自宅や近所でハチが出没した・ハチの巣ができているという場合、どのように対処すればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。
害虫駆除業者に依頼すればお金がかかるため、もし市役所に相談して無料で駆除してもらえるならもっとも格安かつ安全な方法といえるでしょう。
この記事では、ハチの駆除は市役所で対応してもらえるのか?やハチの駆除に関して市役所が実施しているサポート内容についてご紹介します。
市役所によっては、防護服やハチ駆除に必要な道具を貸し出してくれることもあるため、自力でハチを駆除する方法についても解説いたします。
目次
【ハチの駆除】市役所が実施しているサポートとは?
本章では、市役所がおこなっているハチの駆除に関するサポート内容をご紹介します。
窓口や電話での無料相談
市役所では、窓口や専用ダイヤルなどでハチ駆除に関する無料相談をおこなっているケースがあります。
「家や家の周辺でハチの巣を見かけたが、駆除したほうがよい?」「どのように駆除すべき?」など、自身で判断ができない場合は、お住いの自治体にある市役所に相談してみるのもよいでしょう。
地域によって相談範囲には違いが見られ、また相談受付の記載がない場合でも問い合わせすることでアドバイスがもらえることもあるようです。
詳細は、管轄内の自治体のホームページや電話で確認を取ってみてください。
無料駆除
自治体のなかには、ハチの駆除を無料で実施しているところもあります。
たとえば東京都新宿区では、区内にお住いの方から相談を受けた際、自治体側が業者に委託してハチの巣の除去をおこなっています。
(新宿区の場合、以前はスズメバチの巣のみを対象としていたが、現在はスズメバチ以外のハチの巣も対象としている)
ただし、自治体側がハチの巣駆除を実施してくれることは稀であり、仮に対応してくれたとしても「スズメバチのみ対応可」や「所有者もしくは管理者の同意や立ち合いが必要」など、一定の条件が求められることがほとんどです。
対応の有無・条件などの詳細は、お住いの自治体に確認を取ってみましょう。
害虫駆除業者の斡旋
自治体による無料の駆除作業はおこなわれないものの、ハチ駆除の専門業者を紹介してくれるケースはあります。
駆除業者のなかには、高額な駆除費用を(後から)請求してくる・いい加減な作業しかおこなわずすぐに被害が再発した…といった、悪質な業者も存在します。
ハチの駆除を依頼する機会も早々ないため「いきなり業者に連絡するのはちょっと怖い…」という方も、自治体を通して安心して利用できる業者を知ることができるでしょう。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 市役所から紹介を受けても、業者依頼時の費用は自己負担(自治体によっては補助金制度を活用できるケースもある)
- 業者への駆除依頼は、役所が仲介するパターンと自身で依頼するパターンがある
- かならずしもベストな業者を紹介してくれるわけではない
自治体が紹介してくれるのは、地域にある業者(役所が委託契約をした業者)であり、役所側も業者のすべてを把握しているわけではありません。
相見積もりを取って複数社を比較することで、より自身にあった優良な業者を見つけることができると理解しておきましょう。
必要な道具の貸し出し
自治体側で駆除や費用面のサポートはされないものの、自力で駆除する際の支援としてハチ駆除に必要な道具を貸し出してくれる場合があります。
ただし、駆除に必要な道具のすべてを提供してもらえるわけではなく、借りられるのは防護服だけで、駆除に必要な殺虫剤などは市販のものを別途用意しなければいけないケースもあるでしょう。
防護服などを役所から借りる際は、書面上の手続き(申請書の提出)が求められる点も理解しておきましょう。
