害獣から住宅を守るために「超音波」を利用することがあります。
超音波発生装置は、害獣に特定の周波数を聴かせてストレスを与え・遠ざけることを狙うものですが、コウモリにも有効なのでしょうか。
使用を検討されている方のなかには、超音波の使用方法や安全性に不安を感じる方もいるかもしれません。
本記事では、コウモリに対する超音波の有効性や効果的な追い出し方についてご紹介します。
コウモリの被害に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
コウモリに超音波は有効?
本章では、コウモリに対する超音波の有効性についてご紹介します。
仕組みを理解することで、より効果的な追い出しが可能となるでしょう。
コウモリに対する超音波の有効性
結論からお伝えすると「コウモリに超音波は効果があるものの、一時的である場合が多く、適切に使用しなければ効果は発揮されない」ため注意が必要です。
いずれは音に慣れてしまうため、仮に追い出しに成功しても、別の対策を講じて再侵入させない工夫をしましょう。
コウモリに超音波が効く理由
コウモリに超音波が有効な理由は、コウモリの特性である「反響定位」が挙げられます。
反響定位とは、自身の出した音が何かにぶつかって返ってきたとき、その方向とタイムラグを利用して自分の位置を知ることです。
コウモリは夜行性で夜間に飛び回ることが多いとされていますが、暗闇でも的確に移動しエサとなるものを見つけ出します。
これは、コウモリが発した超音波を利用して、対象物までの距離や対象物の方角を確かめている(=反響定位)ためです。
超音波発生装置を利用することで「コウモリが発する周波数の超音波を発生させ、コウモリが混乱する」効果が期待できます。
いずれは、超音波が飛び交っていて対象物が判断しにくい場所に居心地の悪さを感じ、その場所から離れていくでしょう。
コウモリに有効な周波数
コウモリが発する周波数は種類によって異なり、おおむね20kHz~100kHzの超音波を出します。
【コウモリが発する周波数の一例】
- アブラコウモリ :30kHz〜50kHz
- キクガシラコウモリ:65kHz〜70kHz
- ヒナコウモリ :20kHz〜40kHz
住宅の屋根裏などに棲みつくコウモリの多くは「アブラコウモリ」であるため、超音波発生装置を利用する場合は、まずアブラコウモリが発する30kHz〜50kHzの周波数から発してみるとよいでしょう。
超音波発生装置を使用する際に大切なこと
本章では、超音波発生装置を使用する際のポイントをご紹介します。
正しく使用することでより効果が高まる可能性があるため、しっかりと理解しておきましょう。
複数の周波数を切り替えて使用する
同じ周波数のみを流し続けていると、コウモリがその音に慣れてしまうため、複数の超音波を発生させるタイプを購入することで効果の持続が期待できるでしょう。
市販の超音波発生装置のなかには、超音波をランダムで発生させる機能を有したものもあります。
値段は少し高くなってしまいますが、少しでも超音波の効果を長続きさせたいという方は購入を検討してみるとよいでしょう。
超音波以外の機能も利用する
夜行性であるコウモリは、強烈な光や音を嫌う傾向にあります。
とくに、強い光はコウモリにストレスや恐怖を与える効果が期待できます。
学習能力も高いため、一度恐怖を感じた個体は再来の可能性が非常に低くなるでしょう。
そのため、超音波以外にも「強烈な光を放つ機能」や「コウモリが近づいた際に威嚇音を鳴らす機能」などを備えたものを購入するとより効果的です。
ただし、強烈な光や威嚇音は近隣住民の迷惑にもなり得るため、よく検討したうえで使用するようにしましょう。
障害物を極力避ける
超音波は反射するため、障害物があるとうまくコウモリに届かない可能性があります。
超音波発生装置を利用する場合は、障害物が少ない場所(屋外の庭など)に設置するのが効果的といえるでしょう。
室内に設置する場合も、部屋の広さや設置場所を考慮したうえで選ぶことが重要です。
出ていきやすい時期や時間帯を意識する
コウモリが出ていきやすい時期や時間帯を意識することで、コウモリを追い出しやすくなるでしょう。
時期に関しては「4月~6月ごろの出産前」と「9月~10月ごろの冬眠前」が効果的です。
逆に、11月~3月は冬眠してその場を動かず、出産後の7月~8月は親コウモリを駆除できても赤ちゃんコウモリが残る可能性があるため、追い出しづらい環境となります。
時間に関しては、コウモリは夜行性で日没くらいから動き始めるため、日没後の方が追い出しに効果的といえるでしょう。
追い出しに成功したら+αの対策を!
