ハクビシンなどの害獣には、蚊取り線香が効果的だと噂されることがありますが、この情報は本当なのでしょうか。
残念ながら害獣駆除において蚊取り線香は大した効果はなく、害獣の追い出しには害獣用の獣除け線香を使うことをおすすめします。
本気記事では、蚊取り線香がなぜハクビシンなどの害獣に効果がないのか?という根本的なところから、獣除け線香の使い方やその他の対策グッズをご紹介します。
目次
蚊取り線香でハクビシンを駆除できる?
本章では、蚊取り線香はハクビシンに効果があるのか?という点を解説します。
線香にもいくつかの種類があるため、用途を理解したうえで使用しましょう。
ハクビシンなどの害獣に蚊取り線香は効果がない
残念ながら、蚊取り線香でハクビシンを駆除することはできません。
蚊取り線香に含まれている成分は「ピレスロイド」というものであり、昆虫類・両生類・爬虫類などに対して、神経細胞の攻撃や呼吸を妨げる毒を発生させる効果があります。
しかし、ハクビシン・イタチ・ネズミなどの哺乳類に分類される害獣は、この毒を体内の酵素によって分解してしまうため効果がありません。
哺乳類である人間にも無害なように、蚊取り線香はハクビシンにとっても毒にはなり得ません。
なお「蚊取り線香は害獣にも効果がある」という噂もあるようですが、害獣に類する動物は嗅覚に優れているため、ニオイや煙を不快に感じてその場を去ったのかもしれません。
ただし、同じ罠を置き続けているといずれは慣れてしまうため、一時的に姿を見せなくなったとしても再発する可能性は十分に考えられます。
別途、何かしらの害獣対策を講じるべきといえるでしょう。
線香で駆除する場合は「害獣用」を選ぼう
線香にもいろいろな種類があり、実は害獣対策専用の獣除け線香も販売されています。
形状は蚊取り線香によく似ているものの、蚊取り線香より分厚く・煙の量も多い、かつカプサイシンという唐辛子の辛み成分が含まれているため、嗅覚の鋭いハクビシンなどの害獣にも効果が期待できます。
獣除け線香はホームセンターやネット通販などで2,000円前後で購入できるため、利用を検討してみるのもよいでしょう。
獣除け線香の使い方
獣除けと蚊取りはどちらも同じ線香のため形状がよく似ており、使い方もほとんど同じです。
使用(設置)方法は、獣除け線香を携帯防虫器にセットし、害獣に浸入されなくない場所に設置して火をつけ置いておくだけです。
携帯防虫器もホームセンターやネット通販などで簡単に入手できますが、もし蚊取り線香の使用時に携帯防虫器を活用している場合は、それに獣除け線香をセットするのもよいでしょう。
なお、獣除け線香によって燃焼時間(効果時間)が異なる点にはご注意ください。
販売するメーカーによっても特徴が異なるため、かならず説明書などで使用方法を確認したうえで使用するようにしましょう。
獣除け線香を使用する際の注意点
獣除け線香にも使用時に注意するべき点がいくつかあるため、本章にてその注意点をご紹介します。
人間にも悪影響をおよぼす可能性がある
獣除け線香はハクビシン対策に有効ではありますが、強力かつ人間にも効果がおよぶ可能性があるため注意が必要です。
獣除け線香に含まれているカプサイシンという成分は、防犯グッズの催涙スプレーの主成分になるほど強力であり、人間に対しても目から涙が止まらないほど強烈な痛みを与えてしまいます(犬や猫などペットにも悪影響をおよぼす恐れがある)。
非常に強いニオイも放つため、近隣住民からクレームがくる可能性もあるでしょう。
ご家庭の住人や周辺住民に多大な影響をおよぼす恐れがあるため、しっかりとチェックをおこなったうえで使用するかを決めてください。
効果は長続きしない
獣除け線香にも蚊取り線香と同じ燃焼時間があり、レギュラーサイズなら6時間前後、ミニサイズであれば3時間前後しか効果を発揮しません。
燃焼時間を過ぎればニオイや煙は発生しなくなるため、また害獣に浸入される可能性が高まってしまうでしょう。
もし獣除けの効果を持続的に発生させたい場合は、定期的に焚き続けるかより燃焼時間の長い大型サイズを使用するしかありません。
火事の危険性がある
獣除け線香も火を使うアイテムのため、使用する場所によっては火事の危険性がともないます。
線香の燃焼部分はもちろんのこと、落ちたばかりの灰から火事が発生するケースも十分考えられます。
ミニ・レギュラー・大型とサイズを大きくする(燃焼時間が長くなる)ほど放置する時間が長くなるため、注意が必要です。
屋内では使用できない
獣除け線香は強いニオイを放つため、屋内で使用することはできません。
また、屋外で使用する際も近隣住民からクレームを受ける可能性もあるため、事前に近隣住民へ事情を説明し、許可を得てから使用しましょう。
なお、火を使うアイテムのため、屋外で使用する際は天候にも左右されるという点も注意しておきましょう。
雨天時・風が強い日・高温多湿の日などは効果が薄れるため、天気予報で使用予定日の天気を確認してから使用することをおすすめします。
獣除け線香以外でハクビシンを退治する方法とは?
