SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、ウイルスを持つマダニに刺されることを主な経路とする病気です。
感染に伴って発熱や消化器の症状、血液中の血小板(出血を止める成分)の減少などが生じ、重症化することもあります。
草刈り・畑仕事・山歩きや動物との接触のあとに発熱や吐き気・下痢が出たら、症状がそろうのを待たずに医療機関へ連絡し、屋外活動歴を伝えることが、個人でできる備えの中心になります。
国内の患者数や致死率の数字は4章で集計時点とあわせて示します。
1. SFTSとは?重症熱性血小板減少症候群の基本

SFTSはSFTSウイルスによる感染症で、診断した医師に国への届出が義務づけられています。
症状は発熱と強いだるさ、吐き気・下痢・腹痛で、主な感染経路はマダニの刺咬、受診のきっかけは「屋外活動後の発熱」です。
最初に正したい誤解は「マダニに刺された覚えがないからSFTSではない」という判断です。
米国疾病予防管理センターの学術誌Emerging Infectious Diseasesに、国内患者133例の調査(Kobayashiら、2020年、対象期間2013年3月〜2017年10月)が掲載されています。
この調査では、刺された経験を報告した人は64例(48%)、刺し口が確認できた人は55例(41%)でした。
一方で山や畑での屋外活動歴は109例(82%)にあります。
刺された自覚がある患者は半数以下ですので、覚えがなくても屋外活動後の発熱は同じように受診してください。
なお、この結果はマダニ以外からうつった証拠でもありません。
- 参考:SFTSの基本情報と予防に関するQ&A(厚生労働省)
- 参考:国内患者の刺咬歴・刺し口と屋外活動歴の調査(Kobayashi Yら「Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome, Japan, 2013–2017」Emerging Infectious Diseases 2020;26(4))
2. SFTSの症状・潜伏期間と受診の目安

この章の医学的な記述は、厚生労働省の2025年版「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き」と同省Q&Aに基づいています。
原典は当協会編集部が公開時点で確認済みです。
2−1. SFTSの初期症状は何ですか?
SFTSの初期症状は、発熱と全身のだるさに、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・食欲不振といった消化器の症状が重なる形で現れます。
頭痛や筋肉痛を伴うこともあり、組み合わせや出る順番には個人差があります。
- 主な症状:発熱、強いだるさ、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振
- 重症化を疑う変化:重症例では発症から7日目前後に臓器の働きが落ちる合併症が起きやすく、急性脳症による意識の異常や出血がみられる。意識の異常や急に立てない・歩けない状態があれば、日数にかかわらず急いで受診する
体温の高さだけで判断しない点にも注意してください。
JIHS(国立健康危機管理研究機構)は2025年8月に、猫からの感染が疑われた症例を公表しました。
この症例では、患者の入院時体温は37.5℃で意識状態の異常があり、皮膚の発疹はありませんでした。
一例から頻度は判断できませんが、「38℃に届かない」「皮膚症状がない」ときも、屋外活動後の体調不良であれば受診の対象です。
- 参考:SFTSの症状と臨床経過(厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き」2025年版)
- 参考:猫から獣医師への感染が疑われた国内事例(JIHS 病原微生物検出情報 Vol.46、2025年8月)
2−2. 潜伏期間は?接触後いつまで注意する?
