野生のイタチはどこに潜んでいる?生態や主な被害・効果的な予防策を解説

害獣・害虫別

野生のイタチによる被害は、年々増加しています。

農地での被害だけでなく、近年は都市部にも出没しお住いの建物に棲みつくケースもあるため、他人事で済ませられる問題でもないでしょう。

本記事では、野生のイタチが潜んでいる場所、主な被害や効果的な予防策を解説します。

イタチに限らず、害獣の被害に遭っている方や被害を危惧される方は本章を参考に対策を講じてください。

野生のイタチの生態

まずは、自然界に生息する野生のイタチの生態からご紹介します。

もし敷地内や周辺で「イタチっぽい動物に遭遇した」「足跡などの痕跡を発見した」という場合など、判別する際に役立ててみましょう。

イタチの種類

同じ分類に属する動物は意外と多く、現在の日本では4種7亜種が存在します。

そのなかで本州に生息しているのは、在来種である「ニホンイタチ」と朝鮮半島から持ち込まれた外来種の「シベリアイタチ」がほとんといわれています。

なお、シベリアイタチはもともと「チョウセンイタチ」と呼ばれていましたが、2021年(令和3年)より名称が変更されました。

ニホンイタチとシベリアイタチの違い

本州に生息するニホンイタチとシベリアイタチの違いは、主に以下の通りです。

【ニホンイタチ】

  • 毛色:茶褐色、赤褐色
  • 体長:オス39cm~53cmほど、メス23cm~34cmほど
  • 尻尾の長さ:頭胴長の長さの半分以下

【シベリアイタチ】

  • 毛色:明るい山吹色
  • 体長:オス44cm~60cmほど、メス38cm~47cmほど
  • 尻尾の長さ:頭胴長の長さの半分以上

両者を見分けるポイントは、毛色の違いと尻尾の長さでしょう。

ニホンイタチは茶褐色・赤褐色をしているのに対し、シベリアイタチは明るい山吹色をしています。

ただし、冬季になるとニホンイタチも山吹色に毛色が変化するため、判別は難しくなるでしょう。

尻尾の長さは、シベリアイタチの方が長い(頭から胴体の長さの半分より長い)ため、この点も判別のポイントになり得ます。

生息域

在来種であるニホンイタチは、北海道から九州にかけた日本全土に分布しています。

対して外来種であるシベリアイタチは、西日本(本州中部から九州・四国など)を中心に生息範囲を広げてきました。

ただし、シベリアイタチは今も生息範囲を広げており、東日本でも存在が確認されるようになりました。

また、ニホンイタチはシベリアイタチに住処を奪われて生息地が激減していること(現在は絶滅危惧種に指定されている)、ニホンイタチの生息環境が野山であることが多いことから、都市部での被害はシベリアイタチによるものが多いとされています。

いずれにせよ、都市開発が進み自然環境が減少している昨今では人間の生活区域まで侵入するイタチが増加しており、この結果さまざまな地域でイタチによる食害や悪臭などの被害が問題となっています。

性格

とくに縄張りのなかに足を踏み入れると、噛みついたり・引っ掻くなどの攻撃をしてくるため、非常に危険です。

イタチは普段あまり鳴かない動物ですが、威嚇時は「ガーッ!」「キッキッキー!」と甲高い声で鳴きます。

通常時はもちろん、威嚇時はとくに危険なため、巣穴や天井裏に侵入したイタチを自力で追い払おうとする際は、十分な警戒が必要です。

3月~5月の繁殖期にはさらに攻撃性が高まることから,この時期も極力接触を避けるべきといえるでしょう。

無理に自力で対処しようと考えず、専門業者に駆除を依頼することをおすすめします。

足跡

イタチは5本指であり、その先に小さな爪がついています。

足跡のサイズは2~3cmほど(後ろ足のほうが1cmほど大きい)で形は似ており、肉球と指が離れて跡が残ることが特徴といえるでしょう。

ただし、体重が軽いため5本すべての跡が残ることは珍しく、ときには3・4本のみ足跡が残っているケースもあります。

雪の上や泥跡ならばともかく、乾燥した土の上にきれいに足跡が残ることは早々ないでしょう。

食性

イタチは雑食であり、食べ物の残りだけでなく、たとえ生ごみであっても口にする習性があります。

とくに肉類を好んで食べること、代謝がよく食料を毎日大量に(体重の40%の重さ程度)摂取する必要があることから、主にネズミ・トカゲ・カエルなどを捕食して食べることが多いでしょう(自分よりも大きなニワトリやウサギを狩って食料とすることもある)。

