白蟻の防除工事はどんなことをするの?具体的な工事内容やかかる費用・時間について解説

害獣・害虫別

白蟻は害虫の代表格であり、家屋に棲みつかれると建物がどんどん劣化してしまいます。

建物の点検する際に業者に白蟻の防除工事を勧められることがありますが「具体的にどんな工事をおこなうのか?」「どのくらい費用が発生するのか?」がわからず、工事を依頼するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、白蟻の防除工事に関する、具体的な工事内容やかかる費用・時間などについてご紹介します。

信頼できる業者選びのポイントも解説しておりますので、実際に依頼を検討する際の参考にもしてください。

白蟻の防除工事はどんなことをするの?

本章では、白蟻の防除工事の内容と、工事が必要となる主な状態についてご紹介します。

防除工事の詳細を把握して、お住いの家は工事が必要なのかどうかを判断していきましょう。

白蟻の防除工事の内容

つまり「すでに白蟻が発生している」もしくは「白蟻がいた形跡(痕跡)がある」場合におこなう工事のことです。

業者に相談した際は、まず被害状況などを確認するため現地調査をおこないますが、この時点で白蟻がいないと判断した場合は「防除工事」ではなく「消毒工事」をおこないます。

それぞれの具体的な工事内容は、以下の通りです。

【防除工事】

  • 白蟻の発生場所にて、駆除をおこなう
  • 白蟻が発生した場所・被害に遭っていない場所に薬剤を散布・注入し、再発生を防ぐ
  • 被害状況によっては、修復作業もおこなう

【消毒工事】

  • 白蟻が発生しそうな場所に薬剤を散布・注入し、白蟻の発生を予防する(消毒のみ)

ただし、業界内で明確な言葉の定義があるわけなく、業者によっては「駆除=白蟻駆除」「防除=消毒による予防」として扱っているケースもあります。

ちょっとした言葉の違いではありますが、業者に相談する際はこの点も意識しておくとよいでしょう。

工事が必要となる主な状態(症状)について

白蟻の防除工事が必要となる主な状態(症状)は、以下の通りです。

  • すでに白蟻が発生している
  • 蟻道(蟻の通り道)がある
  • 木がスカスカになっている(壁や柱を叩くと空洞音がする)
  • 床や畳を歩くと、軋んだり沈んだりする
  • 建材が変色している
  • 羽蟻または大量の翅が落ちている など

上記に該当するものを建物内外で発見した場合は、すでに白蟻が巣くっている可能性が高いといえます。

また、白蟻は光を苦手とするため、(羽蟻を除き)人前に姿を現すことはほとんどありません。

人の目に見えないところで被害が拡大しているケースが多いため、白蟻発生の兆候を見逃さないよう注視しておきましょう。

白蟻を根絶することはできない

白蟻は自然界(地面の下)に無数に存在する生き物であり、白蟻そのものを根絶することはできません。

防除工事は「建物のガードを固め、家屋への浸入を防ぐためにある」と考えておきましょう。

たとえば、白蟻の防除工事には、以下2種類の方法が用いられます。

  • 床下などに薬剤を散布する
  • 建物外周など白蟻の侵入経路となりそうな場所にベイト剤を設置する

「家屋に浸入した白蟻を駆除する」「白蟻が建物に近づきにくくする」ための手段であり、どちらも自然界に存在する白蟻に大きな影響を与えるわけではありません。

また、防除工事は駆除と予防を同時におこなうものであり、どちらが欠けても白蟻の発生を防ぐことはできません。

薬剤は5年ほどで効果が切れる(徐々に効果が薄まる)ため、防除工事を依頼しても一定時期ごとに業者に点検を依頼しなければ、いずれは白蟻の被害が再発してしまう可能性は高いといえるでしょう。

白蟻駆除の工法とかかる費用の相場は?

白蟻の駆除をおこなう際の工法はいくつかあり、それぞれでかかる費用が異なります。

本章では、白蟻駆除の工法とかかる費用の相場についてご紹介します。

白蟻防除工事にかかる費用相場について

一般的な30坪程度の住宅であれば、最低でも10万円前後はかかると考えておきましょう。

ただし上記はあくまで相場であり、具体的な費用は、被害状況や依頼する業者・サービス内容などで大きく異なります。

点検口がない建物の場合、点検口を追加する工事が発生することもあります(点検口の設置費用は、一箇所あたり約2~5万円ほど)。

工事・修繕内容や施工範囲の規模によっては、30万円以上かかるケースもあるでしょう。

また「工事費用をできる限り抑えたい」と考える方も多いかもしれませんが、安さだけに目を向けるのも注意が必要です。

工事内容が不十分・保証がないなど、依頼したものの被害が収まらないケースもあるため、費用・サービス内容・保証などを総合的に判断し依頼する業者を決めたほうが、長期的に安心できるといえるでしょう。