なお、自力でハチを駆除するには手間とリスクが生じるため、役所に駆除方法のアドバイスをもらう・インターネットなどで駆除方法を確認するなどして、十分な知識を得てから実行してください。
補助金制度での支援
自治体のなかには、市で直接ハチ駆除はおこなわないものの、業者依頼時の駆除にかかった費用の一部が補助される補助金制度を利用できることがあります。
ただし、制度の対象となるには条件を満たす必要があり、たとえば茨城県ひたちなか市では以下の条件が求められます。
- スズメバチの巣であること
- 個人の住居等(市内の専用住宅または店舗併用住宅の住居部分・付属建築物)およびその同一敷地内に営巣したものであること
- 駆除委託先が市内の業者であること
- 駆除前・駆除中・駆除後の様子およびスズメバチの巣であることが分かる写真があること
- 駆除が完了した日から1か月以内に申請すること(1か月を超えると補助されない)
また、あくまで駆除にかかった費用の一部を補助してもらえるだけであり、補助金額には条件が設けられている点にも注意しておきましょう。
(茨城県ひたちなか市であれば、駆除にかかった費用のうち10,000円を上限とする)
補助金制度を活用するには細かな条件を満たし、かつ期限内に必要書類を提出する必要があるため、制度の利用を検討している方はその詳細を事前にしっかりとチェックすることが重要です。
市役所にハチ駆除を相談する際の注意点
本章では、市役所にハチ駆除を相談する際の注意点をご紹介します。
サポートの有無・範囲は市役所(自治体)によって異なる
残念ながら、上項でご紹介したすべてのサポートを、すべての自治体がおこなっているわけではありません。
サポートの有無・サポート内容・制度を利用する条件などは自治体によって異なります。
なかには「危険度が高い(危険だと判断された)場合」のみ対応可能というケースもあります。
まずは、お住いの自治体がどのようなサポートを実施しているのか?自身はどのようなサポートを受けたいのか?(必要な条件はなにか)などをホームページや問い合わせなどで確認してから、具体的な相談に赴くとよいでしょう。
スズメバチのみ対応しているケースも多い
家屋などに巣を作るハチにもいくつかの種類がありますが、そのなかでもスズメバチは群を抜いて危険性(攻撃性・毒性)の高いハチです。
そのため、無料駆除や補助金制度などの条件として「スズメバチのみ対象」としている自治体も多いことを理解しておきましょう。
ただし、自治体によってはアシナガバチやミツバチなど別のハチにも対応しているケースもあるため、こちらも事前のチェックが不可欠といえます。
対応に時間がかかるケースがある
市役所で相談や無料駆除を実施してもらえたとしても、対応までに時間がかかるケースもあります。
基本的に役所の窓口は平日のみ対応しているため、仕事などで土日しか動けないという方は、窓口での相談や駆除作業の立会いが難しいかもしれません。
また、無料駆除や補助金制度の利用には事前・事後の申請が必要であり、申請が通るまでにも時間がかかります。
「今すぐ駆除したい」「申請や手続きが面倒(時間がとれない)」という方は、自力での駆除または業者への依頼を検討してみるのもおすすめです。
ハチ・ハチの巣を自力で駆除する方法
ハチの駆除は自力でおこなうことができ、自治体にて防護服など駆除に必要な道具を借り、自力でハチ駆除をしようとお考えの方もいるかもしれません。
本章では、ハチおよびハチの巣を自力で駆除する方法についてご紹介します。
駆除前に確認すべきこと
ハチおよびハチの巣は自力で駆除できるものの、リスクを伴う恐れがあります。
特に、以下の3点には注意しておきましょう。
- ハチの巣の場所 :殺虫剤が届かない高所、屋根裏や床下などの狭い場所(怪我のリスクが高まる)
- ハチの巣の大きさ:15cm以上の巣(巣が大きいほど中に大量のハチが潜んでいる)
- ハチの危険度 :アシナガバチ < ミツバチ < スズメバチの順に高くなる
