「ハクビシン」は可愛らしい外見とは裏腹に、家屋に浸入して建物や住人に甚大な被害をもたらす厄介な害獣です。
ハクビシンは法律で保護された動物のため、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
そのため「家屋に浸入されないようにする」「侵入されても追い出す」ことが、自身でできる対策法といえます。
本記事では、ハクビシンの特徴や有効な対策法についてご紹介します。
ハクビシンの被害にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
「ハクビシン」とはどんな動物なのか?
本章では、ハクビシンの特徴をご紹介します。
一見すると可愛らしい動物のように感じますが、人々の生活に悪影響をおよぼす「害獣」の一種です。
特徴を理解し、被害を受けないよう注意しておきましょう。
ハクビシンの特徴
ハクビシンは「ジャコウネコ科」の動物であり、外来種の一種とされています。
ハクビシンの特徴としては、以下が挙げられます。
- 体長は約90〜100cm、体重は3~4kgの小型獣
- 体の半分がしっぽである
- 日本では、体の大部分が灰褐色で四肢は短く黒色をしているタイプが一般的である
- 身体能力が高く、木登りが得意
- 夜行性 など
自然の多い山間部から人の多い住宅地まで全国各地に幅広く生息しており、近年では都市部の中宅地などでも目撃数が増加しています。
ハクビシンによる被害
ハクビシンは雑食性であり、果実や種子を中心に、小動物・昆虫・魚類・残飯などなんでも口にします。
そのなかでもとくに果実が好みであり「畑で育てている農作物や果物、ゴミ捨て場のごみを荒らされてしまう」といった被害が多発しています。
また都会・地方を問わず、家屋の屋根裏に住み着き・巣を作り、家屋内で繁殖する事例も増加しています。
ハクビシンは自分の巣に糞尿をすることから異臭・ダニやノミの繁殖の原因となり、家が腐ったり住人に健康被害をもたらす可能性が高いのです。
加えて夜行性であるため、住人が寝静まった夜に天井裏などをバタバタと動き回り、騒音などの被害を受けることもあるでしょう。
ハクビシンは「一度住処と決めるとなかなか住処から離れない」という習性があるため、存在を確認したら早急に対策を講じることが重要です。
ハクビシンは無許可で駆除・殺傷することはできない
ハクビシンは「鳥獣保護法」で保護されている動物のため、許可なく捕獲や殺傷をおこなうことができません。
仮に自身で駆除する場合は、市役所に「捕獲許可申請書類」や「捕獲場所がわかる図面」などの申請書を提出し、許可を得る必要があります。
申請書の種類は自治体によって異なる可能性があるため、事前にお住いの自治体のホームページ・電話・窓口などでチェックしておきましょう。
なお、手続きには数日かかる可能性があり、捕獲可能な期間も設定されているため、自身で駆除する場合は早め早めの行動が重要です(捕獲許可の期間は、申請から3ヶ月ほどに設定されていることが一般的である)。
いずれにせよ、許可をとるにも手間がかかり、駆除をするにも専門知識が求められるため、一般の方(素人)が簡単におこなえるものではありません。
自身でできることは「侵入防止と追い出し」のみと考え、可能であれば早めに害獣駆除業者に相談するのが得策といえるでしょう。
ハクビシンをペットとして飼うことはおすすめしない
その可愛らしい見た目から「ペットとして飼いたい!」と考える方もいるかもしれませんが、ハクビシンは鳥獣保護法によって守られている動物であり、自治体の「生涯飼養許可」がなければペットにすることはできません。
しかし、人間にとってハクビシンは生活を脅かす「害獣」であり、許可がおりない可能性も高いでしょう。
また、犬や猫と比べて躾をすることが難しく、糞尿の問題などもあってペットには向かない動物です。
仮に許可を得て飼うことができたとしても「手に負えないから……」と飼い主の勝手な都合で放棄すれば、ハクビシンにとっても周囲の人にとっても非常に迷惑な話となるでしょう。
自治体に許可を得に行くとしても、まずはよく考えたうえで行動に移すようにしてください。
ハクビシンの駆除に役立つ「忌避剤」とは?
