はじめに
どうも、こんにちわ。
突然ですが、皆さんは「イタチ」という生き物について、どれだけの事を知っていますか?
名前は聞いたことがあるかと思いますが、意外にも姿かたちをイメージする事は難しいのではないでしょうか。
特に、都会で生まれ育った方にとってみれば、イタチは昔話や民話の中にだけ出てくる生き物、という先入観をお持ちかもしれません。
しかし実際には、私たちと関わりの深い身近な生き物であり、ときに私たちの生活に悪影響をおよぼす厄介な存在でもあるのです。
そこで今回は、謎のベールに包まれた生物「イタチ」について詳しく解説してまいりますので、興味をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください!
私は都会育ちってわけじゃないけど…イタチを見たこと無いかもしれないわ。
一生縁のない生き物っていうイメージね。
イタチは日本全国に生息している身近な生き物なんですよ!
それなりに人口が密集する地域に姿を現すこともあり、決して無関係ではありません。
そして人里に顔を出す生き物には常に害獣被害が付きまといます。
イタチについて、詳しく知っておいて損をする事はないでしょう。
イタチの基礎情報
形態
イタチ類の動物は、細長くしなやかな胴体に短い四肢があり、鋭い鼻先と小さく丸い耳を持つ顔をしています。
ほとんどの種は体重2キログラム以下で、ネコ目(食肉類)の中で最も小さなグループです。
特にイイズナはネコ目の中で最も小さな種で、体重はアメリカイイズナが30 – 70グラム、ニホンイイズナが25 – 250グラムほどしかありません。
イタチ類は、オスよりもメスが非常に小さいことでも有名で、小さな種ほどその差が大きいです。
例えば、アメリカイイズナやチョウセンイタチではメスの体重はオスの半分、ニホンイタチではオスの3分の1ほどの大きさしかありません。
同じイタチ科の動物に「カワウソ」がいますが、イタチの見た目はカワウソに非常に似ているので、カワウソをイメージすれば想像に難くないはずです。
生態
イタチは夜行性で活発な動物ですが、昼間に姿を見せることもあります。
イタチは巣穴を掘ったり、他の動物の古巣を利用したりして住みますが、イタチは縄張り意識が強く、自分の匂いを分泌することで仲間や敵に自分の存在を知らせます。
基本的には単独で暮らしますが、繁殖期にはペアを組んだり親子で行動したりします。
また、イタチは可愛らしい見た目とは裏腹に非常に攻撃的な側面を持つ肉食獣なので、外来種のイタチが持ち込まれて、日本の生態系のバランスに悪影響を与えるケースが報告されています。
イタチの種類とその特徴
二ホンイタチ
ニホンイタチは、日本にしかいないイタチの仲間で、イタチ科イタチ亜科イタチ属に分類されます。シベリアイタチの仲間だという考え方もありますが、DNAの調査によって別の種だと見做されるようになりました。
オスとメスでは大きさが違い、オスのほうがメスより大きく、オスの体の長さは27-37センチメートル、メスの体の長さは16-25センチメートルです。しっぽの長さは、オスは12-16センチメートル、メスは7-9センチメートルです。体の重さは、オスは290-650グラム、メスは115-175グラムです。
性別 | 頭胴長 | 尾長 | 体重 |
オス | 27-37 cm | 12-16 cm | 290-650 g |
メス | 16-25 cm | 7-9 cm | 115-175 g |
毛の色は個体によって色々ですが、体は茶色や黄色っぽい茶色です。鼻の周りは暗い茶色です。しっぽの色は体と同じような色です。歯の数は、前歯が上6本下6本、犬歯が上2本下2本、小臼歯が上6本下6本、大臼歯が上2本下4本で、全部で34本です。乳首の数は、胸にはなくて、お腹に2つずつ、足の付け根に2つずつで、全部で8つです。
手足の指の数は、前足も後ろ足も5本ずつで、全部で20本です。
赤ちゃんが生まれたときの大きさは、体重が約8-12グラムです。
