選ぶことが可能です。
【自分でできる】アナグマの防護方法
害獣の侵入経路を遮断し、敷地内に入らないようにすることを防護と言います。
防護する方法は、ワイヤーメッシュ、トタン板、電気柵などを使った方法があります。
電気柵×樹脂柵、電気柵×防風網などの組み合わせ柵も開発されており、防護効果を高めるのに役立っています。
アナグマは、土に穴を掘って敷地内に侵入できる害獣のため、地上だけでなく地中の防護も重要になってきます。
電気柵で防護する
電気柵で畑などを囲い、中に入らせないように防護するのも効果的です。
電気柵とは、動物が目の前にあるものの安全を確かめるために鼻先で物に触る、「探査行動」という習性を利用して、動物にビリビリと電気ショックを与えるものです。
ただし、アナグマはアライグマやハクビシンなどに比べて探査行動が少ない害獣と言われています。
敷地内の農作物を食べたことがあると、探査行動をすることなく、電気柵を無視して柵の前に穴を掘って侵入する可能性があります。
そのため、電気柵は被害に遭ったあとではなく、被害に遭う前に設置するのが望ましいです。
物理柵(ワイヤーメッシュ、トタン板)で防護する
ワイヤーメッシュやトタン板などの物理柵は、樹上活動(樹の上での活動)が苦手な害獣には有効です。
ワイヤーメッシュは、畑などの周りに立てて取り囲み、害獣が物理的に中に入れないようにします。
ワイヤーメッシュは、マス目の大きさが10cm四方以上になると、アナグマの成獣が通り抜けできます。
網目が7.5cm四方以下のワイヤーメッシュを選びましょう。
でこぼこした地面の場合、その上に柵を立てても隙間からアナグマが侵入してしまいます。
まずは地面をならしてから、柵を立てる作業に取りかかる必要があります。
ワイヤーメッシュの下部を30cmほど地面に埋め込むと、穴を掘って敷地内に侵入されるのを防ぐことができます。
アナグマは木登りが得意ではないとされていますが、中には金網などによじのぼれる個体もいるため、ワイヤーメッシュで100%防げるとは言えません。
ワイヤーメッシュの欠点を補うために、トタン板が有効です。
トタン板は、畑などの周りに立てて取り囲み、害獣から農作物などが見えないようにします。
中の様子が見えなければ、農作物があることに気づかないので侵入しようとはしません。
トタン板の外に電気柵を設置するのがおすすめです。
2種類の柵をつけることで、より防護効果が高まります。
トタン板を設置する際、下部を20cmほど地面に埋め込み、地上に出るのが45cm以下となった場合は、トタン板の上にアナグマの指先が届いて乗り越えられる可能性があります。
その場合は、防風ネットなどで高さを補うといいでしょう。
防風ネットの目合いが4mm以下であれば、アナグマは歯や爪をひっかけることが難しくなります。
複合柵で防護する
複合柵といって、材質の異なる2種類の柵を組み合わせた柵が開発されています。
設置手順が簡素化され、防護効果はアップしているため人気が高まっています。
電気柵の欠点は、通電線に害獣の鼻先や手足などの皮膚が当たらないと感電させられないところや、漏電の原因となる柵の下の雑草管理が大変なことなどです。
複合柵であれば、この欠点を補うことができます。
【複合柵の種類例】
・電気柵×ネット柵
・電気柵×樹脂柵
・電気柵×ワイヤーメッシュ柵
・ワイヤーメッシュ柵×ネット柵
例えば、電気柵×ネット柵の場合、直管パイプで左右に骨組みをつくり、地上から150cmぐらいまではネットを張り、その上に電気柵の通電線を2本設置します。
ネットをよじのぼって乗り越えようとした害獣が、電気柵に足を掛けて感電するという仕組みです。
複合柵のサイズや材質はさまざまです。
害獣の特性や設置場所の環境などに合わせて、ぴったりの柵を選びましょう。
【自分でできる】アナグマの捕獲方法
アナグマを捕獲する方法は、箱わなという猟具を使う方法が一般的です。
箱わなを使ってアナグマを捕獲するには、市町村の許可が必要です。
市町村の許可を得るためには、基本的に狩猟免許と狩猟者登録が必要ですが、自治体によっては条件を満たせば狩猟免許なしでも許可が下りる場合があります。
箱わなで捕獲する
箱わなとは、害獣に罠を仕掛ける箱型の猟具のことです。
害獣が入れるよう扉を開けたままにできるようになっており、箱わなの中に餌を置くことで害獣をおびきよせ、中に入ると自動的に扉が閉まる仕組みになっています。
基準を満たす小型箱わなであれば、狩猟免許なしでも捕獲ができる自治体もあります。
また、自治体が箱わなの貸し出しや、箱わな購入費用の一部助成を行っている場合もあります。
自治体によっては、害獣を捕獲した後、自分で殺処分と埋没による処分を行わなければいけない場合があり、注意が必要です。
自治体が引き取ってくれると思い込んでいると、捕獲後に困ることになります。
捕獲した害獣の処分方法については、必ず事前に確認しておきましょう。
アナグマに狙われやすい場所の条件
追い出し・防護・捕獲の3ステップを解説しました。
まずはその前に、アナグマに狙われやすい場所になっていないかを確認しましょう。
アナグマに狙われやすい場所には条件があります。
餌付けをしている
「餌付けなんてしていない」と思っている人が大半かと思います。
餌付けしているつもりはなくても、アナグマが自由に出入りできる場所に餌になるものを放置していたら、「食べにきてください」と言っているようなものです。
以下のチェックリストを確認してみましょう。
▢ゴミ捨て場に生ゴミが散乱している
▢お墓のお供え物が未回収のまま放置している
▢収穫しないままの果実を放置している
▢野菜クズを放置している
▢収穫後の田んぼに楽穂や2番穂を残している
▢未収穫のタケノコを竹林に放置している
▢作物が柵からはみ出している
▢収穫後に柵を解放している
▢作物を柵で囲っていない
1つでも当てはまれば、アナグマに狙われやすい「エサ場」です。
人に慣れさせている
人間のことを、「自分の命を脅かす存在」として認識していれば、人を見かけただけで逃げていくはずです。
人里に近づいても危険が少ない場合、害獣は「便利がいいからここに住もう」となります。
▢耕作放棄地を放置し、雑草が茂っている
▢見通しの悪い雑木林や放置竹林がある
▢柵のまわりに雑草が茂っている
▢害獣を見かけても誰も追い払わない
1つでも当てはまれば、アナグマが住みやすい「すみか」です。
これらの状況を改善することで、アナグマに狙われにくい場所にすることができます。
まとめ
アナグマの被害に遭ったら、まずは「アナグマに狙われやすい場所になっていないか」を確認しましょう。餌付けや人慣れをさせている場合は改善し、追い出し・防護・捕獲の3ステップで対策をする必要があります。正しい方法を知り、自分にできそうな内容であれば挑戦してみるのもいいと思います。自信がない場合には、害獣駆除業者の利用を検討してみてください。
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