どれだけ害虫対策を実施していたとしても、人の生活圏に害虫が発生する可能性は大いにあります。
虫はその見た目に関する不快感だけでなく、病原菌などを運ぶ人間にとっての忌むべき存在であり、屋根裏などにも繁殖する恐れがあるでしょう。
本章では、屋根裏を含む家屋内で繁殖しやすい害虫の特徴や、その適切な対処法についてご紹介します。
「家屋に潜む害虫をできるだけ駆除したい」「害虫をできる限り目にしたくない」という方は、ぜひ本記事を参考に対処を講じてみてください。
目次
害虫が屋根裏など家屋に出没する理由とは?
害虫にもさまざまな種類が存在しますが、屋根裏など家屋に浸入・棲みつく最大の理由は「餌が豊富にある」「棲みやすい環境」の2点が挙げられます。
本章にて、それぞれの特徴を解説していきます。
餌が豊富にある
害虫が家屋に浸入する原因の一つは「餌のニオイ」です。
常温保存している野菜や果物など人が口にする食材だけでなく、廃棄予定の生ごみも格好のエサであり、その臭いを辿って侵入してきます。
(他にも、ホコリ・アカ・フケ、お酒やビールの残りなども害虫が好むニオイを放っている)
害虫は屋根裏にも出没することがあり、その原因は害獣が屋根裏で排泄した糞(悪臭)に引き寄せられるケースです。
屋根裏に棲みつく害獣は、ハクビシン・イタチ・アライグマ・タヌキ・ネズミなど多様に存在しますが、いずれも同じ箇所に糞尿をする「溜め糞」の習性を持っています。
糞尿が蓄積するほど悪臭が広がり、その悪臭にダニ・ノミ・ゴキブリといった害虫が集まってくるのです。
また、害虫の一種であるハチが棲みつき家屋に巣を作られると、はちみつの甘い匂いに誘われてゴキブリやアリなどの害虫が集まってきます。
このように、餌のニオイをかぎつけて多くの害虫が侵入し、どんどん繁殖していくため、駆除はもちろん侵入を防止する手段も徹底しておこなうべきといえるでしょう。
棲みやすい環境である
たとえばゴキブリなどは、ジメジメとした湿気の多い場所を好む傾向にあります。
キッチン・トイレ・お風呂などの水回りはもちろん、日当たりの悪いアパートやマンションの1階は湿気がこもりやすいため注意が必要です。
屋根裏も、もし雨漏れしていれば湿気の多い場所として害虫の好む環境となり得ます。
他にも、窓などの小さな隙間からでも侵入できますし、家の中にダンボールや紙袋を置いている方は、そこが害虫の温床となることもあるでしょう。
また、周囲の環境によっては、どうしても虫が出やすくなることもあります。
- 緑が豊かで土のあるところ
- 川・用水路・ため池などの水辺付近
- 繁華街に近い
- 建物内に飲食店が入っているマンション
- いわゆるゴミ屋敷(マンションであれば汚部屋)が近くにある など
人が生活するうえで食べ物や水は必須、そしてゴミなどはかならず発生するため、害虫にとって棲みやすい環境となってしまうのです。
家屋に浸入・繁殖する害虫の種類について
「害虫」とは、人々の生活のなかで、直接的もしくは間接的に害をおよぼす虫のことを指しています。
家屋に浸入する虫にもさまざまな種類が存在しますが、本章では「衛生害虫」「不快害虫」に大別し、それぞれの代表的な虫をご紹介しましょう。
衛生害虫
害虫のなかには、人間や動物に直接的な危害を加える昆虫、ウィルスや細菌を運んで間接的に健康を害する昆虫がいます。
衛生害虫とは、人・ペット・家畜などに対し、直接的もしくは間接的になんらかの被害をおよぼす昆虫のことです。
家屋に潜む衛生害虫だけでもその種類は非常に多いため、特に注意が必要な衛生害虫の特徴を以下にて解説します。
蚊
蚊は、衛生害虫の代表的な昆虫です。
ウィルスなどの病原菌に感染した人や動物の血を吸った蚊に刺されると、さまざまな感染症を引き起こす恐れがあります。
