今や日本国内でも目にする機会が多い「アライグマ」は、もともと日本には生息しない外来種でした。
現在は民家に棲みついたり・農作物を荒らす害獣として認識されており、放置するほどに被害が甚大になるため、早急な対処が必要です。
アライグマは、日本のどのあたりに住んでいて、どのように生活しているのでしょうか。
また、具体的な被害内容としてはなにが挙げられるのでしょうか。
本記事では、アライグマの特徴を詳しくご紹介していきます。
目次
外来種であるアライグマが日本で繁殖した理由
アライグマは、哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類であり、原産地はメキシコ・アメリカ・カナダなどが挙げられます。
北米原産であることからもともと日本には生息していませんでしたが、その可愛らしい見た目から人気を博し、ペットとしての飼育もしくは動物園で展示するといった目的で日本に持ち込まれました。
しかし、その外見に反して気性が荒く+攻撃的な性格をしていることもあって、飼いきれずに遺棄する人が続出してしまいます。
この遺棄されたアライグマたちが野生化・繁殖を繰り返し、日本でもその数が増えていくこととなりました。
日本に住むアライグマの数・分布は年々増えており、それと同時にアライグマによる被害も増加傾向にあります。
なお、アライグマの天敵はコヨーテやオオヤマネコといった動物が挙げられますが、日本にはこうした天敵がいなかったために急増したといわれています。
現在、アライグマは「外来生物法」によって特定外来生物に指定されています。
「外来生物法」とは?
まず、もともと日本に生息している生物種(動植物など)のことを「在来種」、日本に生息しておらず人為的に海外から持ち込まれた生物種のことを「外来種」といいます。
(日本国内でも、その地域に生息していなかった生物種が他地域から持ち込まれた場合も外来種とされる)
そして、外来生物法(正式名称:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)とは「外国から持ち込まれた動植物が、日本にもともといる在来種の生存を脅かすor国内で繁殖しないようにするための法律」のことです。
外来種はもともと日本に生息していない種であり、それが在来種の生態系に多大な影響をおよぼす可能性があります。
この外来種による被害を防止するために、2005年6月に外来生物法が施行されました。
また、外来生物のなかで、定着することで在来種が絶滅に追いやられる・人に被害をおよぼす可能性がある・農林水産業に悪影響をおよぼす恐れがあるものは「特定外来生物」に指定されています。
アライグマもこの特定外来生物に指定されており、以下の行為が禁じられています。
- 飼育・栽培・保管・運搬
- 日本国内への輸入
- 野外に放つ
- 特定外来生物を飼養する許可を得ている人が、許可を得ていない人に、譲渡・引き渡し・販売する
- 特定外来生物を、特定飼養等施設以外で飼養する
もしもこれら行為をおこなってしまうと、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられます。
なお、生態系・人の健康・農林水産業へ被害をおよぼす可能性があるかの実態が不明な外来生物は「未判定外来生物」に指定されます。
もし未判定外来生物を輸入する場合は、事前の届出が必要となり、輸入する際に種類名証明書の添付が必要な生物も存在します。
「鳥獣保護法」によって守られている
生態系・人的・農林水産業の被害が問題視されているものの、外来生物法によって扱いが規制されているだけでなく「鳥獣保護管理法」(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)によって守られている動物でもあります。
そのため、仮に被害が出ていても、許可なく勝手に捕獲・駆除することはできません。
鳥獣保護法の最終目的は「国民が自然環境の恵沢さを享受できるようにすること」、そして「地域社会が健全に発展すること」にあります。
もしも鳥獣保護法に違反した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処される可能性があるため、注意が必要です。
アライグマによる被害について
アライグマによる人的被害としては、主に以下が挙げられます。
- 騒音被害
- 健康被害
- 悪臭・建物への被害
- 農作物への被害 など
どれも十分な警戒が必要な被害といえますが、家屋内に潜む害獣の場合は「健康被害」と「悪臭・建物への被害」にはとくに警戒しておきましょう。
野生の動物は身体にさまざまな病原菌や寄生虫を宿しているため、不用意に接触すると健康面にリスクが生じる可能性があります。
また、動物のなかには「溜め糞」(同じ場所に糞尿をすること)をする習性があり、放置するほど糞尿が溜まって悪臭・健康被害・建物の劣化の原因となり得ます。
動物にとっては重要な行為(仲間に自分の健康状態やエサ場などの情報を伝える手段の一つ)ではあるものの、人間にとっては迷惑以外のなにものでもありません。
放置しておけば、腐食による建物の倒壊にすらつながる恐れがあるため、できる限り早急に対処すべきといえるでしょう。
アライグマによる被害は専門業者に相談しよう!
アライグマは「外来生物法によって扱い方が規制されている」「鳥獣保護法によって許可なく捕獲や駆除ができない」という点から、専門家以外がむやみに対処することが困難な害獣です。
しかし、騒音被害・糞尿による悪臭や建物への被害・人やペットへの健康(咬傷)被害・農作物への被害など人々の生活に多大な悪影響をおよぼす可能性があることから、もしも家屋や敷地内に住み着いた場合は早めの対処が必要といえるでしょう。
「追い出し」などある程度は素人でも対処は可能なものの、もしアライグマの被害に悩まされている方・早急に問題を解決したいという方は、害獣駆除の専門業者に相談してみることをおすすめします。
アライグマなどの害獣に精通したプロの業者であれば、家屋・敷地内に潜むアライグマへの対処や再発防止まで徹底しておこなってくれるでしょう。
また、アフターフォローが充実している業者に依頼すれば、万が一被害が再発した場合も無料・格安で対応してくれます。
専門家以外が対処するには限界があるため、アライグマの被害を懸念している方は、できるだけ早めに専門業者に相談してみましょう。
アライグマに関するよくある質問
本章では、アライグマに関するよくある質問をいくつかご紹介します。
アライグマはどこに生息しているの?