SFTSの潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は6〜14日が目安です。
ただし「14日を過ぎれば安全」と線を引くための日数ではなく、公的資料が示す健康観察の期間は接触の条件によって異なります。
| 接触の条件 | 観察の期間と方法 | 出典 |
|---|---|---|
| マダニに刺された(除去した)あと | 数週間は体調の変化に注意する | 厚生労働省Q&A |
| 飼育動物がSFTSと診断された | 最後の直接接触から14日間、飼い主と家族が毎日検温する | JIHS説明資料 |
どちらの条件でも、期間内に発熱や消化器症状が出たら日数で迷わず受診します。
また、いつ・どこで何をしたかを伝えられるよう、作業日や接触日をメモしておきます。
- 参考:SFTSの潜伏期間(厚生労働省Q&A)
- 参考:潜伏期間と発症後の経過に関する診療の手引き(厚生労働省、2025年版)
- 参考:動物由来感染症としてのSFTSに関する説明資料(JIHS、2026年7月21日版)
2−3. 受診を急ぐ体調変化と医療機関へ伝える情報
屋外活動や動物との接触のあとに発熱した場合は、その日のうちにかかりつけ医や内科へ連絡します。
次の変化があれば、通常の外来を待たず救急相談や救急要請の対象です。
- 呼びかけへの反応が鈍い、会話がかみ合わない
- 歯ぐきや鼻からの出血、皮膚の点状の内出血、血の混じった便
- 水分がとれないほどの嘔吐・下痢が続き、ぐったりしている
- けいれん、立てない・歩けないなどの急な変化
総務省消防庁が公開する救急車を呼ぶ症状の目安でも、ためらわず救急車を呼んでほしい症状が挙げられています。
具体的には、意識の異常、止まらないけいれん、けいれん後に意識が戻らない状態、大量出血を伴う外傷などです。
判断に迷うときの救急安心センター事業(#7119)は実施していない地域があるため、同庁の実施地域一覧で確認してください。
受診時に伝える情報は次の4点です。
- 屋外活動の日時と場所(例:9月28日に自宅裏の畑で草刈り)
- マダニに刺された記憶や刺し口の有無(なくても「ない」と伝える)
- 動物との接触歴(弱った猫を保護した、犬の散歩で藪に入った等)
- 症状が出始めた日と、その後の変化
「治療薬がないから受診しても仕方ない」という古い情報で受診をためらう必要はありません。
富士フイルム富山化学の2024年6月24日付発表によると、抗ウイルス薬ファビピラビル(アビガン錠200mg)はSFTSウイルス感染症への適応追加承認を取得しています。
承認の事実と個々の患者で使うかどうかの判断は別ですので、治療の中身は関連記事で確認してください。
- 関連記事:SFTSの治療薬と医療機関で行う治療
- 参考:接触後の体調変化と受診時に伝える情報(厚生労働省Q&A)
- 参考:救急車を呼ぶ症状の目安(総務省消防庁)
- 参考:救急相談窓口と実施地域(総務省消防庁)
- 参考:アビガン錠200mgのSFTSウイルス感染症に対する適応追加承認(富士フイルム富山化学、2024年6月24日)
3. SFTSの感染経路は?マダニ・動物・人からの感染

SFTSの主な感染経路は、ウイルスを持つマダニに刺されることです。
これに加えて、発症した動物や患者の血液・体液に触れたことによる感染事例が報告されています。
屋外でのマダニ対策と、発症した動物・患者の体液を避ける対策は分けて考えます。
3−1. ウイルスを持つマダニに刺されることによる感染
マダニは草むらや藪、山林の落ち葉の下に生息し、通りかかった動物や人に取りついて数日間吸血します。
厚生労働省Q&Aによればウイルスを持つのは一部の個体です。
ただし、見た目で区別はできません。
幼虫には約1mmのものもあるなど小さく、吸血中も痛みを感じにくいことが、刺された記憶が残りにくい理由です。
SFTSウイルスは、マダニとシカ・イノシシ・アナグマなどの動物が関わる感染環の中で維持されていると考えられています。
宮崎県の中型野生哺乳類を調べた研究(Ticks and Tick-borne Diseases誌、2023年掲載)では、アナグマ63頭中43頭とタヌキ53頭中12頭から抗体(過去に感染した痕跡として体内にできる物質)が検出されました。
また、ウイルスの遺伝子はアナグマ63頭中2頭で検出され、タヌキを含む他の調査種では検出されませんでした。
地域の野生動物がウイルスにさらされている根拠にはなります。
しかし、庭で見かけた1頭が感染しているかは外見では分からないため、動物を見かけた日は接触を避け、作業後の確認(5−2参照)を同じように行います。
