害獣の一種であるハクビシンが屋根裏に棲みつくと、人と住宅の両方にさまざまな被害がもたらされます。
しかし、屋根裏に棲みつく害獣や害虫の種類は多く、普段人が出入りする場所ではないため対処が難しい場所といえるでしょう。
本記事では、屋根裏に棲みついたハクビシンの適切な追い出し方をご紹介します。
ハクビシンの特定方法や自身でできる予防法についても解説しておりますので、屋根裏に潜む害獣に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
目次
ハクビシンが屋根裏に棲みつく理由とは?
ハクビシンなどの野生動物が市街地に侵入し、害獣被害を与えるケースが増加しています。
特に、ハクビシン・ネズミ・イタチ・アライグマ・タヌキ・テン・コウモリといった動物は、屋根裏に棲みつく傾向が強いといえるでしょう。
自然界に生息する野生動物が屋根裏を住処とする最大の理由は、単純に「居心地のよい快適な空間だから」です。
【ハクビシンが屋根裏を好む理由】
- 暖かく、断熱材などを用いて巣も作りやすい
- 雨風をしのげる
- 天敵に襲われにくく、人もめったに出入りしない
- 昆虫や小動物など、エサとなるものが入り込んでくる
- 人間の食べ物にも容易にアクセスできる など
自然環境が激減し居場所をなくした動物たちが、棲みやすい屋根裏に巣を作るケースが増加しているのです。
屋根裏は子どもを育てる環境にも適しており、一度棲みつかれると繁殖しどんどん害獣被害が拡大していくでしょう。
ハクビシンが屋根裏に生息しているサインとは?
ハクビシンが屋根裏に生息しているサイン(兆候)としては、以下のようなものが挙げられます。
- ゴミ箱や家庭菜園が荒らされている
- 天井から鳴き声や足音が聞こえる(特に夜間)
- 天井裏に枯れ草や毛が巣のようにして集まっている
- 天井から悪臭がする、天井にシミができている
- 犬のフンに似たものが屋根裏や庭に落ちている など
上記のような場合、すでにハクビシンなどの害獣が棲みついている可能性が高いため、早急に対処を講じる必要があるでしょう。
ただし、清掃が行き届いていない天井裏には、どんな害獣や害虫が潜んでいるかわかりません。
素人が天井裏を点検することは、手間だけでなく怪我や感染症などのリスクをも伴うため、無理に対処しようとせず害獣駆除の専門業者に相談することをおすすめします。
ハクビシンが屋根裏に浸入する主な経路はどこ?
ハクビシンの身体は非常に柔らかく、わずかな隙間からも侵入できます。
個体差はあるものの、頭が入るほどの穴(直径9cmほどの円や1辺8cmほどの正方形の隙間など)であれば入り込むができるといわれています。
また、木登りが得意な動物のため、屋根や壁といった高い位置にある穴・隙間からも侵入してきます。
特に、建物においてハクビシンがよく利用する侵入経路は以下が挙げられます。
- 壁や屋根の穴が空いている箇所
- 屋根同士が重なっている隙間
- 通風口や床下にある隙間
以下、順に詳細をご紹介していきましょう。
壁や屋根の穴が空いている箇所
壁や屋根に穴が空いている箇所があれば、そこがハクビシンの侵入経路になりやすいでしょう。
特に、外壁と内壁の間に空間がある(二重構造になっている)家では、外壁から内壁まで登って屋根裏に侵入する可能性があります。
穴が空く原因はさまざまですが、「築年数が古く劣化している」「台風や自身などの自然災害で破損してしまった」というケースが考えられます。
壁や屋根に穴が空いたまま放置していると、ハクビシン以外の害獣や害虫もしやすくなりますし、カビやダニなどの発生を招く・雨水や湿気が入り込んで家の劣化を早めるといった恐れもあり注意が必要です。
適度に家の周辺を点検し、もし壁や屋根に穴が空いていた場合は、早急に修理することをおすすめします。
屋根同士が重なっている隙間
屋根同士が重なっている隙間も、ハクビシンにとって便利な侵入経路となり得ます。
瓦葺きの屋根は、瓦が剥がれやズレで隙間ができやすく、屋根の形状によっては屋根の角や谷部分に隙間ができることもあるでしょう。
こういった隙間から侵入し、屋根裏に棲みつく可能性が高いため注意しておかなくてはいけません。
対策法は、定期的に屋根の状態をチェックし、瓦の剝がれやズレがあれば修正することです。
隙間を、金網・パンチングメタルなどで塞ぐことも有効な手段といえるでしょう。
ただし、不慣れな方の高所作業は大変危険なため、定期点検を含め自身で無理に対処しようとせず、業者に相談することをおすすめします。
通風口や床下にある隙間
ハクビシンなどの害獣は、屋根や壁といった高い位置にある穴・隙間だけでなく、通風口や床下などの低い場所にある穴や隙間からも入り込んできます。
通風口とは家の基礎部分や外壁にある空気の出入り口のことであり、侵入経路になりやすい場所の一つです。
通風口は家の中の空気を循環させるために必要であり、金属製のフタや金網で覆われているのが一般的です。
しかし、経年劣化などでフタが外れたり・金網が壊れたりすることがあり、他にもハクビシンなどの害獣が自身でフタを外したり・金網を嚙み切ったりするケースもあります。
そのため、定期的に通風口の状態をチェックし、必要に応じてフタや金網を修理しましょう。
また、通風口を金網やパンチングメタルで補強することも効果的です。
侵入経路はどうやって探せばよい?