いずれのハチも毒性を持っているため、下手に巣を刺激して大量のハチに襲われると非常に危険です。
アシナガバチやミツバチ、かつできたばかりの小さな巣であれば不慣れな方でも頑張れば駆除できるかもしれませんが、少しでも不安がある方は無理をせずプロの業者に依頼したほうがよいでしょう。
ハチ駆除に必要な準備物
自力でハチの巣を駆除するために必要な準備物にも、いくつかの種類があります。
被害を防ぐためにも、以下でご紹介するアイテムは最低限準備しておきましょう。
以下、準備物の詳細をご紹介します。
防護服
ハチの巣を駆除する際は、防護服の着用が必須です。
防護服は自身で購入すると非常に高額なため、もし自治体で無料貸し出しをおこなっている場合は、その制度を利用しましょう。
もし防護服を借りることができない、購入するのはちょっと…という方は、以下のアイテムで代用することもできます。
- 長袖・長ズボン
- フード付きの雨合羽
- 軍手(2枚重ね)
- タオル
- 厚手の帽子
- マスク
- 長靴
着用する際のポイントは「隙間を作らないこと」です。
- 防止の上からフードを被る
- タオルで首の隙間を埋める
- 長袖・長ズボンを着用し、その上に雨合羽を着る(雨合羽は白色が好ましい)
- 軍手は2枚重ねにする
- 長靴も白色にするのが好ましい
- 袖や裾の隙間は、テープでぴったりと止める
上記のように徹底して防護することで、ハチ駆除へのリスクをある程度軽減できるでしょう。
ただし、防護服を利用したほうが安心なことは確実であり、代用品は自己責任のうえで利用するかどうかを検討してみてください。
駆除に必要な道具
ハチの巣を駆除する際に必要な道具は、主に以下が挙げられます。
【エアゾール型の殺虫剤】
→噴射距離の長い殺虫剤を選ぶこと。複数本用意しておくことをおすすめする。
【剪定バサミ】
→ハチの巣を落とすのに使用する(ノコギリや長い棒でもよい)。
【懐中電灯】
→手元を照らすために使用する。赤いセロハンを用いて光を和らげる、もしくは赤色光の懐中電灯を用意するのがおすすめ。
【ゴミ袋】
→ハチの死骸や巣を入れて処分するために使用する。
【ホウキ・ちりとり】
→巣の残骸やハチの死骸を集めるために使用する。
事前の準備を徹底してから、駆除に臨みましょう。
自力でハチの巣を駆除する方法
ハチの巣を駆除する方法は、主に以下の4ステップです。
- ハチの巣に殺虫剤を噴射する
- 巣を除去する
- 巣があった場所に再び殺虫剤を吹きかける
- 巣をゴミ袋などに入れ、燃えるゴミとして出す
非常に重要な項目のため、以下でさらに詳しく解説していきます。
手順①:殺虫剤の噴射
まず、懐中電灯で足元を照らしながら、風上から静かに2mほど巣へ接近します。
(ハチは光に向かって飛ぶ習性があることから、懐中電灯の光をそのまま使用することは危険である)
その後、巣に近づいたら光を消し、巣の表面に向けて殺虫剤を吹きかけましょう。
殺虫剤がかかったハチは大きな羽音を立てながら一斉に巣から飛び出してきますが、これは殺虫成分に反応しているだけで、人に対して威嚇しているわけではありません。
ここで怖くなって逃げだしてしまう方も多いのですが、中途半端に刺激するとかえってハチを威嚇させる原因となるため、臆せず殺虫剤を噴射し続けることが重要です。
巣の表面の次は、巣穴に向かって殺虫剤を噴射しましょう。
ハチは殺虫成分が体に付着すると、攻撃性がなくなり弱って落ちていきますので、すべてのハチが動かなくなったことを確認したら噴射を止めましょう。
手順②:巣の除去
ハチが巣から落ちていなくなったあとは、剪定バサミで巣を根元から切り落としましょう。
剪定バサミがない場合は、ノコギリや長い棒などを用いて落としても問題ありません。
ハチの巣を落とす下部分にゴミ袋を敷いておけば、簡単に処分できます。
この際、周囲に落ちているハチには絶対に触れないようご注意ください。
