「庭のゴミ箱を荒されたけど、猫より小さい動物だったような・・・?」
もしかすると犯人はイタチかもしれません。
イタチというとかわいいイメージですが、実は人間にとって厄介な害獣なんです。
イタチの体は細長く、3cmほどの隙間でもすり抜けてしまいます。
ゴミ箱の蓋を開けて荒らすほか、家の小さな穴から屋根裏や床下に侵入してふん尿をしたり、断熱材で巣を作ったり、夜中に走り回って騒音を立てたりします。
イタチにゴミ箱を荒らされた形跡があれば即対策をすることで、家の中にまで侵入されることなく、最小限の被害で食い止めることができます。
この記事では、イタチの生態、ゴミ箱荒らしに遭ったときの対策、庭に寄せ付けない方法などを詳しく解説します。
目次
イタチの生態は?凶暴性や食性
害獣駆除や害獣対策の第一歩は、害獣の生態をよく知ることです。
まずはイタチがどんな生き物で、なぜ害獣と言われているのかを見ていきましょう。
イタチの生態!凶暴で臭い?
イタチはかわいらしい見た目とは裏腹に、凶暴で攻撃的な性格をしているので油断しないようにしましょう。
鋭い牙で噛みつかれたり、爪でひっかかれたりする可能性があります。
軽い怪我だけで済めばいいですが、イタチは病原菌やウイルスを媒介するため、感染症や食中毒をうつされる可能性もあるんです。
泳ぎと木登りが得意で、垂直な壁も簡単にのぼれます。
また、イタチは雑食で何でも食べるため、ふんが大変臭いです。
臭いのはふんだけではなく、身の危険を感じると、肛門の近くにある臭腺から液体を出します。
これがとんでもなく臭いです。「イタチの最後っ屁」という慣用句もあります。
さらに、イタチには溜めふんと言って毎回同じ場所にふんをする習性があります。
同じ場所に尿もするため、屋根裏でされると水分で木材が腐っていき、最悪の場合天井が抜ける危険性もあります。カビが生えたり、害虫が発生したりする恐れもあり、衛生上とても悪いです。
イタチの食性は肉食系の雑食
イタチは肉食系の雑食です。
ネズミ、トカゲ、蛇、カエル、エビや蟹、うさぎ、ニワトリなど何でも食べます。
家で飼っているペットが狙われる恐れもあるんです。
イタチは代謝がよく、大量に捕食する必要があります。
特に冬前になると、たくさんの食料を確保するため、活発に動きます。
冬眠はしませんが、秋につけた脂肪のおかげで少ない食料でも生きていけます。
野菜や果物も大好物なので、畑や家庭菜園、庭の干し野菜なども被害に遭いやすいです。
農機具や倉庫をかじって壊してしまうこともあります。
イタチの繁殖期と繁殖の早さ
繁殖期は春で、妊娠から1ヶ月ほどで出産します。
人間の比べて妊娠期間がかなり短いです。
一度に平均3~5匹、多くて10匹ほどの子供を産みます。
春~初夏にかけて生まれた子供が、秋には独り立ちします。
生まれてからの成長も早いので、放っておくとあっという間に増えてしまいます。
イタチに噛まれたりひっかかれたりしたらどうする?