ニホンイタチは1年中動いていて冬眠をしません。また、イタチは夜行性であることが多いものの、二ホンイタチは昼も夜も問わずいろいろな時間帯に活動します。
ニホンイタチの手足には水かきがあって泳ぐのが上手く、寒い時期でも水に入って潜ることもできます。
そのため、川や湖や池や湿った場所や小川などの水の近くで動くことが多いですが、木登りが得意なので水から離れた森にも住んでいます。
ニホンイタチは動物を食べることが多く、ネズミや鳥、カエル、魚、カニ、ザリガニ、虫、ミミズ、さらには死んだ動物なども食べます。それから、山桜や桜や山ぶどうやマタタビやサルナシなどの植物性のものも食べます。
ホンドオコジョ
オコジョとは、ネコ目イタチ科イタチ属に属する動物です。ヤマイタチ、クダギツネなどの別名もあります。
オコジョ自体はヨーロッパやアジア、北米の寒冷地域に広く分布しており、日本の東北や中部の山岳地帯にも生息している亜種をホンドオコジョと言います。
IUCN(国際自然保護連合)によりますと、絶滅の危機に瀕している種であると評価されています。
成獣の大きさは性別によって違いがありますが、オスの体長は約18 – 20センチメートル、メスの体長は約14 – 17センチメートルです。尾の長さは、オスは約5 – 7センチメートル、メスは約6センチメートルです。体重もオスの方が重く、オスは約200グラム、メスは約160グラムです。
イタチ科の特徴である胴の長さと足の短さは、オコジョでは後ろ足が長めであるために目立たず、比較的跳躍力が高くなっています。
毛色は季節によって変化し、夏は背中が茶色くておなかが白いですが、冬は尾の先端だけを残して全身が白くなります。
エゾオコジョとは、オコジョ種の亜種で、イタチ科イタチ亜科イタチ属に属しています。北海道にのみ分布しているオコジョで、一般的には「蝦夷鼬」(えぞいたち)と呼ばれています。 本種はホンドオコジョと非常に似ていますが、比較的体格が大きいのが特徴です。
チョウセンイタチ
シベリアイタチというのは、哺乳綱食肉目イタチ科イタチ属に属する肉食動物です。タイリクイタチやチョウセンイタチとも呼ばれます。
オスの方がメスよりも大きく、体長はオスが28 – 39センチメートル、メスが25 – 30.5センチメートルです。尾の長さはオスが15.5 – 21センチメートル、メスが13.3 – 16.4センチメートルで、体長の半分以上あります。体重はオスが650 – 820グラム、メスが360 – 430グラムです。
この動物は毛皮のために飼育されていたものが逃げ出したり、害獣対策として放されたりして、日本に定着しました。とくに西日本に多く見られます。
元々日本にいたニホンイタチよりも強くて大きいので、ニホンイタチを山の方に追いやっています。
人間の住むところにもなじんでいて、ニワトリなどを襲ったり、家に入ってきたりして困らせています。
日本で最も問題のある外来種の一つです。
アメリカミンク
ミンクとは、イタチ科のミンク属に属する哺乳類の一種で、アメリカミンクとも呼ばれます。北アメリカに生息しており、毛皮として世界中で利用されています。また、外来種として自然に定着している場所もあります。
体長は36-45センチメートル、尾の長さは30-36センチメートル、体重は0.7-1.0キログラムで、メスの方が少し小さめです。
毛色は多種多様であり、一般的には光沢のある濃い茶色で尾の先は黒いことが多いです。
脂肪からはミンクオイルという油が採れます。靴などの革製品のお手入れに使われたり、毛皮は高級なレディースコートなどに使われたりします。
フェレット
フェレットというのは、イタチ科に属する小さな動物です。
ヨーロッパケナガイタチやステップケナガイタチという種類から、人間に飼われるようになったものです。
昔からヨーロッパでペットとして人気があり、今では世界中で見かけます。