業者に依頼する際は、複数社(できれば3~4社ほど)から見積もりを依頼することをおすすめします。

バリア工法(液剤工法)

バリア工法(液剤工法)とは、作業スタッフが床下に侵入し、木材や土壌に直接薬剤を散布することで白蟻を駆除する方法です。

もっともスタンダードな白蟻駆除の工法であり、ここでご紹介する3つの工法のなかでもっとも費用を安く抑えることができます。

業者のなかでも白蟻駆除といえばバリア工法を指すことが多く、実績も豊富で安心できる工法といえるでしょう。

バリア工法のメリットは、白蟻被害に対して迅速に対応できる点が挙げられます。

白蟻の巣に直接薬剤を散布できるため根本から駆除ができますし、木材に対して防腐効果がある薬剤を使用することから再発予防の効果も高いとされています。

バリア工法に使用する薬剤は日本しろあり対策協会から認定されているものを使用する業者が多いため、白蟻駆除の効果だけでなく建物に対する安全性も高いでしょう。

対してバリア工法のデメリットは、作業スタッフが床下に入る必要があるため、家の構造によっては床下に向けて穴を開けなければいけない点が挙げられます。

また、木材に直接薬剤を打ち込むための穴を開ける必要がありますし、使用する薬剤によっては室内に薬品臭が残るケースもあるでしょう。

メリット・デメリットが明確であるため、バリア工法を利用する際は、事前に業者へ確認を取っておくことをおすすめします。

ベイト工法

ベイト工法とは、ベイト剤(毒エサ)を建物外周に一定間隔で設置し、敷地内に生息する白蟻に食べさせることで駆除する方法です。

ベイト工法のメリットは「薬剤をほとんど使用しない」という点にあり、小さなお子さんやペットと一緒にお住いの方も安心して利用できます。

また、建物の周辺に撒き餌をするだけなので、穴を開けるなど木材にダメージを与える心配もありません。

建物の見栄えの問題や老朽化を予防できることに加え、巣にいる白蟻まで確実に駆除できる可能性が高いとされています。

ただしデメリットとして、撒き餌の状態を定期的に点検する必要があるため、継続的に費用が発生するという点に注意が必要です。

ベイト工法にかかる費用は、建物の大きさ(外周の長さ)や家の周りの環境(土かコンクリートか)などにより決定します。

その後、ベイト剤の補充など毎年の管理を必要とするため、バリア工法に比べて費用が高くなりがちです。
(毎年の管理が必要なため、年単位で契約するのが一般的とされる)

コストをかけてでも白蟻を徹底的に駆除したいと考えている方には効果的ですが、あまりコストを掛けたくないという人には不向きな駆除方法といえるでしょう。

土壌表面皮膜形成工法(テクノガード工法)

土壌表面皮膜形成工法(テクノガード工法)とは、床下の土壌表面を樹脂で固める施工法のことです。

バリア工法との大きな違いは「工法自体に防湿効果があること」で、施工後の数ヶ月で床下の土が堅く固まり、床下からの湿気を大きく抑えることができます。

白蟻は湿気の多いジメジメした場所を好むため、白蟻の予防に非常に効果的です。

かつ湿気対策もできるため、建物の劣化やカビによる悪臭・アレルギーの発生なども抑制することができます。

ただし、防蟻と湿気対策を両立できる優れた工法ではあるものの、以下の点には注意が必要です。

  • ポリマーの硬化に、2〜3ヶ月ほど時間がかかる
  • 白蟻予防・駆除の硬化は約5年間ほど
  • 施工費用が高額になる(およそバリア工法の4~5倍ほど) など

土壌表面皮膜形成工法(テクノガード工法)の樹脂による層は半永久的なものといわれていますが、白蟻はごくわずかな隙間を見つけて侵入するケースも考えられます。

また、床下から侵入できなくても、別の場所(玄関や浴室など)から被害を発生させることもあるでしょう。

上記のことから、この工法を利用しても5年ほどを目安に定期点検を実施することが勧められています。
(この工法で施工した後の白蟻対策は、バリア工法で使用する薬剤をコーティングの上から散布される)

