家屋内に棲みついたシロアリは放置するほど建物に深刻な被害を与え、最悪の場合、倒壊の危険性すら起こり得ます。
自身で対策しようにも素人がシロアリを完全に駆除することは難しいため、できるだけ早く害虫駆除業者に相談した方がよいといえるでしょう。
しかし「業者に相談するとお金がかかりそう」「どの業者に依頼すればいいかわからない」と悩むケースもあるはずです。
本記事では、一軒家におけるシロアリ駆除の費用(相場)や業者の選び方についてご紹介します。
目次
一軒家のシロアリ駆除にかかる費用とは?
本章では、一軒家(一戸建て)のシロアリ駆除にかかる費用についてご紹介します。
ただし、駆除にかかる費用は状況によって変動するため、ここでの内容はあくまで参考程度にとどめておき、詳細は依頼する業者に確認を取りましょう。
費用相場について
シロアリの駆除および予防にかかる費用は「各業者が設定した平米単価や坪単価に、お住いの一軒家の1階床面積をかけた金額」が基準となります。
そのため金額は業者によって異なり、平米単価だと「1,150〜3,000円/㎡」ほど、坪単価だと「3,800~10,000円/坪」と費用相場にも金額の変動が見られます。
一軒家の坪数は約30~40坪が一般的であることから、最低でも10万円前後はかかると考えておいた方がよいかと思われます。
ただし、後述のように状況に応じて金額は変動するため、具体的な金額は業者の見積もりを参考にしてみましょう。
駆除・予防費用は状況に応じて変動する
シロアリの駆除・予防費用は、以下のように状況に応じて変動します。
- 依頼する業者
- 建物の被害状況
- シロアリの種類
- 依頼する工法 など
シロアリと一言でいっても、日本には約20種以上のシロアリが生息しています。
家屋に被害をもたらすシロアリとしては「イエシロアリ」や「ヤマトシロアリ」が有名ですが、現在は外来種の「アメリカカンザイシロアリ」などの被害も増加傾向にあり、種類によって駆除方法に違いが生じます。
また、駆除時におこなう工法は、バリア工法(薬剤を散布する)とベイト工法(毒エサを設置する)が主であり、どちらを利用するかによっても金額が異なります。
バリア工法の方が費用は安くなる傾向にあり、おおよその費用相場は以下の通りです。
- 20坪:88,000円~200,540円
- 30坪:130,680円~315,810円
- 40坪:174,240円~421,080円
- 50坪:217,800円~526,350円
依頼する業者・建物の広さ・被害状況などによって金額は変動するため、詳細は業者から提示される見積りにて確認しましょう。
なぜ業者によって施工単価が異なるの?
結論からいうと「施工単価が違っても、業者がおこなう作業に大きな違いはそれほどない」といえます。
散布する薬剤の効果や持続期間・施工内容などに大きな違いはなく、技術の進歩(薬剤のレベルが上昇)するごとに、各業者はできる限り最新鋭の技術を取り入れようとするでしょう。
金額が異なる理由としては、主に以下が挙げられます。
- 会社の規模
- 「自社施工」か「下請け業者」か
- アフターフォローなどの充実具合
- 施工する職人のスキルや経験 など
どちらかというと、施工単価が高い会社ほど「老舗」である可能性が高いといえます。
有名であるほど営業歴・施工歴が長いスタッフが多く在籍し、相応に施工実績数が多いためです。
逆に、運営歴が浅い会社ほど、自社をアピールするために駆除・予防費用を低く設定している可能性は高いといえるでしょう(もちろん業者によりけりではあります)。
また「自社施工」か「下請け業者」かによっても金額に大きな違いが生じる可能性があります。
「実際に作業をするのは下請け業者」の場合は、仲介業者を挟むため、費用が高くなりがちです。
業者に依頼する場合は「自社で一貫してすべての業務を対応している(自社施工)」という業者を選ぶ方が、費用は安くなる可能性があるといえるでしょう。
シロアリ駆除専門業者を選ぶ際のポイント