野生のイタチは病原菌やウイルスを媒介します。
イタチが荒らした畑で取れた野菜を人が食べると、食中毒を引き起こすこともあります。
もしイタチから噛まれたりひっかかれたりしたら、患部をすぐに清潔な水で十分洗い流しましょう。
軽傷でも病院は必ずその日のうちに受診してください。
皮膚科、外科などに電話をして、相談の上受診するのが望ましいでしょう。
イタチが媒介する病原菌やウイルス | 人への主な感染経路や症状、治療法 |
サルモネラ菌 | 食べ物から媒介する身近な菌。食中毒を引き起こす。急性の発熱、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐。軽症が多く、ほとんどが治療せず回復するが、脱水症状により重篤になり命を脅かすこともある。 |
狂犬病 | 世界で年間5万人以上が感染。発症までに1~3ヶ月かかる。発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐。発症するとほぼ100%死に至る。すぐに傷を石鹸と水で洗浄することと、暴露後予防接種で命を救うことができる。 |
鼠咬症(そこうしょう) | 感染したねずみに噛まれることで発症することが多い。発熱や発疹、関節痛、リンパの腫れ。抗菌薬で治療ができる。 |
SARS | 38℃以上の発熱、咳、呼吸困難、肺炎。人から人が主な感染経路だが、野生動物からの感染確認の例もある。対症療法が中心。 |
蜂窩織炎(ほうかしきえん) | 皮膚に赤み、腫れ、痛み。発熱、倦怠感を伴う。患部を冷やし、薬や点滴で治療。 |
参考:
FORTH|最新ニュース|2018年|サルモネラ症
FORTH|最新ニュース|2016年|狂犬病について
鼠咬症 – 16. 感染症 – MSDマニュアル家庭版
重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome
SARSの病原体は何ですか
Infectious Disease Surveillance Centerhttp://idsc.nih.go.jp › … › 医療従事者向け
表に記載のとおり、狂犬病など致死率が高いものもあるため、免疫力の低い子どもや高齢者がいる家庭では特に注意が必要です。
また、野生のイタチの体にはノミやダニが付着していることが多く、家に住みつくと人がアトピーや喘息、鼻炎、結膜炎などのアレルギーを発症する可能性もあります。
日本で多いのはシベリアイタチ!出現場所と見分け方は?
日本に生息するイタチの主な種類は、ニホンイタチとシベリアイタチ、イイズナ、オコジョの4種類です。
西日本で発見されることが多い、二ホンイタチとシベリアイタチの出現場所や見分け方について見ていきましょう。
イタチの出現場所
【イイズナ、オコジョ】
北海道や東北など寒い地域に生息
【ニホンイタチ、シベリアイタチ】
本州、四国、九州に生息
イタチは山間部や川沿いにいることが多いですが、都市開発などで住み処を人間に奪われ、都市部を中心に民家周辺でも目撃されるようになりました。
ニホンイタチに比べてシベリアイタチのほうが一回り体が大きく、ニホンイタチは数が減ったと言われています。
そのため、最近民間で目撃されるイタチのほとんどはシベリアイタチです。
シベリアイタチは外来種です。もともとはチョウセンイタチと呼ばれていたものが、2020年度から和名がシベリアイタチに変更されました。
1940年頃に、毛皮を作ったりネズミを捕らせるために朝鮮半島から九州に輸入されたのが始まりと言われています。
現在では西日本で多く見られるようになっています。
シベリアイタチとニホンイタチの違い、見分け方
シベリアイタチは明るい山吹色、ニホンイタチが茶褐色・赤褐色をしています。ただし、冬にはニホンイタチも山吹色に変わります。
シベリアイタチ
毛皮目的、ネズミ駆除のため朝鮮半島から輸入されたものが放獣された。
- オス:頭胴長28~39cm、尾長16~21cm、体重650~820g
- メス:頭胴長25~31cm、尾長13~16cm、体重60~430g
- 尾の長さが胴体の半分以上
ニホンイタチ
毛皮目的、ネズミ駆除のため古くから日本国内にいたものが導入、放獣された。
- オス:頭胴長27~37cm、尾長12~16cm、体重290~650g
- メス:頭胴長16~25cm、尾長7~9cm、体重115~175g
- 尾の長さが胴体の半分以下
オスに比べてメスは極端に小さいです。
個体差があるため、オスかメスかの判断は素人には難しいと言えます。
参考:
ニホンイタチ / 国立環境研究所 侵入生物DB
チョウセンイタチ
イタチを自分で駆除・退治しても大丈夫?
イタチにゴミ箱を荒らされたとき、罠などを仕掛けて自分で駆除・退治しようと思う人もいるかと思います。
イタチのメスは、「鳥獣保護法」という法律により捕獲が禁止されています。
オスは許可申請をして許可が下りれば捕獲できますが、オスとメスの区別は素人にはわかりにくいものです。
自治体によっては、都道府県知事が実施する狩猟免許を取得して、狩猟者免許登録をした人でないと、申請しても許可が下りない場合があります。
許可が下りたとしても、捕獲したイタチを自分で山まで放しに行く必要があります。
このように、自分でイタチを駆除・退治するのは大変なことです。
うまく追い払えたと思っても、家や庭の掃除や消毒が不十分な場合もあります。
安易に自分でなんとかしようとせず、経験と実績のある専門業者に依頼するのが一番です。
イタチにゴミ箱を荒らされたときの対策は?
