「家の周りに出るイタチを、罠を使って捕まえたい」と考えていませんか。
近年ではネットでも害獣用の捕獲器が手軽に購入できるため、自分で捕まえたいと思う人もいるでしょう。
しかし、イタチを含む野生鳥獣の無断捕獲は法律で禁止されています。正しい手順を踏まずに罠を設置すると処罰の対象になりかねません。
ここでは、イタチを罠で捕獲するための具体的な方法や罰則などを詳しく紹介します。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

1. イタチを罠で捕獲する前には自治体の許可が必要

自宅の敷地内であっても、イタチを勝手に罠で捕獲してはいけません。 野生動物の捕獲には厳格なルールが定められており、原則として行政機関への許可申請が必須です。
まずは、イタチ捕獲に関わる法律と、具体的な申請の流れについて見ていきましょう。
1-1. 鳥獣保護管理法によって無許可の捕獲は禁止されている
イタチなどの野生動物は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」によって守られています。
もしも無許可でイタチを捕獲した場合、以下の罰則が科される可能性があります。
鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます
引用:環境省「鳥獣の違法捕獲の防止」
たとえ自宅にイタチ被害が出ていても、例外ではありません。イタチによる被害を防除する目的で捕獲を行う場合は、必ずお住まいの自治体へ「有害鳥獣捕獲」の許可申請を行ってください。
1-2. 自治体への申請と手続きの流れ
イタチを捕獲するには、お住まいの地域の役所(環境課や農政課など)で手続きを行います。 自治体によって多少手続きは異なりますが、一般的な申請の流れは以下の通りです。
| 手続きの流れ | 行うこと |
|---|---|
| 1.被害状況を役所に相談する | まずは役所の窓口へ電話や訪問をし、イタチ被害の状況を伝える |
| 2.申請書類を提出する | 「鳥獣捕獲許可申請書」などの書類に必要事項を記入して提出する |
| 3.審査・許可証を交付してもらう | 自治体による審査を受け、許可が下りるまで待機する |
| 4.許可証を携帯し、捕獲実施 | 捕獲作業を行う際は、交付された許可証を必ず携帯すること |
このように、イタチのための罠を設置するには、多くの手続きと準備が必要です。また原則として使用する捕獲器にも、氏名や許可番号などを記載した標識を装着しなくてはなりません。
「今夜すぐに捕まえたい」などといって、自分勝手に罠を仕掛けることはできないのです。
2. イタチ対策に有効な罠の種類・餌・設置場所を解説

正式な許可を取得すれば、イタチに罠をしかけて捕獲することが可能です。 しかしイタチは非常に警戒心が強いため、罠を置くだけでは捕まりません。
ここでは、イタチ捕獲の成功率を高めるための道具選びと設置のポイントについて解説します。
2-1. イタチには小型の箱罠がおすすめ

イタチの捕獲には「箱罠(はこわな)」と呼ばれるタイプがおすすめです。 箱罠にも複数の種類がありますが、動物が中に入って餌を食べようとすると扉が閉まるタイプが便利です。
イタチの体は3cmほどの隙間をすり抜けてしまうため、箱罠は網目の細かいタイプを選びましょう。
なお、箱罠(捕獲器)はお住いの自治体から借りることも可能です。申請をした住民に対し、無料で捕獲器の貸し出しを行っている市区町村も多いです。 購入すると数千円から1万円程度の費用がかかるため、まずは役所に貸出があるか確認してみましょう。
2-2. 餌は「からあげ」や「キャットフード」
罠の中に仕掛ける餌(誘引剤)には、イタチの好物を選ぶ必要があります。 イタチは肉食性の強い雑食動物であり、強い動物性のニオイに引き寄せられます。
特におすすめの餌は以下の通りです。
- 鶏のから揚げ
- ソーセージ
- キャットフード
果物や野菜も食べないわけではありません。ただ上記のような動物性タンパク質でニオイの強いものを使用したほうが、捕獲率はあがります。
2-3. 屋根裏・床下などイタチの侵入経路への設置がおすすめ
罠は、イタチが普段移動している「獣道(けものみち)」に設置するのが最適です。
箱罠を設置すると効果がある場所の一例
- 屋根裏
- 床下通気口付近
- 壁際
- 庭
ただし、屋根裏などの高所や、狭い床下への設置作業は危険を伴います。 設置後の見回りも行う必要があるため、自身が安全に設置できる範囲に留めましょう。
3. 捕獲したイタチはどうすればいい?