本章では、業者選定時のポイントをご紹介します。
ただ単に「安ければ良い」という訳ではないため、業者選びはよく考えることが重要です。
複数の業者から見積もりを取ろう
業者選びの際にもっとも重要となるのは「複数の業者から見積もりを取る(=相見積もりを取る)」ことでしょう。
相見積もりを取る理由は、業者の良し悪しの判断基準とすることと、駆除・予防費用の適正価格を把握するためです。
仮に一社からしか見積もりを依頼しなかった場合、業者の良し悪しや適正価格を知ることができません。
相見積もりは少ないと判断しづらく、多いと判断に悩む可能性があるため、基本は3~4社から取るのがよいといえるでしょう。
丁寧に対応してくれる業者を候補に残す
業者を選ぶ際は「丁寧に対応してくれる業者を候補に残す」ことが大切です。
- 現地調査を渋り、見積もりだけを提示してくる
- 電話および現地調査時のスタッフの対応がよくない(印象が悪い)
- 見積もり内容が不明確
- 見積もり内容など、不明点を質問しても曖昧に返される など
依頼する側にとって「業者の印象がよくない……」と感じた場合、作業時の対応も悪い可能性や(仮に対応に問題がなくても)再発した際に「別の業者に依頼すればよかった……」とあとから後悔する可能性が高くなります。
これは、とくに「費用面(安さ)だけを重視した場合」に起こり得る可能性が高いといえるでしょう。
安さだけをウリにする業者、悪徳業者である可能性もあり、サービス内容が不十分・後から追加請求してくるケースも多いため、安さとサービス内容の両方を重視しながら「より自身が安心・納得できる業者を選ぶ」ことが重要となってくるでしょう。
事前に追加料金発生の有無を確認する
現地調査を実施したうえで具体的な作業内容とそれにかかる見積もりを提示されても、実際の作業中に別途対策が必要となるケースもあります。
【追加工事や料金が発生する例】
- シロアリの種類が「アメリカカンザイシロアリ」だった場合
- 建物の構造上、点検が困難となる場合(床下点検口がないなど)
- 追加工事を必要とするほどの被害状況だった場合
- 湿度調整工事が必要な場合
- 休日や夜間に作業を依頼する場合 など
シロアリの駆除・予防は熟練の専門家でも予期せぬ事態が発生する可能性があるため、必ずしも見積もり通りに事が運ぶとは限りません。
そのため、万が一作業中に別途対策が必要となった場合のケースを想定し、その際の追加費用がどうなるか?を事前に確認しておくとよいでしょう。
害虫駆除業者を選ぶ際によくある質問
本章では、業者選定時によくある質問をご紹介します。
業者はどうやって探したらいい?
業者の探し方は、主に「ネットで調べる」「家族や友人に紹介してもらう」などが挙げられるでしょう。
また、お住いの地域によっては「市役所などで業者を斡旋してもらえる」可能性もあるかもしれません。
いずれにせよ、依頼するかどうかの最終決定は自身ですべきといえます。
他者からの情報は「利用者の印象によって良し悪しが決まる」ため、必ずしもそれが自身にも適用されるとは限りません。
自治体からの業者の斡旋も「候補となる業者を紹介しているだけ」に過ぎず、各業者の良し悪しのすべてを把握しているとは断言できません。
そのため、他者からの意見は参考程度にとどめておき、最終的には自身が感じた印象で依頼する業者を決定するのがよいといえるでしょう。
「安い業者」と「高い業者」どちらを選ぶべき?
業者の良し悪しは、単に駆除・予防費用だけで決定されるものではありません。
費用が安くてもサービスが充実している業者もあれば、費用が高くてもサービス内容が不十分である可能性も捨てきれません。
そのため、業者を選定する際は「費用だけでなく、サービス内容や自身が感じた印象を大切にする」ことが重要といえます。
電話応対・現地調査・見積もり提示の応対など実際に業者と接する機会は多いため、その間に自身が感じた印象を第一に考え、より安心・納得できる業者に依頼するとよいでしょう。
不明点は業者に質問してもいい?