ハクビシンの侵入経路を探す際のポイントの一つとして、足跡やフンなどの痕跡を探すことが挙げられます。
ハクビシンは縄張り意識が強く、自身が通った道に足跡やフンなどの痕跡を残すことが多いとされています。
そのため、痕跡のある周辺をくまなくチェックし、上記でご紹介した穴や隙間を見つけることができれば、侵入経路を特定できる可能性が高いといえるでしょう。
ハクビシンの痕跡には、以下のような特徴があります。
- 足跡の大きさは約4~5cmで、後ろ足は少し縦長となっている
- 5本指で、足跡に指先・爪先がはっきりと残る(ただし肉球はあまり目立たない)
- 爪が長く鋭いため、木・壁などに引っかき傷を残すことがある
- フンは長さ5cmほどで細長く、黒や茶色の色をしている
- 雑食性のため、糞には果物や魚などの食べ物の残りが混ざっていることもある など
ただし、足跡やフンは他の動物と似ているため、ほんの小さな違いからハクビシンと断定するのは難しいともいえます。
また、侵入経路は一つだけとも限らないため、素人がすべての侵入経路を探し出すのは至難の業です。
痕跡があるということは、付近にハクビシンなどの害獣が潜んでいる可能性が高いということであり、手間だけでなく接触時のリスクなども考慮しなければいけません。
無理に対処しようとせず、自身の手に負えないと判断した場合は、早めにプロの業者に相談することをおすすめします。
屋根裏にいるハクビシンが起こす害獣被害とは?
ハクビシンが屋根裏に棲みつくことによって、建物やそこに住まう住人にさまざまな被害が発生します。
本章では、屋根裏にいるハクビシンが起こす害獣被害についてご紹介します。
糞尿による健康被害や建物の腐食
ハクビシンは縄張り意識が強く、棲みついた家屋に糞尿をまき散らします。
また、ハクビシン自身が糞尿を掃除することはなく、かつ溜め糞という同じ箇所に糞尿をする習性があることから、放置するほどに糞尿が蓄積されていきます。
ハクビシンの糞尿はツンとしたアンモニア臭のような臭いを発し、溜まれば溜まるほど強烈な悪臭を放つようになるでしょう。
悪臭による健康被害だけでなく、糞尿による建物の腐食といった被害が発生する恐れがあります。
もしも悪臭を感じたり・天井にシミができていた場合は、早急にハクビシンの追い出しと糞尿の清掃・消毒をおこないましょう。
ただし、自身で対処する場合は以下の点にご注意ください。
- ハクビシンを自治体の許可なく駆除することはできない
- 糞尿は不衛生かつダニやうじ虫といった害虫が付着しているため、絶対に素手では触らない
- 屋根裏の点検はリスクを伴うため、防護対策を徹底しておこない、二人以上で作業をおこなう など
ハクビシンの防除はもちろん、不慣れな方が屋根裏の点検をおこなうこと自体リスクを伴うため、少しでも不安を感じる方はプロの業者に相談したほうがよいといえるでしょう。
足音や鳴き声による騒音
ハクビシンを含め害獣の多くは夜行性であり、人々が寝静まった夜間に活発に活動することが多いとされています。
夜間は周囲の生活音も少なくなるため、天井裏から聞こえる足音や鳴き声が騒音となって住人に健康被害をもたらす恐れがあります。
また「屋根裏に得体の知れないなにかがいる…」と不安を感じる方も多いでしょう。
騒音問題は、人によっては睡眠障害やノイローゼを発症する可能性もあるため、注意が必要です。
足音や鳴き声が聞こえるということは、何かしらの害獣が潜んでいることの証明となるため、被害が拡大するために早急に対処を講じましょう。
食い荒らしや物損
ハクビシンは雑食性であり、果物・野菜・昆虫・小動物だけでなく、人が廃棄する生ごみなども平気で口にします。
エサ場の近くに巣を作る習性があることから、屋根裏をねぐらにして家屋周辺の食い荒らしをおこなう可能性は高いといえるでしょう。
また、屋根裏にある断熱材や配線などを噛んだり・引っ掻いたりすることも多く、家の劣化や火災の原因といった二次災害につながる恐れもあります。
ハクビシンなどの害獣が家屋に棲みつくデメリットは計り知れないため、害獣そのものや痕跡を発見した際は、早急に対処することをおすすめします。
感染症などの病気の発症
ハクビシン本体、そしてハクビシンの糞尿には多数の病原菌や寄生虫が付着しており、不用意に接近すると感染症などの病気を発症するかもしれません。
また、ハクビシンは本来臆病な性格をしているものの、不用意に近づくと噛まれたり引っ掻かれることもあり、その傷口を介して感染症を発病する恐れもあります。
特になりやすい感染症としては、サルモネラ症が挙げられます。
(感染すると発熱・下痢・腹痛・嘔吐などの症状が出たり、重篤な場合は命に関わる可能性もある)
感染症などの病気の発症は、ハクビシンに限らず害獣・害虫の多くが対象となるため、極力不要な接近を避け、プロの業者に対処をお願いしたほうがよいといえるでしょう。
屋根裏にいるハクビシンにできる対策とは?
