未開封のはずの食材が破れていたり、住まいや家具に覚えのないダメージがあったり、誰もいないはずなのに、誰かの気配を感じたり…それってもしかしてネズミかもしれません!そうしたわかりやすい兆候がなくても、床下や壁の裏、屋根裏などにネズミがいつの間にか棲みついている可能性もあります。ネズミは繁殖力が強く、家に棲みつくと厄介です。そこで、家に棲みつくネズミを駆除するために知っておきたい基礎知識と効果的な対策グッズ、対策方法についてご紹介します。
目次
家に棲みつくネズミは3種類
ひとくちに「ネズミ」といっても、さまざまな種類のネズミがいますが、家に棲みつくネズミは、ほぼ「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の3種類です。これらのネズミは「家ネズミ」と呼ばれている害獣で、衛生上良くないので、他の野生動物とは違い、許可なく駆除しても問題ありません。とは言え、どうやって駆除すればいいのでしょうか?
ネズミの種類によって生態が異なるため、対策方法も自ずと変わってきます。まずはこの3種類のネズミの生態について知っておくことです。そして、家に出入りしている?棲んでいる?ネズミがどのネズミなのかを特定できれば有効な対策を講じることができるでしょう。
ドブネズミの特徴と生態
大きな身体が特徴のドブネズミ。体の割に耳と尻尾が小さく、ずんぐりとした体型で体長は18〜25cmもあります。手足の色は白っぽいですが、身体の色は、濃い茶色や灰色をしており、暗い場所では見つけにくい色です。
“下水道にいるネズミ”というイメージがあると思いますが、ドブネズミは湿気の多い場所が好きで泳ぎが得意なため、水回り近くに棲みつくことが多いからです。泳いで移動することもあり、家の中では床下や床上に棲みつきます。排水管や床下を通ってトイレの便器から侵入する場合もあります。高いところに登るのは苦手なので、天井裏やマンションなどの高層階ではあまり見かけることはありません。
ネズミはなんでも食べる雑食なので、人間が食べる食材はもちろん、ペットフードや昆虫、石鹸や植物、生ゴミも漁って食べます。なんでも食べますが、ドブネズミは肉類や魚類などのタンパク質が好物です。
気性は荒く、物怖じせず、人を襲って怪我をさせてしまうことがあるほど獰猛な性格なので注意が必要です。
クマネズミの特徴と生態
日本に生息するアジア型のクマネズミは、ドブネズミよりも小さく、ハツカネズミよりも大きい家ネズミで、体長は約15 cm。体毛は茶色や黒で、身体よりも長い尻尾が特徴です。
クマネズミは、3種類の家ネズミの中で、もっとも繁殖力が強いネズミであり、驚異的な繁殖力を持ちます。また、3種類の中で、もっとも多くの被害が確認されている厄介なネズミです。
ドブネズミとは違って上に登るのが得意で、外壁や電線を伝って住宅の屋根裏・雨樋・換気扇・窓などの高所から住まいに侵入します。高層階へ侵入することもできます。
クマネズミの好物は、米・麦・トウモロコシなどの穀類、ヒマワリ・落花生などの種子類、イモ類、果実、野菜などです。ネズミはチーズを好むイメージがありますが、クマネズミはチーズを好んで食べることはありません。
性格は臆病で警戒心がとても強いので人間に見つからないように隠れて活動している印象です。
ハツカネズミの特徴と生態
ハツカネズミと言えば、小さくてかわいいペットのイメージがあるかもしれませんが、野生のハツカネズミは、住まいを勝手にかじったり、病原菌を撒き散らしたりする立派な害獣です。
身体は10 cm以下と小さく、尻尾は身体より短く、耳は大きく、身体の色は変種が多いのでさまざまですが、白ではなく黒や灰褐色が中心です。屋内外を問わず生息しますが、泳ぎは苦手で寒さに弱く、乾燥に強く、水がなくても長時間平気です。身体が小さいため、わずかな隙間から侵入することができ、倉庫内、天井裏やキッチンなどに棲みつき、穀物や植物質を食べます。
性格は穏やかで好奇心旺盛。警戒心はあまり強くありません。
それぞれのネズミがもたらす被害と対策について
水回りや床下で見かける大きなネズミはドブネズミ、天井裏や壁の向こうで走り回っているのがクマネズミ、小さくてすばしこいため目につきにくいけれど、小さな隙間から侵入して食材を荒らしているのがハツカネズミといったところです。