優れた工法ではあるものの、施工費用の高さや定期的な点検を必要とする点には注意しておきましょう。

白蟻防除作業の大まかな流れ

白蟻の防除作業は、大まかに以下の流れで進められます。

【依頼前に実施されること】

  • 床下の点検調査
  • 見積書の提出

【依頼後の具体的な作業】

  • 養生
  • 床下への薬剤散布・注入
  • 建物外周への薬剤散布・注入

業者に依頼した際は、まず被害状況を確認するために現地調査が実施されます。

この現地調査をもとに、防除工事にかかる費用の概算が出され、内容に問題がなければ契約成立となります。

現地調査から見積書の提出までは無料で実施している業者も多いため、複数社から見積もりを依頼し、業者の良し悪しを比較してみるとよいでしょう。

契約成立後は、作業日のすり合わせをおこない、業者による防除工事が実施されます。

防除工事にかかる時間は、およそ半日ほどといわれています。

ただし、白蟻被害の状況・作業範囲の規模によってはそれ以上の時間がかかるケースもあるため、事前に作業時間の目安を確認しつつ、念のため余裕をもって時間を確保しておくと安心です。

信頼できる業者選びのポイントは?

日本全国にさまざまな業者があり、なかには悪徳業者の類も存在するため、業者選びは特に慎重におこなう必要があります。

本章では、信頼できる業者選びのポイントをご紹介します。

社歴が長く・豊富な実績を持っている

白蟻駆除の実績が豊富な業者ほど、不測の事態などさまざまなケースに対応できるスタッフが多く、どのようなトラブルでも効果的な対策を提案してくれる可能性が高いでしょう。

