獣が引き起こす獣害は?害獣は勝手に駆除できない?害獣の種類や対処法を解説

害獣・害虫別

野生動物のなかには、人々の生活に害をもたらす害獣と呼ばれるものが存在します。

害獣の種類は非常に多く、いずれも人が快適に生活を送るうえで悩みの種となるものばかりで、何らかの対策を練る必要があります。

ほとんどの害獣は警戒心が強く、目にすることは少ないですが、接触すると危険が伴います。

また、無許可で捕獲や駆除をおこなうこともできません。

本記事では、害獣の被害に遭っている・害獣の被害を危惧している方に向けて、害獣に分類される野生動物の種類や効果的な対策法についてご紹介します。

害獣被害に悩まされている方は、ぜひ本記事を参考に対策を講じてみてください。

日本国内における主な害獣とその被害について

日本国内だけに絞っても、人々の生活圏に悪影響をおよぼす害獣は数多く存在します。

本章では、日本国内かつ人々の生活圏に出没しやすい害獣の種類やその被害についてご紹介します。

ネズミ

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 病原菌の媒介
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

ネズミは、家屋に棲みつく害獣の代表格として有名です。

また、体が小さく・すばしっこい、かつ細くて狭いところも自由に行き来できるため、行動パターンが非常に幅広く捕獲することも至難の業です。

家屋に棲みつくネズミは、以下の3種が主となります。

  • クマネズミ:天井や屋根裏など高い場所に出没しやすい
  • ドブネズミ:水がある場所や低い場所に出没しやすい
  • ハツカネズミ:物置や倉庫、小さな隙間に出没しやすい

一見すると小さく可愛らしい外見をしてみるものの、さまざまな害獣被害をもたらす恐れがあるため早急な対策が求められます。

ハクビシン

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 騒音被害
  • 病原菌の媒介
  • 農作物への被害
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

ジャコウネコ科であるハクビシンは、もともと野山にいることが多い動物でしたが、近年ではエサや棲み処を求めて市街地に出没する頻度が増加しています。

日本では、沖縄以外のほぼ全域、とくに東日本(東北地方南部・関東地方・四国全域など)で多く生息していることが確認されています。

ハクビシンは木登りが得意で跳躍力もあり、頭が入る程度の隙間(大人の握りこぶし大くらいのサイズ)であればどこでも侵入できるため、屋根裏や床下などに棲むケースが多いようです。

一度ねぐらを決めるとその場所からなかなか離れようとせず、放置するほど被害は拡大していきます。

なお、ハクビシンは額から鼻先まで白い模様があり、建物付近に出没しやすい害獣のなかでは見た目の判別がしやすい動物です。

ハクビシンもしくは痕跡を発見した場合は、早急に対処を実施しましょう。

イタチ

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 騒音被害
  • 病原菌の媒介
  • 農作物への被害
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

市街地に出没しやすいイタチは、外来種であるシベリアイタチが多いといわれています。

日本の在来種であるニホンイタチも獣害を引き起こす可能性はありますが、シベリアイタチによってその数が大幅に減少しており、現在は準絶滅危惧の指定を受けています。

イタチ最大の注意点は、その凶暴な性格です。

肉食中心の生活を送っており、ネズミ・雛・鳥の卵などを食すだけでなく、自身より体格の大きな生き物にも(人間であっても)襲い掛かってくることがあります。

小柄な体格かつ見た目の可愛らしさに油断していると大怪我をする恐れがあるため、見つけても近づかないようにしましょう。

また、放置するほどに健康や建物への被害も深刻なものとなっていくため、発見次第、プロの業者に相談することをおすすめします。

アライグマ

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 騒音被害
  • 病原菌の媒介
  • 農作物への被害
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

その可愛らしい見た目やメディアの影響により、一昔前はペットとしても人気の高かったアライグマ。

しかし、気性の荒さから飼い切れずに飼育放棄する人や動物園から逃げ出すアライグマが増加し、日本の自然環境化で繁殖しました。

今では、人への健康被害や食害・建物への被害などが拡大し、害獣として捕獲されるケースが増加しています。

現在は特定外来生物や鳥獣保護管理法によって管理されており、ペットとして飼うことは原則禁じられています。

ハクビシンやイタチなどと同じ害獣被害を引き起こす恐れが高いため、発見次第早急に対処を講じなければいけません。

タヌキ

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 騒音被害
  • 病原菌の媒介
  • 農作物への被害
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