ハクビシンなどの害獣対策グッズは、さまざまな種類が販売されています。
種類と費用相場は、以下の通りです。
- 燻煙剤 :1,000~1,500円
- 忌避剤 :1,000~5,000円
- 木酢液 :1,000~3,000円
- クレゾール石鹸液:500~1,000円
- 害獣撃退用ライト:1,000~3,000円
- 超音波発生装置 :2,000~5,000円
※あくまで相場であり、商品によってはさらに高額なものもある
獣除け線香以外でも忌避効果を発揮できるものは多く、屋内で使用できるものも複数あるため、本章にてそれぞれの特徴をご紹介していきましょう。
燻煙剤
燻煙材とは、害獣が嫌うニオイを煙状にして発生させ、屋内から追い出すアイテムです。
ゴキブリ駆除用に利用される、バルサンをイメージするのがわかりやすいでしょう。
屋内でも使える・即効性といったメリットがあり、害獣駆除業者も用いる手段のため、獣除け線香よりも確実性が高まります。
ただし、以下の点には注意しておきましょう。
- 使用中は部屋には入れず、使用後も換気を徹底してから入る
- 煙が家電や衣服にかからないよう、事前にカバーなどを被せて防護する
- ペットと一緒にお住いの場合、使用は要注意
- 害獣の命を奪ってしまうと罪に問われる可能性がある
1~3はバルサンなどを使う際とほぼ同じですが、4の法律違反のリスクには特に注意が必要です。
ハクビシン・イタチ・アライグマなど、害獣の多くは「鳥獣保護管理法」によって保護・管理されており、許可なく捕獲や駆除ができません(ねずみのみ無許可で駆除が可能)。
成獣の場合は、怖がって逃げ出したり・息苦しくなって出ていくなど命まで奪うことはそうはないでしょう。
しかし幼獣の場合は、逃げられずに死んでしまう恐れがあります。
害獣といえど、もし無許可で命を奪ってしまうと罪に問われる可能性があるため、天井裏など家屋に潜む害獣に対して燻煙材を使用する際は、状況を確認してから使用するかを決めたほうがよいでしょう。
忌避剤
忌避剤とは、害獣の嫌う成分を用いて嗅覚や味覚を刺激し、対象箇所に害獣を寄せ付けない・追い出すことができるアイテムです。
たとえば、ハクビシンであればカプサイシンや天敵(獰猛類・アライグマ・オオカミ)のニオイを発する忌避剤を、棲み処や侵入経路に設置することで効果を発揮します。
市販の忌避剤を使うのがもっとも簡単に罠を設置することができますが、他にも木酢液やクレゾール石鹸液などを利用するのも効果があります(小皿に入れて設置する・薄めてスプレーで散布するなど)。
また、唐辛子などを用いて、自身で忌避剤を作成することも可能です。
害獣撃退用ライト
ハクビシンを含め害獣の多くは夜行性であり、基本的に人々が寝静まった夜間に活動します。
ライトなどの光を用いることで、急に現れた光で警戒心を与え、対象箇所に寄せ付けない効果が期待できるでしょう。
害獣撃退用のライトも市販のものを簡単に購入できるため、庭先など気になる箇所に設置してみるのもおすすめです。
ただし、光に反応するのは人間も同じのため、周辺環境を考慮したうえで使用するかを決定しましょう。
超音波発生装置
ハクビシンなどの害獣は、人間には聞こえない超音波を聞きとることができます。
超音波発生装置にてハクビシンが苦手とする超音波を発生させることで、警戒心を与え、対象箇所に浸入させない・対象箇所から追い出すことが可能です。
人間には聞こえない超音波を発するため、人へ影響をおよぼすことはありません。
ただし、犬や猫などペットと一緒にお住いの方は、ペットに影響をおよぼす恐れがないかを確認したうえで購入しましょう。
害獣対策に特化した超音波発生装置も市販品が販売されているため、効果が気になる方はネットで検索してみるとよいでしょう。
いずれも「慣れ」に要注意!
