木酢液でネズミがいなくなる?併せて行うべき対策まで解説

害獣・害虫別

農業やガーデニングをする方にとって身近な木酢液は、ネズミ対策としても有効と言われています。
しかし、初めて木酢液というワードを目や耳にした方は、木酢液がどのようなものか、なぜネズミに効果があるとされているのかがわかりにくいでしょう。
当記事では、木酢液の正体とネズミに効くと言われる理由、木酢液でネズミ対策をする方法などについて解説します。
木酢液によるネズミ対策の正しい知識を得て、ネズミから暮らしを守っていきましょう。

1. 木酢液とは?ネズミに効くと言われる理由

木酢液には、ネズミを追い出す効果や追い払う効果が認められます。
いわゆる忌避剤としての効果があるということです。
ただ、あくまで生きたままのネズミを家屋から遠ざけるだけで、木酢液ではネズミの被害を完全には根絶できません

木酢液とは、炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたものです。
炭を作っている過程で精製するため、焦げ臭いニオイを発します。
ネズミは嗅覚が鋭いうえに火を嫌う動物で、刺激が強く火を彷彿とさせる木酢液のニオイが苦手です。
そのため、木酢液が散布・設置されているところを遠ざけようとします。

しかし、ネズミは適応能力にも長けており、苦手な木酢液のニオイにすら5日程度で慣れてしまうことがあります。
また、2.5cmほどの隙間から侵入してしまうため、全ての隙間を見つけて散布するのは困難です。
見つけられなかった箇所や木酢液による対策が行き届いていない箇所からは、変わらずネズミが侵入してしまうでしょう。
したがって、木酢液でのネズミ対策は一時的な効果が見られるものの、長期的に効果が期待できる方法とは言えません。

2. 木酢液選びで見るべきポイント

実際に木酢液を使用してネズミ対策をする際は、適した木酢液を選ぶことが重要です。
木酢液を購入するときは、以下の3つのポイントを満たす製品を選んでください。

  • pH3前後であること(強酸性すぎないもの)
  • 色味
  • 粘り気が少ない

それぞれのポイントについて解説します。

2-1. pH3前後であること(強酸性すぎないもの)

pH(ペーハー)とは水素イオン濃度のことで、0〜14の数値の大小によって以下のように水溶液の性質を表します。

酸性弱酸性中性弱アルカリ性アルカリ性
pH値pH < 3.03.0 ≦ pH < 6.06.0 ≦ pH ≦ 8.08.0 < pH ≦ 11.011.0 < pH

木酢液の原液は、pH1.5〜3.7の強い酸性に分類されます。
木酢液の成分の約90%は水分ですが、約10%の有機化合物のうち約5%が酢酸です。
濃度ごとに作用は変わるものの、酸性の性質を利用して消毒や雑草の生育抑制などに使われます。

ネズミ対策として使用する理想的な木酢液は、表の酸性と弱酸性の間に位置する製品です。
したがって、ネズミ対策に適した木酢液はpH3前後とされています。
pH3前後よりも数値が大きければ水で薄められていたり、かえって数値が小さければ酢酸などで調整されていたりする可能性があります。
希釈・調整されている木酢液では、ネズミに有効な成分が充分に含有されていない恐れがあるため使用をおすすめできません。
必ずpH3前後のものを選ぶようにしましょう。

2-2. 色味

良質な木酢液は、沈殿物がなく紅茶のような澄んだ色をしています。
次のような特徴を持つ木酢液は、静置期間が短いまたはろ過精製されていない場合がありますので注意しましょう。

  • 沈殿物や浮遊物がある
  • 濁っている

上記の特徴に加え、後述の粘り気がある木酢液には、有害物質であるホルムアルデヒドが含まれていると考えられています。
ホルムアルデヒドは人の粘膜を刺激し、目・鼻・のどの痛みや咳、アレルギー反応、皮膚炎などの症状を引き起こす化学物質です。
高い濃度では呼吸困難などを起こし、命にかかわるリスクがあります。
ネズミ被害の前に健康被害を増加させないためにも、粗悪品を選ばないよう注意が必要です。

2-3. 粘り気の有無

前述したとおり、粘り気がある木酢液は粗悪品の可能性が高いです。
粗悪品は良品よりも安い価格で販売されている傾向にあるため、安いという理由だけで沈殿物・浮遊物のある濁った木酢液を選ぶのは危険です。
充分な効果と安全性を考慮して、良質な木酢液を選んでください。

3. 木酢液を使うネズミ駆除の方法

木酢液を使うネズミ対策は、主に以下の2つの方法があります。

  • スプレーでの散布
  • 穴あきボトルを使って設置

ニオイの強い木酢液は、水で薄めて使用します。
1リットルの水に対し木酢液を小さじ1(5ml)の割合で混ぜ合わせるだけで、ネズミ対策用の木酢液は完成です。
作った木酢液をスプレーで散布しても、ただ設置しても忌避効果が見込めます。
どちらの方法でも、ラットサインを意識して行うとよいでしょう。