アライグマは、現在日本の各地で目撃されています。
夜行性であるためとくに目撃例が多いのは夜間ですが、なかには朝や昼間に行動するケースもあります。
また、アライグマの環境への適応範囲は非常に広く、日本国内では都会のビル群・農村地帯・人があまり立ち入らない山間部の森林地帯など広範囲に分布しています。
通気口などを通って屋根裏や天井裏に入り込み・棲みつくケースもあるため、日本のどこに住んでいても被害が発生する可能性はあるといえるでしょう。
アライグマの特徴は?
アライグマの見た目の特徴としては、主に以下が挙げられます。
- 頭・胴体の長さは40~60㎝、尾は20~40㎝ほどの大きさ
- 平均体重は5㎏ほどで、なかには10㎏を超える個体もいる
- 目の周辺を覆う黒い模様がある
- 縞々(しましま)模様の尾があり、尾の縞は5~7本ある など
アライグマとよく似た動物として、タヌキやハクビシンが挙げられますが、それぞれ見た目に若干の違いがあります。
たとえば、タヌキは「アライグマに比べ足が長く・黒い」「顔の黒模様は左右つながっていない」「尾に縞模様(リング模様)がない」などが挙げられ、ハクビシンの場合は「胴長短足」「尾が胴体に匹敵するほど長い」「尾の縞模様がない」「目の周りが黒くない」などの違いが挙げられます。
よく見ると他にもさまざまな違いが見られますが、動物の生態に詳しくない方からするとパッと見た違いがわからないケースも多いかと思います。
いずれも害獣になり得る存在であるため、もしも家屋や敷地内で発見した場合は、できるだけ早急に対処を施すべきといえるでしょう。
アライグマが好む食べ物は?
アライグマは雑食性であり、果実・木の実・昆虫・小動物・卵・魚介類などさまざまなものをエサとします。
そのなかでも、特に甘いものを好む傾向にあり、糖度が高い農作物を狙って食べることが多いようです(農作物が荒らされる理由の一つといえる)。
また、人里に下りてきたアライグマは「人が捨てた生ごみすら食べる」ことから、アライグマが出現する場所であればどこにでも棲みつかれる可能性があるといえるでしょう。
アライグマの侵入を防ぐ方法は?
アライグマの侵入を防ぐ有効手段として「アライグマにとって棲みつきにくい環境を作る」ことが挙げられます。
大まかに以下の2つがポイントといえるでしょう。
- エサとなるものを極力なくす
- 休息・繁殖ができる場所をなくす
アライグマのエサとなり得るものは多くありますが、たとえば「農作物は収穫期を迎えたらすぐに収穫する」「部屋を適度に掃除し清潔な環境を保つ」などが挙げられるでしょう。
人里に下りてきたアライグマは生ごみも食べる可能性があるため、生ごみを必要以上に溜めないよう定期的に捨てることも大切です。
そして、アライグマにとっての休息・繁殖場所の一つとなり得る場所は民家の屋根裏や天井裏であり、対策法として「侵入経路を徹底的に塞ぐ」「忌避剤や超音波などアライグマが嫌がる匂い・音を発する」ことで妨害することができます。
忌避剤や超音波発生装置は、ホームセンターやネット通販でも購入できるため、侵入対策として設置してみるのもよいでしょう。
アライグマって人に懐くの?
アライグマは見た目こそ可愛らしいものの、非常に気性が荒く攻撃的であり、人間に懐くことがほとんどない獰猛な動物です。
また、野生のアライグマは「狂犬病」や「アライグマ回虫症」といった人間に感染するウイルス・病原菌・寄生虫を宿しているだけでなく、ノミやダニによる皮膚病やアレルギー疾患など、さまざまな健康被害を引き起こす可能性があるため、むやみに接触すべきではないといえます。
「可愛いから」といって下手に手を出すと、引っ掻きや噛みつかれる+健康被害を引き起こす可能性があるため十分な警戒が必要といえるでしょう。
とくに、小さなお子さんやペットと一緒に住んでいる場合は、より注意が必要です。
まとめ
現在は日本の全国各地に住み着いているアライグマですが、もともとは外来種であり、日本には生息していない動物でした。
それが、人間の都合により日本に持ち込まれたものの「自身の手に負えないから…」といって遺棄され、繁殖・害獣指定されてしまったのが現状といえます。
アライグマ自身に罪はないものの、人間にとってさまざまな悪影響をおよぼす可能性があるため、いずれにせよ放置しておくのは危険といえるでしょう。
ただし、アライグマは「外来生物法によって扱い方が規制されている」「鳥獣保護法によって許可なく捕獲や駆除ができない」という点から、専門家以外がむやみに対処することが困難な害獣です。
もしも「家屋や敷地内にアライグマが侵入・棲みついている可能性がある」と判断した場合は、早急に害獣駆除の専門業者に相談してみることをおすすめします。
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