では、それぞれのネズミがもたらす被害と対策方法、効果的な対策グッズについて紹介します。
ドブネズミがもたらす被害と対策グッズ
被害
もしドブネズミが家に棲みついてしまった場合、私たち人間の暮らしにどのような被害をもたらすのでしょうか。
まず、すべてのネズミに該当しますが、モノをかじる習性が建物や家具にダメージを与えます。ガスホースや電気コードをかじると火事になる場合もあるので恐ろしい限りです。そして、凶暴なドブネズミに噛まれたり、襲われたりすることによる直接的な被害も懸念されます。ドブネズミは病原菌を持っているため、人と接触することで感染症を広げるリスクがあります。人間だけでなくペットも心配です。ドブネズミは雑食で肉類や魚類が好物なので、ペットによっては食べてしまう可能性もあります。
家に侵入したドブネズミが食材を食べる被害もあります。ドブネズミが接触した食材を口にしてしまうとさまざまな感染症や健康被害につながります。
対策グッズ
ドブネズミを駆除するための対策グッズとしては下記があります。
・殺鼠剤で駆除する
・トラップで捕獲する
・忌避剤や超音波機器で追い払う
殺鼠剤には、いろいろな種類や成分のものがありますが、いずれにしろ「エサに見せかけた毒で殺す」というものです。ネズミは巣にエサを持ち帰った食べる習性があるので、巣にいる他のネズミを退治できる可能性もあります。ただ、うまく食べて死んでくれたとして、死骸がどこにあるのかわからないというデメリットがあります。家のどこかで死骸が腐敗してハエやうじ虫などが発生するという二次被害につながります。また、ペットが間違って殺鼠剤を食べてしまうことも考えて設置する必要があります。
次に、好物のエサをおとりにカゴ式のトラップやバネトラップで捕獲する方法です。屋外でも屋内でも簡単に設置でき、再利用も可能ですが、1匹ずつの捕獲となり、大量の捕獲は難しいと言えます。また、捕獲したネズミの処理に抵抗がある方は不向きです。強力なバネ式トラップの場合、悲惨な姿になっていたり、瀕死の状態で生きていたり、強烈な見た目に対する覚悟が必要です。
死骸の処理をしなくてもいい方法が、ネズミの嫌な匂いや音で追い払う忌避剤や超音波機器の利用です。忌避剤は錠剤やスプレー、燻煙があり、ネズミの生息場所や被害の箇所に設置します。これは、匂いが残ることと効果が持続しないので、頻繁に交換したり、スプレーしたりしなければならないのというデメリットがあります。
超音波機器とは、人間が聞き取ることができない高い周波数の音をネズミは聞き取ることができるため、ネズミが嫌がる音を出して追い払うという方法です。これは、ペットがいればペットにも悪影響を及ぼす危険があり、ネズミが聞き慣れてしまうと効果がなくなる場合があるというデメリットがあります。
クマネズミがもたらす被害と対策グッズ
被害
日本におけるネズミ被害の中で一番多いのがクマネズミの被害です。クマネズミは全国で生息しており、都市部や農村地帯、湾岸施設などさまざまな場所で迷惑をかけている害獣です。
クマネズミは糞尿を垂れ流しながら家の中を徘徊するため、衛生環境がとても悪化し、人間の健康に悪影響を及ぼします。具体的には雑菌による食中毒、ダニによる皮膚炎やアレルギーなど健康被害をもたらせます。また、夜行性で人が寝静まってから活動するため騒音に悩まされることも多いです。
先述の通りモノをかじる習性はネズミに共通しています。住まいがかじられてボロボロになるだけでなく、電気コードをかじられると最悪の場合、停電や火災につながります。
飲食店や小売店など店舗でネズミが出没しているとなれば経営にも大打撃を与えます。実際、店内をうろちょろするクマネズミの動画がSNSで拡散され、営業停止に追い込まれたコンビニもあります。
クマネズミの繁殖力は強く、1年に数百匹に増えると言われています。また、クマネズミは適応力に優れているため、都市部の環境に適応し、進化したと考えられる「スーパーラット」とよばれる個体が存在します。殺鼠剤の毒に耐性があるため、通常の殺鼠剤で駆除することはできません。スーパーラットの見た目は通常のクマネズミと同じなので厄介です。
