コウモリが家の中に居たり、急に入ってきたら驚いてしまうと思います。
突然のことでどうしていいかわからず、スマホで対処方法を検索した、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
害獣駆除の対処法の一つに「超音波」を使用することがあります。
スマホのアプリの中には「超音波」を発生させるアプリがあり、手近にあるスマホで対応できたら助かりますよね。
コウモリの生態を踏まえながら、コウモリ駆除の超音波発生装置の有効性と、すぐに対処したい時に使える超音波アプリについて紹介します。
目次
超音波とコウモリの関係性
コウモリの生態の特徴
まず、なぜ「超音波」を使うのでしょうか。
コウモリにどのような影響があるのか説明します。
それはコウモリの環境を認識する能力「エコーロケーション」(反響定位:はんきょうていい)が関係しています。
コウモリのエコーロケーションは、彼らが環境を把握し、獲物を捕らえるため、音の反響によって周囲の環境を知覚する技術です。
コウモリは超音波を発信し、それが周囲の物体に反射して戻ってくるエコーを解析することで、物体の位置、距離、さらには形状や質感までを識別できます。
コウモリは喉頭を使って、口や鼻から放出される超音波を生成します。
中には、舌を使ってクリック音を出すものもあります。
コウモリは反射して戻ってきたエコーを聞き、信号が送信されて返されるまでの時間と周波数のシフトを比較して、周囲の地図を形成するための音を利用します。
コウモリはこのように音を使って完全な暗闇の中でも「見る」ことができるということです。
また、コウモリは耳も敏感に機能し、周囲の音を聞くことによっても獲物を見つけるのを可能にし、地上に生息する昆虫の動きや昆虫の翅の羽ばたきを聞くことができます。
以上のことからエコーロケーションは、コウモリが暗いところでも素早く自由自在に飛び回ることを可能にしており、獲物を効率よく捕獲するための重要な能力です。
超音波だけでの駆除の限界
超音波発生装置は、コウモリのエコーロケーションを混乱させることで駆除につなげる装置になります。
結論からお話すると、超音波を使用しても、コウモリが逃げていったり即効性があるものではないということです。
旋回するように飛び回っていたコウモリが床に留まったり、動きがにぶくなるということはあります。
ただし、法律上傷つけることはできませんので、そこから外に追い出したり、追いやったりする必要があります。
また、超音波に慣れてしまい効果が薄れることや、超音波を鳴らす方向が難しい点に注意が必要です。
より効果的に駆除を行う為には、追い出した後に、再度入ってこないようにすることや、寄せ付けないような対処をすることが重要となります。
超音波アプリを使用してみる
前章に記載した生態や注意点を踏まえて、超音波を使用してみましょう。
コウモリの周波数
日本国内で見かけられるコウモリは、ほとんどが「アブラコウモリ」という種類で、別名「家コウモリ」とも呼ばれています。
このアブラコウモリは、家の軒下や屋根裏などの暗い場所を好み、身体が小さいため、狭い隙間や小さな窓からでも侵入してくることができます。
アブラコウモリは、おおむね20kHzから100kHzの周波数の超音波を発します。
コウモリが使用している周波数と同じ周波数の超音波を使用していきます。
慣れてくると自分で出す超音波の周波数を変えるなど順応性があるため、複数の周波数を試してみることも必要となります。
超音波アプリを使ってみる
今すぐに試してみたい方はスマホで「アプリ」「超音波」と検索してダウンロードしてみてください。
AndroidであればGooglePlay、iPhoneであればAppStoreでアプリのダウンロードが可能です。
あくまで例になりますが、アプリを3つ紹介します。
周波数ジェネレータ (Android 対応)
このアプリは、10種類の信号生成ツールを提供しています。
単一周波数、マルチ周波数、音符、バイノーラルビートなどが含まれています。
周波数は1Hzから22kHzまで調整可能で、サイン、スクエア、トライアングル、ノコギリ波の波形を生成できます。
超音波バリア (Android/iPhone 対応)
15kHzから20kHzの超音波に対応しています。
ハエ、蚊、犬、猫、ネズミ、人(若者)などの選択肢があります。
超音波アプリ – 音 周波数 ジェネレーター 超音波バリア (Android/iPhone 対応)
20Hzから20,000Hzまでのさまざまな音色を生成できます。