タヌキは、日本中の広い範囲で生息しており、環境への適応力が高い動物といわれています。

イタチ・ハクビシン・アライグマなど他の害獣に比べると臆病でおとなしい性格をしているものの、不用意に接触すれば襲われる可能性もあるでしょう。

他の害獣同様、さまざまな害獣被害が発生するため、もし家屋周辺で発見した場合は早めに対処を講じることが重要です。

コウモリ

【主な害獣被害】

  • 悪臭被害
  • 騒音被害
  • 病原菌の媒介
  • 農作物への被害
  • 建物の腐食など、家屋への被害 など

コウモリは飛行する哺乳類であり、屋根裏などに棲みついて害獣被害をもたらす恐れがあります。

コウモリの繁殖力は他の害獣に比べて低いものの、寿命が3~5年と長く、放置するほど被害は甚大なものとなっていくでしょう。

ゴキブリなどの害虫を食べるという益獣の面も持ち合わせているものの、屋根裏などに棲みつくとフンによる悪臭や建物への腐食被害・害虫やネズミなどを呼びこむ危険性があるため、発見次第早急に対処しなければいけません。

カラス

【主な害獣被害】

  • 騒音被害
  • 農作物への被害
  • 人への攻撃・威嚇 など

カラスは、非常に賢く・どの環境にも柔軟に対応する性質を持っている害獣です。

日本の至るところで目撃されており、生ごみを散らかす・農作物を食い荒らすといった食害を引き起こしたり、鳴き声による騒音被害に悩まされやすい傾向にあります。

人間を襲うことはほとんどありませんが、巣を作っている間は気が立っているため、近づく人間を威嚇・攻撃することもあるようです。

カラスによる害獣被害は人々の悩みの種であり、地域単位で対策するケースも少なくありません。

イノシシ

【主な害獣被害】

  • 農作物への被害
  • 人への攻撃・威嚇 など

近年は、イノシシが市街地に出現する事態が増加しており、大型商業施設や学校などに侵入する・農作業をしていたところをイノシシに突然襲われるといった被害も起こっています。

警戒心が強く、人が暮らすエリアでは夕方や夜間など薄暗い時間に活動することが多いとされていますが、危険が少ないと判断した場合は日中でも出没する可能性もあるようです。

特に農作物への被害が問題視されていますが、雑食性のため市街地に出没した場合は生ごみなどゴミ捨て場を食い荒らす被害も出ています。

食害はもちろんのこと、突進力が強く大人でも跳ね飛ばされれば大怪我を負うため、人への攻撃にも十分な警戒が必要といえるでしょう。

クマ

【主な害獣被害】

  • 農作物への被害
  • 人への攻撃・威嚇 など

近年では、イノシシだけでなくクマが人里へ出没するケースも増加しており、その被害が深刻化しています。

日本にはヒグマとツキノワグマという2種類が生息しており、ヒグマは北海道に、ツキノワグマは本州と四国の山地(森林)に分布しています。

クマは聴覚・嗅覚が優れており、かつ鋭いツメと大きな歯を有する力の強い動物です。

また、時速40km以上で走ることができ、水泳や木登りも得意という高い運動能力を持っています。

農作物への被害はもちろん、もしも遭遇するようなことがあれば命の危険すらあるため十分な警戒が必要です。

クマの対処は地域が一丸となっておこなうことが一般的であり、市街地であれば目にする機会は(今のところは)ほとんどないかもしれませんが、もし付近で目撃例が出た場合は要注意。

冬眠前に食料を蓄える秋の時期は、特にクマの出没に注意が必要です。

害獣はその他にも多数存在する

害獣に類する動物は、アナグマ・シカなど他にもさまざまに存在します。

ここまでにご紹介した害獣を含め、害獣被害は種類によって異なるため、害獣を特定したうえでそれぞれに効果的な対処を実施していかなくてはいけません。

また、害獣の発生により害虫などが寄り付く可能性もあり、そのすべてを素人が完全に対処することは至難の業といえます。

不慣れな方が対処すると返って被害が悪化する恐れもあるため、できれば早め早めにプロの業者や自治体などに相談するのがよいといえるでしょう。

【要注意】害獣の多くは無許可で捕獲・駆除ができない!

