アナグマなどの害獣駆除は、市役所にすべてお願いできると思っていませんか?
ほとんどの自治体では、被害者もしくは被害者が依頼する害獣駆除業者が駆除することになっています。
また、害獣駆除にかかる費用は被害者が負担するケースが多いです。
害獣駆除に関する市役所の主な役割は、害獣被害の相談受付や鳥獣捕獲許可証の交付などです。
その他、捕獲器の貸し出しや害獣駆除業者の紹介、捕獲した害獣の回収、補助金や報奨金の支給などをする自治体もあります。
この記事では、害獣駆除における自治体の対応例4選を紹介します。
自治体のホームページを参考に記事を作成しておりますので、詳しい内容については各自治体にお問い合わせください。
市町村が作成する鳥獣被害防止計画の内容や、アナグマを自分で捕獲・駆除する難しさについても解説します。
目次
害獣駆除における自治体の対応例4選
害獣を取り巻く環境は自治体によって異なり、対応の仕方もそれぞれ違います。
自治体のホームページには大抵、鳥獣被害に関するページがあり、被害を防止するための注意点や、被害に遭ったときの対策方法などが記載されています。
今回は、アナグマ被害がある自治体を4つランダムに選び、対応の仕方をまとめました。
ぜひ、あなたの住む自治体のホームページもチェックしてみてください。
小田原市|鳥獣被害対策を呼びかけ
神奈川県小田原市では、集落環境整備、防護対策、捕獲の3つの対策を地域で取り組んでいくことが、鳥獣被害の軽減につながると呼びかけています。
集落環境整備とは、収穫した農作物やゴミをその場に放置しない、家庭菜園の野菜や果実に被害がある場合はネットを張るなど、害獣が近づかない環境を作ることです。
防護対策は、侵入防止柵の設置や住居侵入口の遮断をし、害獣が敷地内に入ってこられないようにすることです。
ハクビシンなどの小動物が天井裏に棲みついた場合は、煙タイプの殺虫剤で追い出すのが効果的との記載があります。
アナグマの場合は、建物の下に穴を掘り床下に棲みつくことが多いため、忌避剤などを使って穴から追い出す必要があります。
防護対策しても被害がなくならない場合は、捕獲することになります。
鳥獣保護法により、アナグマの捕獲には許可が必要です。
唐津市|免許なしでも小型箱わなで捕獲可!処分も自分で
佐賀県唐津市では、狩猟免許を持っていない人でも、基準を満たした小型の箱わなであればアナグマを捕獲することが可能です。
小型の箱わなとは、3辺(幅×高さ×奥行き)の合計が160cm以内の箱わなのことです。
アナグマを捕獲するには市の許可が必要です。
なお、捕獲した害獣は各自責任を持って処分してくださいとの記載があります。
岡山市|柵と檻の費用助成金・捕獲奨励金あり
岡山県岡山市では、野生鳥獣による農作物の被害防止を目的に、防護柵と捕獲柵(檻)の設置費用を助成しています。
防護柵とは、電気柵、ワイヤーメッシュ柵、トタン柵などのことです。
防護柵の補助対象となるのは、原則として2戸以上の農業者で組織された団体です。
補助率は、資材購入費の3分の2以内となっています。
岡山市では、鳥獣被害防止のために設置された電気柵で死傷事案が発生したとのことで、感電防止の適切な措置を呼びかけています。
捕獲柵(檻)の補助対象となるのは、町内会や猟友会です。
補助率は3分の2で、一基あたりの上限は126,000円となっています。
また、岡山市では捕獲奨励金を交付しています。
アナグマを捕獲した場合、有害鳥獣捕獲奨励金が2,000円、捕獲促進奨励金が1,000円です。
参考:
岡山市|防護さくや捕獲さく(檻)の設置費用を助成します。
岡山市|岡山市鳥獣被害対策関係事業補助金等交付要綱
岡山市|電気さくの設置に係る安全管理の徹底をお願いします。
鹿屋市|農作物被害があれば猟友会が捕獲する場合も
鹿児島県鹿屋市では、市が猟友会に依頼して害獣を捕獲しています。
ただし、アナグマによる農作物の被害が発生した場合は、猟期中(毎年11月15日から翌年2月15日まで)や農作物の被害が発生して鳥獣捕獲許可証が交付された場合のみです。
市の捕獲だけで害獣被害を防ぐのは不可能なので、生産者や集落の人々に協力を呼びかけています。
内容は、農作物の収穫漏れを防ぐことや、出荷できない農作物の放置をなくすこと、害獣の被害が発生した場合はできるだけ多くの人で追い払い、害獣を農地に入らせないよう電気柵等を設置することなどです。
自分で捕獲する場合、銃の使用は1年以上の狩猟経験が必要です。
猟期以外に、許可なしでわな等を設置することも禁止されています。
参考:鹿屋市|有害鳥獣対策
鳥獣被害防止計画の内容