蚊にもいくつかの種類があり、吸血活動は25~30度の春から秋ごろにかけておこなわれる傾向にあります。
特に夏場は蚊が多く発生する時期のため、刺されないように十分な対策を講じるべきといえるでしょう。
蜂
日本にはさまざまな種類の蜂が生息しており、そのなかでももっとも被害が多いのが「スズメバチ」です。
体長17~30mmほどと他の蜂に比べても大きく、強い毒性と脅威性を持っています。
蜂に刺されると、痛み・発赤・痒みなどの症状が出るだけでなく、蜂の毒に対してアレルギー反応を示す場合に「アナフィラキシーショック」によって生命を脅かす危険な状態になることもあります。
家の軒下に巣を作ることもあり、下手に巣に近づくと襲われる可能性もあるため、注意が必要です。
ハエ
ハエは、糞や動物の死骸などに寄り付く習性があり、大腸菌・黄色ブドウ球菌・サルモネラといった食中毒の原因菌や、赤痢・コレラ・チフスなどの病原菌を運んでくる恐れがあります。
ハエによって人や家畜に影響をもたらす病気は60種類以上あるといわれており、注意が必要です。
現在は住環境の向上などでハエは減少傾向にあるものの、返って衛生害虫としての意識が薄れている(危機意識が低下している)ことが懸念されています。
ダニ
人々の身の回りに多く生息しているダニも、死骸やフンによるアレルギー症状や、病原菌を保有するダニに噛まれることで感染症などの病気を引き起こす原因となります。
ダニは体長数mm程度でとても小さく、肉眼で確認することはほぼできません。
(屋内で問題となるチリダニの大きさは、成虫で0.2~0.4mm程度といわれている)
気づかぬ間にダニが繁殖し、人やペットなどに悪影響をおよぼす可能性もあるため、注意が必要です。
シラミ
シラミは、生活環境や駆除剤の向上から一時期日本から姿を消したといわれていますが、近年その存在が改めて問題視されています。
SNSなどでも話題となっているのは、トコジラミによる被害です。
新型コロナウイルスの位置づけが変更され、近年は海外への旅行客や海外からの旅行客が増えており、国内外の移動が盛んになったことで増加傾向にあるといわれています。
トコジラミは、人を刺して血を吸う吸血性の昆虫です。
吸血により激しい痒みや化膿を引き起こすなど、さまざまな健康被害をもたらす恐れがあります。
ゴキブリ
害虫の代表格であるゴキブリは、下水や排水口などの水回りかつ不衛生な場所から家へ侵入することが多く、全身に菌をまとった状態で動きまわるため家中に雑菌をばら撒きます。
ゴキブリが媒介する恐れのある病原菌は、サルモネラ・O-157・ピロリ菌などが挙げられます。
また、ゴキブリの糞や死骸から出た粉塵がアレルゲンとなって、喘息などのアレルギー症状を引き起こす恐れもあるでしょう。
家屋内で目にする機会が多く、健康被害だけでなくその見た目を忌み嫌う人も多いため、できる限り侵入・繁殖を防ぐ手段を講じるべき害虫といえるでしょう。
不快害虫
不快害虫とは、人・ペット・家畜などに直接的な被害を起こす可能性はない(少ない)ものの、見た目などに不快感を感じる昆虫のことを指しています。
不快害虫に分類される昆虫もその種類は多く、たとえばコバエ・カメムシ・蜘蛛などが挙げられるでしょう。
また、ゴキブリのように衛生害虫と不快害虫の両方の性質を備えた昆虫も存在します。
しかし、見た目こそ不快感を与えるものの、蜘蛛のように「益虫」と呼ばれる昆虫もいるため、不快害虫のすべてが人間にとって害のある存在とも言い切れません。
(蜘蛛は、ゴキブリなどの人に害を成す昆虫を捕食してくれる)
見た目からどの程度の不快感を感じるかも人によって異なり、なかには人に益をもたらす昆虫も存在するため、ただすべての昆虫を根絶すればよいというわけでもないのが悩ましいところでしょう。
害虫を寄せ付けない基本的な対策とは?