超音波発生機の使用でうまくコウモリを追い出すことに成功しても、コウモリが棲みつきやすい環境のままではいずれ再侵入される恐れがあります。
本章では、超音波と併用してコウモリが棲みつきづらい環境を作るためのポイントをご紹介します。
忌避剤や燻煙剤を散布する
忌避剤や燻煙剤を散布することで、コウモリが棲みつきづらい環境を維持しやすくなります。
超音波発生装置と併用して利用するのも効果的であり、コウモリが留まっている場所が正確にわからない場合でも、家から追い払う効果が期待できるでしょう。
また、コウモリが巣を作りやすい屋根裏や天井裏のような密閉空間・手が届きにくい場所でも簡単に設置できるメリットがあります。
忌避剤や燻煙剤はホームセンターやネット通販などで簡単に入手できるため「コウモリを追い出したい・侵入を防止したい」という方は、早めの利用を検討してみましょう。
ただし、忌避剤も燻煙剤も時間が経つごとに効果が薄まるため、様子を見ながら適度に散布し、かつ再来を防ぐ別の方法も検討することをおすすめします。
防鳥ネットなどを設置する
コウモリの侵入を確認しており、侵入経路や留まる場所を特定できている場合は、その場所に防鳥ネットを取り付けるのも効果的です。
家屋に浸入するコウモリの多くは「アブラコウモリ」(体長はわずか5cm前後と小型)のため、防鳥ネットを使用する際は網目が細かいものを利用するといいでしょう。
ただし、防鳥ネットの取り付けは高所になりがちのため、自身で設置する際は注意しておきましょう。
コウモリの通路には病原菌などが付着している恐れもあることから、マスク・ゴーグル・使い捨て手袋などで防備することも大切です。
防鳥ネットも定期的なメンテナンスを必要とし、安全や手間を考えても害獣駆除業者に依頼する方が効率的といえるかもしれません。
なお、不要なCDやDVDを利用するのもよいでしょう。
コウモリは超音波を出しながら飛行するため、CDやDVDで超音波を乱反射させればコウモリが嫌がる可能性があるからです。
侵入口を特定しふさぐ
罠を設置して追い出すことに成功しても「コウモリはいずれ環境に慣れてしまう」ため、侵入経路が開いたままでは被害が再発するでしょう。
そのため、侵入経路を特定しふさぐ必要があります。
コウモリは1~2cmほどの小さな隙間からでも出入りが可能なため、侵入口を封鎖する際は細かい編み目の金属・金属製のプレート・パテなどで徹底的にふさぎましょう。
ただし、害獣駆除に不慣れな方が侵入口を特定することは困難であり、病原菌による感染のリスクもあるため、自身での対処が難しい場合は早めに駆除業者に相談することをおすすめします。
清掃・消毒をする
野生のコウモリはさまざまな病原体が体に付着しており、糞尿をすればそれがずっと放置されます。
放っておくと、感染症のリスク・悪臭による健康被害・建物の老朽化など被害が大きくなるため、コウモリを追い出したあとは徹底的に清掃・消毒をおこなうべきです。
自身で罠を設置する際も、コウモリの通り道に病原菌などが付着している可能性もあるため、しっかりと防備して行動しましょう。
清掃・消毒も害獣駆除に不慣れな方は時間と手間がかかるため、対処が困難な場合は早めに駆除業者に相談することをおすすめします。
コウモリの駆除は専門業者に依頼しよう!
コウモリの被害に悩まされている方・侵入を防止したいという方は、コウモリ駆除の専門業者に相談することをおすすめします。
不慣れな方が自身で対処するには時間と手間がかかりますし、そもそも鳥獣保護法によって無許可でコウモリを駆除することもできません。
【コウモリ駆除のプロに依頼するメリット】
- 徹底したコウモリの駆除・追い出しが可能
- 侵入経路の封鎖や罠の設置など、再発を防止してくれる
- アフターフォローがしっかりしていれば、再発した際にも安心 など
コウモリ駆除に関する確かな知識と技術を有したプロの専門家に依頼すれば、コウモリの被害に悩まされることはほぼなくなることでしょう。
害獣駆除業者の種類は多く、それぞれでサービス内容や費用が異なるため、相見積もりをとって自身が納得・安心して依頼できる業者を探してみましょう。
コウモリ駆除・超音波のよくある質問
本章では、コウモリ駆除・超音波に関してよくある質問をご紹介します。
超音波は人やペットにも聞こえる?
超音波は、人間に聞こえることはほぼありません。
人間の可聴域は「約20Hz~23kHz」、コウモリの可聴域は「20kHz〜100kHz」程度のため、23kHzを超える周波数を発するようにすれば人間には無害です。
ただし、人によって聞こえる周波数にも違いがあり、子どもや20代の若者は超音波が聞こえる可能性があるともいわれています。
また、犬や猫などは人間よりも可聴域が広いため、周波数によっては聴こえる可能性もあるでしょう。
もし小さなお子さんやペットと一緒に住んでいる方は、超音波の使用は要検討・注意し、万が一体調が悪くなれば超音波の使用を中止して医師などに相談してください。
ラジオも有効って本当?
「ラジオに使われる周波数がコウモリの超音波に影響を与える」という説があります。
確かに、高い周波数を使用している放送局を選んで流すことで、コウモリを追い出すことは可能かもしれません。
もしラジオの使用を検討する方は、電源を入れたラジオをコウモリの寄り付きやすい場所に設置してみるといいでしょう。
ただし、超音波発生装置と同じで一時期な効果しか望めず、そもそもラジオを流しっぱなしにはできないため、あまりおすすめはできません。
超音波アプリは効果がある?
スマホなどで超音波アプリが配信されています。
超音波アプリは、可聴域の広い動物が受信する「高周波モスキート音」を発生させ、特定の害獣を寄せ付けなくする仕組みです。
モスキート音は17kHz前後の高周波を発するため、多少の追い出し効果は期待できるかもしれません。
しかし、17kHzは人間や犬・猫などのペットにも聞こえる可能性があり、周波数そのものが一定であるため効果は薄く、使用にも注意が必要といえます。
試しに利用する分にはいいかもしれませんが長続きはしないため、本格的に導入するなら市販の超音波発生装置を購入した方がよいといえるでしょう。
まとめ
超音波発生装置はコウモリの追い出しに一定の効果を発揮できますが、あくまで一過性のものです。
忌避剤・燻煙剤の使用や侵入対策などをしなければ再侵入する恐れがあるため、注意しておきましょう。
もし対処に不安があれば、被害が大きくなる前にコウモリ駆除の専門業者に相談するとよいでしょう。
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