賢くて繁殖力の強いクマネズミが増殖すれば、全滅させるのは相当困難になるため、早い段階で確実に効く駆除対策を行うことをおすすめします。
対策グッズ
・ネズミ用粘着シートで捕獲する
・金属網、鋼鉄ウール、シーリング材を使用して屋根裏の隙間を封鎖
・殺鼠剤で駆除する
・忌避剤や超音波機器で追い払う
殺鼠剤でも死なない進化版もいるクマネズミですが、一日でもエサや水を摂取できないと死んでしまうことがあります。なので、徹底した食材の管理によってクマネズミが棲みにくい環境をつくることが対策になります。食材だけでなく、生ゴミ、ペットのエサ、生花、鉢植え、石鹸にも注意が必要です。それらはすべてクマネズミのエサになります。また、ダンボール、ビニール、紙類、布類は巣材になるので片付けましょう。
対策グッズとしては、住まいのどこにでも簡単に設置できるネズミ用粘着シートの利用がおすすめです。超音波機器や殺鼠剤などと比べて子供やペットへの影響も少ないというメリットがあります。
また、屋根裏に入るための隙間や穴を封鎖することが重要です。金属網、鋼鉄ウール、シーリング材などを使用して侵入経路を塞ぐ、換気口や通気口ををスクリーンや金網で覆う、などの対策が有効です。それ以前に、定期的な屋根裏の清掃と保守を行い、クマネズミが棲みつきにくい状態を保つことです。
殺鼠剤や忌避剤、超音波機器も試してみる価値はあるでしょう。
ハツカネズミがもたらす被害と対策グッズ
被害
ハツカネズミが家に棲みついた場合、まず食品の被害があります。キッチンや食材の収納スペースに侵入し、食い荒らします。寄生虫や病原菌を持っていることが多いので感染症に繋がる恐れがあります。他のネズミ同様、とにかく不衛生なので注意しましょう。ハツカネズミ自体も不衛生ですが、病原菌は排泄物にも含まれています。また、糞尿は悪臭を放つことはもちろんですが、ハツカネズミは特有の体臭を持っているためクサイ匂いの被害も見逃せません。また、ネズミなので、かじることによる住まいや家具のダメージもあります。電気コードなどの配線をかじられると漏電や家事の原因になるので注意が必要です。
対策グッズ
・殺鼠剤で駆除する
・ネズミ用粘着シートやトラップで捕獲する
・忌避剤や超音波機器で追い払う
小さな身体で小さな隙間から入り込んでくるハツカネズミ。対策としては、まずは侵入口を特定して封鎖することが効果的です。ただし、住まいのあらゆる箇所から侵入する可能性があるので侵入口の特定には専門性が必要です。また、エサを探して住まいに侵入するので生ゴミの管理も含め日々の清掃を怠らずエサになる得るものの管理を徹底しましょう。
ドブネズミやクマネズミと比べると学習能力も警戒心も高くないのでネズミ用粘着シートや殺鼠剤による駆除が効果的です。ただし、ネズミ用粘着シートは活動場所やだいたいの通り道を見極めて設置する必要があります。殺鼠剤を使用する場合は子どもやペットの誤飲に注意しましょう。
ハツカネズミは、警戒心よりも好奇心旺盛なので見慣れないバネトラップを仕掛けても一定の効果は期待できますが、一匹ずつの捕獲になるので粘着シートの方がおすすめです。忌避剤も併用してみると良いでしょう。
まとめ
家に棲みつくネズミは不衛生な害獣なので、だれもが捕獲・駆除して構いませんが、実際にネズミが棲みついたとなれば、捕獲・駆除は簡単なことではありません。どの種類のネズミなのか、どこにいるのか、どこから入ったのか、どのような行動をしているのかを特定し、ネズミの種類や個体、匹数を見極め、建物や家に住む人の状況を考慮しつつ、適切な方法で捕獲・駆除する必要があります。
さまざまな対策グッズが市販されていますが、ネズミ算と言われるように繁殖力が高いネズミに対し、単に殺鼠剤やトラップを仕掛けただけで根本的な解決に至るかどうか疑問です。
ネズミによる被害が拡大してしまう前に、専門知識を持ったプロの捕獲・駆除業者に依頼するのも一つの選択肢です。業者によって捕獲・駆除の考え方や方法、費用などが違ってくると思うので、まずは相談してみましょう。
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