本章では、害虫を寄せ付けないための基本的な対策をご紹介します。
虫が活発に動き出す前から早めに対策をおこない、できる限り害虫の存在に悩まされない快適な生活を送りましょう。
家を清潔に保つ
害虫が家に浸入する要因の一つは、餌となり得るもののニオイです。
特に、生ごみは悪臭の原因となるばかりか害虫を引き寄せる要因にもなるため、ゴミをできるだけ早く処分する(溜め込まない)、ゴミ袋を二重にしフタつきのもので保管するなどして、ニオイの発生を断ち切ることが重要です。
他にも、ホコリ・アカ・フケといったものも害虫を引き寄せる原因となるため、室内の掃除や汚れ物の洗濯をこまめにおこない、室内を清潔な環境に保つとよいでしょう。
湿気を防ぐ
害虫はジメジメとした湿気の多い場所を好むため、日ごろから除湿を意識してこまめに換気をしましょう。
特に日当たりの悪いアパートやマンションの一階は湿気がこもりやすいため、注意が必要です。
お住いの環境によっては、除湿器や除湿剤を活用してみるのもよいでしょう。
また、換気をおこなう際は、窓が半開きにならないようご注意ください。
網戸などを利用して侵入経路を封鎖しておかないと、わずかな隙間から害虫が侵入してくる恐れがあります。
ダンボールや紙袋を放置しない
ダンボールや紙袋などは、暖かく人目につかない場所のため、害虫にとって快適な棲み処となり得ます。
また、ダンボールにはたくさんの隙間が存在し、そこに卵が産みつられてしまう恐れもあるでしょう。
放置するほど害虫が棲みつき、大量に繁殖する恐れがあるため、放置・ストックしている方はできる限り処分することをおすすめします。
害虫対策グッズを活用する
害虫の侵入や繁殖を防ぐためには、市販の害虫対策グッズを取り入れるのも効果的です。
市販の害虫対策グッズにも害虫ごとにさまざまな種類が存在します。
(ゴキブリであれば、殺虫剤やゴキブリホイホイ、バルサンなどの燻煙材など)
また、害虫にも苦手とするニオイがあるため、そのニオイを発する忌避剤を利用するのもよいでしょう。
忌避剤は、ハーブなどを用いて自作することも可能です。
複数の対策を併用して実施することで、より侵入・繁殖を防ぐことができるでしょう。
家の隙間を埋めたり防虫ネットを活用する
害虫の侵入経路となる場所は、以下のように複数存在します。
- 玄関など人が出入りする場所
- 窓や網戸
- エアコンの室外機
- 換気口
- 排水溝 など
こういった、侵入経路となり得るわずかな隙間を塞ぐことでも、害虫の侵入を防ぐことができるでしょう。
たとえば、破れている網戸を修理する・隙間テープで塞ぐ・パテで埋めるなどです。
ただし、害虫の侵入経路を塞ぎ切ることは難しいため、害虫の被害を危惧される方はプロの業者に相談することをおすすめします。
ベランダを掃除する
ベランダは、害虫の侵入経路・巣作りの場所となり得るため、定期的な見回りや管理をしておくとよいでしょう。
- 雑草や落ち葉は放置せず、定期的に掃除する
- 昆虫の死骸があれば処理する
- プランターなどは直置きせず、日当たりのよい場所や台の上に置く
- 観葉植物などのプランターにある水たまりを適宜取り除く など
また、ベランダは蜂が頻出する場所でもあるため、巣が作られていないかをこまめにチェックすることで、早期発見や被害の拡大防止につながります。
洗濯物は夜間に干さない
害虫の中には夜行性のものも存在し、干しっぱなしにしている洗濯物に卵を産み付ける可能性もあります。
そのまま取り込むと室内で大量発生する原因となるため、洗濯物は夜まで干しっぱなしにしないことをおすすめします。
加えて、害虫は光に寄ってくる習性があるため、夜間に洗濯物出し入れをすると部屋の光に引き寄せられ室内に侵入する恐れもあるでしょう。
害虫の駆除はプロの業者に相談するのがおすすめ!