一例ですが、こういった超音波アプリをダウンロードできます。
絶対に効果があるわけではありませんので、ご理解いただいたうえで使ってみてください。
中には、コウモリに対応していると書いていないものでも、該当する周波数を出せるアプリもあります。
超音波アプリの注意点
アプリによりますが、使用する際に気を付けておきたいことがあります。
超音波アプリの注意点
・無料プランだと1日の使用回数に制限がある
・急に広告が流れる
・スマホ本体の音量を大きくしていると、広告の音が大きな音のまま流れる
・音が途切れてしまう(バックグラウンド再生ができない・本体がスリープモードになりアプリも中断してしまう)
アプリだけで駆除を行おうと思うのはあまり現実的ではありません。
あくまで補助的であったり、一時的に使用するものと考えましょう。
超音波発生装置を使ってみる
市販でコウモリ用の超音波発生装置は販売されています。
コウモリが使用する周波数帯域で超音波を発信する装置を使用します。
コウモリが獲物や障害物を識別する能力を低下させる効果があります。
様々なメーカーが販売していますが、2,000円~10,000円程度で購入できます。
継続的に使用することができ、設置の仕方を工夫できる点から、スマホのアプリよりも安定して使用が可能となります。
超音波発生装置の設置難易度
超音波発生装置はただ置けばよいというわけではありません。
超音波にはまっすぐ進む性質があるため、設置位置と向きに注意が必要です。
正しく設置しないと効果が低くなる可能性があります。
他の駆除方法と組み合わせる
超音波だけでは完璧な駆除は非常に難しいです。
他に組み合わせて使用できる駆除方法を紹介します。
物理的な障害物
コウモリの飛行経路に物理的な障害物を設置することで、エコーロケーションの信号が反射しにくくなり、コウモリのナビゲーションを妨害することができます。
通り道や巣穴に物理的な障害物を設置することで、彼らの活動を妨げることができます。
適応能力が高いため、行動パターンをよく理解しておくことが必要となり、高い効果を望めない可能性があります。
再侵入を防ぐ
コウモリはわずか3cmの隙間があれば侵入できます。
追い出した後は、侵入できる穴や隙間がないかよく確認してください。
例えば以下のような対処方法があります。
- 換気口のネットカバー
- 壁の亀裂や隙間をシーリング材で埋める
- 外壁やシャッターに金網を設置する
思わぬところが侵入口になっていないか今一度点検してみましょう。
駆除を行う際に気を付けたい「鳥獣保護管理法」について
自分でコウモリ駆除を行う際に対応できる、超音波を使った方法と物理的な方法を紹介しました。
コウモリのエコーロケーションに影響を与える方法については、科学的な研究や実践的な応用でいくつかの方法が提案されています。
ただし、これらの方法はコウモリの生態系への影響を考慮しなければなりません。倫理的な観点から慎重に行いましょう。
コウモリは「鳥獣保護管理法」で保護されており捕獲が禁止されています。
鳥獣保護管理法とは、鳥類または哺乳類に属する野生動物の捕獲と駆除を禁じている法律で、哺乳類であるコウモリはこの鳥獣保護管理法が適用されます。
原則として、捕獲・殺傷は禁止されていますので、超音波発生装置を使用する際は注意してください。
プロのアドバイスと相談先
超音波を使ったコウモリ駆除について説明してきました。
一時的な混乱を引き起こす超音波の効果を理解し、周波数や設置の向き等、適切な対策を講じることが大切です。
手軽に取り組めるアプリを使った方法を紹介しましたが、コウモリ退治にはプロの知識と経験が必要であり、被害状況に合わせたアプローチを検討することをお勧めします。
また、超音波アプリはペットにも影響を及ぼす可能性があります。
ペットを飼っている場合は、ペットの体調に注意して使用するか、他の対策方法を検討することも大切です。
コウモリ駆除の超音波アプリを使う方法は、一見簡単で安全そうに見えますが、実際にはあまりオススメはできません。
即効性はなく、思ったような効果が得られにくいことや、コウモリを混乱させたところで外へ追い出さなくてはいけません。
病原菌を保有していることや、ダニやトコジラミの寄生虫がいる場合があり、衛生面でも気を付ける必要があります。
自分で対応するよりも費用がかかりますが、害獣駆除業者に相談することも大切です。
一時的な方法と、業者に依頼し確実に駆除する方法で、状況に合わせて被害が大きくなる前に対処しましょう。
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