- 参考:マダニによる感染とウイルス保有に関する説明(厚生労働省Q&A)
- 参考:宮崎県の中型野生哺乳類におけるSFTSウイルス調査(Ticks and Tick-borne Diseases、2023年)
3−2. 感染した動物や患者の血液・体液との接触
家庭で守る行動は、発症した動物や患者の血液・体液・排泄物に素手で触れないこと、弱った動物を自分で扱わず相談することの2点です。
触れてしまった場合の初期対応は部位で分けます。
- 皮膚に付いた:流水と石けんで洗う
- 目に入った:石けんは使わず、流水で十分に洗い流す
- 口に入った・傷口に付いた・咬まれた・引っかかれた:流水で洗い、その日のうちに医療機関へ相談し、観察の期間と方法の指示を受ける
本節で紹介する国内の感染事例は、いずれも発症した動物や患者の血液・体液に触れうる状況で報告されています。
| 事例 | 接触状況 | 確認されたこと | 不明なこと |
|---|---|---|---|
| 2018年・獣医療従事者2人(Emerging Infectious Diseases、2020年) | 動物病院で発症した猫の診療 | 猫と2人のウイルスの遺伝情報が完全に一致。咬み傷・引っかき傷・マダニ刺咬なし。手袋とマスクは着用、眼の防護はなし | ウイルスの侵入経路 |
| 2023年・医師1人(国立感染症研究所〈現JIHS〉、2024年3月19日公表) | 患者の診療と死後の処置。国内初の人から人への感染事例 | 血液に触れうる処置があり、眼の防護はなし | 感染が初診時か死後の処置時か |
2018年の2人は咬まれても刺されてもいないのに感染しており、「咬まれなければ安全」とは言えません。
日本獣医師会雑誌に掲載された臨床獣医師の実務報告も、猫への強制給餌に関連した感染例や、体液を含むしぶきが目に入ったことによる感染が疑われた例を挙げています。
そのうえで求めているのは、手だけでなく粘膜(目や口の内側のぬれた膜)の保護です。
手袋をしていても、弱った猫を家庭で扱う行為は勧められません。
家庭での予防は関連記事の手順に沿ってください。
- 関連記事:猫のSFTSの症状と家族の感染予防
- 参考:感染動物から人への感染事例(Yamanaka Aら、Emerging Infectious Diseases 2020;26(12))
- 参考:国内の人から人への感染事例(JIHS 病原微生物検出情報 Vol.45、2024年3月19日)
- 参考:猫から獣医師への感染が疑われた国内事例(JIHS 病原微生物検出情報 Vol.46、2025年8月)
- 参考:臨床獣医師によるSFTS対応の実務報告(日本獣医師会雑誌)
4. SFTSの致死率と国内の発生状況

SFTSの数字を読むときは、「いつ時点の集計か」「誰を対象に、死亡をどう数えたか」を必ず添えます。
条件の違う数字を並べると、同じ病気でも印象が大きく変わるからです。
4−1. SFTSの致死率はどのくらいですか?
国内のSFTSの死亡割合は、患者の転帰を調べた過去の国内研究では27%、届出時点の記載だけで数えると約10.0%です。
対象期間・患者集団・死亡の把握方法が異なるため、2つの数字をそのまま比べることはできません。
| 割合 | 対象・期間 | 死亡の把握方法 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 27%(致死率) | 2013年3月〜2017年10月の患者133例 | 研究対象の患者ごとに死亡の有無を把握 | Kobayashiら、Emerging Infectious Diseases 2020;26(4) |
| 約10.0%(届出時点の死亡記載割合) | 2013年3月4日〜2026年7月31日の届出1,368例 | 届出時点で死亡と記載された137例で計算。届出後の死亡は含まれない | JIHS「SFTS届出症例の集計」2026年7月31日現在 |
約10.0%は「届出時までに死亡し、死亡例として届け出られた人の割合」です。
届出後の死亡を含まないため、全患者の最終的な致命率や個人の死亡確率ではありません。
参考までに、The Lancet Regional Health – Western Pacific誌に2025年に掲載された国内研究(Ohnoら)では、2013〜2022年の届出症例について、届出情報の死亡で計算した値と、別の統計である人口動態統計の死亡数を当てはめた値が異なっていました。
このように、同じ期間でも数え方で値が変わっています。