家屋内に潜む害虫の駆除は、プロの業者に相談・依頼することをおすすめします。
確かに、害虫の家屋への浸入・繁殖の防止、見つけた際の駆除は、一般の方でも市販のグッズを利用しおこなうことができます。
ただし、害虫の侵入経路は多岐に渡り、かつ侵入後は瞬く間に大量繁殖するため、素人が完全に対処しきるのは至難の業といえるでしょう。
また、普段人の出入りがない屋根裏や床下に入り込み、清掃・罠の設置・駆除などをおこなうのは非常に危険です。
下手をすれば屋根裏や床下に害獣が棲みついている可能性もあり、害獣のほとんどは自治体の許可なく勝手に捕獲・駆除することもできません。
害虫・害獣ともに駆除するには多大な手間とリスクを伴うため、中・長期的に被害を悩まされない住まい環境を維持したい方は、プロの業者へ相談してみましょう。
【プロの業者に依頼するメリット】
- 家屋に潜む、害虫・害獣を徹底的に駆除してくれる
- 侵入経路を封鎖し、再発を防いでくれる
- 害虫・害獣がいた場所を清掃・消毒してくれる
- 被害が再発した際も、無料・格安で迅速に対処してくれる など
業者によって防除費用やサービス・保証内容が異なるため、相見積もりをとって複数社を比較したうえで、より自身が安心・納得できる業者に依頼してみましょう。
害虫対策に関するよくある質問
本章では、害虫対策に関するよくある質問をご紹介します。
引っ越し先で害虫対策をおこなう必要はある?
引っ越しを予定している住居がある場合、管理会社側で事前に防虫対策を実施してくれるケースも多いでしょう。
しかし、どのような防虫対策を施しているかはわからないため、気になる方は契約前に事前に確認しておくことをおすすめします。
念のため自身でも害虫対策をしておきたいという場合は、荷物の搬入前に以下の対策を実施しておきましょう。
- 燻煙材を焚く
- 害虫の侵入経路となる場所を確認し、必要があれば塞ぐ
家具を入れる前(部屋になにもない状態)で燻煙材を使用すると、害虫にとって隠れる場所が少なくなるため、より効果的に駆除できます。
ただし、入居前に駆除・防虫剤などの薬剤を使用しても、時間の経過とともに効果は薄まるため、定期的に防除対策は講じるべきといえます。
手間を削減するために、定期的にプロの業者へ点検や対策を依頼するのもよいでしょう。
家庭菜園でできる害虫対策は?
家庭菜園で野菜や果物を育てていると、そこに害虫が侵入してくるケースも考えられます。
害虫が棲みつくと深刻な食害を引き起こす恐れがあるため、以下のような対策を実施しておきましょう。
- 湿気を防ぐ
- こまめな除草を心がける
- 肥料は適切な量を守る
- 防虫ネットを活用する
- 農薬もしくはコンパニオンプランツ(農薬を使用せずに害虫を予防する方法)を使用する など
ただし、自然界から侵入する害虫を完全に防除することは難しいため、適宜作物の状態を確認し、問題があれば迅速に対処を講じてみましょう。
寒い時期でも害虫対策は必要?
害虫の多くは夏場に近いほど活発に活動しますが、外の気温が下がる秋・冬に、暖を求めて家屋に入り込むケースもあります。
現代の住宅は高い気密性を備えており、昆虫にとっても冬を越すのに適した環境といえるでしょう。
そのため、冬場であっても害虫の防除対策は実施しておくべきといえます。
- あらかじめ家の周りを片づけておく
- 餌となるものを放置しない など
害虫を呼び込む要因を一つでも減らすことを心がけ、もし害虫と出くわした場合には早めに駆除することが大切です。
まとめ
害虫は、屋根裏や床下を含む家屋のさまざまな場所に入り込み、人々の生活に多大な影響をおよぼします。
一般の方でも、日ごろの清掃などを意識すれば害虫の侵入・繁殖を防ぐことができるため、市販の対策グッズなども活用し対策を講じてみましょう。
ただし、素人にできることには限界があり、かつ被害を放置するほどに駆除や修繕にかかる費用は高額となるため、自身の手に負えないと感じる場合は早めにプロの業者に相談することをおすすめします。
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