基本的には日没に活性化し、人々が寝静まった夜中などに餌を求めて動き回るとされています(日中でも活動することはある)。

これは多くの害獣にいえることではありますが、夜中に天井裏などからドタドタと足音が聞こえてきたら、害獣の存在を疑ったほうがよいといえるでしょう。

イタチの糞の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 細長く、ねじれた形状していることが多い
  • 6mmほど(1cm以下)
  • 臭いが強い
  • 肉食を好むため、糞のなかに獣の毛が入っていることがある
  • 水分が多く湿っている など

食べるものによって詳細は異なるため、かならずしも同じ形をしているとは限りません。

また、肛門に「臭腺」と呼ばれる臭いを発する器官があり、これが強烈な臭いを発する理由とされています(肉を好むことも理由にあたる)。

外敵に襲われた際に臭腺からこの強力な臭いを発することで身を守ることができ、同様に糞にもこの臭腺の臭いが付着します。

糞の形状で判別が難しい場合は、臭いで判別をすることも可能といえるでしょう。

ただし、糞には多くの病原菌がついており、なかには空気感染する病気もあるため、基本的には近づかない方が無難です。

どうしても自力で判別したいという方であっても、少なくとも至近距離で匂わないよう注意しておきましょう。

野生のイタチが潜んでいる場所

野生のイタチは、その細長い体を生かして、わずか3cmほどの小さな隙間からでも家のなかに侵入してきます。

本章では、家屋内で野生のイタチが潜んでいる場所や、家のなかにイタチが入ってくる理由などをご紹介します。

潜んでいる場所と棲みつく理由

家のなかにイタチが侵入・棲みつく理由には、主に以下が挙げられます。

  • 食物のある場所を求めている
  • もともとの住環境が変化し、新しい住処を探している
  • 繁殖・子育てのために安全な場所を確保したい など

家のなかは暖かく、食べ物の残りや生ごみなどが放置されていることがあります。

また、外敵から身を守れる場所でもあるため、イタチだけでなく野生動物にとって居心地がよく安心できる場所といえるのです。

主な侵入経路

イタチの建物への侵入経路は、主に以下が挙げられます。

  • 屋根の隙間
  • 通風口、換気扇
  • エアコン導入部、室外機近くの壁穴
  • 排水パイプ など

イタチは直径3cm程度(500円玉とほぼ同じサイズ)の隙間があれば侵入でき、柔軟性のある体と強い好奇心から、さまざまな侵入経路を使って建物のなかに入り込んできます。

イタチの侵入を防ぐ方法

イタチの侵入を防ぐ最善の方法は「侵入経路を徹底的にふさぐこと」です。

イタチに突破されないよう、金網やパンチングメタルなどを使って、侵入経路となる隙間・穴を確実に埋めましょう。

侵入経路をふさぐ際は、すでに入り込んでいるイタチを追い出したあとで実行してください。

また、イタチは帰巣本能が強い動物であり、一度侵入した場所に再び入り込もうとする習性があります。

被害を防ぐことができたとしても、適度に侵入経路となり得る場所はチェックしておいたほうがよいでしょう。

侵入されたかどうかを確認する方法

イタチに侵入されたかどうかは「侵入経路の周辺に痕跡がないか?」をチェックしてみましょう。

侵入経路の周辺に痕跡を残すことが多く、とくに足跡や糞は重要な手掛かりとなります。

また、家のなかに侵入したあとに餌となる食料を探す傾向があることから、キッチンや食品庫などで「食べ物の袋が開けられていないか?」「食材が散乱していないか?」「生ごみが荒らされていないか?」などを確認してみるのもよいでしょう。

  • 夜間に天井裏などから鳴き声や足音などの不審な音が聞こえないかチェックする
  • 狭い隙間や穴に隠れることを好む動物でもあるため、家具の裏や棚の隙間・押入れの奥など、狭く暗い場所などをチェックする