厚生労働省Q&Aは、患者が高齢者に多く致命率も高いと説明しています。
ただし、年齢別の割合は集団の傾向であり、個人が亡くなる確率ではありません。
早期受診で死亡割合が何%下がるかを示す資料は、当協会編集部が確認した範囲では見当たりませんでした。
そのため、「重症化の前に診断を受ける機会をつくる」という表現にとどめています。
- 参考:SFTSの致命率と年齢に関する説明(厚生労働省Q&A)
- 参考:SFTS届出症例の集計(JIHS、2026年7月31日現在)
- 参考:国内患者研究の対象と死亡の把握方法(Kobayashi Yら、Emerging Infectious Diseases 2020;26(4))
- 参考:国内のSFTSに関する疫学研究(Ohno Tら、The Lancet Regional Health – Western Pacific、2025年)
4−2. 国内の患者数と年ごとの推移
JIHSの2026年7月31日現在の集計によると、累計届出は1,368例です。
このうち、届出開始日前に発病・死亡した8例と発症年の記載がない6例を除いた1,354例の年別内訳は次のとおりで、2025年が表中最多でした。
| 発病年 | 患者数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2023年 | 134例 | — |
| 2024年 | 121例 | — |
| 2025年 | 192例 | — |
| 2026年 | 115例 | 7月31日現在の途中集計 |
より新しい数字は週ごとの速報で確認できます。
2026年第38週(9月14日〜20日)分の速報では、第1週からの累積報告数は145例でした。
速報は届出週で数えた暫定値のため、発病年別の表とは直接比較できず、のちの確定年報で修正されることがあります。
- 参考:全国のSFTS届出症例と年次推移(JIHS、2026年7月31日現在)
- 参考:SFTSの最新の累積報告数を確認する速報データ(JIHS 感染症発生動向調査 2026年第38週、2026年10月1日掲載)
4−3. 都道府県別の発生状況と季節の傾向
SFTSの届出は西日本に多く、近年は東日本にも広がっています。
愛媛県感染症情報センターのまとめでは、2026年4月20日時点で北海道・茨城県・東京都・神奈川県を含む36都道府県から患者が報告されました。
自分の地域の状況を調べるときは、次の2種類の数字を区別して見ます。
| 数字の種類 | 意味 | 確認できる資料 |
|---|---|---|
| 届出地域 | 診断した医療機関のある都道府県で数えた件数 | JIHS「SFTS届出症例の集計」の地域別図 |
| 推定感染地域 | 感染したと考えられる場所で数えた件数。都市部で診断されても感染は帰省先、という例が分かる | 同集計の推定感染地域図、各都道府県の感染症情報センターの公表資料 |
厚生労働省Q&Aは、報告のない地域でもマダニがウイルスを持つ可能性があると説明しています。
報告がない県に住んでいても、草地や藪に入る日は5章の服装で備えてください。
季節は春から秋に患者が多い一方、冬の発症例もあります。
愛知県豊田市は2026年2月6日、1月31日に発症した患者を公表しました。
公表時点で感染につながる行動歴は特定されておらず、冬の特定の作業を原因と決めつけることはできません。
- 参考:SFTSの地域別・発病時期別データ(JIHS、2026年7月31日現在)
- 参考:患者の報告がない地域でも必要な注意(厚生労働省Q&A)
- 参考:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況(愛媛県感染症情報センター、2026年4月20日時点)
- 参考:SFTS患者の発生について(豊田市、2026年2月6日)
5. SFTSを予防するためのマダニ対策

予防の対象は屋外のマダニであって、室内のダニではありません。
山梨県が説明するとおり、マダニは食品に発生するコナダニや寝具に生息するヒョウヒダニとは種類が異なります。
そのため、寝具のダニ対策だけでは、屋外でのマダニ刺咬や発症動物との接触に対するSFTS予防の代わりになりません。
5−1. 庭仕事・農作業・散歩時の服装と虫よけ剤
服装の基本は、肌を出さないことと、付いたマダニを見つけやすくすることの2点です。
- 庭仕事・草刈り:長袖・長ズボン、首にタオル、手首まで覆う手袋。ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる
- 農作業:作業着は明るい色を選ぶとマダニが見つけやすい。地面に直接座らない
- 犬の散歩:藪や草丈の高い場所を避ける経路を選び、犬の体に付いたマダニを室内に持ち込まない
虫よけ剤は、容器の表示で「マダニ」が対象に含まれる製品を選びます。
厚生労働省の2024年12月通知にある持続時間の基準は蚊の成虫を対象としたもので、マダニへの効果時間を示す数字ではありません。
使用量・塗り直し・年齢制限は表示に従い、虫よけ剤は服装の補助と位置づけてください。
- 参考:屋外活動時のマダニ予防(厚生労働省Q&A)
- 参考:虫よけ剤の対象虫と使用上の表示(厚生労働省通知、2024年12月)
- 参考:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(山梨県)
5−2. 帰宅後の確認と吸着したマダニへの対応
帰宅したら服を玄関先で払い、入浴時に体を確認します。
大阪府は、野生動物に触れた場合だけでなく、野生動物が出没する環境で作業したあとにも付着を確認するよう案内しています。
見落としやすい場所は、わきの下、足の付け根、ひざの裏、耳の後ろ、髪の生え際です。
皮膚に食い込んで吸血中のマダニは、自分で引き抜かず皮膚科などを受診します。
厚生労働省Q&Aが挙げる理由は、無理に取ると口の部分が皮膚に残って化膿することや、体液が逆流して病原体が入りやすくなることです。
日本皮膚科学会のQ&Aも医療機関での除去を案内しています。
除去後の観察期間は2−2の表のとおりで、発熱や消化器症状が出たら「何月何日にマダニを除去した」と伝えて受診してください。
- 参考:マダニに刺された場合の処置と体調観察(厚生労働省Q&A)
- 参考:皮膚科学会によるダニ刺咬の予防と対処(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A)
- 参考:野生動物とマダニに関する注意(大阪府)
6. マダニを運ぶ動物の気配や異変はどこに相談する?

マダニは自力では遠くへ移動できず、野生動物やペットの体に付いて住宅の周りに運ばれます。
相談先は「人の体調は医療機関」「動物の異変は動物病院・自治体」「住まいへの侵入は防除の窓口」と分かれます。
6−1. ペットの異変は動物病院、野生動物は自治体へ相談
ペットの体調不良や皮膚に食い込んだマダニは、動物病院へ相談します。
東京都は、食い込んだマダニを無理に取らず動物病院で除去し、予防薬も動物病院に相談し、体調不良時は直ちに受診するよう案内しています。
犬や猫もSFTSを発症することがあり、飼育動物が診断された場合の14日間の検温は2−2の表のとおりです。
弱った野生動物や野良猫を見かけたときは、「触らない・餌を与えない・連れ帰らない」が原則です。
岐阜県美濃市は、衰弱した野生動物でも寄生虫や病気を持つ可能性があり、人にけがをさせることもあるため、近づかず離れて見守るよう案内しています。
相談先は動物の種類で分かれ、野生鳥獣は自治体の鳥獣担当(神奈川県の相談窓口が一例)、野良猫は自治体の動物愛護担当や保健所が窓口です。
担当部署の名称は地域によって異なるため、市区町村の案内で確認してください。
噛まれた・引っかかれた場合の応急処置や市役所への相談手順は、関連記事を参照してください。
- 関連記事:ハクビシンに噛まれたらどうすればいい?応急処置の手順を解説
- 関連記事:【初めての人でも安心】アライグマの駆除と被害の対策として最初にやるべきことを詳しく解説【市役所編】
- 関連記事:猫のSFTSの症状と家族の感染予防
- 参考:動物との接触を避ける対応と獣医師への相談(厚生労働省Q&A)
- 参考:弱った野生動物を見つけた場合の相談例(神奈川県)
- 参考:動物のSFTS感染情報を集約する国の体制(厚生労働省、2026年5月1日掲載)
- 参考:ペットのマダニ対策とSFTS(東京都保健医療局)
- 参考:弱った野生動物への対応(美濃市)
6−2. 庭・屋根裏・壁の動物の気配は協会の相談窓口へ
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

住まいへの侵入が疑われるときは、人の体調や動物の治療とは別の窓口です。
東京都国立市が挙げる兆候も参考に、次のどれか1つでも続いていれば相談の段階です。
- 屋根裏や壁からゴソゴソ・ガタガタという音がする(特に夜間)
- これまでなかった悪臭がする、天井にシミが広がる
- 動物の糞や足跡、かじられた跡がある
- 室内にノミやダニのような小さな虫の死骸が落ちている