害獣に指定されている動物も例外ではなく、仮にどれだけ被害を受けていたとしても、捕獲・駆除をするには該当する狩猟免許を取得したうえで自治体に許可を得なければいけません。

仮に無許可で捕獲や駆除をおこなった場合、刑罰に処されるため注意が必要です。

仮に許可を得ることができたとしても、害獣の捕獲や駆除には多大な手間とリスクが生じるため、基本的には(不慣れな方ほど)害獣駆除業者などに対処を依頼するのが得策といえるでしょう。

害獣が引き起こす人々への被害とは?

本章では、害獣が引き起こす主な被害についてご紹介します。

害獣によって被害内容が異なるケースこそあるものの、いずれも人々の生活に多大な害をおよぼす可能性があります。

上述の通り、無許可で害獣を捕獲・駆除することはできないため、被害を危惧される方は早めにプロの業者に相談することが重要です。

害獣との接触により、人間が傷つけられる

害獣の多くは、鋭い牙や爪を持っており、不用意に近づけば攻撃される恐れがあります。

クマやイノシシのような大柄な動物はもちろん、小柄な動物であるイタチ・ハクビシン・アライグマであっても獰猛な性格をしているため襲われる危険は高いでしょう。

家屋に深刻なダメージを与えられる

ネズミ・イタチ・ハクビシン・アライグマ・タヌキ・コウモリなどの小~中型の害獣は、家屋の屋根裏や床下に侵入し、棲みつく恐れがあります。

  • 鳴き声や足音による騒音被害(害獣の多くは夜行性で夜中に被害が発生しやすい)
  • 断熱材や電気配線をかじることでの建物被害
  • 糞尿による悪臭・腐食被害 など

電気配線をかじられると、最悪の場合は火災に発展する恐れがあるでしょう。

また、害獣の多くは溜め糞をする(同じ箇所に糞尿をする)習性があり、被害を放置するほどに建物の腐食が広がり、最終的に建物の倒壊につながるケースもあります。

畑や家庭菜園で育てている作物を荒らされる

害獣の多くは畑や家庭菜園で育てている作物を食す傾向にあり、農作物への食害は農家が頭を抱える要因となっています。

また、害獣は雑食性であることが多く、家屋内にある人が口にする食材はもちろん、生ごみなど廃棄予定のものまで口にする可能性があります。

害獣にかじられると、その食材は廃棄しなければいけない(菌が付着し健康被害をおよぼす可能性がある)ため、食品のロスにもつながるでしょう。

ペットや家畜が被害を受ける

害獣の多くは攻撃性が高く、人間はもちろんペットや家畜が被害を受ける可能性もあります。

特に肉食中心かつ獰猛なイタチは、ペットや家畜への被害が問題視されています。

人間はもちろん、ペットも病原菌や寄生虫による感染症に注意しなければいけないため、ペットと一緒にお住いの方はより警戒が必要といえるでしょう。

害獣を目撃した場合どう対処したらよい?