害獣対策グッズを利用する場合、害獣が慣れないよう工夫することが重要です。
ニオイ・光・音など、はじめのうちは不快感を与えて警戒心を与えることができても、同じ罠を使い続けていると「不快ではあるが、害はない」と判断し、再侵入を試みてくる恐れがあります。
害獣対策グッズを利用する際は、いくつかの罠を併用する・罠の種類や設置場所を適度に変えるなどをするとよいでしょう。
また、超音波発生装置のなかには、光を発することができるタイプや周波数帯を変更できるタイプも存在するため、状況に応じて切り替えをおこないながら使用できます。
市販の対策グッズにも数多くの種類があるため、ご家庭に合ったものを選び利用してください。
もし「あまり効果が感じられない…」という場合は、罠の種類や設置場所を変えてみましょう。
家屋に潜む害獣はプロの業者に任せよう
すでに家の中にハクビシンなどの害獣が侵入している場合は、できるだけ早く害獣駆除の専門業者に駆除を依頼することをおすすめします。
【プロの業者に依頼するメリット】
- 害獣の捕獲に必要な申請を業者側がおこなってくれる
- 防除から侵入経路の封鎖、清掃・消毒まですべての作業を一貫して対応してくれる
- もし建物の修繕が必要な場合、修繕もしてくれる
- 万が一被害が再発した際も、迅速かつ格安で対応してくれる(保証期間内のみ) など
建物に棲みついた害獣を追い出すには、多大な手間とリスクが発生するため、生半可な知識ではかえって被害が拡大する恐れがあります。
素人ができることは「害獣対策グッズを用いて、侵入させないようにする」ことが基本であり、すでに侵入し棲みついている場合の対処はプロに任せましょう。
被害を放置するほど駆除や建物の修繕にかかる費用が高額となるため、痕跡(鳴き声・足音・足跡・フンなど)を見つけた際は、できるだけ早めに業者へ現地調査を依頼することをおすすめします。
また、業者によって費用やサービス内容は異なるため、複数社に見積もりを依頼してより良い業者を選別することも重要です。
現地調査・見積もりまでは無料でおこなってくれる業者も多いため、そういった業者を3~4社ほどピックアップして調査してもらうのがよいでしょう。
まとめ
蚊取り線香は蚊除けのアイテムのため、ハクビシンなどの害獣に対して適切な効果を発揮することはありません。
害獣除けに線香を利用したい場合は、獣除け線香を使うとよいでしょう。
ただし、獣除け線香は人間に対しても悪影響をおよぼす可能性があるため、使用方法・注意点を事前に確認したうえで利用してください。
また、他にも害獣対策グッズは複数市販されていますが、基本的に素人ができることは「侵入防止対策まで」と理解しておきましょう。
すでに家屋に棲みついている害獣を駆除するのは手間だけでなく危険性もあるため、害獣の存在が疑われる場合は早急にプロの業者へ相談することをおすすめします。
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