中には弱っているだけでまだ死んでいないハチもおり、触れた反射で毒針が刺さる可能性があるため危険です。
手順③:巣があった場所に再び殺虫剤を吹きかける
ハチの巣を落としたあとは、巣のあった場所に再び殺虫剤を吹きかけておきましょう(10秒ほど散布すればよい)。
この理由は「戻りバチ」への対策のためです。
戻りバチとは、その名の通り「駆除した巣の場所へ戻ってくるハチ」のことを指しています。
家に出没する可能性が高いスズメバチ・ミツバチ・アシナガバチの3種すべてに共通する習性であり、特に新たな巣作りのために活動を開始する春から初夏にかけて戻りバチの発生率が高まるため、注意しておきましょう。
手順④:巣の処分
落としたハチの巣は、ゴミ袋に入れて燃えるゴミとして処分しましょう。
駆除したハチ自体もまとめて処分して問題ありませんが、念のため素手では触らず、ホウキとちりとりを使って回収してください。
念のため、ゴミ袋を2重にしておけば他の虫が寄ってくることもないはずです。
ハチの巣を駆除する際の注意点
ハチの巣を駆除する際に注意すべきことが2つあります。
以下、その詳細を解説していきましょう。
ハチの巣駆除は日中におこなわないほうがよい
ハチの巣を駆除する時間帯は、夕方から夜間(具体的には日没から2時間後くらい)を目安におこなうことをおすすめします。
日没をおすすめする理由は、以下の2つが挙げられます。
- 昼間はエサを求めて出ているハチもいるが、夕方以降だと巣に戻って休憩している
- 暗いため周囲が見えにくく、ハチの動きが鈍くなる
日中に巣を駆除すると、戻りバチが出没する可能性が高くなるため、注意しておきましょう。
ただし、夜間の作業は人間にとっても視界が悪く・動きが鈍くなるため、明るいうちに巣の位置をしっかり確認しておくことが重要です。
作業時は強い匂いを発するものを身につけない・使用を控える
ハチは、巣の近くの動くもの・刺激を与えるものに襲い掛かってきます。
匂いが強いもの、たとえば香水や整髪剤の臭いはハチを刺激する材料となるため、下手に巣に近づくと襲われる可能性があり注意が必要です。
作業時は、強い匂いを発するものを身につけない・使用を控えることを意識しておいてください。
念のため、家の周囲が巣があるとき・ハチが侵入していることが確認できる際も、強い匂いには注意しておきましょう。
自力の駆除に不安がある方はプロへ依頼しよう!
ハチやハチの巣はある程度なら自力でも駆除できますが、多大な手間とリスクを伴うため、害虫駆除業者に対処を依頼したほうが安心かつ確実です。
自力で対処するよりも防除にかかる費用は割高になりますが、防除に関する対応のすべてを業者が一貫しておこなってくれるため、総合的に考えれば十分お得といえます。
自治体によっては、業者の斡旋や補助金制度を設けているところもあるため、自治体のサービスも活用して自身に合ったより良い業者を見つけてみましょう。
なお「自力で対処しようとしたが怖くなって途中で止めてしまった」「巣を放っておいたら手が付けられないほど巣が大きくなっていた」など、駆除の危険度が増すほど、防除にかかる費用は高額になります。
防除にかかる費用を少しでも安く抑え・ハチの被害に悩まされずに過ごすためにも、できるだけ早めにプロの業者へ相談することをおすすめします。
まとめ
市役所が実施しているハチの駆除に関するサポート内容は、地域ごとに異なります。
ハチの被害に悩まされている方は、まずお住いの地域の市役所ホームページを確認し、どのような対応をしてもらえるか調べてみましょう。
なお、ハチの巣を駆除することは、プロであっても命がけの作業です。
自力で駆除することもできなくはありませんが、少しでも不安を感じる方は、プロの業者に相談してみることをおすすめします。
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