なお、ラットサインとは黒っぽい汚れや足跡、糞尿汚れなどのネズミの痕跡のことです。
ラットサインについては以下の記事でもご紹介しています。

3-1. スプレーでの散布

希釈した木酢液をスプレー容器に移し替え、ネズミが通りそうな箇所やネズミがいそうな箇所付近に散布するだけです。
ただし、フローリングやコンクリートに強酸性の木酢液を撒いてしまうと塗装の剥がれやシミの原因となるため、散布する箇所には充分注意しましょう。
希釈する時点でペットボトルを使用する場合、ペットボトル用霧吹きノズルを装着するとそのまま使用できて便利です。

3-2. 穴あきボトルを使って設置

木酢液はニオイが強烈なため、上部に穴のあいたボトルに入れて置いておくだけでも忌避効果が見込めます。
スプレーと同様、ペットボトルで希釈すればそのままボトルに穴をあけて設置でき、移し替える手間がなくおすすめです。
屋内での使用に限らず、雨風の対策を講じれば屋外でも使用できます。

4. 木酢液とセットで行いたい対策

木酢液は、ネズミの忌避剤としての効果がある程度得られます。
ですが、木酢液ではネズミの駆除には至りません。
根本的にネズミ被害を解決するには、他の方法を併用したほうがよいでしょう。

4-1. 毒エサ

毒性のあるエサを食べさせて駆除する、害獣対策では一般的な方法です。
とくにネズミの場合、殺鼠剤(さっそざい)とも呼ばれます。
殺鼠剤を使用する際は、ネズミをおびき寄せるように毒エサを好物の中に忍ばせ、ネズミが食べて息絶えるのを待ちます。

帰巣本能のあるネズミでも、駆除してしまえば被害は繰り返されません。
また、新たに侵入してこようとするネズミも仕留めることができるため、ネズミが毒エサを食べてくれれば被害は根絶できます。
毒エサを使った対策には次のような特徴がありますので、状況や目的に応じて毒エサを設置するかどうか決定しましょう。

  • ネズミにも好き嫌いがあり毒エサに近寄らない可能性がある
  • 速効性のある毒エサは警戒されやすいが数時間後には駆除できる
  • 遅効性のある毒エサは食いつきやすいが効果が出るまでに時間がかかる
  • 腐敗臭や害虫の発生を防ぐため早めの死骸処理が必要
  • 小さなお子様やペットに注意して配置する必要がある

なお、安定した効果を得るため、用法・容量について定めた農薬登録のされている毒エサを使用しましょう。
毒エサについては、以下の記事で詳細に解説しています。

4-2. 粘着シート

ネズミが通過・出入りしていると思われる箇所に粘着トラップを設置する方法です。
生きたままネズミを捕らえることができ、毒エサで息絶えさせるのは気が引けるという方にも取り入れやすいでしょう。
死骸の処理もトラップごと捨ててしまえるため、仕掛けるのも片付けるのも簡単です。
粘着シートによるネズミ対策は、以下の記事で詳しくご案内しています。

4-3. 完全な駆除には侵入経路の封鎖が不可欠

一度は木酢液でネズミを追い払えたとしても、木酢液のニオイを克服したネズミや元々木酢液のニオイに耐性のあるネズミによって、被害は再発する可能性があります。
それは、侵入口そのものが無防備だからに他なりません。
再発さえも防ぐためには、侵入経路を封鎖する必要があります。

しかし、ネズミが出入りできる箇所を全て把握することは困難です。
ネズミの侵入口は窓・玄関といった王道の入口だけではなく、戸袋やエアコンの導入部も該当します。
さらに、基礎の隙間や屋根の隙間、下水管などの目が届きにくいところも侵入口の候補です。
自己流で侵入口を封鎖すると、全ての経路を見つけきれなかったり、施工が甘くなったりする恐れがあります。
特に高所の隙間をご自身で封鎖しようとすれば、足場を組んでの作業を要するため、危険も伴うでしょう。

侵入経路の封鎖をきっちりと行うのであれば、業者への依頼が最適です。
費用が不安だという方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身での対策では対策グッズ費用に加え、被害に対する修繕費を繰り返し捻出することになります。
かえって、ランニングコストがかかる羽目になりかねません。
費用もネズミ被害も最小限に抑えたければ、専門家の手を借りるのがベストです。

5. ネズミでお悩みなら、協会の無料相談をご活用ください

日本有害鳥獣駆除・防除管理協会では、ネズミをはじめとする害獣被害の無料相談を承っております。
顕著なネズミ被害がなく、「侵入されているかもしれない」という段階での相談でも構いません。
被害を未然に防ぐことこそが、害獣駆除には重要なポイントです。
ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

木酢液はネズミの苦手なニオイを発するため、ネズミ対策に一定の効果があります。
しかし、あくまでネズミを追い払う忌避効果があるだけで、ネズミを駆除できる手段ではありません。
木酢液だけを使用したとしても、木酢液による効果を一度突破されてしまったら、ネズミ対策をしていない状態の家屋と同じです。
他の方法も併用して駆除したり、侵入口を封鎖したりしてネズミを家に入れない施策を取りましょう。

ネズミ被害を根絶するためには、専門家のサポートが必要です。
人間にとって本当に心地のよい家を作るために、ネズミにとって都合の悪い家を目指しましょう。

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