見積もりを提示された際は、とくに「この内容はなに?」「この項目は本当に必要なの?」と不明点が生じるはずです。
もしも不明点があった際は自身が納得できるまで質問し、できるだけ多くの不明点を解消したうえで依頼に踏み切ることをおすすめします。
不明点をそのままにして依頼すると、後から「思っていたのと違った」「高額な追加費用を請求された」とトラブルに発展する可能性もあり得ます。
業者に依頼する場合、とくに一軒家の場合は数十万円の高額な費用が発生するケースが多いため、業者に遠慮せずとことん不明点を解消してから依頼するべきといえるでしょう。
「大手」と「個人」どちらに依頼すべき?
業者のなかには、全国的に事業所を展開している大手企業と、いわゆる「街の駆除屋さん」といった小規模経営の業者が存在します。
どちらに依頼した方がお得か?は、実際に情報収集してみないことには判別できません。
費用・サービス内容ともに「どちらが優れている」とは一概に言えないため、できれば双方から現地調査・見積もりを依頼し比較した方が安心できるでしょう。
ただし、基本的に「自社で一貫してすべての業務を対応している(=自社施工)」業者を選ぶことをおすすめします。
仲介業者の場合、仲介手数料が発生し費用が割高となるケースがあります。
また、仲介業者・下請け業者の間で正しい情報共有がされずに依頼した通りのサービスが実施されない可能性もあるため、注意が必要といえます。
悪徳業者を見極めるコツは?
業者のなかには「サービス内容が不十分」「後から追加費用を請求してくる」といった、悪徳な業者も存在します。
悪徳業者かどうかを見極めるコツとしては、以下が挙げられます。
- 複数の業者に見積もりを依頼し、比較する(=相見積もりを取る)
- 現地調査を渋る・スタッフの対応が悪いなど、印象が良くない業者は候補から外す
- 不明点はとことん質問する など
悪徳業者に分類される業者は、基本的に「詳細を曖昧にし、不要なサービスを過剰に勧めてくる」傾向にあります。
できれば、詳細が曖昧な業者は候補から外すのがよいといえるでしょう。
ただし、良質な業者に依頼しても100%再発を防止できるとは限りません。
そのため、再発時の保証やアフターサービスの内容も必ず事前にチェックしておきましょう。
シロアリ対策は適度に依頼した方がいい?
一度駆除・予防を業者に依頼したからといって、その効果が永続的に続くことはありません。
バリア工法で使用される薬剤の効果は最大で5年ほどといわれており、一軒家のシロアリ対策は5年に1度を目安に業者に依頼した方がよいといえるでしょう。
(以前は5年以上効果が続く薬剤が使用されていることもありましたが、近年では人体への影響も考慮して効力が強すぎる薬剤は使用されていません)
ただし「5年に1度」はあくまで目安であり、状況によっては早期に業者に再調査を依頼した方がよいケースもあります。
新築であってもシロアリにとって居心地の良い環境であれば狙われてしまう可能性もあるため、床下や水回りは定期的に点検し日常的なシロアリ対策を心がけることをおすすめします。
自分でできる対策としては「床下基礎部分の通気性を確保する」「家の周囲や庭などに不要な物を置かない」などが挙げられます。
まとめ
シロアリは非常に小さい個体であり、普段人が出入りしない箇所(床下・屋根裏・建材のなかなど)に侵入するため、発見が遅れるケースも多々あります。
しかし、対処が遅れるほど建物への被害は甚大となっていくため、気づき次第早急に害虫駆除業者に相談するのが得策です。
駆除・予防に関する費用は依頼する企業や状況に応じて変動するため、できるだけ複数の業者から見積もりを取り、より良い業者に依頼しましょう。
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