本章では、ハクビシンを駆除に役立つ「忌避剤」についてご紹介します。
ハクビシンは無許可で捕獲や殺傷ができず「忌避剤を使用して、寄せ付けない・追い出す」ことが一般的な対処法となります。
忌避剤にもさまざまな種類が販売されているため、特徴を理解して状況に合ったタイプを選択しましょう。
忌避剤の特徴
忌避剤とは「害獣・害虫が嫌がる匂いや忌避成分が含まれた薬剤」のことです。
忌避剤を利用してハクビシンの嗅覚・味覚・触覚を刺激し、不快感や恐怖感を与えることで追い払う効果が期待できます。
とくにハクビシンは嗅覚に優れた動物のため、ハクビシンの苦手な臭い・成分が使用されているものを選ぶといいでしょう。
忌避剤はホームセンターやネット通販などで簡単に購入でき、主に「スプレータイプ」「シートタイプ」「粒剤タイプ」「ゲルタイプ」の4つに大別されます。
以下でそれぞれの特徴を深堀りしてみましょう。
スプレータイプ
スプレータイプは、その名の通り気になる箇所にスプレー缶から直接吹きかけるだけで、ハクビシンが嫌う臭いや味を含んだ成分を散布することができます。
屋内・屋外を問わず広範囲に散布でき、設置の手間も必要ありません。
とくにゴミ箱やドアなどハクビシンが近づきやすい場所に吹きかけることで、ハクビシンを遠ざけることが期待できるでしょう。
また、容量は商品によってまちまちではありますが、一本あたりの価格も安価で入手しやすいことも特徴に挙げられます。
シートタイプ
シートタイプは、シートの表面にハクビシンが嫌がる成分が塗布されており、触れたりかじったりすることで強烈な不快感を感じさせることができます。
シート一枚あたりの大きさは「約10cm×10cm」の小さいものが一般的であり、ハサミで切って好きな大きさに調整することも可能です。
簡単に設置できるだけでなく、持続性が高く水にも強いという特徴があるため、気になる箇所に設置しておくだけでハクビシン対策になります。
スプレータイプと同じく一枚あたりの価格も安いので、購入しやすいのもメリットといえるでしょう。
粒剤タイプ
粒剤タイプは、ハクビシンが食べた際に苦い味を感じる成分が含まれた忌避剤です。
設置が簡単(袋から直接撒くだけでいい)で、手軽に利用できることがポイントに挙げられます。
とくに屋外に撒くのが効果的であり、庭や畑などハクビシンが出没しやすい場所に広範囲で散布するのがおすすめです。
ただし、スプレーやシートタイプに比べると一袋あたりの値段が高いため、購入時は注意しておきましょう。
ゲルタイプ
「ゲル」とは、コロイド溶液が固化したゼリー状の弾力性があるものを指しています。
このゲル(ゼリー状の製品)に、ハクビシンが嫌がる臭いや味を含ませたものが、ゲル状タイプの忌避剤です。
一個あたりの大きさは「約5cm×5cm」のものが多く、これを屋根裏や壁際などハクビシンが侵入しやすい場所に置くことで、ハクビシンを追い出す効果が期待できます。
持続性が高い+水や風に強いというメリットはあるものの、設置に少し手間がかかる(チューブから絞り出して塗る必要がある)や一本あたりの値段が高めという注意点も存在します。
忌避剤は自作できるのか?
結論からいうと「忌避剤=ハクビシンが嫌う臭いを放つもの」を自作することも可能です。
ハクビシンは嗅覚が発達しており、以下のような臭いが強いものを嫌がる傾向にあります。
- ニンニク
- 灯油
- 木酢液(炭を焼くときに出た煙を冷やした茶色の液体のこと)
- 唐辛子に含まれるカプサイシンなどの刺激成分
- 天敵であるオオカミの匂い など
手軽に用意しやすいものとしては、ニンニクや唐辛子があげられるでしょう。
作り方は非常に簡単で「ペットボトルに複数の穴を開ける」→「潰したニンニクや半分に切った唐辛子をペットボトルに入れる」だけで作成できます。
このとき、ニンニクは汁ごと・唐辛子は種ごと残さず入れるのがポイントです。
木酢液もホームセンターやネット通販で簡単に購入できるため、これらを組み合わせて使用するのも有効といえます。
木酢液を利用する場合は、木酢液・ニンニク・唐辛子をペットボトルに入れて数ヵ月(1~3ヵ月ほど)漬け込むことで、より高い効果を発揮することができるでしょう。
原液が完成したら、適度な倍率に薄めたうえで地面に設置or散布して使用しましょう。
なお、ニンニクだけだとゴキブリなどの害虫が集まることがあるため、木酢液を同時に利用することをおすすめします(木酢液には防虫効果もあるため)。
また、ハクビシンの天敵は「犬」であり、もし犬を飼っている方であれば犬の毛を活用することも可能です。
ブラッシングやトリミングで取り除いた犬の毛を集め、集めた毛を約10gずつネットに包み、地上1mの高さに吊るす……これだけで簡単に忌避剤を作成することができます。
設置時の注意点は「ハクビシンの通り道に設置すること」です。
ハクビシンが警戒する場所=通り道に設置することで、より高い効果を発揮できるでしょう。
屋根裏に忍び込んだハクビシンに対しては、灯油を染み込ませた布を置くのが効果的です。
実際、屋根裏に侵入したハクビシンの追い出しに、灯油を利用した対策を推奨している自治体も多いとされています。
ただし「灯油は揮発性があるため屋外の風通しのいい環境では効果はあまり期待できない」「灯油=燃えやすいため、火の気のある場所での使用は厳禁」という注意点もあります。
忌避剤を使用(購入)する際の注意点
忌避剤を使用する際は「頻繁に忌避剤を散布する」ことを意識しておきましょう。
とくにスプレーで散布する場合は、一度散布しただけではあまり効果が得られない+臭いが薄れやすいため、2~3日に一回は散布することをおすすめします。
市販のものを購入する場合は、使用法がパッケージに記載されているため、それを守って利用すれば問題はないでしょう。
また、いくらハクビシンの嫌がる臭いであっても、長期間放ち続けていれば慣れてしまう恐れがあるため、違うタイプの忌避剤を交互に使用するのが効果的といえます。
市販のものを購入する際は「成分や臭い」「設置場所(被害の場所)」「価格・内容量」などを考慮して、状況に合った忌避剤を選択することが重要です。
なお、忌避剤を設置する際は「ハクビシンの鼻の高さ=地際から15cm以内」を目安に設置しましょう。
ハクビシンが四足で立ったときの鼻の位置は地面から15cm程度の高さであり、移動中は姿勢を低くして地面の匂いを嗅ぐ習性があるため、15cm以上に設置すると効果が発揮されない可能性があります。
市販のものは、商品によって設定位置が決まっているor使用法などの詳細がパッケージに記載されているため、商品の説明に従って設置していきましょう。
忌避剤以外での対策方法はある?