狩りや実験、毛皮の材料としても使われ、大きさは大人になると35 – 50センチメートルくらいです。オスよりもメスの方が小さめです。目はあまり良く見えませんが、鼻と耳はとてもよく働きます。
その可愛らしい見た目から、日本でも一時期ペットとして人気を博していたことは記憶にも新しいことでしょう。
人間とイタチの関係
日本
日本ではイタチは昔から妖怪として恐れられていました。
悪いことが起こるとイタチの仕業だとされたり、イタチの声や動きが不幸の予兆だと言われたりしていました。
例えば、『和漢三才図会』という辞典には、イタチが集まって火事を起こすと書かれています。新潟県では、イタチが騒ぐ音が臼で餅をつく音に似ているので、「鼬の六人搗き」と呼ばれています。この音を聞くと家の運勢が変わると言われていますが、音の方へ行くと音が消えてしまうそうです。
イタチはキツネやタヌキのように姿を変えることもできると言われています。東北地方や中部地方には入道坊主という妖怪がいますが、これはイタチが化けたものだと言われています。他にも大入道や小坊主になることもあるそうです。
鳥山石燕という画家が描いた『画図百鬼夜行』という本にも「鼬」という絵があります。でも、これは「いたち」ではなく「てん」と読み、イタチが長生きして魔力を持った妖怪がテンであると言い伝えられてきたのです。
別の話では、イタチが長生きすると狢になるとも言われています。
かまいたちというのは、何の理由もなく、突然、皮膚に鎌で切られたような傷ができる現象のことです。こうした現象は「見えないイタチの妖怪の仕業」だと考えられていました。
方言
また、イタチという言葉に方言が多く存在することも特筆すべき点でしょう。
「イタチ」という呼称から派生したものは勿論、他にも「キッキ」や「チーチ」「キチキチ」など擬声語に由来するもの、また、「トマ」や「ズット」、「オサコ」といった方言も使われています。
他にも多種多様な方言が存在するので、詳しく知りたい方はこちらの参考文献をご覧ください。
これだけの方言が存在するのは、イタチが不吉な動物として忌み嫌われていたことの証拠であり、直接的な言葉を避けるために作られたものだと考えられます。
ヨーロッパ
ギリシャ神話に登場するヘーラクレースの母親であるアルクメーネーは、ヘーラーの命令で出産を妨害されていた出産の女神エイレイテュイアの呪いにより、なかなか子供を産めませんでした。
しかし、アルクメーネーの付き人であるガランティスは、エイレイテュイアの不注意につけ込んで、「アルクメーネーはもう子供を産みました」と嘘をつき、これに驚いたエイレイテュイアは呪いを解いてしまい、そのおかげでアルクメーネーはヘーラクレースを無事に産むことができたとされています。
しかし、ガランティスはエイレイテュイアに嘘を見破られて怒りを買い、イタチに姿を変えられてしまったということです。
イタチによる害獣被害
イタチは、日本全国の都市部から地方部まで広く生息しており、その活動範囲は森林から水辺、家屋の屋根裏や物置などにまで及びます。そのため、イタチによる害獣被害は実に多岐にわたります。
被害の具体例
騒音被害
イタチは基本的に夜行性であり、人々が寝静まった深夜や早朝に活動を始めます。
薄い天井板の上や壁の中に棲みつかれてしまえば、当然騒音は甚だしいものとなり、人々の平穏な生活を乱すことになるでしょう。
糞尿による悪臭と衛生問題
イタチは強烈な悪臭を発する糞尿を排出します。特に家屋の屋根裏などに住み着いた場合、その糞尿が溜まることで強烈な悪臭が常時発生し、家の中にいられなくなるほどの状況を引き起こすことがあります。
さらに、糞尿には寄生虫が含まれていることがあり、これが原因で人々の健康を害する可能性も考えられます。
物品の破壊
イタチは鋭い歯と爪を持っており、これを使って天井裏や断熱材などを荒らすことがあります。
これにより家屋の修理費用が発生するだけでなく、断熱効果の低下によるエネルギー消費の増加など、間接的な経済的損失も引き起こします。
作物や家畜への被害
