ネズミは、配線をかじってしまうことがあります。
一部の電化製品が使えないだけの被害であればまだよいですが、最悪の場合、火災やインフラの停止が引き起こされかねません。
当記事では、ネズミが配線をかじることで起きる被害や配線がかじられてしまう理由、ネズミに配線をかじられないための対策を解説します。
日々の生活をネズミから守るために、早期的に対策を行いましょう。
1. なぜネズミは配線をかじるのか?

ネズミが配線をかじる理由は、以下の3つが挙げられます。
- 一生伸び続ける歯を削るため
- 配線やコードは「ちょうどよい硬さ」でかじりやすい
- 人の目が届かない場所に配線が集中している
上記3つの理由から、ネズミにとって都合のよい対象が配線なのです。
それぞれについて、なぜネズミに配線が選ばれてしまうのかを解説します。
1-1. 一生伸び続ける歯を削るため
ネズミが配線をかじるのは、食べるためではなく前歯を研ぐためです。
げっ歯類であるネズミは、生きている間はずっと前歯が伸び続けます。
前歯が伸びすぎると食事が取りづらくなってしまうため、本来ネズミは草木や木の実、昆虫などをかじったり食べたりして調整しています。
しかし、家屋に棲み着いたネズミは配線や家具、建材などをかじって前歯を研ぐようになるのです。
1-2. 配線やコードは「ちょうどよい硬さ」でかじりやすい
覚えておきたいのは、ネズミがかじる対象は単に「硬いものだけ」とは限らないということです。
ネズミは歯を研ぐために、硬いものも含めてさまざまなものをかじります。
中でも、木材やプラスチック、ゴムなどの「ある程度硬さがあり、簡単に削れる素材」を特に好みます。
そのため、外皮にプラスチックやゴムが使われる配線はネズミにとって非常にかじりやすく、標的にされやすいのです。
1-3. 人の目が届かない場所に配線が集中している
家に棲み着いたネズミは、天井裏や屋根裏、壁の内側など人の目につかない狭いところで活動しています。
家の中にはいくつもの配線が人の目が届かない場所に集中しているため、ネズミの活動範囲にちょうどよく配線が露見しているのです。
特に、LANケーブルや洗濯機の電源ケーブルなどはかじられやすいと言えるでしょう。
しかし、人目のつく場所にあるケーブルやコードであれば安全かというと、そうでもありません。
ネズミは夜行性で、人が寝静まってから活発になります。
人の目を盗んでテレビや調理家電のケーブル・コードをかじりに出てくることもあるため、注意が必要です。
2. ネズミが配線をかじることで発生する主な被害

様々な配線は、私たちの日々の生活を支える大切な部品です。
よって、ネズミに配線をかじられてしまうとあらゆる被害が起こります。
中には重大な被害を生む可能性もあるため、あらかじめ起こり得る被害を把握しておきましょう。
2-1. 電気トラブル
ネズミが電気系統のケーブルをかじると、停電・漏電・ショートなどのリスクがあります。
停電は、断線したケーブルから電気が供給されなくなることで起こります。
同時にいくつもの家電製品を使っているわけでもないのに突然停電が起これば、ネズミによる仕業が考えられるでしょう。
この場合は修理・交換が必要となり、電力供給が回復するまでの間は電気を使えない状況になります。
停電よりもさらに危険な事態が、漏電・ショートです。
かじられた配線からケーブルがむき出しになり、漏電したのち火花を散らしてショートが起こります。
特に、ネズミが好む屋根裏などの環境に多く溜まるホコリは火花から着火してしまいやすく、小火(ボヤ)や火災を招きかねません。
また、感電したネズミを媒介として火災につながるケースもあります。
2-2. 通信トラブル
ネズミがネットワークケーブルをかじると、通信障害が発生します。
当然、ネズミが棲み着くのは家だけとは限りません。
公共施設やビルなどに棲み着いた挙げ句ネットワークケーブルをかじってしまった場合、多くの企業や団体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
ご家庭で通信トラブルが起こると、普段使っているスマホやPCがWi-Fiに接続できなくなります。
スマホの場合は公共の電波を使用せざるを得なくなるため、通信料の増加や通信制限のリスクがあります。
対してPCはそもそもインターネット接続ができなくなるため、ネットサーフィンやリモートワークができなくなり、日常生活に支障をきたす可能性もあるでしょう。
ちなみに、企業・団体において電話やインターネットが断線すると、社内外の通信が全て断たれてしまいます。
ネットワークがダウンしてしまえば、システムエラーや生産ラインの停止、データの損失などといった被害をもたらしかねません。
特に病院や金融機関といった重大なインフラ設備におけるシステム停止は、莫大な被害が予想されます。
2-3. 火災保険では補償対象外となる可能性もある
ネズミを原因とした火災が起きた場合、火災保険の対象外となる可能性があります。
なぜなら、ネズミによる被害はあらかじめ防げるものとみなされているからです。
通常、火災保険は失火・もらい火・落雷・破裂・爆発といった予期せぬ原因による火事や自然災害を保証範囲としています。
ネズミ被害は突発的なものですが、火災保険において害獣による被害は適用範囲外になることが多いです。
したがって、ネズミを原因とした火災で損害を受けても補償を受けることができず、修繕費用や購入費用は全て自費で賄わなければいけなくなる恐れがあります。
3. 配線をネズミから守るための対策法