忌避剤を利用するのも重要ですが、ハクビシンを追い出すことに成功しても「ハクビシンが好む環境」を改善しない限りは再発する可能性が高いといえます。
本章では、忌避剤以外での対策方法について、いくつかご紹介します。
侵入経路を封鎖する
いくら忌避剤を使用してハクビシンを家屋内から追い出したとしても、侵入経路をふさがなければ再発の可能性が高まります。
そのため侵入口の確認や封鎖は、駆除を完璧にする第一歩といえるでしょう。
ハクビシンの侵入口としては、主に以下が挙げられます。
- もろくなった外壁に開いた穴
- 屋根と壁の間
- 劣化してできた屋根瓦の隙間
- 基礎コンクリートの通風口
- エアコンの通風口 など
ネズミほどではないにせよ、ハクビシンも比較的小さな穴からでも侵入できる動物です。
なお、侵入口を封鎖したはいいものの、まだハクビシンが家屋内にいる場合は注意しなければいけません。
なぜなら、封鎖=逃げ出す手段がなく家屋内で餓死してしまう可能性があるからです。
その死体を処理しないまま放置しておくと、腐った死体から悪臭や害虫が発生してしまう可能性があり、より被害が深刻になるかもしれません。
侵入口の封鎖は、ハクビシンが完全にいなくなったことを確認してからおこなうのがいいといえるでしょう。
ただし、侵入口の特定や封鎖などは一般の方(素人)ではなかなか難しいため、被害に悩まされている方は早めに害獣駆除業者に依頼することが重要といえるでしょう。
家屋内を清潔にする
ハクビシンは雑食のため、基本的にはどんなものでも口にしてしまいます。
追い出すことに成功しても、家屋内にエサとなる食べ物や生ごみが置かれていると、ハクビシンが再び侵入してくる可能性もあるかもしれません。
忌避剤を設置する・侵入口をふさぐだけでなく、家屋内を清潔に保つ(エサとなり得るものを片付ける)ことが重要といえるでしょう。
被害に悩まされている方は害虫駆除業者に相談しよう
ハクビシンの侵入経路は多岐にわたる+鳥獣保護法の関係で許可なく駆除や殺傷することができないため、一般の方(素人)は個別で対応しきれないケースも多いでしょう。
そのため「ハクビシンを見かけた」や「屋根裏でバタバタと音がする」などの被害に遭遇した場合は、被害が大きくなる前に害獣駆除業者に相談することをおすすめします。
専門のプロに依頼することで、家屋内に潜むハクビシンの駆除だけでなく、再発防止まで徹底して対応してくれるはずです。
また、アフターフォローがしっかりしている業者であれば、万が一再発した場合でも無料or格安で対応してくれることでしょう。
業者によって、サービス内容・費用・対応エリアは異なるため、詳細はインターネットなどでお住いの地域の駆除業者を検索してみてください。
業者選定のポイントは「相見積もり」をとることです。
「相見積もり=複数の業者から見積もりをとる」ことで、業者ごとの特徴や良し悪しを判断でき、より自身にあった業者を選定できることでしょう。
まとめ
ハクビシンは可愛らしい容姿をしている反面、住み着くと住人や住宅に多大な被害を及ぼす害獣です。
もし敷地内でハクビシンを見かけた場合は、被害を受ける前に相応を対策をするべきといえるでしょう。
また、一般の方(素人)がハクビシンを完全に追い出すことは難しいため、不安を感じる・被害に悩んでいるという方は、できるだけ早急にプロの害獣駆除業者に相談することをおすすめします。
コメント