イタチの捕獲は、罠を設置することよりも捕まえた後の方が大変です。理由はイタチを捕まえたあとの処置の方が、精神的・物理的な負担がはるかに大きいからです。
捕獲後のイタチの処理方法は、主に「放獣(逃がす)」か「殺処分」の2択です。しかしいずれにせよ簡単なことではありません。
3-1. 放獣する
放獣とは、捕獲した個体を殺さずに山林などへ逃がすことです。 多くの自治体では、一般市民が許可を得て捕獲した場合、放獣を指示、推奨するケースが多いです。
例えば、大阪府枚方市や大阪市住吉区の場合、捕獲後の処分については「申請者自身で行うこと」と決められています。自治体は原則として捕獲個体の回収・引き取りをしてくれないのです。
そのため捕獲したイタチは自分で家の外へ逃がさなくてはなりません。
強い帰巣本能を持つイタチの放獣は、遠くで行う必要があります。しかし凶暴な個体を自身で遠くまで運ぶのは、精神的なストレスが大きく、手間も相当なものです。
3-2. 殺処分はデメリットが多い
放獣を行わず殺処分を選択する方法もあります。この場合鳥獣保護管理法の原則に従い、イタチを「安楽死」させなくてはなりません。
一般的に推奨されるのは炭酸ガスなどを用いた方法ですが、家庭で行うのはまず不可能です。かといって水に沈めるなどの方法も、動物愛護の観点や精神的負担の大きさから現実的ではありません。
また殺処分をした場合、基本的には死骸の処理も自身で行わなくてはなりません。捕獲後の処理までを踏まえると、最初からプロの業者へ依頼した方が安心です。
参照:東京都環境局「捕獲した鳥獣を致死させる場合のできる限り苦痛を与えない方法」
4. イタチがいなくなった後にすべきこと

イタチを捕獲・放獣できたとしても、それで終わりではありません。 被害の再発を防ぎ、衛生的な環境を取り戻すためには、家周辺の徹底的な事後処理が必要です。
4-1. フン・尿の清掃
イタチが住処としていた屋根裏や床下には、多くの場合糞尿が残されています。 残された排泄物は強烈な悪臭の原因になるだけでなく、多くの病原菌や寄生虫を含んでいるため、迅速な清掃が必要です。
フン尿の清掃作業を行う際は、マスク、ゴーグル、手袋を着用し、直接触れないようにしましょう。 断熱材に尿が染み込んでいる場合は、断熱材ごと交換する必要があります。
4-2. 侵入経路を塞いで再発対策
仮にイタチを捕獲できても、侵入経路を封鎖しないと意味がありません。家屋への侵入口が開いたままでは、すぐに別の個体が入り込んでしまいます。
イタチは500円玉程度の大きさ(直径約3cm)の隙間があれば侵入可能です。 そのため家中にある隙間の箇所を金属板や金網で塞がなくてはなりません。こうした完全な封鎖は一般人には極めて困難です。
さらに侵入経路の封鎖は高所作業の危険がある上に、気づかないような小さな隙間も見落としがちです。確実にイタチの侵入を防ぎたいのであれば、建物の構造を熟知し、害獣の習性を理解したプロに任せるのが確実です。
5. イタチ被害でお悩みなら協会の無料相談をご活用ください!

「二度とイタチが入らないようにしたい」「捕まえた後の処理を考えると自分で行うのは怖い」
そうした不安をお持ちの方は、ぜひ「日本有害鳥獣駆除・防除管理協会」にご相談ください。
協会では自身での害獣対策に限界を感じている方や、何から手をつければ良いかわからない方へ、専門的な知見からアドバイスを行っています。
また、お住まいの地域の優良な駆除業者を紹介することも可能です。 協会登録されている業者であれば、悪質な業者によるトラブルを避けられます。 もちろん、相談をしたからといって必ずしも依頼しなければならないわけではありません。
イタチ被害は放置すればするほど、建物の損傷や健康被害が拡大します。 悩み続けてストレスを抱える前に、まずは一度お気軽にご相談ください。
- 対処方法
- 業者選び
- 害獣の特定

まとめ

イタチを罠で捕獲するには、まず自治体への許可申請が必須です。 無許可での捕獲は法律違反となり、重い罰則が科される恐れがあります。
また、運良く許可を得て捕獲できたとしても、その後の「放獣」や「処分」には大きな手間がかかります。 さらに病原菌を含む糞尿の清掃や、わずか3cmの隙間を塞ぐ侵入防止作業は、専門知識のない一般の方にはハードルが高いです。
安全かつ確実にイタチの侵入を防ぎたい場合は、専門家の力を借りましょう。被害が深刻化する前にぜひお問い合わせください。
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