もし、お住いの建物の周辺もしくは近辺で害獣の目撃や被害があった場合は、どうすればよいでしょうか。

本章では、害獣を確認・目撃された際にすべきことをご紹介します。

害獣の痕跡を確認し特定する

  • 屋根裏や床下などから動物の鳴き声が聞こえる
  • 天井裏から悪臭がする・シミができた
  • 足跡やフンを確認した
  • 敷地内で害獣を目撃した など

害獣らしきもの、もしくは害獣の痕跡を発見した場合は、早めに駆除するためにも害獣の特定をおこないましょう。

害獣を特定(ある程度まで絞ることが)できれば、正しい対策を実施でき、早期かつ効果的に駆除することができるでしょう。

ただし、痕跡があるということは付近に害獣が潜んでいる可能性が高いため、接触のリスクを避けるためにも真っ先にプロの業者に相談するでも問題ありません。

手間もかかるため、無理のない範囲で害獣の特定を実施してみましょう。

害獣駆除業者に駆除を依頼する

害獣の捕獲・駆除は、自治体への許可申請や実際の駆除作業など多大な手間とリスクを伴うため、一般の方が対処するのは至難の業です。

そのため、害獣やその痕跡を発見した場合は、早急に害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。

また、保証が充実している業者に依頼すれば、万が一再発した際にも無料(低価格)で迅速に対応してもらえるでしょう。

被害が広がるほど駆除・修繕費用が高額となるため、できる限り早め早めにプロの業者へ相談することが大切です。

市役所などの公的機関に相談する

人によっては「いきなり業者へ依頼するのは不安を感じる…」という方もいるかもしれません。

確かに、業者ごとに駆除費用やサービス・保証内容が異なり、なかには高額な費用を請求してくる悪徳業者もいるのが実情です。

この場合は、お住いの自治体へ相談してみるのも一つの手段といえます。

自治体や害獣の種類によっては、害獣駆除業者の斡旋や捕獲機の貸し出し(許可を得た場合)といったサポートを実施しているところもあります。

ただし、サポート範囲は自治体によって異なるため、お住いの自治体のホームページなどを確認し、サポート対応の有無を確認してから相談に行きましょう。

害獣の被害を防ぐためにできる対策とは?

害獣の捕獲・駆除は自治体への許可を必要としますが、侵入を防止する・害獣を追い出すための対策は無許可でも実施することができます。

本章では、害獣の被害を防ぐためにできる対策についてご紹介していきましょう。

侵入経路を封鎖する

たとえば、家屋に棲みつく害獣の侵入経路としては、以下が挙げられます。

  • 屋根のつなぎ目の隙間
  • 屋根の下の通気口
  • 換気扇や通風口の隙間
  • 排水管の出口部分
  • 壁の穴やひび割れ など

隙間から害獣が侵入してこないよう、金網や害獣侵入防止用ネットなどを取りつけるとよいでしょう。

また、壁の穴やひび割れといった箇所は、補修用のパテで塞ぐのも効果的です。

敷地内への侵入を防ぐために柵(電気柵)を設置する、侵入経路を経つため庭木を剪定する、雨どいのパイプやエアコンの配管に有刺鉄線を巻くといった対策も有効でしょう。

小柄な害獣であれば、雑草や落ち葉などを隠れ蓑にして侵入してくるケースもあるため、適度に手入れをおこない、害獣にとっての隠れやすい場所をなくすのもおすすめです。

害獣が嫌う匂いや音を出す

害獣が嫌う、匂い・音・光などで寄せ付けない方法も効果的といえます。

忌避剤・超音波発生装置・ライトといった害獣対策グッズが市販されているため、それらを活用するのもよいでしょう。

また、木酢液・ハッカ油・ニンニク・石油系といった強い匂いを用いて、忌避剤を自作することも可能です。

ただし、害獣によって効果はまちまちであり、苦手とする害獣でも同じ罠を使い続けているといずれは慣れて(警戒心を緩めて)侵入してくる恐れがあります。

こういった罠を利用する際は、適度に罠の種類や位置を変えて、慣れさせない工夫が必要といえるでしょう。

敷地内を清潔に保つ

害獣の多くは雑食性で、農作物・人が口にする食材・生ごみなど、どんなものでも口にする可能性があります。

そのため、できる限り敷地内を清潔に保ち、害獣のエサとなるものを極力なくすことが重要です。

  • 常温保存できる野菜や果物などを出しっぱなしにしない
  • 熟した作物は早めに収穫する
  • 廃棄予定の作物は早めに廃棄する
  • 生ごみは早めに捨てる(捨てるまでの間はフタつきのもので厳重に保管する) など

これらは、害獣を家屋に侵入させない数々の対策の中でも誰でも簡単に実施でき、とくにこまめにやっておくべき対策法といえるでしょう。

まとめ

害獣にもさまざまな種類が存在し、その被害は害獣ごとに違いがあります。

しかし、いずれも人々の生活に悪影響をおよぼす恐れが高いため、害獣やその痕跡が発見された際は、大切な家族・建物・農作物を守るためにも早期に対処を講じるべきといえるでしょう。

一般の方でもある程度の対処は可能なものの、できることには限界があるため、被害が拡大する前にプロの業者やお住いの自治体に相談することをおすすめします。

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