対策法と言っても、大掛かりな作業や特別なテクニックは必要ありません。
ネズミに「かじりたくない」と思わせるグッズを使って、簡単にネズミから配線を守れます。
配線をかじられないようにするには、次の3つの防鼠グッズの使用がおすすめです。
- 防鼠ケーブル
- 防鼠チューブ
- 防鼠テープ
各々の概要や使用方法などについて、ご紹介します。
3-1. 防鼠ケーブル
防鼠ケーブルは、ケーブルそのものに防鼠効果があります。
ケーブル自体にネズミが嫌いな唐辛子の成分を含んでいるため、かじられる心配がありません。
元から機材についているケーブルを防鼠ケーブルに交換するだけで済み、簡単にネズミ対策ができます。
引っ越しや新築などで新たに配線を設置する際に防鼠ケーブルに交換しておけば、後々かかるランニングコストを抑えることにも有効です。
3-2. 防鼠チューブ
防鼠チューブは、何本かのケーブルをまとめて防鼠仕様にできます。
使い方は複数のケーブルを防鼠チューブの中に入れてまとめるだけの簡単なものです。
チューブがかじられにくいのは、防鼠ケーブルと同様、チューブにネズミの嫌いな成分を含ませているからです。
耐久性に優れ、耐水性・耐熱性・自己消火性があるため、防鼠の役割をせずとも様々なトラブルからもケーブルを守ってくれます。
3-3. 防鼠テープ
防鼠テープは、既存のケーブルにテープを撒いて防鼠仕様にするものです。
上記の2つと同様、テープにネズミが嫌う成分を含有しています。
防鼠ケーブルや防鼠チューブは、規格やまとめるケーブルの多さなどによっては上手く活用できないことも考えられますが、防鼠テープはケーブルに巻くように貼り付けるだけでよく、どんなケーブルにも対応します。
なお、ネズミ対策の1つとして、唐辛子を使った方法があります。
詳しくは以下の記事でご紹介していますので、「家からネズミを追い出したい」「ネズミを家に近づけたくない」という方はぜひご一読ください。
4. 配線対策だけではリスクが残る

配線そのものは、先述した防鼠アイテムである程度被害を阻止できます。
しかし、配線を守る対策を練っている時点で、ネズミの侵入を許してしまっていると言っても過言ではありません。
ネズミが侵入していると、多岐にわたる被害を被る可能性があるのです。
ネズミによる被害は、配線の被害も含めて3つの種類に分けられます。
衛生的被害 | 家屋・家具等の被害 | 経済的被害 |
---|---|---|
・ネズミの体や排泄物を介した感染症 ・ネズミに寄生するイエダニ・ノミによる皮膚炎 ・ネズミによる騒音のストレス・ネズミがいることへの不快感 | ・建具や家具がかじられる ・火災・漏電・ショート | ・修繕費 ・資産価値の低下 |
いずれの被害も、ネズミにさえ侵入されていなければ起こらないであろう被害です。
ネズミは物理的な被害だけではなく、人間の心身にも影響を及ぼしかねません。
ネズミのあらゆる被害から家屋や家族を守るためには、被害そのものの対策をするよりも先にネズミの駆除から始める必要があります。
5. ネズミ被害でお困りなら協会にご相談ください

ネズミを駆除したいけれど、具体的な方法がわからないという方もいらっしゃるでしょう。
日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の無料相談では、ネズミ駆除の方法や手順についてご案内しています。
ご自身の力だけで駆除したいという方、あるいはプロの手を借りて駆除したいという方のいずれにも適した方法をお伝えいたします。
また、駆除業者の費用を安く抑えるコツや、駆除業者の探し方もご相談可能です。
「できるだけ安価に済ませたい」「駆除を業者に頼みたいけれど悪徳業者に引っかかりたくない」などのお悩みにも、真摯に対応いたします。
些細な内容でも無料でお話いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。
以下の記事でも業者の費用相場・探し方についてご紹介していますので、ご参考までにご覧ください。
まとめ
ネズミは前歯を研ぐために、「ちょうどよい硬さ」「ちょうどよい位置」にある配線をかじります。
配線がかじられてしまうと電気トラブルや通信トラブルが起こり、最悪の場合、火災やインフラの停止を招くでしょう。
防鼠グッズで配線をかじられないようにする工夫はできますが、配線対策をするだけでは他のあらゆるリスクの対策にはなりません。
安心安全な暮らしを得るために、ネズミのいない家・ネズミが近寄りたくない家を目指しましょう。
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