イタチは肉食性であり、小型のげっ歯類や鳥類だけでなく、ニワトリやウサギなど自分より大きな動物をも捕食対象とします。そのため、農家では作物や家畜への被害が発生することがあります。
ノミやダニによる二次被害
イタチの体にはノミやダニが寄生していることがあります。これらの寄生虫が人々やペットに移ると、アレルギーや感染症などの健康被害を引き起こす可能性があります。
イタチによる害獣被害もバカにならないわね…。
自分の家で同じことが起きたと思うとゾッとするわ。
私は猫を飼ってるから、イタチに襲われちゃわないか不安よ。
対策の方法
害獣被害の実例を理解できましたか?次に、そうした害獣被害への対策法について詳しく解説します。
侵入口を塞ぐ
イタチは非常に小さな体を持っており、家屋のわずかな隙間からでも侵入することができます。
そのため、家屋の周囲を確認し、可能な限りすべての隙間を塞ぐことが重要になります。
具体的には窓やドアの隙間、換気口、配管の穴などが侵入口として挙げられます。
光で追い払う
イタチは夜行性であり、強い光を嫌う習性を持っています。
そのため、家の周りに強いライトを設置することで、イタチを追い払うことができる可能性もあります。
特に、夜間に物体などを感知して自動的に点灯するセンサーライトなどが効果的です。
音で追い払う
最近では野生動物専用の超音波装置が発売されています。
これらの装置は、イタチにとっては非常に不快な高周波の音を出すことでイタチを追い払うことを目的に使用します。
これらの音は基本的に人間には聞こえることはありませんが、子供は大人に比べて高周波を聞き取る能力が優れているため、人間の子供にとっても不快な音になる危険性があります。
煙で追い払う
イタチは嗅覚が非常に発達しており、煙の臭いを嫌う傾向があります。
そのため、こうした臭いを発生させる燻煙剤を使用することで、イタチを追い払うことが可能です。
ただし、この方法は人々やペットにも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要になります。
忌避剤を使用する
市販のイタチ用忌避剤も効果的です。
忌避剤はイタチが嫌がる臭いを発生させるものであり、家の周りや侵入しやすい場所に設置することで、イタチの侵入を未然に防ぐ効果を期待できます。
イタチは鳥獣保護法によって保護されています。イタチの捕獲や駆除を行う場合は、専門業者へ依頼するか行政から許可を得る必要があります。
つまり許可を取っていない状態では、基本的に「追い出す」といった対処法しか認められない、ということです。
自ら行政の許可を得ることも可能ですが、手続きには大変な手間を要し、専門知識も必要になってきます。
また、許可が下りるまでに2週間ほどの期間がかかるので、早急な害獣駆除をしたい方にはオススメできません。
その点、専門業者であれば必要な許可をすでに持っており、効果的かつ迅速な対策を行うことができますので、対応に迷われたら、やはり専門業者へ相談するのが得策でしょう。
あとがき
いかがだったでしょうか? イタチについての解説は、これで以上になります。
どのような生き物なのか、イタチに対する解像度が高まったのではないでしょうか。
イタチは日本人とって非常に馴染み深い生き物ですが、その反面、時に人間を困られる厄介な存在であることを理解して頂けたかと思います。
本サイトでは、他にもイタチに関する情報を多数発信しておりますので、お困り事がございましたら、是非そちらの方をご参照ください。
イタチがどんな生き物なのか、これでハッキリ分かったわ!
愛くるしい顔だけど、棲みつかれたとなると厄介な生き物ね。
親戚が結構田舎に住んでるから、今日覚えたことを教えてあげようかしら…?
お役に立てて光栄です!
少しでも多くの人の被害防止に繋がれば本望ですが、もしも害獣被害に遭われてしまった際には本サイトをご利用ください!
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