知識だけでなく施工の技術にも長けているため、再発の心配も減らすことができるはずです。

実績に自信を持っている業者であれば、自社のホームページにその詳細が明記されていることも多いでしょう。

創業からの年月が長く、目に見える実績を積み上げていることが確認できる業者を選ぶことで、安心して防除工事を任せることができます。

点検や報告を丁寧におこなってくれる

業者のなかには、現地調査をせずにいきなり見積もりを提示しようとするケースもあります。

被害状況は建物それぞれで異なるため、どれだけ優れた業者であっても現地調査をせずに正確な見積もりを出すことは不可能です。

そのため、現地調査はもちろん、点検や報告を丁寧におこなってくれる業者を候補に残すことをおすすめします。

スタッフの対応や発言から、信頼できる業者かどうかをある程度確かめることができます。

丁寧な業者であれば、これまでの経験や深い知識を持って、わかりやすく・説得力のある話をしてくれるでしょう。

住宅の特長を考慮し、どのようなリスクがあり・どのような施工をすべきなのかを、的確に判断してくれるはずです。

また、見積もり提示時などに不明点などが出てくることも多いですが、このようなときは積極的にスタッフに質問してみましょう。

質問に対して、丁寧かつわかりやすく説明してくれる業者ほど、信頼できる可能性は高いといえます。

逆に、適当にはぐらかされたり、専門用語を並びたてられたりするなど不親切に感じた場合は、その業者は候補から外したほうが無難かもしれません。

点検写真だけでなく施工写真ももらえる

現地調査をしてくれたとしても、調査後の状況説明が言葉だけの業者も存在します。

素人では口だけの説明では理解しづらいですし、言っていることが本当かどうかも判断できず信用性に欠けるでしょう。

そのため、現地調査時点から丁寧に点検をしてくれることはもちろん、現場の写真を見せながら丁寧に説明してくれる業者を選ぶことをおすすめします。

ただし、悪徳業者のなかには別の家の被害写真を見せて、工事契約を迫ってくるケースもあります。

心配な方は、当日家にあるものを渡して一緒に写し込んでもらうなど自宅の床下だと証明できる写真を撮ってもらうよう依頼してみましょう。

また、点検時の写真だけでなく、施工時の写真もくれる業者を選ぶこともおすすめです。

契約通りの工事がおこなわれているかを確認することは難しいため、作業中の写真を残してくれる業者だとより安心できるはずです。

契約前に、工事中の写真をもらえるのかも確認しておきましょう。

追加料金が発生しないことを明言している

白蟻駆除を依頼する際に注意すべき点として「後から追加料金が発生しないか?」を事前に確認しておくことも重要です。

これは、特に安さだけをウリにしている業者(費用が相場以上に極端に安い)で起こりやすい問題といえます。

「追加料金は発生しないか?」「追加作業が発生する場合は事前に連絡をもらえるか?」を、依頼前に確認しておくことをおすすめします。

保証内容が充実している

白蟻だけでなく、害虫・害獣駆除には保証が付いているケースが多いとされていますが、保証内容や期間は業者によって差があります。

保証内容としては、主に「施工保証」「修理保証」の2種類があり、これらが適用される条件や保証してくれる上限金額を事前に確認しておきましょう。

特に、安さをウリにする業者は保証内容が不十分であるケースも多いため、注意が必要です。

要注意!悪徳業者の特徴について

白蟻駆除だけでなく、害虫・害獣駆除の世界には、法外に高額な費用を請求をしたり・手抜き工事をしたりする、悪徳業者の類も存在しています。

特に以下のような業者には注意が必要です。

  • 料金が極端に安い業者
  • 営業電話や訪問販売ですぐに契約を迫ってくる業者
  • 自社の公式サイトなど情報が少ない業者
  • 現地調査をせずにすぐに見積もりに入ろうとする業者 など

一社からしか見積もりを依頼しないと、(悪徳業者でなかったとしても)比較材料がなく良質な業者かを判断することができません。

できれば3~4社ほどから見積もりを依頼するのがベストです。

不明点があれば質問しながら、より丁寧に対応してくれる業者を候補に残し、最終的に費用・サービス内容の双方に納得のいく業者へ依頼してください。

白蟻の防除工事に関するよくある質問

本章では、白蟻の防除工事に関するよくある質問をご紹介します。

防除工事にかかる時間はどのくらい?

白蟻の防除工事にかかる時間は、おおよそ半日ほどといわれています。

ただし、被害状況や施工範囲によって時間は前後するため、念のため作業日は1日予定を空けておいたほうがよいといえるでしょう。

詳細は人それぞれ状況によって異なるため、依頼する業者に確認してみましょう。

点検はどのくらいの頻度でおこなうべき?

白蟻の防除工事をしたあとも、基本は5年おきに点検をおこなうことをおすすめします。

一度消毒すれば半永久的に効果が持続するわけではなく、薬剤の効果は約5年ほどで切れてしまいます。

そのため、保証年数も5年ほどに設定されていることが多いはずです。

また、ベイト工法は1年おきにベイト剤の点検をおこなう必要があるため、より定期点検の頻度が多くなってしまいます。

5年(ベイト工法であれば1年)ほどを目安にして、定期的に点検を依頼しましょう。

赤ちゃんやペットがいても薬剤は使用して大丈夫?

白蟻対策のための薬剤は、国が指定する基準に合わせて希釈して使用されています。
(人体に影響が出ないように薄めて使用されるため、5年ほどしか効き目がないとされている)

また、極度に有害な薬剤の使用はすでに禁止されており、より健康面に配慮した商品も開発され続けています。

このことから、小さなお子さんや高齢者、ペットなどと一緒にお住いの方でも、比較的安心して利用はできるといえるでしょう。

ただし、薬剤を使ってよいか悩まれる場合は、まずは業者に相談してみることをおすすめします。

詳細を確認し、安心・納得できる説明をしてもらってから、工事を正式に依頼するとよいでしょう。

新築時に白蟻予防工事はかならず実施されているの?

建物を建てる際、白蟻による被害を防ぐために防蟻措置を施すことが一般的であり、建築基準法にも「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」と記載されています。

ただし、すべての住宅に防蟻措置が取られているとは限りません。

多くのメーカーや工務店は業者による防蟻措置をおこなっていますが、なかには間違った知識のもとに現場処理が実施されていないケースもあります。

また、防蟻措置が施されていても薬剤の効果は5年程度で切れるため、5年を目安に点検を依頼する必要もあります。

白蟻の駆除は自身でもできる?

白蟻の予防・駆除は、自身でもおこなうことができます。

ただし、人目につかない場所にいる白蟻を見つけることは非常に困難であり、かつ一度発生した白蟻は大量に繁殖し建物に甚大な被害を与えるため、素人にできることは予防までと考えておきましょう。

この予防も、素人にはできることに限界があるため、基本的には点検から業者に依頼するのが得策といえます。

被害が拡大するほど駆除や修繕にかかる費用は高額になるため、できるだけ早期に業者に相談することをおすすめします。

まとめ

白蟻の防除工事は、シロアリを駆除し、再発生を防ぐ工事のことです。

白蟻に建材を食べられると建物の劣化が早まり、下手をすれば倒壊の恐れすらあるため非常に危険です。

被害を未然に防ぐためにも、プロの業者に点検から依頼することをおすすめします。

ただし、業者もさまざまに存在するため、かならず相見積もりを取って複数社を比較し、より自身が安心・納得できる業者へ依頼をしてみましょう。

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