イタチにゴミ箱を荒らされたときの対策は、自分で応急処置をしつつ、専門業者に依頼するという形が望ましいです。
イタチは500円玉ほどの小さな隙間からでも家に入ることができるため、侵入経路を遮断することが最も重要で、素人では難しい作業になります。
対策が不十分だと、一度はイタチを追い払えたとしても、仲間を呼んで戻って来る可能性があります。
自分で今すぐできる応急処置
なぜイタチが民家に来るのか?
それは、キツネやオオカミ、鷹などの天敵から隠れられて、エサがある理想的な場所だからです。
イタチが好むものや嫌がるものを知り、寄せ付けないように対策しましょう。
イタチのエサになるものを庭から片付ける
自分で今すぐできる応急処置は、庭を片付けることです。
イタチは、巣を作る安全な場所と食料を求めて民家にやってきます。
イタチのエサになりそうなものや、巣を作るのに役立ちそうなものを庭に置かないようにしましょう。
生ゴミや干し野菜、畑、家庭菜園、ペット(小型犬・猫・うさぎ・ニワトリ)、昆虫、鳥、雑草、耕されたやわらかい土などがイタチから狙われます。
やわらかい土が好きなのは、イタチには穴を掘って寝床を作る習性があるからです。
これらを片付けるか、寄せ付けないような対策をしましょう。
鍵付きのゴミ箱に変える
ゴミ箱に蓋をしていても、鍵をしていないとイタチに開けられてしまうことがあります。
イタチはゴミ箱ごと倒したり、ゴミ箱からはみ出ている袋を引っ張ったりしてゴミ箱の蓋を開けて荒らします。
イタチがゴミ箱を荒らした形跡を発見したら、袋がはみ出さないような鍵付きのゴミ箱に変えることをおすすめします。
イタチが荒らしたゴミ箱や庭を片付けるときは、マスク、ゴーグル、長袖、長ズボン、長靴、手袋などをつけて、イタチが触れた部分を触ってしまわないように気をつけましょう。
自信がない場合は、専門業者に掃除を依頼するのが無難です。
イタチの苦手なにおいと光で寄せ付けないようにする
イタチの苦手なにおいは、ニンニク、木酢液、漂白剤、コーヒー粉、燻製、酢、クレゾール石けん液、ハーブなどのほか、天敵であるオオカミの尿のにおいです。
これらは、ネット通販やホームセンターなどで購入することができます。
蚊取り線香のにおいも苦手ではありますが、確実に撃退できるとは言えません。
イタチは嗅覚が優れているため、においに敏感です。
この習性を利用して、寄せ付けないようにしましょう。
イタチは夜に活発に活動するため、強い光を向けるとびっくりして逃げていきます。
庭のまわりにCDを吊したり、クリスマスのイルミネーションをつけるのも効果的です。
害獣駆除の専門業者は何をしてくれる?
害獣駆除の専門業者は、薬剤や煙によるイタチの追い出しから、ふん尿の掃除、消毒、家の小さな隙間などの侵入経路の遮断、家屋の修繕業者への中継ぎなどを行います。
イタチの駆除は、一度で成功するとは限らないため、アフターサービスが充実している業者が安心です。
知識と経験のあるプロに依頼することで、大切な家と家族の健康を守ることができます。
まずは電話やメールで相談して、見積もり依頼をしてみましょう。
まとめ
イタチはかわいらしい見た目とは裏腹に凶暴で厄介な害獣です。人間を襲うほか、同じ場所にふん尿をして屋根裏の木材を腐らせてしまうこともあります。病原体を媒介したり、ノミやダニをうつすこともあります。
細長い体で3cmほどの隙間からも住宅に侵入してきます。ゴミ箱を荒らされたら、次は家に入ってくる恐れがあるので、すぐに対策をしましょう。
イタチのメスは鳥獣保護法という法律で守られており、勝手に捕獲をすることができません。
庭を綺麗にして、イタチの嫌がるもので追い払っても撃退できないときは、害獣駆除業者に駆除を依頼するのがおすすめです。
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