市町村が、「鳥獣被害防止特別措置法」という法律の第4条第1項に基づき、鳥獣被害防止計画というものを立てています。
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律
(被害防止計画)
第四条
市町村は、その区域内で被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するため、基本指針に即して、単独で又は共同して、鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための計画(以下「被害防止計画」という。)を定めることができる。
e-Gov法令検索
市のホームページで、鳥獣被害防止計画のPDFファイルをダウンロードできます。
鳥獣被害防止計画は、以下のような内容です。
・どんな鳥獣(害獣)からどんな農作物の被害がどれぐらい出ているか
・いつどのような場所に出没しているか
・これまでやってきた被害防止策と今後の課題
・捕獲の方針と計画
・どんな猟具を用いて捕獲するか
その自治体における害獣被害対策の課題や向き合い方がわかる内容となっています。
九州地方では特にアナグマの出没が多く、被害も大きいです。
以下の表は、鳥獣被害計画から一部抜粋したものです。
被害地域(アナグマ) | 被害内容 | 被害金額 | 被害面積 |
福岡・糸島地域広域 | 果樹 野菜 | 3,424千円 7,473千円 | 0.96ha 0.95ha |
熊本・山鹿地域広域 | 果樹 | 8,807千円 | 1.17ha |
参考:福岡・糸島地域広域鳥獣被害防止計画
熊本・山鹿地域広域鳥獣被害防止計画
アナグマを自分で捕獲・駆除する難しさ
市に害獣を捕獲してもらえない場合は、自分で防護・捕獲するか、害獣駆除業者に駆除を依頼することになります。
アナグマは害獣とされていますが、鳥獣保護法という法律で守られており、勝手に捕獲・駆除することは禁止されています。
アナグマの効果的な駆除方法は、箱わなによる捕獲です。
捕獲するには市町村の許可が必要で、許可を受けるためには狩猟免許と狩猟者登録が必要です。
(自治体によっては、狩猟免許がなくとも捕獲許可が下りるケースもあります。)
捕獲する場合、個体数を把握し、その数の箱わなを設置する必要があります。
アナグマは食べ物に対する執着心が強く、捕獲した個体以外に逃げたアナグマがいたとしたら、仲間を連れて戻って被害が大きくなる可能性があるからです。
捕獲許可申請書にも、害獣の種類や個体数を記入する欄があります。
また、アナグマは穴を掘るのが得意というのが厄介なところです。
建物の床下に侵入し、溜め糞で床材を腐らせることがあります。
糞にはいろいろなウイルスや菌が含まれており、害虫も寄ってきます。
清掃や消毒・殺菌、場合によっては家屋の修繕も行わなくてはなりません。
そして、アナグマ自体も病原菌や寄生虫、ノミ、ダニなどを持っており、人にも媒介します。
狂犬病などの命にかかわる病原菌を持っていることもあるので、噛まれたら大変です。
狂犬病は、発症すると致死率100%という恐ろしいウイルスです。
発症前にワクチンを接種すれば回復するとされていますが、感染したら命の危険が迫ると考えたほうがいいでしょう。
アナグマは、比較的おとなしい性格で人間を襲うことはあまりないですが、刺激すると噛みついたり引っ掻いたりする場合があるため、油断は禁物です。
自治体によっては、捕獲したあと、害獣を自分で処分しなければならない場合があります。
市で処分方法が定められている場合は、その方法を守らなければなりません。
害獣駆除業者をうまく利用しよう!
このように、アナグマを自分で捕獲・駆除するのは大変です。
自信がない場合は、知識と経験が豊富な害獣駆除業者の利用を検討してみましょう。
その際は、悪徳業者に騙されないよう、3社程度から相見積りを取るようにしてください。
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まとめ
アナグマの駆除を市役所に相談したときの対応は、自治体によって違いがあるため一概には言えません。まずは市のホームページにて鳥獣被害に関する記載を見てみましょう。市が捕獲しない場合は、自分で調べながら追い出し・捕獲することになりますが、時間がかかると被害は大きくなる一方です。困ったときは、知識と経験が豊富な害獣駆除業者に相談し、スムーズに害獣駆除を進めましょう。
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