相談時に動物や糞を採取する必要はありません。
「いつ・どこで・何を・どのくらい続いているか」を記録して伝えれば十分で、屋根裏に上がるなど無理な確認は避けてください。
私たち一般社団法人日本有害鳥獣駆除・防除管理協会は、害獣から害虫・害鳥までの被害相談を無料・匿名で受け付け、被害状況に応じて専門業者を紹介しています。
対応地域は関東・中部(一部地域)・近畿・中国・四国・九州の各都府県です。
北海道・東北・北陸・沖縄の方は、自治体の鳥獣担当窓口へご相談ください。
無料で対応する範囲と、現地調査や駆除にかかる契約の条件は相談時にご案内しますので、作業内容と費用に納得してから依頼してください。
野生動物の侵入防止や捕獲で家庭のSFTS発症がどれだけ減るかを測った研究は、当協会編集部が確認した範囲では見当たりません。
そのため当協会は、動物とそれに付いたマダニが住まいに持ち込まれる機会を減らすことを目的に対応しています。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

- 関連記事:ハクビシンとは?生態・害獣被害・今すぐできる対策を専門協会が解説
- 関連記事:ハクビシンは天井の裏に住んでいる?駆除方法も徹底解説
- 参考:野生動物の侵入の兆候と相談先(国立市、2026年4月1日)
- 参考:一般社団法人日本有害鳥獣駆除・防除管理協会 公式サイト
7. SFTSに関するよくある質問
受診先、刺された記憶がない場合、人から人への感染の3点に短く答えます。
7−1. SFTSが疑われるときは何科を受診すればよいですか?
発熱時はかかりつけ医か内科へ相談し、屋外活動歴と刺咬歴の有無を伝えます。
吸着中のマダニの除去は皮膚科、小児は小児科、意識の変化があれば救急外来が窓口で、内科に限る必要はありません。
厚生労働省Q&Aも、発熱などの症状があれば医療機関を受診し、マダニに刺された可能性を伝えるよう説明しています。
- 参考:発熱時の受診とマダニ除去の相談先(厚生労働省Q&A)
- 参考:マダニ刺咬時に皮膚科へ相談する目安(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A)
7−2. 刺された覚えがなくてもSFTSの可能性はありますか?
あります。
1章で紹介した国内患者133例の調査では、刺された記憶がある患者は半数以下でした。
屋外活動後に発熱したら、記憶の有無にかかわらず2−3の4点を伝えて受診してください。
- 参考:国内患者の刺咬歴・刺し口と屋外活動歴の調査(Kobayashi Yら、Emerging Infectious Diseases 2020;26(4))
7−3. SFTSは人から人にうつりますか?
患者の血液・体液や分泌物への曝露に関連した感染が報告されています。
国内では、患者の診療や死後の処置に関連した国内初の1例が2024年3月に公表されました。
ただし、感染が成立した機会や具体的な侵入経路は確定していません(詳細は3−2)。
本記事で参照した厚生労働省Q&Aと国内事例の報告には、会話や同居による感染率の記載は見当たりませんが、リスクがないことを示すものではありません。
家庭で看病する場面では、血液や吐物に素手で触れないことと、触れた場合の部位別の洗浄と医療機関への相談(3−2参照)が現実的な対策です。
- 参考:人から人への感染に関する公的説明(厚生労働省Q&A)
- 参考:国内で確認された人から人への感染事例(JIHS 病原微生物検出情報 Vol.45、2024年3月19日)
8. まとめ SFTSの予防と受診・相談の目安

SFTSへの備えは、「マダニとの接触を減らす」「屋外活動後の体調変化で受診をためらわない」「動物と住まいの相談は医療とは別の窓口に出す」の3点です。
今日から確認・実行できることを挙げます。
- 草地や藪に入る予定があれば、服装と虫よけ剤の対象表示を前日までに確認する
- 屋外作業や動物との接触の日付を記録し、2−2の表の観察期間中は体温と消化器の調子を意識する
- 発熱したらまず医療機関に連絡し、分かる範囲で活動歴や動物との接触を伝える。意識の異常や出血があれば情報整理を待たず救急要請する
- ペットの異変は動物病院、弱った野生動物は自治体、屋根裏や庭の気配は防除の相談窓口に、分けて相談する
善意で弱った動物を保護する行為は接触の機会を増やす側面があるため、触らずに専門の窓口へつなぐ判断を優先してください。
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