上記のような点も、イタチを探すうえでの重要な手掛かりとなるはずです。

野生のイタチが人間にもたらす影響

野生のイタチによる被害は、主に以下が挙げられます。

  • 騒音被害:夜中に屋根裏で走り回ったり・鳴き声をあげるため、睡眠を妨げられストレスとなる
  • 悪臭被害:溜め糞(毎回同じ場所に糞尿をすること)という習性があり、糞尿のニオイが家中に広がる
  • 健康被害:悪臭による健康被害に加え、ダニやノミなどの害虫を運んでくることで、アレルギー・感染症などに発病する恐れがある
  • 屋根裏の汚損被害:断熱材を破って巣を作ったり、糞尿で建材を腐食させる(悪化すると建物が倒壊する危険性もある)
  • ゴミ・農作物の食い荒らし被害:キッチンに忍び込んで食料品や生ゴミを食べたり、田畑や家庭菜園で野菜や果物を食べる など

いずれも、人々の生活に多大な影響をおよぼす可能性があり、放置するほどその被害は甚大なものとなっていくでしょう。

被害が拡大してから対処すると、駆除や建物の修繕費用が高額になるため、早めの対策が重要です。

被害は全国的に拡大・増大している

イタチは、本来自然の多い場所に住む動物ですが、都市化や森林破壊によって野生動物の生息地が減少した結果、餌場や安全に巣作りできる場所を求めて人里に下りてくるようになりました。

イタチによる被害は西日本を中心に全国に広がっており、近年では西日本だけでなく東北地方での被害報告も増加傾向にあります。

農林水産省によると、令和4年度の野生鳥獣による農作物被害は、イタチを含めて約156億円に上るとされています。

もともとは人間の行動が原因とはいえるものの、被害を放置するわけにはいきません。

イタチの侵入や痕跡などを確認した際は、早めに対処を施すようにしましょう。

野生のイタチによる被害を最小限に抑える方法

本章では、野生のイタチによる被害を最小限に抑える方法をご紹介します。

ただし、素人ができることには限界があり+リスクも伴うため、不安を感じる方は早めに専門業者に相談するとよいでしょう。

イタチにとって居心地の悪い環境を作る

イタチにとって居心地の悪い環境を作ることで、被害を最小限に抑えることができるかもしれません。

その方法としては、以下が挙げられます。

  • 侵入経路を封鎖する
  • イタチが嫌がる臭いや光など、罠を設置する
  • 片付け・清掃を適宜おこない、衛生管理を徹底する など

イタチは強い臭いや光を嫌うため、ホームセンターなどで販売されている忌避剤やライトを設置するとよいでしょう。

加えて、片付け・清掃をおこない、餌となりそうなものを極力取り除くことも重要です。

侵入経路をふさぐだけでなく、建物に向かって伸びている木の枝を剪定したり、隠れ蓑になりやすい雑草なども適度に処理しておきましょう。

ただし、これらはあくまで「予防」であり、徹底的に対策をしてもイタチが侵入してくるケースはあります。

捕獲や駆除をおこなうには免許や許可を必要とするため、これ以上の対処は専門業者に依頼した方が賢明といえるでしょう。

専門業者や自治体に相談する

また、許可をとる際には狩猟免許を必要とするため、被害に遭ってから免許の取得を目指していては被害は拡大していく一方です。

そのため、被害に遭われている方・不安を感じる方は、早めに害獣駆除の専門業者に相談することをおすすめします。

費用こそかかるものの、徹底した駆除・再発防止などをしてくれるだけでなく、万が一被害が再発した際にも迅速かつ格安で対処してくれるでしょう。

もし「いきなり専門業者に相談するのはちょっと…」という方は、お住いの自治体に相談してみるのもよいかもしれません。

一般の方が利用できる補助金こそほぼありませんが、なかには専門業者の斡旋などサポートをしてくれる可能性もあります。

詳細は自治体によって異なるため、まずはお住いの自治体に確認してみるとよいでしょう。

まとめ

野生のイタチは、餌や住処などを求めて人々の生活圏に出没することが多くなっています。

わずかな隙間からでも侵入でき、侵入されれば食料の食い荒らし・糞尿による悪臭・建物の腐敗・病原菌への感染など、深刻な被害をもたらす恐れがあるでしょう。

もしも付近で野生のイタチやその痕跡を見つけた場合は、できるだけ早くに対策を講じるべきです。

不慣れな方ができることに限界がある+非常に手間がかかるため、被害を最小限に抑えたいという方は、早めに専門業者や自治体などに相談してみるとよいでしょう。

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