ハクビシンを含む害獣の多くは、鳥獣保護管理法という法律によって保護・管理されており、許可なく捕獲・殺傷ができません。
そのため、一般の方ができる対策は、追い出しと侵入防止の2点が主になります。
本章では、一般の方でもできるハクビシンの対策法についてご紹介します。
対策法①:ハクビシンが棲みつきづらい環境を整える
ハクビシンにとって棲みにくい環境を整えることで、追い出しや侵入防止効果を高めることができます。
その方法としては、主に以下が挙げられます。
- ハクビシンのエサとなり得るものを極力排除する
- 忌避剤を利用する
- ハクビシンが苦手とする音(超音波)や光を活用する
特に、清掃を徹底しエサとなるものを極力排除することが効果的です。
たとえば、生ごみを置いておく際はフタつきのもので厳重に保管する・ごみは収集日の直前に出す・畑や家庭菜園をしている方は野菜や果物を早めに回収し、廃棄予定の農作物も早めに廃棄する、などです。
これは、ハクビシンだけでなく、他の害獣・害虫などにも効果があるでしょう。
後は、ハクビシンが嫌う臭い(忌避剤)・音(超音波発生装置)・光(ライト)などを用いて、居心地を悪くするのも効果的です。
ハクビシンは臆病な性格をしているため、罠を設置することで警戒して近寄りづらくなるかもしれません。
上記の罠は、ホームセンターやネット通販などで購入できるため、予防しやすいのも特徴に挙げられます。
ただし、同じ罠を使い続けているといずれは慣れて警戒心を緩めてくるため、適度に設置場所や罠の種類を変えてみることをおすすめします。
対策法②:ハクビシンの侵入経路を封鎖する
上述でも記載した通りハクビシンの建物への侵入経路は複数存在し、この侵入経路を封鎖することで、ハクビシンの家屋への浸入を防ぐことができるはずです。
換気口などの隙間に金網やパンチングメタルをはめ込む際は、ハクビシンの体を通さないように目が細かく頑丈なものを選びましょう。
また、ハクビシンは木登りが得意なため、建物に連なる木の枝や蔦を切り落とすことで、高所からの侵入を防ぐこともできます。
なお、すでにハクビシンが家屋に浸入している形跡がある場合は、家屋内に閉じ込めてしまわないように、家屋に潜むハクビシンを追い出したあとで侵入経路を封鎖してください。
ハクビシンへの対策は無理せずプロに依頼しよう!
ハクビシンへの対策は素人でもある程度はできるものの、捕獲するには許可が必要かつ手間やリスクを伴うといった注意点もあり、できることには限りがあります。
もし、自身で対処することに少しでも不安を感じる方は、害獣駆除の専門業者を頼ってみるとよいでしょう。
【プロの業者に依頼するメリット】
- 現地調査によるハクビシンの数や侵入経路の特定
- 徹底的な駆除と再発防止
- 巣の撤去や糞尿の清掃、消毒
- 再発時の迅速な対応(保証制度を利用している場合) など
良質な業者に依頼すれば、中・長期的にハクビシンを含む害獣や害虫の被害に悩まされることなく日々の生活を送ることができるでしょう。
業者にもさまざまな種類が存在し、費用・サービス・保証内容に違いが見られるため、よりよい業者を選ぶためにも複数の業者に現地調査・見積もりを依頼することをおすすめします。
まとめ
ハクビシンが屋根裏に棲みつくと、建物や住人にさまざまな害獣被害をもたらします。
また、屋根裏に浸入・棲みつく害獣・害虫はハクビシン以外にも数多く存在し、そのどれもが人々にとっての脅威となり得るでしょう。
もしも「屋根裏に何かが潜んでいる」「生き物の痕跡を発見した」という場合は、被害が広がる前に対処を講じましょう。
一般の方でもある程度の対策はできますが、一度棲みついた害獣を追い出す・駆除することは困難を極めるため、被害が広がる前にプロの業者に相談することをおすすめします。
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